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竜の医師団
この世は竜の創りしもの。竜のあるところに豊穣あり。だが竜が病む時、彼らは破壊をもたらす。〈竜ノ医師団〉とは竜の病を退ける者。極北の国カランバス。虐げられし民ヤポネ人の少年リョウは、憲兵から逃れ必死で飛空船の発着場を目指していた。〈竜ノ医師団〉は治外法権、飛空船で辿り着き入団できれば、ヤポネ人でも道が開ける。発着場に向かう途中リョウは、上流階級のお坊ちゃんレオニートに出会う。彼も医師団に入団したいというのだ。二人は協力して船に乗りこむが……。『水使いの森』で第4回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞の著者が贈る、竜の医師を目指す少年たちの物語。/【目次】プロローグ/カルテ1 咽喉(のど)の痛みと、竜の爆炎/カルテ2 全身の痒(かゆ)みと、竜の爪/カルテ3 もの忘れ、ふらつき、そして竜巻(たつまき)/解説=小出和代 -
余命一週間の探偵として
ハロウィーンの晩。27歳のジェットは、何者かに殴打されて意識不明となってしまう。緊急手術を行い2日後に目覚めたものの、医師によると、彼女の脳内には確実に動脈瘤が形成されると考えられ、いずれ破裂して死に至るという。手術はほぼ不可能。余命1週間を宣告されたジェットは死ぬまでに自分を襲った犯人を見つけると誓い、幼なじみのビリーと調査を始める。だが、容疑者は身近な人物ばかりで……。究極のタイムリミットに挑む探偵役が、必死で謎を解き明かしていく。『自由研究には向かない殺人』の著者が放つ、圧巻の犯人当てミステリ!/解説=上條ひろみ -
〈金庫破りときどきスパイ〉シリーズ
第二次世界大戦下のロンドン。金庫破りのエリーは、ラムゼイ少佐とともにドイツのスパイ活動を妨害する任務についてきた。だが亡き父の恐るべき秘密を知ってしまい、ショックから立ち直れずにいた。そんなある日、エリーは新聞に載っていた強盗事件の記事に違和感を覚え、ラムゼイ少佐を訪ねる。どうやら裏にもっと大きな陰謀があるらしいとわかり、ふたりはタッグを組んで調査にあたることに。しかし聞き込みの最中に、ホテルの一室で女性の遺体を発見して……。凄腕の金庫破りと堅物の青年少佐の謎解きを描く人気シリーズ、急展開の第4弾!/解説=大津波悦子 -
屍人荘の殺人
【ミステリランキング驚異の4冠! シリーズ累計50万部!!】《映画原作 2019年12月13日(金)全国東宝系にて公開 監督:木村ひさし 脚本:蒔田光治 出演:神木隆之介 浜辺美波 中村倫也ほか》神紅大学ミステリ愛好会会長であり『名探偵』の明智恭介とその助手、葉村譲は、同じ大学に通う探偵少女、剣崎比留子とともに曰くつきの映画研究部の夏合宿に参加することに。合宿初日の夜、彼らは想像だにしなかった事態に遭遇し、宿泊先の紫湛荘に立て籠りを余儀なくされる。全員が死ぬか生きるかの極限状況のもと、映研の一人が密室で惨殺死体となって発見されるが、それは連続殺人の幕開けに過ぎなかった。――たった一時間半で世界は一変した。究極の絶望の淵で、探偵たちは生き残り謎を解き明かせるのか?! 予測不可能な奇想と破格の謎解きが見事に融合する、第27回鮎川哲也賞受賞作。/解説=有栖川有栖 -
ロンドン、ドッグパーク探偵団
ルイーズは愛犬のミニチュア・ダックスフンドのクラウスを連れて友人といつもの公園を散歩中、よりによって人間の死体を見つけてしまう。すぐに警察に通報して事態は彼女の手を離れた……はずだった。ところが死んでいた男性は、かつての犬の散歩仲間で、彼の犬が亡くなってからは疎遠になってしまっていた人物と判明。良心のとがめも手伝って、ルイーズはドッグランの仲間と一緒に彼の死の真相を探りはじめるが……。犬飼いあるある満載。イースト・ロンドンを舞台に、愛すべき犬たちとその飼い主が大活躍のコージーミステリ・シリーズ開幕。 -
卯月の雪のレター・レター
読書好きだが八歳年上の姉へのコンプレックスを抱える、おとなしい高校生・小袖。母方の祖母の七回忌で、祖父のもとを訪ねた際に、今春から同じ高校に通うことになる従妹から奇妙な質問をされる。「死んだ人から、手紙って来ると思う?」祖父宛に最近届いたという手紙は不可解な内容だったが、亡くなった祖母が昔に書いたもののようだ。それがなぜ今頃になって? 誰かの悪戯なの? 思い悩んだ小袖は、その手紙の謎をある人物に話すことに……。美しい情景描写が魅力の表題作をはじめ、揺れ動く少女たちの心理を巧みに描いた五編を収録する短編集。/【目次】小生意気リゲット/こそどろストレイ/チョコレートに、躍る指/狼少女の帰還/卯月の雪のレター・レター/解説=紅玉いづき/*本電子書籍は『卯月の雪のレター・レター』(創元推理文庫 新装版 2026年9月30日初版発行)を底本としています。 -
倫敦スコーンの謎
「なあ常悟朗。お前に頼んでいいことなのかどうかわからないんだが……小佐内を紹介してくれないか?」堂島健吾曰く、かつて絵の謎を解いた(ことになっている)小佐内さんに、もう一度知恵を借りたいのだという。──美術家の縞大我が、サンフランシスコ・ビエンナーレの黒熊賞を受賞した。健吾は地元のテレビ局に頼まれ学内を捜索、彼の在校時代の作品を発見するが、その作品は模写でありながら展覧会に出品された事実も掘り起こしてしまったのだ。果たしてこの作品は盗作か否か? 小市民を目指す小鳩君と小佐内さんの謎解きの日々。大人気シリーズ、待望の第二作品集。四編を収録。/【目次】桑港クッキーの謎/羅馬ジェラートの謎/倫敦スコーンの謎/維納ザッハトルテの謎 -
あの魔女を殺せ
グロテスクな生(いき)人形の作り手として、賛辞を集める常世三姉妹。彼女たちの人形にはまるで人の魂が宿っているかのような迫力があり、世界中の好事家を魅了していたが、一方でその人形作りについて黒い噂が囁かれていた。三姉妹の新作発表の場に立ち会うことになったフリーライター・麻生真哉は、六歳の娘とともに群馬の山中にある彼女たちの拠点である館に向かう。ところが新作発表会の夜、三姉妹の長女が殺害される。現場はほぼ密室。館も孤立状態となり、残された姉妹は、館中を捜索し始めるが――。ある魔術を受け継ぐ一族を巡る驚愕の事件を巧みに描いた、鮎川哲也賞作家の意欲作。 -
トリカゴ
蒲田署刑事課強行犯捜査係の森垣里穂子は、殺人未遂事件の捜査中に無戸籍者が隠れ住むコミュニティ“ユートピア”を発見する。容疑者のハナはコミュニティのリーダーであるリョウの妹だった。捜査によって彼らが唯一安心して暮らせる場所を壊してしまうのではないか──里穂子は苦悩しながら調べを進めるうち、かつて日本中を震撼させた未解決の“鳥籠事件”との共通点に気づく。特命捜査対策室で同事件を担当する専従捜査員・羽山圭司とともに執念の捜査の果てに辿りついた衝撃の真実とは。社会問題への真摯なまなざしとミステリの企みが見事に融合した、第24回大藪春彦賞受賞作。/解説=千街晶之 -
女王国の城
