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Posted by ブクログ
私が読んだのは旺文社文庫の昭和44年10月の初版。一覧に出てこないのでこちらで代替。
旺文社文庫は「夢十夜・幻影の盾(他)カーライル博物館・薤露行・思い出す事など・現代日本の開化」というタイトル。
本棚にあったが買った覚えもない。たぶんBOOKOFFの店舗で買ったのだろう。
YouTubeの読書案内で(どの方かは忘れた)で「夢十夜」が名作だと言っていたので、読みたくなって読んだが、むしろ「思い出す事など」という修善寺の大患の前後を漱石自身が記したエッセイの方が面白かった。主観的に大病をした漱石の感じた事が書かれているので年表で読むより実感がこもっていて良かった。
「幻影(まぼろし)の盾」はさっぱりわからなかった。アーサー王物語に着想を得て漱石なりに書いたものらしいが、そもそも読んでも誰が誰なのか全然わからなかった。漱石が英文学に通じていたことがわかるだけだ。
「薤露行」も西洋を題材にした小説だが、「幻影の盾」と同じく筋もわからず。
肝心の「夢十夜」は「第一夜」、「第二夜」という風に十夜まで続くのだが夢を書くのなら私にもできそう、と思った。実際の夢なのか創作なのかはきっとどこかで批評家の方が分析しているのだろうが、取り留めのない夢をきちんと読める文章にしているのはさすが作家だ(思い立って夢を見た翌朝書いてみたが、人に読ませることのできる話にはうまくまとめられなかった)。
英文学に通じていたからこそ大所高所から俯瞰して小説を書けたのではないかと思うと同時に(故に高踏派と呼ばれたのではないか?)、アーサー王物語を題材に書いたものなどはわりと読みにくく、「吾輩は猫である」とか「坊ちゃん」「三四郎」その他の有名な小説群の方が日本語がこなれていて文章のリズムもいいのはやはり日本を題材にしているからかな、と思ったのでした。
巻末の年表も最近のとはまた違っていてとても良かった。
Posted by ブクログ
漱石は文豪なんだよ凄い人なんだってとわかっている筈なのに、どうも吾輩は猫なんて庶民的な作品のイメージからか侮りつつ読み始める感じなんですが、いきなり「倫敦塔」で度肝を抜かれ。
何これ、基本英国史、それにダンテにシェークスピアに仏教の無一物に終いには都々逸まで!何この人、本当に万能なんじゃないの。何でも知りすぎでしょうよ。
あと「一夜」がお気に入り。「草枕」や「虞美人草」に近いかなと。綺麗綺麗しい文章。艶やか。
でも「幻影の盾」と「かいろ行」はこの人こういうのは向かないんじゃ?と思っちゃったけど。日本の話に英文的雰囲気が有るのは良いけど逆はなんだかな。英国紳士に和傘持たせるような違和感。
でもなんだかんだで圧倒的なる筆力に畏まって読み進めていたのに、また「趣味の遺伝」で笑わされ。趣味の遺伝って結局一目惚れってこと?しかし一度合った美人が何処の誰だろうという問題を「そうだ、この問題は遺伝で解ける問題だ。遺伝で解けばきっと解ける」ってどんな思考回路だ!あと高跳びを応用したチラ見にも笑い。
うーん漱石。勿論凄いんだけれど、彼はちょっと高みに置くには面白すぎる。
Posted by ブクログ
また一冊の御伽噺読み終わったね。 この間鴎外先生の本も拝読してるので、少し妙な気もする。 漱石先生と鴎外先生、果たして真に火と水の如しかしら(笑) まあ、二人とも外国語堪能、哲学好み、自然主義に反対であったのは確実だけど。 今度も面白いこと満載、中世期のユーロストーリはいつもロマンチック染めた小舟のように心を揺らせる。 中にも「一夜」とゆ意識流の小品、訳分からない三人揃って、訳分からない言葉を交わして、幻か真実かともかく清美の上に一理ある。 それに「趣味の遺伝」も随分面白かった。 めちゃ変わった愛情観点を示しても、ただ諧謔で滑稽なんぞとは言えない程度、さすが漱石先生。 次は我輩は猫であるを買いましょう!
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