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アリクイのいんぼう
「人がハンコを作る時には事情があります」そう語るのは喫茶店にして印章店という『有久井印房』の店主。しかしその姿はどう見ても白いアリクイで、なおかつ少々ふっくら気味。そんな店長をサポートするのは、ウェイトレスの宇佐ちゃんと、キザなカピバラのかぴおくん。「ハンコを作ってください!あれ、なんでシロクマが?」 訪れ驚くお客さんに「ぼくはアリクイです」と静かに出されるコーヒー。不思議なお店で静かに始まる、縁とハンコの物語。 -
父のようにはなりたくない
中2の息子が「高校に行かない」と言い出した。その原因が自分にあるなんて……。表題作をはじめ、どこの家にも起こりうる、ささやかだけど重要な「事件」たち。泣き虫の息子と、息子を叱ってばかりの夫。娘が見せた家とは違う顔。息子のヌード雑誌にうろたえる妻。子育ての悩みがほぐれていく、8つの短編集。子育てに正解なんてない。でも、少し見方を変えるだけで前向きになれるとしたら……? 読めば気持ちが軽くなる!(収録作品=泣き虫のままでいい/ずる休みをしようぜ/久しぶりの食卓/みんな頭がついている/引き出しの奥にあるもの/捨てることのできないもの/勝とうとするから意味がある/父のようにはなりたくない) -
斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇
日本文学を代表する天才作家の名作11篇! 没落貴族の家庭を背景に、滅びゆく高貴な美を描く「斜陽」。太宰文学の総決算ともいうべき、小説化された自画像「人間失格」。ふたりの若者の信頼と友情を力強く表現した「走れメロス」。家族の幸福を願いながら自らの手で崩壊させる苦悩を描き、命日の呼び名となった「桜桃」など、11篇を収める。 奥野健男氏のくわしい年譜、臼井吉見氏のこまやかな作品案内と作家評伝付き。 <収録作品> 斜陽 人間失格 ダス・ゲマイネ 満願 富嶽百景 葉桜と魔笛 駈込み訴え 走れメロス トカトントン ヴィヨンの妻 桜桃 -
ザ・ボーダー
国境、人種、階級、法、 あらゆる境界/限界(ボーダー)を超えた麻薬との戦い―― これこそが犯罪小説の完成形。 ――解説:杉江松恋 エンタメ直球の疾走感と文学の重み… ウィンズロウの3部作はまさに『ゴッドファーザー』と『戦争と平和』のハイブリット版だ。 ――ニューヨーク・タイムズ グアテマラの殺戮から1年。メキシコの麻薬王アダン・バレーラの死は、麻薬戦争の終結をもたらすどころか、新たな混沌と破壊を解き放っただけだった。後継者を指名する遺言が火種となり、カルテルの玉座をかけた血で血を洗う抗争が勃発。一方、ヘロイン流入が止まらぬアメリカでは、DEA局長に就任したアート・ケラーがニューヨーク市警麻薬捜査課とある極秘作戦に着手していた――。 -
脳が読みたくなるストーリーの書き方
“心”ではなく、読者の“脳”を刺激せよ! テーマ、キャラクター、プロットの組み立て方を脳科学の観点から指南! 脳科学、神経科学、認知心理学……ゆるぎない事実に基づく、物語創作の新しい実践ガイド。脳はストーリーをどう認識するのか? そして、どのようなストーリーに夢中になるのか? 面白いストーリーは、私たちの意識を常に集中させ、他のことに気をそらせない。つまり、ストーリーを書くうえで重要なポイントとは、「次に何が起こるか知りたい」という脳の欲求を常に引き出し続けることである。それが欠落していたら、どんな美しいメタファーも魅力的なキャラクターも、読者を満足させることはできないのだ。 小説、映画脚本、短編などの実例を参考にしながら、脳を満足させるためのストーリーの書き方を指南する。人間の“認知的無意識”が明らかにする、物語創作の実践ガイド。 まさか、こんな“神話”を信じて創作していませんか……? 「美しい文章は何にもまさる」 「物語で最も大事なのはプロット」 「登場人物を知る唯一の方法は、完全な経歴を書き上げること」 「感覚的な詳細描写は物語を生き生きとさせる」 「種明かしのためには、情報を伏せておくことが読者を引き込む秘訣だ」 本書ではこのような神話を退治し、脳(=読者)を魅了する物語の姿をお見せします。 -
