黄色い雨

黄色い雨

比類なき崩壊の詩情、奇蹟の幻想譚。スペイン山奥の廃村で朽ちゆく男を描く、圧倒的死の予感に満ちた表題作に加え、傑作短篇「遮断機のない踏切」「不滅の小説」の二篇を収録。

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    ①文体★★★★★
    ②読後余韻★★★★★

     こちらは廃墟、廃村が主な舞台となっている小説で、一人の男の死を村の消滅にかさねて描かれています。
     語り手はその男による死者の視点。これが不思議な設定で、彼の回想や死に行く過程が語られています。その孤独のなかで生と死の境界が淡くなり、昼と夜の境が無くなって

    0
    2022年10月29日

    Posted by ブクログ

    寂れゆく村に一人取り残される老人。
    圧倒的な孤独と寂寥感が漂う、散文詩のような幻想譚。
    木村榮一の訳が素晴らしく、硬質で乾いた文章と絵画的な世界観に魅了された。

    0
    2021年08月09日

    Posted by ブクログ

    「遮断機のない踏切」「不滅の小説」のスバイス加味もあり、すぐ読める厚さながら、受けた衝撃はただならぬ初体験。

    男は生きてるか否か 定かでない。
    降りしきる黄色い雨がその境を作るわけでもない。

    境界はどうでもよくなり、存在を証明する物質の手触り、重量、臭い、色すら感覚としての埒外。

    ポフラの木は

    0
    2020年09月11日

    Posted by ブクログ

    すとん、と、心が落ちていきます。
    周囲にひたひたと、孤独が満ちていきます。
    黒い闇のようで、でもそれは黄色い雨です。
    スペインの山奥の棄てられつつある村で、最後の男はどこから、この世のものでは無くなったのかわかりません。
    自分の最期も、こんな風にひとりで、じわじわと彼方側との境がわからなくなるのかな

    0
    2020年05月12日

    Posted by ブクログ

    何と美しい退廃であろうか、と、読後に本を閉じたまま、暫し呆然としてしまった。

    まるで叙情詩のような手触りだったと思う。文章の流麗さということがまず一つ、その要因として挙げられるだろう。
    それから、語り手が自らの心象風景を一人称で独白する文体である、ということも効果的だと感じた。読み返して気付いたの

    0
    2017年06月04日

    Posted by ブクログ

    花ちゃんに出会ったばかりの頃におすすめして貰った本を、六年越しに見つけた。snowdropに売っていた。時間はかかるけれど、僕は忘れない。

    黄色のことを真剣に考えたことがなかったと気付かされた。見過ごしてきた。この作品では、死に近しいものとして描かれている。そこに付随する懐かしさや風化してゆくさま

    0
    2024年08月12日

    Posted by ブクログ

    朽ちていく村に一人残った男。彼が生きているのか死んでいるのか、境目が曖昧に溶けていく。音もなく降る雪のような感触の文章にいつの間にか引き込まれていった。

    0
    2021年06月25日

    Posted by ブクログ

    百年の孤独の舞台マコンドを想起させられる。
    嵐のように畳み掛けるが如く滅び去るマコンドではなく、
    じりじりと時間を費やして滅ぶマコンド。

    時間を費やすというとうよりも
    無時間、時間感覚の不確かさ。
    男は、いつ死んだのか定かではない。
    生と死の境もあやふやであり、
    たしかなことは村が滅びること、家も

    0
    2019年08月17日

    Posted by ブクログ

    感想
    死と触れ合う。恐怖もなくただ親しみだけが残る。朽ちていく自然の中に回帰する。その諦念は昔手放したもの。やっと戻ってきた。

    0
    2023年06月10日

    Posted by ブクログ

    物の流れに逆らわず、静かに朽ちていくことが、安寧であることを教えてくれる。
    どこか、QOLを受け入れることに近いように思う。

    0
    2017年10月06日

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