舞台は、めざましい成長を遂げる宗教団体〈人類協会〉の聖地、神倉。大学に姿を見せない部長を案じて、推理小説研究会の後輩アリスは江神二郎の下宿を訪れる。室内には神倉へ向かったと思しき痕跡。とかく噂の神倉へ、何故? 様子を見に行こうと考えたアリスにマリアが、そして就職活動中の望月、織田も同調、4人はレンタカーを駆って木曾路をひた走る。紆余曲折を経て〈城〉と呼ばれる総本部で江神の安否は確認できたものの、思いがけず殺人事件に直面。外界との接触を阻まれ囚われの身となった一行は決死の脱出と真相究明を試みるが、その間にも事件は続発し……。第8回本格ミステリ大賞に輝いた、江神シリーズ第4作。 -
魔法の国のベイキング大会
両親を早くに失い、市場で手作りの菓子を売って生計をたてているアルレタのもとに、エルフ主催のベイキング大会の招待状が届く。親代わりのオークが内緒で申し込んでいたのだ。“魔法なきところに敬意なし(ノー・マジック、ノー・リスペクト)”があたりまえの世界で自分など参加できるわけがないとしりごみするアルレタだったが、招待状を届けてくれたエルフの(なぜか)熱心な説得もあって出場を決意する。だが、魔法が使えない彼女にあるのは、亡き母から受け継いだレシピと腕、これまで培ってきた経験のみ。ベイキング大会を舞台にした、スイーツと友情のコージーファンタジイ。 -
黄昏の銃声
猟区管理官ジョー・ピケットは、ガイドがグリズリーに襲われた山中へ向かっていた。しかし現場到着の前に、すぐ戻れという連絡が入る。ヒューイット判事が自宅で何者かに狙撃されたのだ。だが弾は妻のスーに当たり、彼女は瀕死の重傷を負ってしまった。判事は自分が有罪を宣告した者の中に犯人がいるはずだと断定し、ジョーを含む法執行官たちに捜査を命じる。ジョーは射撃のプロである盟友、鷹匠のネイトに協力を仰ぐが、ネイト自身と彼の家族にも予想外の窮地が待ち受けていた……。『群狼』に続く、大人気冒険サスペンス・シリーズ!/解説=霜月蒼 -
アリス殺し
栗栖川亜理はここ最近、不思議の国に迷い込んだアリスの夢ばかり見ている。ある日、ハンプティ・ダンプティが墜落死する夢を見た後、亜理が大学に行くと、玉子という綽名の博士研究員が校舎の屋上から転落して死亡していた。グリフォンが生牡蠣を喉に詰まらせて窒息死した夢の後には、牡蠣を食べた教授が急死する。夢の世界の死と現実の死は繁がっているらしい。不思議の国で事件を調べる三月兎と帽子屋によって容疑者に名指しされたアリス。亜理は同じ夢を見ているとわかった同学年の井森とともに冤罪を晴らすため真犯人捜しに奔走するが……邪悪なメルヘンが彩る驚愕の本格ミステリ。/解説=澤村伊智 -
体育館の殺人
風ヶ丘高校の旧体育館で、放送部部長の少年が何者かに刺殺された。放課直後で激しい雨が降り、現場は密室状態だった!?早めに授業が終わり現場体育館にいた唯一の人物、女子卓球部の部長の犯行だと、警察は決めてかかるが……。死体発見現場にいあわせた卓球部員・柚乃は、嫌疑をかけられた部長のために、学内随一の天才と呼ばれている裏染天馬に真相の解明を頼んだ。内緒で校内に暮らしているという、アニメオタクの駄目人間に――。しかしなぜ彼は校内に住んでいるのだろう?“平成のエラリー・クイーン”が単行本版より大幅改稿で読者に挑戦!第22回鮎川哲也賞受賞作。/解説=辻 真先 -
失踪者
イングランド南西部の田舎町に住むエレイン・ドーソンは幼馴染みのロザンナの結婚式に招待され、ジブラルタルに向かって出発したが、霧のためロンドンのヒースロー空港で足止めされ、親切な弁護士の家に一泊したのを最後に失踪する。何があったのか? 五年の時が流れ、雑誌の元記者だったロザンナはこの事件をはじめとする失踪事件について、調べることになる。当時疑われた弁護士は何か知っているのか? 障害のある兄の世話に疲れたエレインは自発的に姿を消したのか? ロザンナは友人の不可解な失踪事件の調査に次第に深入りしていく……。最後にあなたを待つ震えるほどの衝撃。作品すべてがベストセラーとなる、ドイツ一の人気作家による最高傑作! -
秘密
1961年、少女ローレルは母が突然現われた男を刺殺するのを目撃した。男は近隣に出没していた不審者だったため、母の正当防衛は認められた。しかしローレルには警察には話せない秘密があった。男は母に「やあ、ドロシー、久しぶりだね」と言ったのだ。二人は知り合いだった! 50年後、大女優となったローレルは死期の近い母の過去をさぐりはじめる。あの事件の真相は? そして母の本に挟まれていた写真の見知らぬ女性は誰か? 本に残された署名ヴィヴィアンとは? 『忘れられた花園』の著者が新たなる迷宮へと読者を誘う。傑作ミステリ。 -
矢吹駆シリーズ
パリのアパルトマンでルーマニアからの亡命将校の射殺体が発見された。傍らに残されたDRACという血文字。その後、女性が全身の血を抜かれて殺される猟奇殺人が続き、〈吸血鬼(ヴァンピール)〉事件としてパリ市民を震えあがらせる。矢吹駆は事件の犯人が遺体に動物の徴(シーニュ)を残していることに着目する。ミノタウロス島での凄惨な事件のショックから精神的に不安定な日々を送るナディアは、この連続猟奇事件に巻き込まれていく。脱血と動物の徴(シーニュ)は何を意味するのか? 亡命将校射殺事件と〈吸血鬼(ヴァンピール)〉事件の接点は? 矢吹駆の現象学的推理が暴く驚愕の真相とは。/解説=中村大介 -
〈竜泉家の一族〉シリーズ
マイスター・ホラを名乗る者の声に導かれ、2018年から1960年にタイムトラベルした加茂。瀕死の妻を救うためには、彼女の祖先である竜泉家の人々が殺害され、さらにその後土砂崩れにより一族のほとんどが亡くなった『死野の惨劇』の真相を解明し、阻止しなくてはならないのだという。惨劇が幕を開けた竜泉家の別荘で加茂に立ちはだかるのは、飾られていた絵画『キマイラ』に見立てたかのような不可能殺人の数々だった。果たして彼は、竜泉家の一族を呪いから解き放つことができるのか。今最も注目される本格ミステリの書き手が放つ、鮮烈なデビュー作! 第29回鮎川哲也賞受賞作。/解説=辻真先 -
魔眼の匣の殺人
その日、神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と剣崎比留子を含む九人が、人里離れた班目機関の元研究施設“魔眼の匣”を訪れた。その主であり、予言者として恐れられている老女は、来訪者に「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」と告げた。施設と外界を結ぶ唯一の橋が燃え落ちた後、予言が成就するがごとく一人が死に、閉じ込められた葉村たちを混乱と恐怖が襲う。さらに客の一人である女子高生も予知能力を持つと告白し――。残り48時間、二人の予言に支配された匣のなかで、葉村と比留子は生き残って謎を解き明かせるか?! ミステリ界を席捲した『屍人荘の殺人』シリーズ第2弾。/解説=大山誠一郎 -
ミステリなふたり あなたにお茶と音楽を
愛知県警捜査一課内で広く敬われながらも同時に恐れられている、通称“氷の女王”こと京堂景子警部補。ずば抜けた捜査能力と体術で犯人を追い詰めるクールビューティーな姿は、新人刑事・築山瞳にとって密かな憧れであり目標だ。そんな京堂警部補は、自宅に着いた途端に叫んだ――「ただいまあ。ねえ新太郎君、お腹空いたあ」「お帰り。今ご飯作るから」職場では鋼鉄の刑事、だが家では年下のダーリンにデレデレの景子さんと、イラストレーター兼主夫として妻を支えながら安楽椅子探偵の才能も発揮する新太郎君の名コンビによる謎解き7編!/解説=熊崎俊太郎(紅茶鑑定士) -