ロゴスの市
「若い方にぜひ読んで欲しい」 著者初の電子書籍化作品! 「肺がこんなきれいな空気で満たされた恋愛小説、初めて読んだ気がする」と書評家・温水ゆかりさんが絶賛した傑作恋愛小説! 【あらすじ】 1980年、大学のキャンパスで弘之と悠子は出会った。せっかちな悠子と、のんびり屋の弘之は語学を磨き、同時通訳と翻訳家の道へ。悠子は世界中を飛び回り、弘之は美しい日本語を求めて書斎へ籠もった。二人は言葉の海で格闘し、束の間、愛し合うが、どうしようもなくすれ違う。時は流れ、55歳のベテラン翻訳家になった弘之に、ある日衝撃的な手紙が届く。切なく狂おしい意表をつく愛の形とは? -
炎の塔
銀座のランドマーク「ファルコンタワー」。高さ450メートルを誇る日本一の超高層ビルが完成した。 オープンの初日、タワーには震災を生き抜いた親子、重病を克服した夫婦、禁断の恋に落ちた教師と女子高生、離婚問題に直面する夫婦など、様々な事情を抱える人たちが訪れていた。 そんな彼らに未曾有の大火災が襲いかかった。通称“ギンイチ”銀座第一消防署の若き女性消防士・神谷夏美は猛威をふるう炎の中、死を賭した任務に出動するが――。 完璧だったはずの防火設備はなぜ破綻したのか? 最上階に取り残された人々の運命は? 想像を絶する焔と人間の戦いを描く極上エンターテインメント! -
小説・夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~
幼いころから普通の人には見えない妖怪が見える夏目。祖母レイコが残した「友人帳」をめぐり、妖怪たちと遭遇していく。用心棒役のニャンコ先生も大活躍! 劇場版アニメ「夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~」のシナリオをノベライズ!! -
【合本版】ビブリア古書堂の事件手帖
鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」。そこの店主は古本屋のイメージに合わない、若くきれいな女性だ。だが、初対面の人間とは口もきけない人見知り。接客業を営む者として心配になる女性だった。 だが、古書の知識は並大抵ではない。人に対してと真逆に、本には人一倍の情熱を燃やす彼女のもとには、いわくつきの古書が持ち込まれることも。彼女は古書にまつわる謎と秘密を、まるで見てきたかのように解き明かしていく。 これは栞子と奇妙な客人が織りなす、“古書と秘密”の物語である。 三上延が贈る大人気ビブリオミステリ、全7巻合本版。 電子合本版特典として、7巻発売時に一部書店で配布された小冊子に掲載の特別短編を収録。 ※本電子書籍は、『ビブリア古書堂の事件手帖~栞子さんと奇妙な客人たち~』~『ビブリア古書堂の事件手帖7~栞子さんと果てない舞台~』全7巻を1冊にまとめた合本版です。 -
王とサーカス
