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Posted by ブクログ
並木響子は、藤森産業の社長の御曹司である藤森祐介を殺害した。容姿を変え、名前を変えて藤森産業の清掃員として働き、約三年間ずっとこの機会を待っていた。娘の可菜を自殺に追いやった藤森にとうとう復讐を遂げた響子は、その場に呆然と立ち尽くしていた。もう捕まってもいいし、死刑になっても構わないと思っていた。可菜のいないこの世界で生き続けることに、なんの意味も未練もないから。そこに突然道田ユミという若い女が現れ、響子の手を引いて何故か逃亡の手助けをしてくれた。ユミもまた藤森を殺すつもりだったのだ。どうして響子を助けるようなことをしてしまったのか、ユミ自身にもその理由は分からない。この場を離れ、響子を人目につかないところまで連れて行き、そこで別れるつもりだった。ユミは明日、横浜を出発するコンテナ船に密航して、フィリピン経由でスペインに行く予定だった。あるところから奪った三千万という大金とともに。
でも実際、事はそんなにスムーズには進まなかった。次々とトラブルが続く。そんな中で、年齢も性格も育った環境も全く違う二人は、自覚もないままに、いつしか見えない絆で結ばれていった。
二人の女性が抱える哀しい過去は、それぞれが受け止めてくれるべき人に語られ、読み手はそこで真実を知る。同じ女性として耐えられない経験だ。辛い。
ジェンダーレスだなんだというが、やはり女であるということはある意味弱い。どうしようもない弱さは仕方がない。それが辛い。
心に残った印象的な書き方がある。
ー病院の待合室で、妊婦とその付き添いの女性の屈託のない笑い声を憎みそうになった。
ーかつて自分が勤めていた会社の電話番号を、15年経ってもまだ覚えている自分に傷つきそうになった。
ー70代半ばの仲の良い夫婦が交わす笑顔に、労り合う愛を感じて傷つきそうになる自分を哀れに思った。
響子はいつもそうなりそうになっただけで、そうならない。なれなかったのか。
最後はどうしようも悲しくて、やりきれないほど切なくて、思わず涙がこぼれた。
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