銀河英雄伝説列伝1
遠未来の宇宙。始祖ゴールデンバウムによる王朝樹立以降、専制君主と門閥貴族が支配する銀河帝国と、その独裁に抵抗する人々が作り上げた民主主義国家・自由惑星同盟(フリー・プラネッツ)、帝国領でありながら陰で権力を操ろうと画策するフェザーン自治領(ラント)──三つの勢力によって構成された銀河の盤面で繰り広げられる英雄たちの闘争と栄光を描いた宇宙叙事詩は、刊行から現在に至るまで日本SFの金字塔として永らく読者を魅了し続けている。『銀河英雄伝説』を愛してやまぬ作家たちが捧げる6編を収録する公式トリビュート集。/【収録作】序文=田中芳樹/「竜神滝(ドラツハ・ヴアツサーフエル)の皇帝陛下」小川一水/「士官学校生の恋」石持浅海/「ティエリー・ボナール最後の戦い」小前亮/「レナーテは語る」太田忠司/「星たちの舞台」高島雄哉/「晴れあがる銀河」藤井太洋/著者のことば -
帝都一の下宿屋
時は明治──銀座は南紺屋町に、「静修館」という古いけれど居心地のいい下宿屋がある。大家の梨木桃介はまだ若いが無類の世話好きで、料理をはじめ家事万端を見事にこなす界隈の名物男だった。その働きぶりの前では、下宿人のひとりである小説家の仙道湧水も我が儘を封印し、規則正しく生活するほどだ。そんな静修館には、なにかと謎が持ち込まれる。桃介も愛用する醤油にかけられた偽装疑惑、好条件にもかかわらず借り手が決まらない貸家。「先生なら助けてあげられるかもしれないね」という桃介の一言に促され、湧水は謎解きに奔走するが……。/【目次】永遠の市/障子張り替えの名手/怪しの家/妖怪白湯気 -
九度目の十八歳を迎えた君と
通勤途中の駅で見かけた二和美咲は、あのころの、僕が恋をした18歳の姿のまま佇んでいた。それはまぼろしでも他人の空似でもなく、僕が高校を卒業したあとも、彼女は当時の姿のままでずっと高校に通い続けているという。周囲の人々は不思議に感じないようだが、僕だけはいつまでたっても違和感がなくならない。なぜ彼女は高校生の18歳のままの姿なのか。その原因は最初の高校3年生のころにあるはずだと、当時の級友や恩師のもとを訪ね、彼女の身に何が起こっているのか調べ始める。気鋭の作家が描く、心締めつけられる青春と追想のミステリ。/解説=若林踏 -
〈邪馬台国はどこですか?〉シリーズ
カウンター席だけの地下一階の店に客が三人。三谷敦彦教授と助手の早乙女静香、そして在野の研究家らしき宮田六郎。初顔合わせとなったその日、「ブッダは悟りなんか開いてない」という宮田の爆弾発言を契機に歴史談義が始まった……。回を追うごとに話は熱を帯び、バーテンダーの松永も教科書を読んで予備知識を蓄えつつ、彼らの論戦を心待ちにする。ブッダの悟り、邪馬台国の比定地、聖徳太子の正体、光秀謀叛の動機、明治維新の黒幕、イエスの復活――を俎上に載せ、歴史の常識にコペルニクス的転回を迫る、大胆不敵かつ奇想天外なデビュー作品集。/【目次】悟りを開いたのはいつですか?/邪馬台国はどこですか?/聖徳太子はだれですか?/謀叛の動機はなんですか?/維新が起きたのはなぜですか?/奇蹟はどのようになされたのですか?/*本電子書籍は『邪馬台国はどこですか?』(創元推理文庫 新装新版 2024年8月30日初版発行)を底本としています。 -
〈金庫破りときどきスパイ〉シリーズ
第二次世界大戦下のロンドン。錠前師のおじを手伝うエリーは、生活のために裏の仕事として金庫破りをしている。だがある日、その現場を陸軍のラムゼイ少佐に押さえられてしまう。少佐は諜報作戦上の重要な文書を回収し別のものと入れ替えるため、投獄されたくなければ、ある屋敷の金庫を解錠しろと命令する。エリーが少佐と屋敷に侵入すると、金庫のそばには他殺体があり、文書が消えていた。エリーは少佐に協力して、殺人を犯し文書を持ち去った容疑者を探ることに。凄腕の女性金庫破りと堅物の青年将校、正反対のふたりの波瀾万丈な活躍譚!/解説=上條ひろみ -
〈秘密の階段建築社〉の事件簿
“ひらけごま”と唱えると現れる秘密の読書室や、秘密の花園に通じるドアが隠された柱時計。だれもが一度は夢見た仕掛けに特化した工務店〈秘密の階段建築社〉がテンペスト・ラージの家業だ。イリュージョニストとしてラスヴェガスで活躍していた彼女だったが、ある事故の責任をとらされて、サンフランシスコに帰郷せざるをえなくなり、この家業を手伝うことに。だがその初日、仕事先の古い屋敷の壁を崩したところ、そこから死体が見つかる騒ぎが……。ラージ家に伝わる、あの呪いと関係があるのか? 楽しい不思議が満載のシリーズ第1弾! -
自由研究には向かない殺人
高校生のピップは自由研究で、5年前に自分の住む町で起きた17歳の少女の失踪事件を調べている。交際相手の少年が彼女を殺害し、自殺したとされていた。その少年と親しかったピップは、彼が犯人だとは信じられず、無実を証明するために、自由研究を口実に警察や新聞記者、関係者たちにインタビューをはじめる。ところが、身近な人物が次々と容疑者として浮かんできてしまい……。予想外の事実にもひるまず、事件の謎を追うピップがたどりついた驚愕の真相とは。ひたむきな主人公の姿が胸を打つ、英米で大ベストセラーとなった謎解きミステリ!/解説=若林踏 -
真実の10メートル手前
高校生の心中事件。二人が死んだ場所の名をとって、それは恋累心中と呼ばれた。週刊深層編集部の都留は、フリージャーナリストの太刀洗と合流して取材を開始するが、徐々に事件の有り様に違和感を覚え始める。太刀洗はなにを考えているのか? 滑稽な悲劇、あるいはグロテスクな妄執――己の身に痛みを引き受けながら、それらを直視するジャーナリスト、太刀洗万智の活動記録。日本推理作家協会賞受賞後第一作「名を刻む死」、土砂崩れの現場から救出された老夫婦との会話を通して太刀洗のジャーナリストとしての姿勢を描く「綱渡りの成功例」など粒揃いの6編。第155回直木賞候補作。/解説=宇田川拓也 ※本作品は 2018年3月22日まで販売しておりました単行本電子版『真実の10メートル手前』の文庫電子版となります。 本編内容は単行本電子版と同じとなります。 -
長い別れ
酔っぱらい男、テリー・レノックスと友人になった私立探偵フィリップ・マーロウ。大富豪の娘との夫婦関係が破綻したテリーは、なんとか彼女と元の鞘に収まったようだったが、ある日、突然現われ、メキシコまで送ってほしいとマーロウに頼んできた。そして彼を送り届けて戻ったマーロウは勾留されてしまう。テリーには妻殺しの嫌疑がかっていたのだった。彼は自殺、マーロウには、ギムレットを飲んですべて忘れてほしい、という手紙が届く……。男の友情を描いたチャンドラー畢生の大作を、これ以上望むべくもない名手渾身の翻訳で贈る新訳決定版。/解説=杉江松恋 -
巴里マカロンの謎
