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Posted by ブクログ
いろんな業界を取り上げて小説を書く楡周平さんが、流通業界を舞台に描いた作品。モデルはダイエーの故・中内功会長と言われている。
小説の主人公である塙太吉は、戦後の神戸の闇市で薬屋を営み、スーパー『誠実屋』を開業、飛躍的に急成長した店は全国展開をしていく…このストーリーはまさにダイエーそのものだ。
実際の小説の展開にも、いくつかダイエーで語り継がれている逸話と同じような話が描かれる。
・安売を続けるために、メーカーがつけた商品の製造番号を削り取る話。
・出店した地域の地元商店街との軋轢を生む話。
・◯円以上買う客に映画のタダ券をあげるという商法。
・新婚旅行を仕事のために早めに勝手に切り上げたこと。
・牛肉を安く売るために牧場までつくること。
・後継者に悩み、だんだんと商売に翳りが出てくること。
これらに加え、小説の塙会長はもっとドラマチックに、殺人事件の疑いをかけられたり、婚外子と対決したり…結局は脳内出血で倒れ、85歳で帰らぬ人となる。(中内会長は83歳で逝去)『砂の王宮』というタイトルがそもそも…
Posted by ブクログ
ダイエー創業者の中内氏のストーリーをかなり加工して、
フィクションにした小説。
安定の楡さん。
正直、主人公に共感は出来ないし、好きになれないけれど、やはり面白いです。
戦後の混乱期から主人公が顧客ニーズに目を付け、
スーパーマーケットを日本に浸透させていく様は流石としか言えません。
そんなビジネス視点に痴漢冤罪という小ネタをはさんでくるところが楡さんの面白いところ。
痴漢冤罪なんてテーマ、基本的には興味がないので、
こういったところで小説に盛り込んでくれることで、
自分の幅も広がって、有難い限りです。
ちょっと残念だったのが、話の落ちが何となく読めてしまったところ。
某登場人物がいきなり出てきた時点で、
「あ~、この人は〇〇の〇〇なんだろうなぁ、きっと」
という予想が容易についてしまい、
何となくの小説の終わりが予想できてしまったことでしょうか。
ま、楡小説の楽しさ・面白さが損なわれることはありませんがね。
個人的にしんみりしてしまったのが、
この創設の主人公は架空の人物とは言え、
偉大な成功者が女性関係で失敗し、後々の事業に響いてしまうこと。
松下幸之助しかり、ネルソン・マンデラしかり。
オトコって…どうしようもない生き物なんですかねぇ。。
Posted by ブクログ
戦艦大和の生き残りの主人公は戦後の闇市で薬を売って財を成す。特攻の生き残りである相棒と出会い、彼の戦略に乗って安売りの薬屋を開店し、さらに大儲けする。その後、当時は新しい業態であったスーパー経営に乗り出し西日本を制覇、東京へ進出する。スーパーからさらに大掛かりなショッピングセンター構想を掲げ計画通りに進んでいたが、土地を世話してくれた人が乗っ取り屋だったり相棒の裏切りに合ったり絶体絶命のピンチに立たされるが、ツキもあって切り抜ける。
そして主人公の最晩年、悲願の大型ショッピングモール完成を目前に様々な私的な難題が降りかかる。
戦後から近年まで、スーパー経営を生きがいとして駆け抜けた男の半生の物語。
なんとなくダイエーの中内さんを彷彿とさせる話。
一代で大きな企業を作り上げた創業者、人が考えないことをやってのけ、消費者のためという信念を曲げず、時には出店地域との軋轢もありながら巨大化を推し進める。時代に合った戦略をとる柔軟性もある経営者の話。
でも最後はとてもさびしい。
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