Posted by ブクログ 2022年09月15日
大好きな作家さんの佐藤さん、今回は、ドイツ第三帝国下のスウィングボーイズの物語。
佐藤亜紀さんは、不幸な事件のせいもあって、あまり話題にはされてませんが、実は好きな人がメチャ多い作家さんです。最近だと黄金列車もすごく良かった。
ナチスに頽廃音楽とレッテルされた音楽や美術作品は多々あるなか、ドイツに浸...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年05月24日
戦時下の青春小説。
日に日に締め付けが厳しくなっていく戦時下、敵性音楽であるジャズをどうにかして聴き続けること。この話を貫いているものは反戦の精神でもなく戦争がもたらす教訓的なものでもなく、ジャズという名の人間性ではないかと思う。
主人公エディがつるんだり巻き込んだり丸め込んだりする人達は、ユダ...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年06月10日
「西暦二○○○年の人間はまた別な風に弾くだろう、って先生は言ってる。今みたいな音楽を普通に聴くようになった人たちには、ベートーヴェンはまた別のものに聴こえるだろう、先生が聴き始めてからでもずいぶんと変わったって。それはいいことでも悪いことでもある、って。得るものと失うものがあるから」
2017年に...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年02月11日
この本は実在したスウィング・ボーイズの話です。私はスウィング・ボーイズなる存在を知りませんでした。ナチス体制のハンブルグで、ジャズによって規制に抗った少年たち。ナチスに抵抗した若者というと私は白バラしか知りません。スウィング・ボーイズもエーデルヴァイス海賊団も知りませんでした。だから小説としての面白...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年07月26日
イカした小説だった。ナチスが幅を利かしていた時代のハンブルクを舞台に、ジャズにかぶれた連中(スウィング・ボーイズ)がしたたかにしなやかに生き抜いていく物語。
レジスタンスのように真っ向から抗うのも尊いけど、この小説のスウィング・ボーイズのように軟派を装ってカッコつけ、相手にしないようでいて器用に裏を...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年06月03日
ナチス政権下ドイツの、新たな局面を見せてくれる快作。大戦に突入する中、あくまで自分たちのやりたいことを貫いた青少年。戦時には避けられない不条理や死の描写も出ては来るけど、抑制の効いた筆致の妙もあり、いかにも”戦争もの”というところからは、一線を画す仕上がりになっている。終戦とともに迎える本作のクライ...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年08月16日
西欧社会を舞台として純文学と大衆文学の間を自在に往来する独自の小説世界で知られる著者が、ナチス政権下のドイツで、政権への反発心から禁止されたスウィングジャズに耽溺した少年たちの姿を描いた一冊。
特に明確な政治思想があるわけではない。だが、ヒトラーユーゲントに代表されるようなナチスの姿は余りにも”ダ...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年08月11日
佐藤亜紀さんの作品は10年前に読んだ『ミノタウロス』以来だと思います。相変わらずひとつひとつの文章の密度が驚くほど高くて、相当な力作かつ労作であることは疑いないのですが、自分の場合はあまり物語に入っていくことができませんでした。
それは一にも二にも登場人物の問題で、現代の「反戦平和」に何となく染まっ...続きを読む