「わたしたちはこれから、新しくオープンしたお店、パティスリー・コギ・アネックス・ルリコに行って新作マカロンを食べます」その店のティー&マカロンセットで注文できるマカロンは三種類。しかし小佐内さんの皿には、あるはずのない四つめのマカロンが乗っていた。誰がなぜ四つめのマカロンを置いたのか。それ以前に、四種の中で増えたマカロンはどれか。「ぼくが思うに、これは観察力が鍵になる」小鳩君は早速思考を巡らし始める……。心穏やかで無害で易きに流れる、誰にも迷惑をかけない小市民になるべく互恵関係を結んだあのふたりが帰ってきました! お待ちかねシリーズ十一年ぶりの新刊、四編収録の作品集登場。/【収録作】「巴里マカロンの謎」/「紐育チーズケーキの謎」/「伯林あげぱんの謎」/「花府シュークリームの謎」 -
瞬きすら許さない
警視正のキャット・フランクは昔気質の刑事だ。事件現場を歩き、容疑者の眼を見ることが捜査の核心だと信じている。新設の捜査チームを率いることになった彼女は、ロックという名の人工知能に出合う。この新世代の「捜査官」は、ホログラムの体をもち、統計データに基づいて事件解決を支援するのだという。刑事の直感を信じるキャットと、刑事の直感など根拠のない思い込みにすぎないと切り捨てるロック。相反するふたつの頭脳が火花を散らし挑むのは、ありふれているようで、どこか異様な未解決失踪事件……。英国推理作家協会賞受賞、二十一世紀の最前線をゆく傑作警察捜査小説!/解説=村上貴史 -
シャーロック・ホームズは引退しました
名探偵シャーロック・ホームズの物語が人気を博する1932年、こちらロンドンはベイカー街。ホームズの作中住所に建つアビー・ロード住宅金融組合には、かの探偵の実在を信じる人々から依頼の手紙が届き続ける。組合で働くハリエットは、そんな手紙にひたすら「シャーロック・ホームズは引退しました」と断りの返事をタイプする日々を送っていた。しかしあるとき、メイドの失踪にまつわる切実な依頼を読んだ彼女は、ホームズの秘書を名乗り自ら調査に乗り出すことに……。名探偵に代わり挑む、変装、尾行、推理。清新なミステリシリーズ、堂々封切り!/解説=北原尚彦 -
ウェッジフィールド館の殺人
ジェーンは英国の領主屋敷(マナーハウス)に滞在していた。いっしょに旅行している叔母が館の主である男爵とかつて恋仲で、ふたりのあいだに生まれた娘が男爵の養女になっていたのだ。ある晩、館の使用人が主の車を運転中に事故で死亡。車を調べてみると、ブレーキに細工されていたことがわかる。娘の身を心配する叔母に頼まれたジェーンは、折よく館を訪ねてきたレドヴァースと事件を調べはじめる。だが、ジェーンが操縦を教わっている複葉機の部品が壊されたり、怪しい人影が目撃されたりと不審な出来事が続き……。アガサ賞最優秀デビュー長編賞受賞シリーズ。 -
キャクストン私設図書館
イギリスの片田舎にたたずむ〈キャクストン私設図書館&書物保管庫〉では、シャーロック・ホームズやドラキュラ伯爵など、名作の登場人物たちが実体化して暮らしている。ひとりの登場人物との出会いをきっかけにこの図書館を訪れた読書好きのバージャー氏は、やがて物語の世界をゆるがすとんでもない事件を引き起こし……。エドガー賞最優秀短編賞を受賞した表題作ほか、同図書館で語り継がれるホームズの逸話、『失われたものたちの本』の世界から贈る短編、次々と怪現象を起こす奇書をめぐる中編の四作品を収録。本と物語がテーマの作品集!/【目次】キャクストン私設図書館/虚ろな王(『失われたものたちの本』の世界から)/裂かれた地図書──五つの断片/ホームズの活躍:キャクストン私設図書館での出来事/訳者あとがき/解説=牧眞司 -
〈伝説とカフェラテ〉シリーズ
珈琲店を開きたい。それがヴィヴの夢だった。苦楽を共にしてきた傭兵仲間に別れを告げ、最後の冒険の戦利品である幸運の輪を引き寄せるというスカルヴァートの石を持って、いちから店作りに着手する。廃屋同然の厩を買い取り、気むずかし屋だが腕は確かな船大工を雇って改装。見慣れない飲み物に最初は閑古鳥が鳴いていた店も、募集広告を見てやってきた店員が描いたセンス抜群の看板や、隠れた天才パン職人のつくるうっとりするようなパンや菓子のおかげで、次第に繁盛しはじめるが……。ネビュラ賞最終候補の心温まるコージーファンタジイ。 -
斜陽館殺人事件
伯父、転落死。見えざる手により、投げ落とさる――。ロンドンの紳士倶楽部で余暇を過ごしていたアンティ・ブジュレーは、英国貴族の末裔である友人から電報を受け取り、一族の城館へとやってきた。事件が起きたのは館の一角にそびえる塔の書斎。友人の伯父は奇妙な状況下でその窓から転落したのだという。転落の直前、書斎からは争うような物音が聞こえたにもかかわらず、鍵のかかったドアを打ち破ると、室内には誰もいなかった。さらに被害者の最期の言葉を聞いた三人が、三通りばらばらの証言をし……。斜陽の途をたどる英国貴族の館で名探偵の推理がきらめく密室謎解きミステリ! -
その裁きは死
【ミステリランキング4冠! 第1位『このミステリーがすごい! 2021年版』海外編・第1位〈週刊文春〉2020ミステリーベスト10 海外部門・第1位〈ハヤカワ・ミステリマガジン〉ミステリが読みたい! 海外篇・第1位『2021本格ミステリ・ベスト10』海外編】実直さが評判の離婚専門の弁護士が殺害された。裁判の相手方だった人気作家が口走った脅しに似た方法で。現場の壁にはペンキで乱暴に描かれた数字“182”。被害者が殺される直前に残した謎の言葉。脚本を手がけた『刑事フォイル』の撮影に立ち会っていたわたし、アンソニー・ホロヴィッツは、元刑事の探偵ホーソーンによって、奇妙な事件の捜査にふたたび引きずりこまれて──。年末ミステリランキングを完全制覇した『メインテーマは殺人』に並ぶ、シリーズ第2弾! 驚嘆確実、完全無比の犯人当てミステリ。/解説=大矢博子 -
案山子の村の殺人
楠谷佑のペンネームで活動する僕ら合作推理作家の、次の新作は山奥の寒村を舞台にした本格ミステリになる予定だ。しかし真舟のプロットは仕上がったものの、執筆担当の僕の作業が捗らない。田舎の村に行ったことがないからだ。だったら、と大学の友人に勧められ、旅館を営む彼の実家がある宵待村に、僕と真舟は旅行に出掛けたが、そこで本物の事件に巻き込まれることになるとは、僕たちはまったく想像していなかった。案山子だらけの宵待村で、案山子に毒の矢が射込まれ、別の案山子が消失し、ついに殺人事件が勃発する。現場はいわゆる雪の密室の様相を呈していた。推理作家の大学生コンビ、篠倉真舟と宇月理久が謎解きに挑む。 -
星天の兄弟
ある王国の田舎の村に高潔な学者が住んでいた。学者には母親のちがう息子が二人おり、兄は賢く弟は美しかった。ある時、王国の第二王子が学者の評判を聞きつけ、自分の家庭教師にと招いた。王子は聡明で学者も喜んで教えたが、王子に父王に対する反乱を企んでいるとの疑いがかけられ、学者も捕らえられてしまう。幼くして罪人の子という重い軛(くびき)を背負うことになってしまった兄弟。互いを思いやりながら別々の道をゆく二人の運命は? 〈天山の巫女ソニン〉シリーズで人気の著者が家族とは何か、絆とは何かを問う感動のファンタジイ。 -
わたしが幽霊だった時