2001年、新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智は、知人の雑誌編集者から海外旅行特集の仕事を受け、事前取材のためネパールに向かった。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先、王宮で国王をはじめとする王族殺害事件が勃発する。太刀洗はジャーナリストとして早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり……。「この男は、わたしのために殺されたのか? あるいは――」疑問と苦悩の果てに太刀洗が辿り着いた痛切な真実とは? 『さよなら妖精』の出来事から十年の時を経て、太刀洗万智は異邦でふたたび、自らの人生を左右する大事件に遭遇する。/解説=末國善己 -
ルーム・オブ・ワンダー
テルマはアラフォーのシングルマザー。 息子のルイは12歳。 テルマの生きがいは、このひとり息子と大手化粧品メーカーのマーケティング・ディレクターという仕事。 ある冬の土曜日の朝、テルマのこれまでの人生をふいにするような事件が起こった。 ルイが彼女の目の前で交通事故に遭ったのだ。 昏睡状態に陥ったルイに残された時間はわずかだった。 そんなある日、テルマがルイの部屋で見つけたあるものが、彼女の生き方を変えていく。 疎遠だった母親が、テルマの生活に再び影響を与え始める。 心を許せる友人がいなかったテルマに、看護師という新たな仲間が生まれる。 はたして、テルマはルイを取り戻すことができるのか? 刊行前に世界20か国以上で出版が決定、 デビュー作にしてベストセラーに躍り出た、世界が注目するフランス現代小説! -
夏井いつきの世界一わかりやすい俳句の授業
「これ以上わかりやすくて、共感できる俳句の入門書はない」テレビ番組「プレバト!!」(MBS/TBS系)の俳句コーナーで大人気、“日本一おっかない俳句の先生”こと本書の著者である夏井いつきがそう言い切る一冊! 「俳句って、なんとなく難しそう」「私にはセンスや才能がないから無理だよ」「ややこしいルールが、いろいろあるんでしょ」これらは、俳句経験ゼロの方から、よく聞く言葉です。あなたも、俳句に対して、同じような印象を抱いているかもしれません。でも、安心してください。そのイメージは大きな間違いです。センスや才能がなくても、ちょっとしたコツさえ知っていれば、誰でも簡単に作れるのが俳句です。本書の目的は、俳句の「は」の字も知らない超初心者の方を実際に俳句が作れるようにすることです。これまでのどの入門書よりも、わかりやすく、基礎の基礎から、丁寧に学びます。決して落ちこぼれにはさせません。本書は、対話形式で進んでいきます。生徒役を務めるのは、出版社に勤める編集者のKさん。このKさんは、俳句の“ど素人”です。初心者にありがちなミスを次から次へとして、冷や汗と恥をかいて成長していきます。Kさんをあなた自身だと思って読み進めていただけると、理解がグッと深まると思います。さあ、それでは、世界一わかりやすい俳句の授業を始めましょう。今日から、あなたの人生が変わるかもしれませんよ。 【目次】●1時間目 自分の俳号を考えよう ●2時間目 俳句には二つの技がある ●3時間目 「尻から俳句」で俳句デビュー ●4時間目 「十二音日記」を書いてみよう ●5時間目 完成した句をチェックしよう ●6時間目 「切れ字」を使ってみよう ●7時間目 季語を観察してみよう ●8時間目 「一物仕立て」を仕分けしよう ●最後の授業 句会に出てみよう -
サイレント・ブレス 看取りのカルテ
