パリ・ロンドン放浪記

パリ・ロンドン放浪記

小説・文芸
935円 (税込)

4pt

インド帝国の警察官としてビルマに勤務したあとオーウェル(1903―50)は1927年から3年にわたって自らに窮乏生活を課す。その体験をもとにパリ貧民街のさまざまな人間模様やロンドンの浮浪者の世界を描いたのがこのデビュー作である。人間らしさとは何かと生涯問いつづけた作家の出発にふさわしいルポルタージュ文学の傑作。

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 海外小説
  • 出版社
    :
    岩波書店
  • 掲載誌・レーベル
    :
    岩波文庫
  • タイトル
    :
    パリ・ロンドン放浪記
  • タイトルID
    :
    532569
  • ページ数
    :
    294ページ
  • 電子版発売日
    :
    2018年07月19日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    2MB

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パリ・ロンドン放浪記 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    「1984」で有名なジョージオーウェルによる、底辺生活の体験ルポである。彼自身はアッパークラスの出身で超名門イートン校を出ているエリートである。どういうわけか、パリとロンドンで、その日暮らしの肉体労働に就き、周りの様子などを克明につづっている。一部フェイクになっているようだが、当時の労働者の暮らしぶりを描く貴重な本らしい。
    パリではホテルの厨房で皿洗いをした。地下の蒸し暑いところでの過酷な労働、パリの道や厨房の不衛生さが生々しい。なけなしの賃金は煙草を買うかパンを買うかの選択のようだ。ロンドンでフリーランスライターの仕事を見つけ移るが、そこでも浮浪者用宿泊施設を毎晩転々とする(1泊しか泊まれない)。なかなか強烈な体験だが、表現の端々にそこはかとなく気品がにじみ出てしまっている。
    とても面白かった。

    0
    2026年09月09日

    Posted by ブクログ

    オーウェルはパリとロンドンで自ら進んで窮困生活を送った。その時の様子を彼らしい文章で描く傑作。誰のせいで人々は貧困から抜け出せないのか。彼が後に書く有名な小説のベースは間違いなくここでの貧困生活。

    Down and Out in Paris and London
    George Orwell, 1933

    0
    2025年10月24日

    Posted by ブクログ

    オトラジシリーズ。
    市井の人々の鮮やかな描写に驚くばかり。
    一九八四年に通ずる体制批判も垣間見えた。
    人の本質を突いた魅力的な一冊。

    0
    2025年09月13日

    Posted by ブクログ

    パリとロンドンでの極貧生活を綴った作品。
    勝手にもう少し社会批判的な内容を想像していたが、作者が作中でいうとおり単に「旅日記」としても面白く読めた。

    0
    2025年03月27日

    Posted by ブクログ

    前半のパリでは、高級ホテル、高級レストランで働いていた筆者がその裏側のとんでもないカオスぶりを面白おかしく描き出す。人物描写が巧みで、活気にあふれた破茶滅茶な喧騒があたかも目の前で起きているかのような臨場感。どんちゃん騒ぎのパリ、ちょっとみてみたい。
    後半のロンドンは、浮浪者に身を窶した筆者の、まさしく放浪記である。魅力ある浮浪者仲間の生き様はときに明るく読める瞬間もあるが、根本的にはイギリスの制度上の問題や大衆の意識について、鋭い疑問を投げかけている。

    ブレイディみかこ氏の「労働者階級の反乱-地べたからみた英国EU離脱-」でも似たようなことが述べられていた点は非常に面白い。
    本書は約100年も昔に書かれたものにも関わらず、Brexitを引き起こしたイギリスの問題の本質について警鐘を鳴らしていたのである。
    (というか100年あっても人間の性質なんてほとんど変わらないのだとも言える)

    大衆、いわゆる一般市民と自負する人々の視点からは、”彼ら”(=浮浪者、失業者たち)は労働意欲がなく、酒ばかり飲んで、ときには暴力を振るう危険で野蛮な奴ら、というレッテルを貼って別人種だとみなされる風潮がある。自分も一歩踏み外せば失業して同じような生活になる可能性があるにも関わらず、意識の上では社会階層が完全に分断されているようだ。
    オーウェルが指摘したこの分断意識の問題は、100年後のBrexitの国民投票において、”見捨てられた人々の反逆”として形に現れた。

    イギリスだけじゃなく日本、というか世界中で分断が進む現代においては絶対読んでおくべき本。社会の一員として、この問題を”自分ごと”だと意識するための重要な視座を与えてくれる。

    0
    2023年11月05日

    Posted by ブクログ

    前半はパリの貧窮生活、後半はロンドンの浮浪者生活を描くルポルタージュ。

    パリのホテルの裏方現場の様子が、具体的かつとてもイキイキしていて、目に浮かぶようだ。
    ロンドン生活の描写はもっとあっさりしているが、罵言の変遷や施しを受ける浮浪者の心理など、オーウェルの着目点は今読んでも新鮮で魅力的だ。
    翻訳もとても読みやすい。

    0
    2023年11月02日

    Posted by ブクログ

    『屋根裏部屋の一つには、仮装舞踏会で履くようなアメリカ向けのけばけばしい靴を作っている、ブルガリア人の学生がいた。この学生は六時から十二時までベッドの上にすわりこんで十二足の靴をつくり、三十五フラン稼いだ。そして、あとの時間はソルボンヌの講義に出るのだった』