季節は夏。昼下がりの林道は家に続いている。歩きながら(事故だわ!)ふいにそう思った。なにかが変。事故に遭ったって思うんだけど、頭がぼやけてて何も思い出せない。気がついたら、ここ歩いてるんだもの。あたしいま何着てるんだろう。わからないから下を見た。体がない! あたしは生垣を通り抜け、ドアを通り抜けて家のなかに入った。宙に浮きながら。部屋じゃ、だいっ嫌いな姉さんや妹たちが相変わらずのけんか。誰もあたしのこと気づきゃしない。あたし、幽霊になっちゃったんだ……でも、なぜ? 現代英国を代表する著者が贈る、おかしくてほろ苦くも暖かい時空を超えた物語。/解説=金原瑞人 -
兇人邸の殺人
“廃墟テーマパーク”にそびえる「兇人邸」。3月の深夜、班目機関の研究資料を探すグループとともに、その奇怪な屋敷に侵入した葉村譲と剣崎比留子を待ち構えていたのは、無慈悲な首斬り殺人鬼だった。逃げ惑う狂乱の一夜が明け、同行者が次々と首のない死体となって発見されるなか、比留子が行方不明に。惨劇を眼前にしても、思惑を抱えた生存者たちは、この迷路のような屋敷から脱出する道を選べずにいた。さらに別の殺人者がいる可能性が浮上し……。葉村は比留子を見つけ出し、ともに謎を解いて生き延びることができるのか?! 『屍人荘の殺人』の衝撃を凌駕するシリーズ第3弾。/特別対談=綾辻行人×今村昌弘 -
怪物を捕らえる者は
聖母マリアの祠の裏、雪の下から16歳の少女の遺体が発見された。遺体や服からアフガニスタン人移民の青年のDNAが見つかるが、刑事オリヴァーとピアが事情聴取をする前に彼は消えてしまった。有力な手がかりが見つからず捜査が難航するなか、数日後の夜に、田舎道で男が車にはねられて死亡する。男は裸足で、体には動物の咬傷や拷問の痕があった。彼はどこから逃げ、誰にこんな目に遭わされたのか――。ふたつの事件の捜査から導き出される、ドイツ警察を揺るがす史上最悪の真相。とてつもない急展開を見せる、大人気警察小説シリーズ。/解説=上條ひろみ -
写楽百面相
時は寛政の改革の頃。川柳句集の板元の若旦那・花屋二三(はなやにさ)は、馴染みの芸者・卯兵衛との逢引の折に見た、謎の絵師が描いた強烈な役者絵に魅入られる。二三は絵に残された落款を頼りに、その絵師・写楽の正体を探っていくと、卯兵衛の失踪など身辺で次々と奇怪な出来事が起きてしまう。二三はそれらの謎も追う中で、蔦屋重三郎、十返舎一九、葛飾北斎、松平定信たち有名人と関わっていく。やがて、幕府と禁裏を揺るがす大事件に巻き込まれることに……。浮世絵、川柳、黄表紙、芝居、手妻、からくりなど江戸の文化や粋に彩られた、傑作長編ミステリ。/解説=澤田瞳子 -
黄色い部屋の謎【平岡敦訳】
高名な科学者スタンガルソン教授と、令嬢マティルドの住むグランディエ城の離れの一室で事件は起こった。内側から鍵をかけられた完全な密室、《黄色い部屋》から聞こえた助けを求める女性の悲鳴。ドアを壊して入った者たちの見たものは、血の海のなかに倒れたマティルドの姿だった。襲撃者はどこに消えたのか? そしてさらに続く怪事件。その謎に挑んだのは、18歳の新聞記者ルルタビーユだった。パリ警視庁の名警部ラルサンと謎解きを競い合いつつたどり着く奇怪な事件の真相は? 密室ミステリの名品として、ミステリファン必読の古典となった傑作。/解説=戸川安宣 -
アルバトロスは羽ばたかない
海を望む街に建つ児童養護施設・七海学園に勤めて三年目となる保育士の北沢春菜は、毎日多忙な仕事に追われつつも、学園の日常に起きるささやかながら不可思議な事件の解明に励んでいた。そんな慌ただしくも幸せな日々に、学園の少年少女が通う高校の文化祭の日に起きた、校舎屋上からの転落事件が影を落とす。警察の見解通り、これは単なる不慮の事故なのか? だが、この件に先立つ春から晩秋にかけて春菜が奔走した、学園の子どもたちに関わる四つの事件に、意外な真相に繋がる重要な手がかりが隠されていた――鮎川哲也賞受賞作『七つの海を照らす星』に続く清新な本格ミステリ。/解説=千街晶之 -
生きるか死ぬかの町長選挙
町長不在となったシンフルの町。長年にわたり陰で町を仕切っていた婦人会の会長アイダ・ベルが、ついに表舞台に立つべく立候補する。二週間前から身分を偽り町に住んでいるCIA秘密工作員のフォーチュンは、これまでの縁から選挙戦を手伝うことに。ところが、アイダ・ベルと対立候補テッドの公開討論会が終わった直後、テッドが殺されてしまう。テッドの妻に犯人扱いされた友の無実を証明するため、フォーチュンたちは立ちあがるが、その結果シンフルはまたも大騒ぎになるのだった! したたかな女性たちが大暴れ、〈ワニ町〉シリーズ絶好調!/解説=上條ひろみ -
イザベラ・バード、日出ずる国で妖怪に出会う
明治11年夏、奥州を縦断して蝦夷地を目指す英国人女性がいた。その名はイザベラ・バード。お供は通訳兼従者の若者伊藤鶴吉と英国からついてきた小妖精ディル&ジンジャーだ。一行は行く先々で妖怪に出くわし、思わぬ事件に巻きこまれる。本当に恐ろしいのははたして妖怪か人間か。旅を続けるうち、好奇心旺盛なイザベラと無口な鶴吉は少しずつ心を通わせていくが、鶴吉はある秘密を抱えていた。ヴィクトリア朝の英国を飛び出した実在の女性旅行家(レディ・トラベラー)が、日常と非日常のあわいをたゆたう謎に挑む、レトロで新鮮な正統派歴史冒険ファンタジイ!/解説=小出和代 -
折れざる槍
人々に妖精の谷と怖れられる地で、荒野を庭として育った少女がいた。母は少女の名を隠し、少女の父、海の息子マナナーンから盗んだ鉢を護って洞穴でひっそりと暮らしていた。だが少女は日ごとに成長し、力強く、そして素早くなった。やがて広い世界への憧れが抑えきれなくなった少女は、母からペレティルという名前を受け取ると、カエル・レオンに玉座を構える王アルトゥルスの戦士団に加わるべく旅立った……。ネビュラ賞受賞作家が、アーサー王伝説群の中のパーシヴァルの物語を独自の視点で語り直した鮮烈な作品。LAタイムズ文学賞受賞作。 -
コーチ
期待されながら伸び悩む若手刑事たちの元に、警視庁本部から送りこまれる謎の男、向井光太郎。捜査上の失態を悔やみ、男社会での自身の立場についても苦悩する女性刑事。取り調べ係を目指しながら、容疑者である有名俳優相手に苦戦する刑事、尾行が苦手な刑事。彼らそれぞれに的確なアドバイスを与えるその男は、警務部人事二課所属だった。経験を積み、本部の捜査一課所属となり出会った三人は、向井との関わりを語り合い、彼の知られざる過去を探り始める。彼の過去と三人が担当する女子大生殺害事件が交錯し、見えてきた思いも寄らぬ事実とは?/解説=古山裕樹 -
天藤真推理小説全集
わたしが結婚し、そしてこの手で殺した男は、背が高くて東大出だった――高学歴かつ高収入、長身の彼とゴールインし、少女時代からの夢を叶えたわたし。ところが結婚生活はあまりに散文的で、理想と現実の逕庭は蔽うべくもない。台風の迫る山荘の一夜を経て、衝撃的な手記を綴ることになろうとは……表題作「背が高くて東大出」のほか、実体験に材を得、長編化もされた「日曜日は殺しの日」や、殺人の目撃者捜しが二転三転、意想外の結末にもつれこむ「死神はコーナーに待つ」など、短編集成五巻目となる本書には、七一年~七六年発表の十編を収める。/【収録作】背が高くて東大出/父子像/背面の悪魔/女子高生事件/死の色は紅/日曜日は殺しの日/三枚の千円札/死神はコーナーに待つ/札吹雪/誰が為に鐘は鳴る -
