シャーリイ・ジャクスンのレビュー一覧

  • ずっとお城で暮らしてる

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    メリキャットとコンスタンス、ジュリアンおじさんの暮らしにうっとりしながら読んだ。彼女たちなりの生活の秩序はとても美しく、メリキャットが大切な物を土に埋める場面がとくに好きだった。城が破壊されても「とってもしあわせ」に暮らせるふたりだけの世界は、もう外部の人間の接触も無い為メリキャットがよく語っていた〝月の上〟のような、理想の場所そのものになったのだと思う。彼女たちの生活は埋められた大切な物で キッチンは彼女たちを隠すやさしい土だから、このまま誰にも掘り起こされずに美しいまま守られていて欲しい。とても好みの文章と物語。この作品に出会えて本当にしあわせです。

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    2025年08月20日
  • ずっとお城で暮らしてる

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    最初から最後まで気味の悪さが漂う異質な、ヒビ割れたガラスのような物語。

    外界から鎖された箱庭。その箱庭の周囲を絶えず節足動物が這いずり回っているかのような嫌悪感。

    このガラスは最初から割れていたのかもしれない。最高だ。

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    2025年07月30日
  • ずっとお城で暮らしてる

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    閉鎖空間ヤンデレ姉妹百合〜謎の一家殺人事件を添えて〜。
    タイトルにもある「ずっとお城で暮らしてる」感というか、おとぎ話感というか、キラキラ感というか、そういうものが、逃れがたい時間経過、自分たちの成長、当たり前に起こる周囲の変化という風化に伴って、話の展開とともにぺりぺりと剥がれていく様が本当に気味が悪くて最高だった。おとぎ話のようなお城に暮らしていても、おとぎ話の住人にはなれないのだと、まざまざと見せつけてくる作品。読者である私が何気なく1ページをめくるごとに、きっと「お城」のどこかでタイルや壁紙が剥がれているのだろうと思わされる。コンスタンスとメリキャットの姉妹の生活を壊したのは、ページを

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    2025年07月06日
  • ずっとお城で暮らしてる

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    ネタバレ

    読んでいて村人からブラックウッド家に向けられる過剰なまでの悪意は純粋に不快だと感じる。けれどそれが幼い精神のままここまで過ごしてきたであろうメリキャットの視点からしか語られないから、どこまでが本当で現実はどの程度のものなんだろう、とここまで考えて悪意の許容の程度について自分が考えてしまってるのに気付いて物語の外から見透かされてるような気分になった。
    情景がすべて美しい風景で思い浮かべられるのでより悪意が引き立って村人たちの事が本当に嫌だなと感じた。

    この作品を踏まえて、ミツバチのささやきをもう一度見てみたいなと思いました。

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    2025年03月13日
  • ずっとお城で暮らしてる

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    ネタバレ

    生活の描写がとても好みだった。お屋敷の中でルーティンの様に細々と暮らす様子は、私の理想の生活そのままだった。家族が死んでいるのは寂しいかもしれないが、作中で未練に思う様子が無かったので、私は、いない方が静かで良いのではないかと思った。
    チャールズがやってきて生活が今まで通りでなくなった時は、私も怒りを覚えたし、早く出ていってくれと思った。静かで美しい生活を邪魔しないで欲しかった。
    しかし最後には、様子は随分変わってしまったけれど、小さく静かに暮らし始めてくれたので、心底嬉しかった。私も静かに、家のやるべきことだけを熟して生きていきたい。
    ホラーとかゾッとするとかの前評判をうっすら聞いていたので

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    2024年10月19日
  • ずっとお城で暮らしてる

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    ネタバレ

    ユニコーンは処女にしか懐かない、翼の生えた馬もきっと同じなのだろう。なぜなら、清らかなふたりを月の上へ連れて行ってくれたから。

    家族を毒殺した理由は書かれていなかったが、サマーハウスでの記述を見ると家族の一員として大切にされていなかった様子がうかがえる。これがひとつの大きな原因なのだろう。

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    2024年01月16日
  • なんでもない一日 シャーリイ・ジャクスン短編集

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    切れがある人物描写が素晴らしい。
    人間の嫌な内面を描く作品もあれば、『レディとの旅』のようなほろ苦くずっと心に残りそうな作品もあった。
    いわゆるどんでん返しなどもあったりして、作者の懐の深さかうかがえる。
    『なんでもない日にピーナッツを持って』や『城の主』『メルヴィル夫人の買い物』のように最後まで展開がわからないものも多く、楽しめた。
    『悪の可能性』は人間の邪悪さと、そこからの結果がなかなかぞっとするものがあった。
    そういえばこの作品群の中には意地悪なおばあさんがよく出てきましたね。
    『おつらいときには』でも、悩んでいる人の相談に乗りたいのではなくて悩んでる人が自分を求めた=自分の手紙で救われ

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    2020年11月29日
  • なんでもない一日 シャーリイ・ジャクスン短編集

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    『メルヴィル夫人の買い物』
    冒頭からクレーマーだとわかって酷く嫌な気持ちになる。
    シャーリイ・ジャクスンは狭い世界で生きる人の心理を描くことに長けているが、これは殊更だなと思う。

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    2017年09月29日
  • なんでもない一日 シャーリイ・ジャクスン短編集

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    話が通じない、コミュニケーション不全の話が多いように思った。夭折の作家だったんだね。男の子の育て方に苦労しているエッセイを読む分にはそんなイメージはないんだけど。悪魔を法律で騙す話は好き。悪魔も法律と女の子とおばさんには敵わない。

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    2016年05月17日
  • なんでもない一日 シャーリイ・ジャクスン短編集