誰もが避けては通れない、 愛する人の、 そして自分の「最期」について静かな答えをくれる、 各紙誌で絶賛された現役医師のデビュー作。 2018年6月21日のNHK「ラジオ深夜便」にて紹介され、話題沸騰中! 「生とは何か。死とは何か。答えの出ない問いへの灯りのような一冊」(書評家・吉田伸子さん) 「本書を読んで何よりも私は、救われた、と感じた」(書評家・藤田香織さん) 大学病院の総合診療科から、「むさし訪問クリニック」への“左遷”を命じられた37歳の水戸倫子。そこは、在宅で「最期」を迎える患者専門の訪問診療クリニックだった。命を助けるために医師になった倫子は、そこで様々な患者と出会い、治らない、死を待つだけの患者と向き合うことの無力感に苛まれる。けれども、いくつもの死と、その死に秘められた切なすぎる“謎”を通して、人生の最期の日々を穏やかに送れるよう手助けすることも、大切な医療ではないかと気づいていく。そして、脳梗塞の後遺症で、もう意志の疎通がはかれない父の最期について考え、苦しみ、逡巡しながらも、大きな決断を下す。その「時」を、倫子と母親は、どう迎えるのか? -
ノーラ・ウェブスター
夫を突然亡くしたアイルランドの専業主婦、ノーラ、四十六歳。子供たちを抱え、二十年ぶりに元の職場に再就職したノーラが、同僚の嫌がらせにもめげず、娘たち息子たちとぶつかりながらも、ゆっくりと自己を立て直し、生きる歓びを発見していくさまを丹念に描く。アイルランドを代表する作家が自身の母を投影した自伝的小説。 -
笑うお葬式
破天荒に生きた父に捧ぐ! 「金スマ」2時間スペシャルで大反響を呼んだ父と娘の感涙の物語 野沢直子さんの父親ほど破天荒で魅力溢れる人物がほかにいるでしょうか。 まったく奇抜なアイディアで事業を成功させたり、完全に失敗したりを繰り返し、愛人をあちらこちらに持つ父。 しかし家族のことは大切にしていました。その父が死に、通帳には千円の残高しかなかったのでした。 父には一生背負わなければならなかったある経験がありました。それらの秘密や、家族の大切な記憶が徐々にひもとかれていきます。 野沢さんの祖父は、直木賞候補と目された作家、陸直次郎。一家を支える三味線の師匠である祖母と、夫を信じ、愛人との駆け落ちも受け入れる母。叔父に声優の野沢那智氏。 事業を手掛けては失敗する父と、成功を信じて疑わない母。その間で、野沢さんは懸命に「お笑いの道」を目指します。 ところが母親の死後、韓国人の隠し子が現れ、最後の章では、誰もが仰天するあらたな出会いが待っています。 「文藝芸人」(文春ムック)掲載時に、読者から「リリー・フランキー『東京タワー』に匹敵する親子愛の名作」と絶賛された作品に、格闘家デビューした長女、野沢・真珠オークライヤーと激しく争った子育ての日々などを、大幅に加筆しました。 懸命に生きる野沢家の人々の姿は、可笑しくてせつなくていとおしい。全編笑いに包まれながら、涙をなくして読むことができない本書は、小説を越えた小説と言えるでしょう。 野沢直子さんはやはり並の人間ではなかった! -
哲学者の密室
三つの事件を経て、矢吹駆に対する自分の感情を持て余していたナディア。そこに起こった新たな事件は、頭部を殴打され、背中に刺傷を負った死体が、誰も入ることのできぬはずの三重密室の中で発見される、という衝撃的なものであった。さらに、その謎を追う彼女の前に、第二次大戦中、コフカ収容所で起こった密室殺人事件が浮かび上がってくる。二つの事件の思想的背景には、二十世紀最大の哲学者のある謎が存在した。ナディアに請われ、得意の本質直観による推理で事件に立ち向かう矢吹駆の前には宿敵イリイチの影が……!? 現代本格探偵小説を生み出した大量死の謎をも解き明かす、シリーズ最高傑作の呼び声高い第4作。/解説=田中博 -
まほろ駅前狂騒曲
まほろ市は東京都南西部最大の町。 駅前で便利屋「多田便利軒」を営む多田啓介と、 居候になって丸二年がたつ行天春彦。 二人のもとに、かつてない依頼が…… それは、夏の間、四歳の女の子「はる」を預かること。 慣れないことに悪戦苦闘する二人に、忍び寄る「魔の手」! まほろ市内で無農薬野菜を生産販売する「家庭と健康食品協会」の幹部・沢村。 まほろの裏社会を仕切る、若きボス・星。 地元のバス会社・横浜中央交通(横中)に目を光らす岡老人。 彼らのおかげで、二人は前代未聞の大騒動に巻き込まれる! 文庫特典 短篇「サンタとトナカイはいい相棒」収録。 解説・岸本佐知子(翻訳家)。 太っ腹の全528ページ。見た目は「最厚」、中身は最高! 『まほろ駅前多田便利軒』『まほろ駅前番外地』に続く、 三浦しをんが心血をそそいだ「まほろシリーズ」 堂々の完・結・篇! -
ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬
「プログラマーという人種はですね。他人とともに、自分も信じない人間なんですよ」 やる気なさげなプログラマー探偵、鹿敷堂(かしきどう)登場! 安藤裕美は20代で起業し、腕のよいプログラマーを企業に斡旋している。 裕美の猛烈な営業で業績は順調に拡大していたが、そこに大事件が発生! 自分の会社が送り込んだプログラマーが、取引先企業の持つ個人データ5万人分を 暗号化して使用不能にし、そのデータの「身代金」を要求してきたのだ。 事件が知られれば、取引先どころか、自社の存続も危うい。 悩む裕美は、自社への出資者から補佐役として奇妙な青年を紹介される。 それが鹿敷堂(かしきどう)桂馬だった。 「僕は探偵でもなんでもありません。ただのプログラマーです」 タイムリミットは2日間。2人は事件を解決できるのか。 「僕にできるのは、デバッグぐらいですね」 2016年の松本清張賞を僅差で逃したものの、選考委員の熱い支持をうけて異例のデビュー! 「探偵役の鹿敷堂がいいキャラクターなので、シリーズ化に挑戦してほしい。 プログラマーの世界をもっと読みたいという意見は(選考委員)全員一致した」 (石田衣良氏・選評より) 「働くひとたちへの熱い応援の気持ちと、社会やシステムへの疑問と怒りが作品に こめられていて、とても胸打たれた。しかしそれだけではなく、登場人物が魅力的で、 読んで楽しい小説! おすすめです!」(三浦しをん氏) 現役プログラマ、ゲーム作家として活躍してきた著者による超一級のエンターテイメント小説。 -
オレがマリオ
新しい光に満ちた第五歌集。 「電信柱抜けそうなほど揺れていた」震度7とはそういうことか 空腹を訴える子と手をつなぐ百円あれどおにぎりあらず 子を連れて西へ西へと逃げてゆく愚かな母と言うならば言え 東日本大震災発生当時、東京にいた著者が仙台の家に帰れたのは、4日後だった。余震と原発事故が落ち着くまでと思い、翌朝息子の手をひいて、西へ向かう。 醤油さし買おうと思うこの部屋にもう少し長く住む予感して 第三者的には「軟禁」とも言える車を持たぬ離島の暮らし 「オレが今マリオなんだよ」島に来て子はゲーム機に触れなくなりぬ 紆余曲折ののち、沖縄の石垣島に住むことになった親子。豊かな自然、地域の人々との密な触れ合いは、様々な変化をもたらした。 愛、発見、出会い――。かけがえのない石垣島の日々から生まれた第五歌集。 解説・松村由利子(歌人) -
日本霊異記/今昔物語/宇治拾遺物語/発心集
人間のユーモアと機知とエロスに満ちた野蛮な魅力そのものが生き生きと語られる、「瘤取り爺」の原話等古来よりの説話100余篇を収録。「日本霊異記」「宇治拾遺物語」「発心集」は新訳で。 解説=池澤夏樹 解題=小峯和明 月報=高樹のぶ子・朝吹真理子 -
詩の礫
