この小さい狭い世界で静かに暮らしている家族を私は嫌いにはなれない。
人々が生きているはずなのに、メリキャットの目を通すと陰気な死んだ村に見える。実際は違うのかもしれないけれど、彼女の目に映るものがこの本の全てだから疑いたくない。
18歳なのになんだか幼いメリキャットは、コンスタンス以外はみんな死んで
...続きを読むしまえと思ったのかな。だとしたら生き残ったジュリアンおじさんもその中に入っており、しきりに「優しく」することを自分に強いていた理由も自ずと見えてくる。
空想の中に逃げ込んでいないと正気じゃいられないメリキャット、料理好きで綺麗好きのコンスタンス、夢の中に生きているジュリアン。この3人の奇妙にバランスの取れたあたたかい生活が好きだった。綻びが見えてきた後でも、これは失われてほしくないものだった。
村人たちの集団心理には燃えるような怒りがわいて、それを擁護する「友人」たちのことも信じられない気持ちで見ていた。もちろん従兄も。
もう一度読み返したい。そうしたら見えてくるものがまた違ってくるはずだ。