ミステリなふたり ア・ラ・カルト
愛知県警捜査一課に君臨する京堂景子警部補は、絶対零度の視線と容赦ない舌鋒の鋭さで“氷の女王”と恐れられている。そんな彼女が気を許せるのは、わが家で帰りを待つ夫の新太郎ただひとり。日々難事件を追ってくたくたになって帰ってくる彼女を、主夫として家事もこなす彼が料理とお酒でもてなしてくれる。そうして夕食を終えて一日の疲れもすっかり癒された頃、景子が事件の悩みを話すと、新太郎が鮮やかに解き明かしていき――。旦那さまお手製の美味しい料理と名推理が、今夜も京堂家の食卓を彩る。デザートまで取り揃えた安楽椅子探偵譚9編。/解説=大矢博子 -
ユダの窓
一月四日の夕刻、ジェームズ・アンズウェルは結婚の許しを乞うため恋人メアリの父親エイヴォリー・ヒュームを訪ね、書斎に通された。話の途中で気を失ったアンズウェルが目を覚ましたとき、密室内にいたのは胸に矢を突き立てられて事切れたヒュームと自分だけだった――。殺人の被疑者となったアンズウェルは中央刑事裁判所で裁かれることとなり、ヘンリ・メリヴェール卿が弁護に当たる。被告人の立場は圧倒的に不利、十数年ぶりの法廷に立つH・M卿に勝算はあるのか。法廷ものとして謎解きとして、間然するところのない本格ミステリの絶品。/座談会 ジョン・ディクスン・カーの魅力=瀬戸川猛資、鏡明、北村薫、斎藤嘉久、戸川安宣(司会)/本座談会と『ユダの窓』について=戸川安宣 -
帆船軍艦の殺人
靴職人のネビルにとって、日々の仕事と家族、これから生まれてくる子供が世界のすべてだった。だがある日、パブで英国海軍の強制徴募に遭遇し、軍艦ハルバート号に水兵見習いとして徴用されてしまう。逃げ場のない環境での危険な労働、高圧的な士官による暴力に晒されながらも、船員仲間に支えられ、ネビルは徐々に環境に馴染んでゆく。しかし新月の晩、衆人環視下で起きた水兵殺人事件によって事態は一変し――18世紀末、絶海の英国海軍戦列艦上で立て続く不可能犯罪を描き、大胆不敵なトリックで喝采を浴びた本格ミステリ×冒険小説の快作が待望の文庫化。第33回鮎川哲也賞受賞作。/解説=若林踏 -
図書館司書と不死の猫
愛妻を亡くし、ケンブリッジの図書館を定年退職したばかりのわたしに届いた、不思議な猫についてのメール。なぜか人の言葉をしゃべるその猫は、死ぬたびに生き返る数奇な半生を送ってきたらしい。おまけに猫の飼い主は行方不明になっていて――。本を愛し、へらず口をたたき、永遠の命を生きる猫。その周囲で起こる不可解な事件。メールに綴られた出来事は現実か、創作か。わたしは好奇心をくすぐられて調査に乗り出すが、その先には意外な展開が待ち受けていた。元・図書館司書と謎に包まれた猫が織りなす、ブラックで奇妙で、なのに心躍る物語。/解説=金原瑞人 -
ほんものの魔法使
魔術師――時に奇術師や手品師とも呼ばれる人々が住まう都市マジェイア。偉大なる魔術師の娘ながら周囲からできそこない扱いされていた少女ジェインの前に、ある日ふしぎな青年があらわれる。ものいう犬モプシーとはるばる山のむこうから旅してきたという彼は、魔術師ながら肩書きのない“ただのアダム”と名乗る。魔術師名匠組合(ギルド)への加入を希望するアダムのために、ジェインは助手となって審査会に臨むことに。そこで彼女が目の当たりにしたのは、種も仕掛けもない“ほんものの魔法”だった。矢川澄子の名訳で贈る、色褪せぬファンタジイの名作。/解説=井辻朱美 -
王とサーカス
2001年、新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智は、知人の雑誌編集者から海外旅行特集の仕事を受け、事前取材のためネパールに向かった。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先、王宮で国王をはじめとする王族殺害事件が勃発する。太刀洗はジャーナリストとして早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり……。「この男は、わたしのために殺されたのか? あるいは――」疑問と苦悩の果てに太刀洗が辿り着いた痛切な真実とは? 『さよなら妖精』の出来事から十年の時を経て、太刀洗万智は異邦でふたたび、自らの人生を左右する大事件に遭遇する。/解説=末國善己 -
図書館の殺人
9月の朝、風ヶ丘図書館の開架エリアで死体が発見された。被害者は常連利用者の男子大学生。閉館中の館内に忍び込み、山田風太郎の『人間臨終図巻』で何者かに撲殺されたらしい。現場にはなんと、二つの奇妙なダイイングメッセージが残されていた! 警察に呼び出された裏染天馬は独自の捜査を進め、一冊の本と一人の少女の存在に辿り着く。一方、風ヶ丘高校では期末テストにまつわる騒動が勃発。袴田柚乃たちは事件とテストの両方に振り回されることになり……。ロジカルな推理と、巧みなプロットで読者を魅了する〈裏染天馬シリーズ〉第4弾。/解説=佐々木敦 -
ボーンヤードは語らない
U国A州の空軍基地にある『飛行機の墓場(ボーンヤード)』で、兵士の変死体が発見された。謎めいた死の状況、浮かび上がる軍用機部品の横流し疑惑。空軍少佐のジョンは、士官候補生時代のある心残りから、フラッグスタッフ署の刑事・マリアと漣へ非公式に事件解決への協力を請う。実は引き受けたマリアたちにも、過去に対峙した事件への苦い後悔があった。高校生の漣が遭遇した雪密室の殺人。ハイスクール時代のマリアが挑んだ、雨の夜の墜落事件の謎。そしてバディを組んだ二人が初めて捜査した、緊急通報があった家庭での悲劇の真相は? シリーズ初短編集。/【目次】ボーンヤードは語らない/赤鉛筆は要らない/レッドデビルは知らない/スケープシープは笑わない/解説=香山二三郎 -
自殺予定日
「美しく強かな継母が父を殺した」再婚してわずか一年半足らずで父が急死。遺産とビジネスを受け継ぎ生き生きと活躍する継母の姿に、女子高生の瑠璃はそう確信した。彼女は自らの死をもって継母の罪を告発しようと決意する。しかし自殺の名所として有名な山奥の森で首を吊ろうとしたところ、かつて同じ森で首吊り自殺したという“幽霊”と出会い、裕章と名乗る彼に継母の罪の証拠を一緒に探そうと提案される。瑠璃が決めた期限以内に見つからなければ、その時死ねばいいと。六日後──それが瑠璃の自殺予定日となった。継母の罪を暴き、父の無念を晴らせるのか?! すべての予想を裏切る、一気読み必至の傑作ミステリ!/解説=池上冬樹 -
水族館の殺人
夏休みの最中の8月4日、向坂香織たち風ヶ丘高校新聞部の面々は、取材で横浜市内の穴場スポットである、丸美水族館に繰り出した。館内を館長の案内で取材していると、B棟の巨大水槽の前で驚愕のシーンを目撃。な、なんとサメが飼育員と思われる男性に食らいついている! 駆けつけた警察が関係者に事情聴取していくと、容疑者は11人にもおよぶことに。しかも、それぞれに強固なアリバイが……。袴田刑事は、しかたなく妹の柚乃へと連絡を取った。あのアニメオタクの駄目人間・裏染天馬を呼び出してもらうために。“若き平成のエラリー・クイーン”が、今度はアリバイ崩しに挑戦。/解説=飯城勇三 -