2017年、フランスの文学賞、「ニュンク・レビュー・ポエトリー賞」! 「詩の礫」は、福島在住の詩人・和合亮一氏が被災6日目から「ツイッター」で発表を開始した新たな形式の詩です。140字という独特な制限の中で記された言葉は、迫真性と臨場感にあふれ、圧倒的な言葉の力は、極めて短期間で1万人を軽く超える読者の支持を得ました。湧出する感情のまま、まさに礫のごとく向かってくる詩の数々は、故郷・福島への愛しさ、肉親、子、友、自然への慟哭、震災への行き場なき怒り、絶対という概念を失った世界の不条理を描き、読者の心の深い部分を痛いほど衝いてきます。(以下、本書より) <今、これを書いている時に、まだ地鳴りがしました。揺れました。息を殺して、中腰になって、揺れを睨みつけてやりました。命のかけひきをしています。放射能の雨の中で、たった一人です。> <どんな理由があって命は生まれ、死にに行くのか。何の権利があって、誕生と死滅はあるのか。破壊と再生はもたらされるのか。> <避難所で二十代の若い青年が、画面を睨みつけて、泣き出しながら言いました。「南相馬市を見捨てないで下さい」。あなたの故郷はどんな表情をしていますか。私たちの故郷は、あまりにも歪んだ泣き顔です。> <命を賭けるということ。私たちの故郷に、命を賭けるということ。あなたの命も私の命も、決して奪われるためにあるのではないということ。> <誰もいない 福島 静かな雨の夜 静かな涙は誰が流しているの この世を去ったその人を想いながら 想うしかない まぶたの中で目覚めるのは海> テレビ、新聞、雑誌、ラジオなど、「詩の礫」は多くのメディアに取り上げられました。修羅のごとく言葉をつむぐ姿は、読者を大いに共感、驚嘆させること必至です。ぜひご一読を。 -
絶望に効くブックカフェ
心が救われる、最強のブックガイド。 1900年前のローマ皇帝が綴った孤独から、ドストエフスキーの描いた嘘、カフカの渇望、そして村上春樹の自画像、角田光代の家族、吉田修一の恐怖まで、最近出版された本と、古典と呼ばれるものを2冊併せ読む書評エッセイ。『セックスボランティア』で鮮烈なデビューを飾り、『ウスケボーイズ――日本ワインの革命児たち』で小学館ノンフィクション大賞を受賞した著者の、人間の深部を見つめる鋭い視点で、100冊の名著の魅力が語られる。 「古代から書かれ、読まれ、受け継がれてきた本。いつもそこには同じ絶望を持った人がいる。人が生まれ、絶望し、希望を持ち、死んでいく。幾億回繰り返されてきたその営みに、私たちは支えられている。間違いなく、絶望に効く何よりの特効薬は本である。ようこそ、絶望に効くブックカフェへ」(「はじめに」より) -
世界で一番美しい声
ブリー・プレスコットは、父親と自分を襲った恐ろしい事件のせいで心に深く傷を負い、逃げるように故郷を離れてメイン州にある湖畔の町ペリオンへとやってきた。 新しい環境で人生をたてなおそうとするブリーを、周囲の人びとは温かく支える。そんななかブリーは町で偶然、アーチャーという若者と出逢う。彼もまた、過去の事件でひどい傷を負い、苦しみを抱えて孤独に生きてきた人間だった。 二人は友情をはぐくみ、やがて惹かれあうが―甘美なラブシーンに彩られた純愛ロマンスの傑作登場! -
約束
ロス市警警察犬隊スコット・ジェイムズ巡査と相棒の雌のシェパード、マギーは、とある住宅街で逃亡中の殺人犯を捜索していた。匂いを頼りにマギーがたどり着いた家のなかには、容疑者らしい男が倒れており、さらに大量の爆発物が。同日、同時刻、同じ住宅街。私立探偵のエルヴィス・コールは失踪した会社の同僚を探しているという女性の依頼を受けて調査をしていた。単なる偶然か、それとも? 嘘をついているのは誰か。幾重にも重なる偽りの下に真実はあるのか。警察と探偵、スコット&マギーとコール&パイク、固い絆で結ばれたふた組の相棒の物語。 -
美味礼讃
