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泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場――。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。
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Posted by ブクログ
「分かり合うことはできない。自分は彼らとは分かり合えない。そう考えると気分が楽になる」
本作の中の一節です。
ラッシュライフは、伊坂さんを大好きな作家のひとりに押し上げてくれた一冊になりました。
お金で全て征服する戸田、泥棒の黒澤、絵描きの河原崎、カウンセラーの京子、リストラされた豊田と捨て犬。全く違う重力で生きている彼らの人生が、同じ街の階段で複雑にすれ違い、やがて鮮やかに繋がっていく…その緻密な伏線の回収劇は、まるでエッシャーのだまし絵『相対性』や、図と地が反転する不思議な世界に入り込んだかのようです。
作中に登場した音楽や絵画のセンスも素敵で、普段からアートや音楽が好きな私にとって刺激になりました。
最初に紹介した一節は、エッシャーの描く一見バラバラで矛盾した世界がひとつのアートとして美しいように、私たちも「分かり合えない」という断絶を抱えたままで、自分の人生(lush life)を豊かに歩んでいけるかも。
ハラハラするエンタメでありながら、生きていく上で、大切なヒントをもらえる、素晴らしい時間になりました。
最後に、どん底を味わった豊田と、あの愛おしい愛犬に、宝くじによって人生を思いきり挽回してほしいな。
Posted by ブクログ
2026.10.28
評価も高く好きな作家さんの作品なので、以前から読むのを楽しみにしていた。
箱入りの高級チョコレートのごとく1日少しずつ大事に読んでいこうと思ったのも束の間、スーパーの安売り菓子のごとく貪り食うように読み終えてしまった。さすが伊坂幸太郎。
この例えだと今作が安っぽいと誤解を受けそうなので訂正しておくと、品質は一級品である。
ただ、先が気になって仕方なく読み進めてしまう中毒性があるので要注意。
時間のある日にこちらを手に取るのをお勧めする。
読み終わってから装丁を見直して、ああこういう意味だったのか、と得心した。
自分も誰かの人生のちょっとした登場人物なのかもしれない。
そのちょっとした登場人物が誰かの人生に影響を及ぼすことも大いにあるのかもしれない。
毎回伊坂幸太郎作品には寝不足にさせられているので、次こそピエールマルコリーニのチョコをお供に少しずつ読み進めていけるものに出会いたい。
Posted by ブクログ
志奈子 画家
黒澤 泥棒
河原崎 父親が飛び降り自殺
京子 カウンセラー
豊田 無職
それぞれのストーリーが絡み合い、展開していく。
だけではなかった!
様々なことが同時に起こっているだけでも目が離せないのに、時間軸が前後していたり、コレとアレが繋がってたり⋯。
泥棒の黒澤が、金や外見やステータスという分かりやすいものが好きで、目に見えない愛情だとか、仲間意識だとかなんて胡散臭いとか言っている。
だけど、
物語の最後の方では、
豊田は喉から手が出るほど欲しがってた仕事や金を選ぶのではなく、老いた犬を選んだ。
金を選ぶ人もいる。金ではない目に見えない愛情を選ぶ人もいる。
犬を選ぶエピソードを最後にもってくるあたりが、作家の思い入れの濃さを感じた。
人生はリレーかもしれない。
初めてそう思った。
エッシャーの絵に例えられているように、階段を昇ってゴールしてみても、そこは誰かのスタート地点なのかもしれない。
皆が次に繋がっている。
おもしろかった。
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