神様の次くらいに 人の死なない謎解きミステリ集
デートに誘ったはずが「家電量販店に行こう」と言われ、憧れの女性と開店前行列に並ぶことになった大学生の青年。その日遭遇したある謎解きの顛末から、彼は人の優しさについて思いを巡らすことになる。著者の実体験を反映した佳品の表題作ほか、文化祭前日に生徒会副会長が密室の謎に直面する学園もの「ライオンの嘘」、公園からひとつずつ何かが消えていくのはなぜかを名探偵凜堂星史郎が推理する「小さいものから消えよ」など五編を収録する。日々の暮らしのなかにふと入り込んだ謎とその真相を鮮やかに描いた、人の死なない謎解き作品集。著者初の〈日常の謎〉、文庫オリジナル。/【目次】「さくらが丘小学校 四年三組の来週の目標」児童たちのいざこざを収めるため謎解きに挑む新米教師の悪戦苦闘/「ライオンの嘘」男子サッカー部の部室からパソコンが消失。現場は密室だった――/「神様の次くらいに」家電量販店の開店前行列に並んだ先輩と俺のささやかな謎解き/「小さいものから消えよ」公園からひとつずつ何かが消えてゆく? 名探偵凜堂星史郎の推理/「デイヴィッド・グロウ、サプライズパーティーを開く」『星読島に星は流れた』の青年デイヴィッド、セグウェイに乗って再登場/あとがき -
ぼくらは回収しない
数十年に一度の日食が起きた日、名門大学の学生寮で女子学生が亡くなった。密室状態の現場から自殺と考えられたが、小説家としても活躍し、自信と才気に溢れた彼女がはたして死を選ぶだろうか? 三年間をともに過ごしながら、孤高の存在だった彼女の内心を何も知らないまま二度と会えなくなったことに思い至った四人の寮生たちは、独自に事件を調べ始める。第十九回ミステリーズ!新人賞受賞作「ルナティック・レトリーバー」を含む全五編を収録。大胆なトリックと繊細な心理描写で注目を集め、新人賞二冠を達成した新鋭による、鮮烈な作品集。/【目次】街頭インタビュー/カエル殺し/追想の家/速水士郎を追いかけて/ルナティック・レトリーバー/解説=法月綸太郎 -
蝉かえる
全国各地を旅する昆虫好きの心優しい青年・エリ沢泉。彼が解く事件の真相は、いつだって人間の悲しみや愛おしさを秘めていた――。16年前、災害ボランティアの青年が目撃したのは、行方不明の少女の幽霊だったのか? エリ沢が意外な真相を語る「蝉かえる」。交差点での交通事故と団地で起きた負傷事件のつながりを解き明かす、第73回日本推理作家協会賞候補作「コマチグモ」など5編を収録。注目の若手実力派・ミステリーズ!新人賞作家が贈る、第74回日本推理作家協会賞と第21回本格ミステリ大賞を受賞した、ミステリ連作短編集第2弾。/【目次】蝉かえる/コマチグモ/彼方の甲虫/ホタル計画/サブサハラの蠅/単行本版あとがき/文庫版あとがき/解説=法月綸太郎 -
クララ殺し
奇妙な生き物やアリスという少女が暮らす不思議の国の夢ばかりみる大学院生の井森は、ある晩の夢の中で、不思議の国ではない緑豊かな山の中に辿り着く。そこには“お爺さん”なる男と、クララと名乗る車椅子の美少女がいた。翌朝井森は、大学校門の前で、夢で出会ったクララ──現実では「露天くらら」と名乗った彼女から、まるで夢の続きのように話しかけられる。彼女は何者かから脅迫を受けており、命の危機を感じていた。現実では頭が切れるが、夢の中ではビルという間抜けな蜥蜴になってしまう井森。二つの世界をまたぐ邪悪な犯罪計画から、クララとくららを守れるのか? 大人気『アリス殺し』の恐怖×驚愕ふたたび!/解説=千街晶之 -
山伏地蔵坊の放浪
洒落者の猫井は紳士服店の若旦那、禿頭が眩しい藪歯医者の三島に写真館の床川夫妻、そしてレンタルビデオ屋の僕、青野良児。年齢も職業もまちまちな僕らは、土曜の夜になるとダンディなマスターの店『えいぷりる』に集い、地蔵坊先生の話を聴く。この先生、鈴懸に笈を背負い金剛杖や法螺貝を携え……と十二道具に身を固めた正真正銘の山伏なのだ。放浪中の体験談といって披露してくれるのは、およそ実話とは思えない怪しい事件揃い。額面通りに受け取れば、彼はさながら遍歴する名探偵だが。さて、眉に唾をつけつつ今宵も幕を開けるとしよう――「面白そうですね。ぜひ聞かせてください」/【目次】第一話 ローカル線とシンデレラ/第二話 仮装パーティーの館/第三話 崖の教祖/第四話 毒の晩餐会/第五話 死ぬ時はひとり/第六話 割れたガラス窓/第七話 天馬博士の昇天/あとがき/文庫版あとがき/解説=戸川安宣 -
わたしのいないテーブルで
新型コロナウイルスが蔓延する2020年春、手話通訳士の荒井尚人の家庭も様々な影響を被っていた。刑事である妻・みゆきは感染の危険にさらされながら勤務をせざるを得ず、一方の荒井は休校、休園となった二人の娘の面倒をみるため手話通訳の仕事ができない。そんな中、旧知のNPOから、ある事件の支援チームへの協力依頼が来る。女性ろう者が、口論の末に実母を包丁で刺したという事件のサポートだ。聴者である母親との間に何が? “コロナ禍でのろう者の苦悩”、“家庭でのろう者の孤独”をテーマに描く、〈デフ・ヴォイス〉シリーズ第4弾。/解説=佐久間文子 -
サーチライトと誘蛾灯
ホームレスを強制退去させた公園の治安を守るため、ボランティアで見回り隊が結成された。ある夜、見回り中の吉森は、公園にいた奇妙な来訪者たちを追いだす。ところが翌朝、そのうちのひとりが死体で発見された! 事件が気になる吉森に、公園で出会った昆虫オタクのとぼけた青年・エリ沢が、真相を解き明かす。観光地化に失敗した高原での密かな計画、〈ナナフシ〉というバーの常連客を襲った悲劇の謎。5つの事件の構図は、エリ沢の名推理で鮮やかに反転する! 第10回ミステリーズ!新人賞を受賞した表題作を含む、軽快な筆致で描くミステリ連作集。/【収録作】「サーチライトと誘蛾灯」/「ホバリング・バタフライ」/「ナナフシの夜」/「火事と標本」/「アドベントの繭」/あとがき/解説=宇田川拓也 -
深い穴に落ちてしまった
深い森のまん中にある、深い深い穴の底。兄弟は空を見上げ、脱出の方法を思案している。土壁に階段をつくる。弟を肩にかつぎ上げる。どれほど見込みがなくとも、ふたりは生きなければならない。虫や木の根を食べ、泥水を飲む日々が綴られるなか、やがて物語は不可思議な幻覚と、めくるめく謎で満たされていく――。なぜ章番号は素数だけなのか。幻覚に隠された暗号とはなにか。そもそも兄弟はなぜ穴に落ちたのか。ふたりが辿りつく結末は、驚愕とともに力強い感動をもたらす。現代版『星の王子さま』であり、“深い穴”で生きるあなたに捧げる寓話。/解説=西崎憲 -
強欲な羊
怖い、でもページを捲る手が止まらない!とある屋敷で暮らす美しい姉妹のもとにやってきた「わたくし」が見たのは、対照的な性格の二人の間に起きた数々の陰湿で邪悪な事件。ついには妹が姉を殺害するにいたったのだが――。はたして“羊の皮を被った狼”は姉妹どちらなのか?圧倒的な筆力で第7回ミステリーズ!新人賞を受賞した「強欲な羊」に始まる“羊”たちの饗宴。揺れ動く男の心理と狡猾な女を巧みに描く「背徳の羊」。愛する王子と暮らす穏やかな日々が崩壊する過程を、女たちの語りで紡ぐ「ストックホルムの羊」ほか全5編。女性ならではの鋭い狂気が秀逸な連作ミステリ。 -