彼以前は西洋料理だった。彼がほんもののフランス料理をもたらした。 昭和35年、辻調理師学校の若き副校長・辻静雄はフランス料理の事典『ラルース・ガストロノミック』に出会い、フランス料理に魅了され、それがどういうものなのかどうしても実際に知りたいと熱望するようになった。 当時日本では材料や技術の問題から本格的なフランス料理を出す店はなく、ついに辻静雄は9週間のフランス旅行に出る。実に100軒のレストランに足を運び、その舌にほんもののフランス料理の味を記憶させ、帰国後はその味、その技術を辻調理師学校の教員、生徒たちに情熱をもって教えてゆく。 その料理への飽くなき探究心と情熱は、日本人のみならず、ミシュランの星をもつ名店の主人やシェフたちをも動かし、日本のフランス料理を格段に飛躍させた。 ポール・ボキューズをもって「シズオはフランス人よりフランス料理のことをよく知っている」と言わしめた、辻調理師専門学校の経営者、世界的な料理研究家であった辻静雄の伝記小説。 -
樋口一葉 たけくらべ/夏目漱石/森鴎外
吉原の廓の隣町を舞台に、快活な十四歳の美少女・美登利と、内向的な少年・信如の淡い想いが交錯する、一葉「たけくらべ」(新訳・川上未映子)。 東大入学のために上京し、初めて出会う都会の自由な女性や友人に翻弄される青年を描いた、漱石「三四郎」。 謎めいた未亡人と関係を重ねる作家志望の文学青年・小泉純一が、芸術と恋愛の理想と現実の狭間で葛藤する、鴎外「青年」。 明治時代に新しい文学を切り開いた文豪三人による、青春小説の傑作三作を収録。 【ぼくがこれを選んだ理由】 明治になって社会の重心は若い人たちの方にシフトした。いきなり未来を預けられた青年たちの戸惑いを漱石は「三四郎」に書き、鴎外は「青年」に書いた。「たけくらべ」の色調は江戸期への郷愁だが、その一方でこれはモダニズムの都会小説でもある。(池澤) 【新訳にあたって】一葉が今「たけくらべ」を書いたら絶対にこうなったにちがいないと信じきって&あの匂いあの話し声あの時間に持てるすべてを浸しきって、全力全愛でとりくむ所存です。(川上未映子) 解題・年譜・参考資料=紅野謙介 解説=池澤夏樹 月報=高橋源一郎・水村美苗 -
淋しいおさかな
「おはなしこんにちは」というNHKの幼児向けの人気番組があったのを覚えているでしょうか。そこで朗読された童話が、本書に収められた、別役実氏の書き下ろし童話でした。表題作の「淋しいおさかな」をはじめ、「煙突のある電車」「猫貸し屋」「穴のある町」「可愛そうな市長さん」など、22作に共通するのは、穏やかな始まりと、虚をつくような結末、あるいは哀愁漂う結末など、いわゆるハッピーエンドで終るような童話ではなく、大人の鑑賞にたえ得る童話という点でした。それは、この作品集が単行本として刊行された当時、大人の支持を受け、版を重ね、復刊を望む声が多かったことでもわかると思います。まさに、本書は「大人のための童話集」の走りだったのです。かつて自分が子供だった頃を、本書を読んで思い出してみてはいかがでしょう。 -
カウンター・ポイント
25年前に起こった殺人事件。元恋人からその再調査を依頼された探偵ヴィクは、事件関係者に渦巻くウォーショースキー家の人間への敵意を感じ取る。どうやら彼女のいとこにして地元のヒーロー、ブーム=ブームと何か関係があるようなのだが……。生まれ育った街の暗部と過去の因縁に、ヴィクが毅然と立ち向かう! -
最後の医者は桜を見上げて君を想う
続々重版、25万部突破!本読み書店員が選ぶ「感動小説」第1位! 自分の余命を知った時、あなたならどうしますか? 死を肯定する医者×生に賭ける医者 対立する二人の医者と患者の最後の日々―― 衝撃と感動の医療ドラマ! あなたの余命は半年です――ある病院で、医者・桐子は患者にそう告げた。死神と呼ばれる彼は、「死」を受け入れ、残りの日々を大切に生きる道もあると説く。だが、副院長・福原は奇跡を信じ最後まで「生」を諦めない。対立する二人が限られた時間の中で挑む戦いの結末とは? 究極の選択を前に、患者たちは何を決断できるのか? それぞれの生き様を通して描かれる、眩いほどの人生の光。