作品一覧

  • リャマサーレス短篇集
    3.0
    1巻3,190円 (税込)
    何カ月も、何年も過ぎていったが、明日という日はやってこなかった――。スペイン語圏文学の名作『黄色い雨』の著者による集大成となる自選短篇集。 都市で、田舎で、辺境で、刻一刻と奪われ、それでも生きて、滅びてゆく人々の詩情―― 世界の片隅への愛と共感が魂を震わせる珠玉の21篇。
  • 黄色い雨
    4.4
    1巻968円 (税込)
    比類なき崩壊の詩情、奇蹟の幻想譚。スペイン山奥の廃村で朽ちゆく男を描く、圧倒的死の予感に満ちた表題作に加え、傑作短篇「遮断機のない踏切」「不滅の小説」の二篇を収録。

ユーザーレビュー

  • 黄色い雨

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    たったひとりで、過疎化した村の終わりを見届けた男の話だった。孤独に死に向き合う語りが胸を打つ。
    主人公は死ぬまでの果てしなく思える年月を過ごしたあと、死んでからの真に果てしない時をも過ごしている。荒廃した村に流れる時間が、まるで止まっているような錯覚を引き起こし、不思議な体験ができた。
    主人公の生まれ育った土地であるし、戦争から息子が帰ってくる、娘の墓があると思えば移住が選択肢に入ってこないのもやむを得ない。生活があったかつての村の姿を知るだけに孤独感は増すと想像できる。サビーナの自死、雌犬の最期は特に深い悲しみが襲ってきた。
    現在と過去と未来のすべてが主人公の記憶の中で一体となり、最後はただ

    0
    2025年10月30日
  • 黄色い雨

    Posted by ブクログ

    ①文体★★★★★
    ②読後余韻★★★★★

     こちらは廃墟、廃村が主な舞台となっている小説で、一人の男の死を村の消滅にかさねて描かれています。
     語り手はその男による死者の視点。これが不思議な設定で、彼の回想や死に行く過程が語られています。その孤独のなかで生と死の境界が淡くなり、昼と夜の境が無くなっていくのが読んでいて感じます。季節の移り変わりとともに朽ち果てていく家や村、はなれていく人、死に行く人。ポプラの枯葉とともに降りしきる黄色い雨。深い沈黙の中に消えていく記憶。
     この何とも退廃的な状況を詩人である著者の透明感溢れる文章で綴られているのがとても印象的でした。そこには死が漂っているのにもか

    0
    2022年10月29日
  • 黄色い雨

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ・文体の美しさ。
    ・簡素な舞台と、奥深さ。
    ・不吉さ。
    ・幽霊。
    ・雌犬の存在。
    ・悲しくも優しいまなざし。
    ・異文化。
    出会えてよかった本。



    以上は、2012年、ヴィレッジブックス単行本初読時の、きれぎれの感想。
    以下は、10年経って2022年5月、河出文庫で再読しての感想。
    文庫版では短編をふたつ(「遮断機のない踏切」「不滅の小説」)収録。

    まずは、初読後10年、本書を思い出すたびに脳裏に描かれていた、カバーイラストの美しさについて。
    ニコラ・ド・スタール(露: Сталь, Никола де、仏: Nicolas de Staël、1914年1月5日 - 1955年3月16日

    0
    2022年05月23日
  • 黄色い雨

    Posted by ブクログ

    寂れゆく村に一人取り残される老人。
    圧倒的な孤独と寂寥感が漂う、散文詩のような幻想譚。
    木村榮一の訳が素晴らしく、硬質で乾いた文章と絵画的な世界観に魅了された。

    0
    2021年08月09日
  • 黄色い雨

    Posted by ブクログ

    「遮断機のない踏切」「不滅の小説」のスバイス加味もあり、すぐ読める厚さながら、受けた衝撃はただならぬ初体験。

    男は生きてるか否か 定かでない。
    降りしきる黄色い雨がその境を作るわけでもない。

    境界はどうでもよくなり、存在を証明する物質の手触り、重量、臭い、色すら感覚としての埒外。

    ポフラの木は死の象徴とされるスペイン~そこからくる黄色。

    繰り返し、読み、自分の生きていることを確認させてくれるような気になった。

    マルケスの「百年の孤独」に似た空気感。中南米の作品はあまり読んで来なかっただけに、もっと読みたくなった。

    0
    2020年09月11日

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