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    シャーリイ・ジャクスンの描いた日常は白黒のテレビが初めて家にやって来た頃に観た「じゃじゃ馬百万長者」のエピソードのようで、何だか作り物のような手触りがして嘘臭い。でもそこから当時の当たり前や海の向こうの常識なんかを取り去ると、残るものは案外今でもそこら中で起こっている話なんだろうなとは想像する。

    じゃじゃ馬百万長者が、当時のアメリカのことや油田で一儲けする話なんてなんにも知らなかった子供にも面白いと思えたのはどうしてだろう。海の向こうとこちらの違いの意味するところも定かでない子供にも面白いと思えたということは、きっと何か本質的なことが笑いの対象になっているからだ。それはきっとイソップのネズミ

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    2016年05月16日
  • ずっとお城で暮らしてる

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    ネタバレ

    ずっと読みたいと思ってたのをやっと読んでみた。

    ホラーや恐怖小説とされるようですが、私は恐怖や不快感はあまり感じなかった。
    確かに村人の集団からの悪意は読んでいてつからったし、チャールズがメリキャットにキツくあたるのも辛かった。
    でも、どうしてもメリキャットには不快感を感じなかった。
    確かに妄想も激しいし普通とは言えない状態ではあるのだろうけど…なんでだろう純粋さを感じるからだろうか、つい同じ目線になってしまった。
    語り手がメリキャットじゃなければ凄く異様な光景だったのだろうけど、メリキャットが語るとそれでいい気がするし美しくも感じる。
    結局私の中には村人もチャールズもいるのだろうけど、メリ

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    2024年02月29日
  • ずっとお城で暮らしてる

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    ネタバレ

    ぞわぞわするお話
    個人的にはチャールズが本当の本当にカスで救いようのない男だなと感じた

    作中のお屋敷が火事になってからの「暴徒」には目も当てられない
    あのシーンは顔を歪めながら読んでしまった

    メリキャットはなぜ狂ってしまったんだろう
    元からなのか、この生活からの逃避なのか

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    2025年11月12日
  • 処刑人

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    最後どうなってしまうのかとおもった。ナタリーのキャラクター造形が見事で、性暴行のトラウマから回復できないまま、周りの全員を見下して己の尊厳をなんとか保っている。

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    2025年08月25日
  • ずっとお城で暮らしてる

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    人間の悪意がすごい!
    この一家がなぜここまで憎まれているのか、こんな仕打ちを受ける理由はなんなのかわからないけれど恐ろしすぎる。火事の場面で集団になって家を破壊して回る村人たちに虫唾が走るような気持ちになった。その後罪滅ぼしかのように食料を置いていくのも気持ち悪い。ずっとメアリの視点から語られているからだろうけれど、チャールズには私も苛立ちを感じてしまった。本当は姉妹もおじさんも適切な治療を受けるべきだったのかもしれない。でも二人が好きなようにこのお城でずっと暮らしていけるのならそれが一番幸せなんだろうな。

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    2025年05月31日
  • なんでもない一日 シャーリイ・ジャクスン短編集

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    抽象的でフワッとしてるというか、真相は読者の解釈に委ねますみたいな話が多い
    疲れてるときに読むとよくわからなくて大変かも
    逆に言えば、人によっていろんな解釈ができるってことなので、ちゃんと読むと面白い

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    2025年05月24日
  • ずっとお城で暮らしてる

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    面白い。
    とある事件で家族のほとんどが亡くなって以来、近隣住民から忌み嫌われている名家で静かに暮らす姉妹2人とその伯父と猫。
    姉と身体の悪い伯父は屋敷に引きこもり、買い出しに出かける妹は近隣住民たちから心ない言葉をかけられている。
    広い敷地の中は平和で、家族の仲は良いが、どこか違和感のある会話が多く...。
    最後まで読んでからまた読み返すと違和感にも納得がいくが、不気味な作品である。

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    2025年04月13日
  • ずっとお城で暮らしてる

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    ネタバレ

     毒殺事件が起きた屋敷で暮らす姉妹を中心とした麗しい姉妹愛…ではなく事件の影響で家から出られなくなった姉と精神年齢が幼く自分の世界に姉と閉じ籠ることを願う妹、そして彼女達を排斥する村人達という登場人物の誰もが普通ではない状況で不穏な雰囲気が終盤まで続く展開に胃もたれしそうだった。ラストは…もうタイトルどおり…

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    2025年02月16日
  • ずっとお城で暮らしてる

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    少なくとも3つのタイプの人間の邪悪さか描かれている様に思う
    一つは異物を排除する邪悪さ
    一つは偽善の邪悪さ
    一つは好きなものと楽園を作りたい邪悪さ

    とにかくジワジワ来る嫌なお話なんだけど、お話自体は御伽噺の様でどこかファンタジーな空気が流れてます。

    この作品はもう少し深掘りして考察したい作品。

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    2024年12月16日
  • ずっとお城で暮らしてる

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    ネタバレ

    オーディブルで聞いたので、メリキャットの可愛い声とコニー姉さんの美しい声が印象的だった。子供たちのメリキャットを囃し立てる声も文字で読むよりきっと憎らしい。
    なぜメリキャットは家族を殺したのか(おそらく「お仕置き」が原因なのだろうけど)、またなぜブラックウッド家はそこまで村人たちに嫌われているのかなど最後まで明らかにされないことはあったけど、2人の姉妹がひっそりとお城のようなお屋敷で暮らす様は退廃的な美しさがある。金さえあれば私もそのように暮らしたい。

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    2024年11月01日
  • ずっとお城で暮らしてる

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    ドロドロしてるいのにどこか美しくて童話のような不思議な世界観で、よくわからない感じもありながらも読み進めてしまう作品で、意外と好きになりました。著者さんの他の作品も読んでみたいです。

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    2024年06月02日