息を呑む衝撃と感動の医療ドラマ誕生! 【文庫書き下ろし】 <全国の書店員様からのおすすめコメント> とてもとても重い作品で、死ぬ事について何度も何度も考えさせられました。その中で最後の最後に一粒だけ用意されていた小さな希望に私は自然に涙を流していました。 (TSUTAYA 三軒茶屋店 栗俣様) 「あなたは大切な人の余命を知った時、どうしますか?」対立する2人の医者を通して命の重さを考えさせられました。 (紀伊國屋書店 新宿本店 宮本様) 医者達が織りなす「生」についての物語は考えさせられる部分が多く、ラストは涙が止まりませんでした。 (オリオン書房 ノルテ店 澤村様) 著者の集大成的なこの作品は涙がこぼれる場面が多々ありますので通勤・通学中に読まれる場合はご注意ください。 (福岡金文堂 姪浜南店 林田様) 医師達の「本気」が文字から浮かびあがってくるようでした。彼らは本当に、強い。人間賛歌とはこのような作品のことを指すのではないでしょうか。 (宮脇書店 本店 藤村様) 死の恐怖が安らぎと受容に変わったとき、本当に生きる意味とは何なのか、迷いながらも最後まで戦い抜いた患者、医師達に涙があふれました。 (伊吉書院 類家店 上道様) 「死」を透かして見えてくる「生きる」ことの真の意味。死が怖れから安らぎに変わる瞬間をあなたは知るでしょう。 (東郷倶楽部 代表 医師 東郷清児) -
聖なる黒夜【上下 合本版】
『聖なる黒夜(上)』:広域暴力団の大幹部が殺された。容疑者の一人は美しき男妾あがりの男……それが十年ぶりに麻生の前に現れた山内の姿だった。事件を追う麻生は次第に暗い闇へと堕ちていく。圧倒的支持を受ける究極の魂の物語。 『聖なる黒夜(下)』:刑事・麻生龍太郎と男妾あがりのインテリ山内練。ひとつの殺人事件を通して暴かれていく二人の過去に秘められた壮絶な哀しみとは? ミステリとして恋愛物語として文学として、すべてを網羅した最高の文芸作品!! ※本書は『聖なる黒夜(上)』『聖なる黒夜(下)』を1冊にまとめた合本版です。 -
昔ばなしの謎 あの世とこの世の神話学
桃太郎はなぜ桃から生まれ、犬と猿と雉を味方につけたのか。 浦島太郎が玉手箱を開けて死ぬ定めにあるのはなぜか。 人間を喰らおうとする山姥の正体とは──。 誰もが知りながら、荒唐無稽で謎めいた昔ばなしの世界。 しかし多様な伝承の森に深く分け入り、古代神話や民間信仰に その足跡をたどるとき、死と再生、性と笑い、 異界とこの世をめぐる共通の世界観が浮かび上がる。 現代人が忘れてしまった豊かな意味を取り戻すための神話学。 ※本書は、山川出版社より二〇一三年に刊行された『昔ばなし あの世とこの世を結ぶ物語』に大幅に加筆修正し、改題して文庫化したものが底本です。 【目次】 はじめに 第一話 桃太郎――桃太郎はなぜ犬と猿と雉を連れていくのか 第二話 かちかち山――トリックスター、稲羽の素兎の末裔たち 第三話 花咲爺さん――お爺さんはなぜ犬の灰をまくのか 第四話 浦島太郎――分断された乙姫の玉手箱 昔ばなしの論理を読み解く(1) 第五話 鬼の子小綱――笑いと性の力が春を呼ぶ 第六話 三枚の護符――便所はあの世の出入り口 第七話 蛇婿入り――苧環はなぜ蛇を退治するのか 第八話 蛇女房――無欲と貪欲の報酬 昔ばなしの論理を読み解く(2) 第九話 産神問答――魂を掃き出す箒の力 第十話 ミソサザイは鳥の王――仁徳はいかにして聖帝になったか 第十一話 ホトトギスと兄弟――夜鳴く鳥の悲しい前世 第十二話 鉢かづき姫――顔を覆い隠す花嫁 第十三話 一寸法師――脱皮する少年たち おわりに
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