厚めの本だったけれど、あっという間に読み終えた。
第二次世界大戦下を舞台に描写される、裏切りや後悔、嫉妬など、決して綺麗ではない心模様は、とても印象に残った。
登場人物を通して、普段なら目を背けたくなるような感情に、向き合わせてもらった。あからさまに悪い人でなくとも持っていて、発動する感情である
...続きを読むことを改めて痛感した。
「相手を恨まないように努力する、心の中のことはわからないから。」
ー リリーのスピーチより
本当にその通りだなと思う。
家庭を養うために働き、密告者の手紙を元にユダヤ人を取り締まるオディールの父、マーガレットへの仕打ちを許容したポールや、親友の秘密を暴露しようとしたリリーなど、彼らが私の心の中にも住んでいるという自覚と、上手に折り合いをつける姿勢を養いたいと思った。
最後の方で、オディールとリリーの出会いについて明かされるところ、良かったな。