椿の海の記

椿の海の記

935円 (税込)

4pt

『苦海浄土』の著者の最高傑作。精神を病んだ盲目の祖母に寄り添い、ふるさと水俣の美しい自然と心よき人々に囲まれた幼時の記憶。「水銀漬」となり「生き埋め」にされた壮大な魂の世界がいま蘇る。

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椿の海の記 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    うつくしい文章は、物語る何かを理解できずとも酔うように読んでしまう驚き。
    鮮やかで艶やかでとろんととろみを増して喉を潤す。
    みっちんのかみさまに与えられたような幼少期に織り成されたおもかさまを中心にした、父や祖父、おもかさまの姉妹たち、末広の女さまたち、近所の豆腐屋、駄菓子屋の小母さんたちとのやりと

    1
    2025年09月07日

    Posted by ブクログ

    美しい水俣の自然、人間模様、村の様子を、4歳のみっちん目線で描かれた、おはなし。
    この時代のことも、この土地のことも、ここの言語のことも知らないけれど、その情景が目に浮かぶような、描写だった。

    0
    2023年02月23日

    Posted by ブクログ

    水俣病の歴史を知っている。しかし、その時代の前後した熊本に生きる人々の生き生きとした生活を4歳から5歳であろうみっちゃんの目からみたままを描写する。
     その後に起こる水俣の悲しい歴史を想像して、豊かな自然に暮らす人々が公害により自然と奪われ変わっていく様と相まって、えも言われない気持ちになる。決して

    0
    2022年07月14日

    Posted by ブクログ

    本を開いて一行目でもう、匂いや風まで感じられるように浮かぶ、行ったことも見たこともない昭和初期、熊本県水俣の、部落の生々しい風景。

    4歳から5歳くらいの頃の著者の「目」を通した世界を、大人になった著者が書いているのだが、あとがきで池澤夏樹氏が言うように、エッセイや回想録というにはあまりにも深淵な世

    0
    2022年05月16日

    Posted by ブクログ

    著者が過ごした不知火の思い出語り。
    祖父松太郎は天領天草出身を誇りとしている。土方仕事を「仕事は人を絞ってやるんじゃない、信用でやるんだ」と、天候による損失もすべて自分の山や土地を売って補填してきた。だから家はどんどん身代を崩していった。
    その本妻である祖母のおもかさまは魂が漂浪(され)き、盲の神経

    0
    2018年05月23日

    Posted by ブクログ

    時代も場所も異なっているのに、何故だかふたりの祖母と過ごした時間を想い出させてくれる。私も沢山語ってもらっていたんだな、と思う。

    0
    2015年08月06日

    Posted by ブクログ

    朝日新聞の熊本紀行で紹介された本である。チッソ水俣工場の行員が働いている姿が時々に描かれているが、多くはこどもが主人公(本人であるかは明確にされていない)の
    水俣の田舎での生活暮らしを描いたものである。

    0
    2024年03月26日

    Posted by ブクログ

    エッセイのようでいて異なる。自叙伝というのともまた違う。四歳のみっちんの視点で語られる水俣の記憶。石道楽の祖父、神経を患っている祖母、気のちっさい父とは裏腹に働きものの母。背負子から除いた山々の風景。物質の豊かさと精神の豊かさは別物で、貧しいながらもくるくると働き、四季折々のご馳走や仕込みをした世界

    0
    2023年02月23日

    Posted by ブクログ

    失われた時を求めて、遥かな鎮魂の詩である。水俣病前の風土というもの。生活というもの。自然といったいの、アミニズムの世界。
    子供もまた客人として、自伝的に楽園を描く。やがて来る破壊と悲劇の前の神話の世界。このころ、家々の暮らしの中身が、大自然の摂理とともにある。
    中上健次のあとに読むと、中上健次は土と

    0
    2022年12月31日

    Posted by ブクログ

    水俣という土地に宿る魂を呼び覚ますように、書き尽くしたような作品。
    そこに行ってみたいななどという軽い感想は受付ない。もうそこに降り立ったように、読者を誘う。

    0
    2024年07月19日

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