卒業したら教室で
伊神さんの卒業から丸一年、市立高校にまた卒業の季節がやってきた。今年は柳瀬さんをはじめ、仲のよかったひとつ年上の先輩たちが学校を巣立っていく。そんな、しんみりとしたある日の放課後、秋野麻衣が、おずおずと相談にやってきた。鍵のかかった真っ暗なCAI室で、不可解なものを見たらしい。書道室や山岳部の部室などでも謎の人物の出現と消失があったという情報が寄せられ、卒業生によるとそれは「兼坂(んねさか)さん」という市立高校「八番目の七不思議」らしいが……。トリックメーカーである似鳥鶏が贈る、予測不能の〈市立高校シリーズ〉最新作。 -
今だけのあの子
結婚おめでとう、メッセージカードを書く手が震える。大学時代、新婦とは一番の親友だった。けれど恵には招待状が届いていない。たった6人しかいない同じグループの女子の中で、どうして私だけ線引きされたのか。呼ばれてもいない結婚式に出席しようとする恵の運命、そして新婦の真意とは(「届かない招待状」)。進学、就職、結婚、出産、女性はライフステージが変わることでつき合う相手も変わる。「あの子は私の友達?」心の裡にふと芽生えた嫉妬や違和感が積み重なり友情は不信感へと形を変えた。めんどうで愛すべき女の友情に潜む秘密が明かされたとき、驚くべき真相と人間の素顔が浮かび上がる傑作ミステリ短篇集全5篇。/解説=大矢博子 -
模倣の殺意
七月七日の午後七時、新進作家、坂井正夫が青酸カリによる服毒死を遂げた。遺書はなかったが、世を儚んでの自殺として処理された。坂井に編集雑務を頼んでいた医学書系の出版社に勤める中田秋子は、彼の部屋で偶然行きあわせた遠賀野律子の存在が気になり、独自に調査を始める。一方、ルポライターの津久見伸助は、同人誌仲間だった坂井の死を記事にするよう雑誌社から依頼され、調べを進める内に、坂井がようやくの思いで発表にこぎつけた受賞後第一作が、さる有名作家の短編の盗作である疑惑が持ち上がり、坂井と確執のあった編集者、柳沢邦夫を追及していく。著者が絶対の自信を持って読者に仕掛ける超絶のトリック。記念すべきデビュー長編の改稿決定版! -
昨日まで不思議の校舎
にわか高校生探偵団、市立最大の謎に挑む! 超自然現象研究会の会誌〈エリア51〉臨時増刊号が特集した「市立七不思議」が何者かに影響を与えたのだろうか? 突如休み時間に流された、七不思議の一つ「カシマレイコ」を呼び出す放送。そんな女子生徒は、もちろん存在しない。さらにその日の放課後に、四ヶ所で発見された「口裂け女」を模した悪戯、さらにさらに翌日には「一階トイレの花子さん」まで用務員室に出現。なぜ七不思議のうち、この三つが現われたのだろう? かつては七不思議ではなく、「市立三怪」だったということを突き止めた葉山君、そして伊神さんは、その背後にある悪意に気づくが……。コミカルな学園ミステリ・シリーズ長編。 -
最良の嘘の最後のひと言
検索エンジンとSNSで世界的な成功を収めた企業・ハルウィンには、超能力研究の噂があった。それを受け、ハルウィンはジョーク企画として「4月1日に年収8000万で超能力者をひとり採用する」という告知を出す。そして審査を経て、自称超能力者の7名が3月31日の夜に街中で行われる最終試験に臨むことに。ある目的のために参加した大学生・市倉は、同じ参加者の日比野という少女と組み、1通しかない採用通知書を奪うため、策略を駆使して騙し合いに挑む。『いなくなれ、群青』、〈サクラダリセット〉の著者が贈る、ノンストップ・ミステリ。/解説=大森望 -
戦前日本モダンホラー傑作選 バビロンの吸血鬼
「大正末期から昭和十年代半ばにかけての十数年間は都市部を中心に「昭和モダン」と呼ばれるスマートで軽快な大衆文化が栄え、人々がこぞって新奇な刺激と快楽を追い求めた時代であった。同時に、生活様式の変化にともなって昔ながらの怪談とは趣きを異にする新しいスタイルの怪奇小説が生まれ、娯楽として享受された時代でもある」(序文より)この時代の研究者が精選した21篇。当時ホラー小説の分野で中心的な存在だった〈新青年〉誌掲載作を除外し、犯罪実話雑誌から少年誌まで幅広い媒体から集めた。/【目次】序文 恐怖が娯楽だった時代 会津信吾/高田義一郎「疾病(しっぺい)の脅威」/椎名頼己「屍蝋(しろう)荘奇談」/渡邊洲蔵「亡命せる異人幽霊」/西田鷹止「火星の人間」/角田喜久雄「肉」/十菱愛彦「青銅の燭台(しょくだい)」/庄野義信「紅棒で描いた殺人画」/夢川佐市「鱶(ふか)」/小川好子「殺人と遊戯と」/妹尾アキ夫「硝子箱の眼」/宮里良保「墓地下(ぼちした)の研究所」/喜多槐三「蛇」/那珂良二「毒ガスと恋人の眼」/高垣眸「バビロンの吸血鬼」/城田シュレーダー「食人植物サラセニア」/阿部徳蔵「首切術の娘」/米村正一「恐怖鬼侫魔(きねま)倶楽部奇譚」/小山甲三「インデヤンの手」/横瀬夜雨「早すぎた埋葬」/岩佐東一郎「死亡放送」/竹村猛児「人の居ないエレヴエーター」 -
折れた竜骨
ロンドンから出帆し、波高き北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父に持つアミーナはある日、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父ローレントに、御身は恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げた……。いずれ劣らぬ怪しげな傭兵たちが顔を揃える中、殺人劇の幕が上がる。いま最も注目を集める俊英が渾身の力で放ち絶賛を浴びた、魔術と剣と謎解きの巨編。第64回日本推理作家協会賞受賞ほか、各種年末ミステリ・ランキングで上位を総なめにした、俊英渾身の本格推理巨編。 -
【東京創元社無料読本】ベストセレクション〈2015 Summer〉
『ビール、枝豆、ミステリ』は夏の新しい習慣! 今年もまた「ベストセレクションフェア」の季節になりました。今回のラインナップは読み継がれている東京創元社の定番中の定番をはじめ、これから新たな定番になる新作・話題作など目白押しです。本電子書籍は、フェアのガイドブックとしてお役立ていただけるよう、ベストセレクションフェア・ラインナップ作品の立読み版(電子書籍を配信している作品に限る)を収録しております。どうぞお楽しみください。/立読み版収録作品=『体育館の殺人』青崎有吾、『アヒルと鴨のコインロッカー』『夜の国のクーパー』伊坂幸太郎、『聴き屋の芸術学部祭』市井豊、『夜の写本師』乾石智子、『配達あかずきん』大崎梢、『二度のお別れ』黒川博行、『青空の卵』坂木司、『模倣の殺意』中町信、『まもなく電車が出現します』似鳥鶏、『慟哭』貫井徳郎、『ハルさん』藤野恵美、『もう年はとれない』ダニエル・フリードマン/野口百合子 訳、『星を継ぐもの』ジェイムズ・P・ホーガン/池央耿 訳、『シャドウ』道尾秀介、『盤上の夜』宮内悠介