心霊現象があるどころか、何人もの犠牲者が出た最恐の幽霊屋敷、旧朽城家。その中には名の知れた霊能者も。一見、普通の小綺麗な一軒家なのは、家主が幽霊屋敷と公言した上で借家として貸し出しているから。探偵獏田は友人でその家を管理している不動産会社の尾形に、屋敷の過去の事件について調査して欲しいと依頼される。
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序章で尾形が語る幽霊屋敷での事件を聞いただけで「うわぁ」と思うのに、続く一〜五章で関係者視点で過去の事件のあらましが語られて、その禍々しさと犠牲者の数にひたすら驚愕。二章で登場するライターの鍋島が著した本の抜粋が時折差し挟まれ、どうやら最初に住んでいた霊能者朽城キイが各地心霊スポットで壺に封じ込んだ悪霊たちが、壺が割れたことで解き放たれて最恐の幽霊屋敷と化したのだとわかってくる。
一方でその各地スポットのいくつかは何者かが人為的に呪いをかけて犠牲者を誘っていることも示唆されている。そうなるとその人物が誰なのかというミステリ要素も立ち上がり、誰もがこいつが怪しいだろうと思う人物がたしかに仕組んでいたのだが、さらに驚愕の真相というか予想も出来ない第三者の正体が暴かれる終章にいたっても探偵が朗々と推理を語るようなありがちなものでなく、ものすごいことになっていく。最後まで血みどろなのだ。もはや何人死んだのだろうと数える気もなくなるほどで、圧倒された。終章の謎解きと意外な人物の正体については強引に感じないでもないけど、とにかく読んでて怖くて、でも読むのをやめられず、ほぼ一気読み。ひさびさに面白かった。
ホラーの中に人怖がうまく融合した作りも澤村伊智さんと似てるなと思ったので、彼の著作が好きな方はきっと気に入るのではないかと。