    ジョージ・オーウェルといえば「1984」で、全体主義を揶揄するディストピア小説ということになるのだろうけれど、近未来として描かれたその年は既に過去の時となり、危惧されていた第三次世界大戦も起こらず、現実の世の中はオーウェルが極端に描いて見せた世界とは異なっている。しかしそこに描かれた人々の暮らしは、実のところ絵空事ではなく、少しだけ見方を変えれば直ぐにでも現実味を帯びて迫ってくるもの。それどころか、1930年代に紀行文として書かれたこの「パリ・ロンドン放浪記」で炙り出された貧困層の生活からは、世間という大きな機構の中にがんじがらめに絡め捕られてマトリックスの中で生きるしかない仕組みが透けて見えて来る。

    興味深いのは労働党の、煎じ詰めれば社会主義の、支持者であったオーウェルが、そのイデオロギーが容易に行きつく先であろう全体主義を否定していること。オーウェルがどのような社会主義の善良なる世界を夢想していたかは理解していないけれど、本書の中で吐露される社会観は、既存の社会制度の歪を凶弾しより良い仕組みがあるのではないかと問い掛けているように読める(例えば、何故イギリスでは放浪者が放浪し続けなければならないのかを問うくだり、など)。ただし、本書はそのような提言が主題ではなく、優れたルポルタージュ文学作品として認識されているようだ。

    確かに、公務員の職を辞して執筆活動に専念するため自ら不自由な暮らしに飛び込んでいったとは言え、行き着いた貧困の境遇について自己憐憫の泣き言を書き連ねることはない。むしろ貧乏生活を分かち合う人々との交流を楽しんでいるような(特にパリ編は、まるでほら吹き男爵の冒険譚のような)雰囲気すら感じさせる文章は読んでいて楽しい。もちろん、きらびやかな表舞台の裏側で人々が目を逸らしたくなるようなおぞましい、だがそこで生きる人々にとっては当たり前過ぎる現実の世界が存在することもきっちり描いていて、その意味では後年「1984」のような社会の歪をディストピアとして描き出すような作家の視点は既にあったのだとも言えるのかも知れない。

    パリの市井にどっぷりと浸かって生活していたとはいえ、やはりフランスがどこまでも異国であったのとは異なり、イギリスへ戻ってからの放浪生活の描写には社会的な矛盾に対する憤りのようなニュアンスが所々で顔を出す。野に在ってもジェントルマンとして社会的責任を感じるよう育ったパブリックスクール出身者の矜持のようなものが疼くのだろうか。翻訳者はその部分は「無くもがな」とするけれど、むしろその部分が肝心なようにも思うのだが。

    『物乞いの暮らしと、世間的に体裁のいい生活を送っている無数の人びとのそれとのあいだには、何ら「本質的な」相違などありはしない。物乞いは働かないと言っても、では、「働く」とはどういうことなのか? 土工はつるはしを振るって働く。会計士は計算をして働く。物乞いは晴雨にかかわらず戸外に立ち、静脈瘤や気管支炎になりながら働いているのだ』

    0
    2021年10月21日

    Posted by ブクログ

    『1984年』、『動物農場』と、政治思想を前面に押し出した作品を書いた著者が、どのような旅の記録をまとめるのかと身構えつつ読んでみたけれど、これは面白い……。
    いえ、面白いと言ってはいけないのかも。
    パリとロンドンでの浮浪者生活を描いたものなのだから。
    パリでは道端で人が死んでも驚かないほど無気力な窮乏生活を送り、皿洗いの仕事を得る。
    食堂の裏側のおぞましいほどに不潔で、ちょっとおかしな話を読み、外食はしたくないと思わせられた。
    英国では仕事が得られず各種の収容所を巡る。
    その実体験を通じて、浮浪者は特別な存在でないと論じる箇所は説得力があった。
    他のルポルタージュも読んでみたい。

    0
    2021年05月09日

    Posted by ブクログ

    あまり期待せずに読み始めたら面白くて止まらなくなった。オーウェルの観察眼と表現力が光る。翻訳も素晴らしい。

    パリ編もロンドン編もおもしろいが、特筆すべきだと感じたのはP232〜234で、オーウェルが自ら経験した窮乏生活から学んだ「物乞いの社会的地位」について述べている部分が感慨深い。

    それに続く、ロンドンのスラングと罵詈雑言について、また「零落した人間」についてなど、終盤にさしかかったところからの記述が深い。

    そして、ここで出てくる『暇つぶしの才覚』という表現がタイムリーだった。この本を読んだのがちょうどコロナ騒ぎの真っ只中で、自粛生活がつらい、暇でしょうがない、などという世間の話題をよく聞いたが、そういう人々は本書でいうところの『暇つぶしの才覚もないまま』大人になってしまったのだろう…などと思ったり。
    それに比して、巣ごもりを満喫できる我々読書好きは『暇つぶしの才覚』があるということかしら。。



    0
    2022年03月16日

    Posted by ブクログ

    この本を普段の生活では味わえない価値観というエンターテインメントとして捉えたくはないと思った。

    現在日本も人手不足だけど、法律や福祉を正せば輝ける人材もあるのではないかと思う。

    ホテルに対する記述が、私が思っていたけど言葉にできなかったもやもやを晴らしてくれた。
    「高級といわれているものの実質は、要するに従業員が余分に働き、客は余分な金を払うというだけのことなのである。」
    この文章が言いたかったことを表してくれた。
    こういった商売で経済が回っているのは事実だけど、本来必要な所に金が行き届いていない原因でもあるのではないか。

    0
    2020年03月20日

パリ・ロンドン放浪記 の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 海外小説
  • 出版社
    :
    岩波書店
  • 掲載誌・レーベル
    :
    岩波文庫
  • タイトル
    :
    パリ・ロンドン放浪記
  • タイトルID
    :
    532569
  • ページ数
    :
    294ページ
  • 電子版発売日
    :
    2018年07月19日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    2MB

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