原島文世の一覧
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ユーザーレビュー
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<アテナ・クラブの驚くべき冒険>シリーズの第二作。本書はその前半部分。メアリ嬢はジキル博士の娘。さらにハイド氏、ドクター・モロー、フランケンシュタイン(科学者の方)、ラパチーニ教授の「娘」たちが集結した<アテナ・クラブ>。加えて名探偵ホームズとワトソンも。謎の組織<錬金術師協会>の陰謀に立ち向かう
...続きを読む。
アテナ・クラブの面々はヴァン・ヘルシング教授の娘ルシンダを助けるべくウィーンへ。そこで彼女たちを助けるのがアイリーン・アドラーで、現在はアイリーン・ノートン夫人(未亡人です)となっている。
ちょっと展開が間延びした感があるが、相変わらず面白
い。評価は「ウイーン篇」に関してです。「ブダペスト篇」が楽しみ。
Posted by ブクログ
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主婦 Housewife(名詞)ー軽薄で役に立たない女性または少女ーオックスフォード英語辞典 小型版 一九七一年
この物語の舞台は、1988年〜1997年のアメリカ南部。主人公で主婦のパトリシアは、格式ばった読書会の参加をやめ、数人ほどの主婦たちの、犯罪実録書やホラー小説などを読む読書会に参加して
...続きを読むいた。
ある日パトリシアは自宅の庭で、アライグマの死体を屠っていた隣人老婦に片耳を食いちぎられてしまう。
そして謝罪に来たその老婦の大甥であるという男ジェームズを快く家に招き入れてしまう。
しかしジェームズはなんと吸血鬼だったのだ!
そしてそのことを知っているのは、パトリシアを始めとした読書会の主婦たちだけ…
いやジェームズが吸血鬼って書いちゃうなんて重大なネタバレじゃないか!と思われそうだが(実際ジェームズが吸血鬼であると本文で断言されるまでかなりのページ数を要する)、これ本書のあらすじに書かれてるんですよ。
それに、本書を楽しく(?)読み進めるうえで、この程度のネタバレは全然問題ないのである。
(でも以下からはネタバレを多少含むのでご注意ください。)
展開として、気づいた時にはジェームズは3年の月日をかけて地域全体を巻き込んで完全に地域に溶け込み、主人公たちの夫である白人男性たちの信頼を勝ち取ってしまっていた…という状況から、いかにしてジェームズを排除するのかが本題である。
ジェームズは完全に地域に溶け込み切るまでに、既に黒人居住区の子どもたちを多く屠り死なせている。この居住区にはパトリシアの家の家事サポートや義母の介護サポートをしてくれているミセス・グリーンの家族もあり、ミセス・グリーンはパトリシアたちに助けを求めていた。
しかしその時点で、パトリシアたちは黒人の子どもたちを助けることができず、いや、自己保身のために助けることを諦め見捨ててしまった。
今度こそは自分たちの子どもたちを守りたい…!
しかし状況はパトリシアの孤軍奮闘状態。
1人じゃどうしようもない…
どうすれば子どもたちを守れるだろう…?
本書は手に汗握る、(そしてパトリシアの孤軍奮闘ぶりに冷や汗ダラダラ胃がキリキリする)ホラーエンターテイメントでありながら、主婦としての女性の立場、黒人の立場、白人男性の優位的な立場にスポットを当て、弱き者を弱き者として扱い続けてたまるかといった熱いメッセージを持っている。
感想冒頭に引用した「主婦」の言葉の意味は、本書冒頭に書かれているものだ。
また作者は、親たちの物語を書きたかった、自分の母親たちに吸血鬼と闘って欲しかった、と言っている。
そしてこの物語における戦いは、「公正なものではない」、とも。
直接的には吸血鬼と主婦たちの闘いであるが、実際的には優位にある白人男性たちと、地位の低い主婦や黒人たちとの闘いである、と感じた。
物語で、ジェームズの危険性を訴えたパトリシアに対する、夫カーター(職業精神科医)による妻の扱いは侮蔑的なものだった。子どもたちの目の前で母親としての権威を失墜させ、精神病院に入院させママは異常なのだと見せつけた。それでいて自分は理想的な良き父親像を演じ、実際そうなのだと思い込んでいる。
下手するとジェームズよりよっぽど「敵」ではないかと思ってしまった。鼻持ちならないキャラクターである(そしてそれらの行動は現在ではDVと認識されるものだろう)。この物語の時代柄、妻へのこういった扱いが認められていたのだろうが…
またジェームズ自身も見た目は白人男性であり、自分の白人男性としての優位性と、世界で唯一存在する吸血鬼としての自尊心を過大に持ち備え、パトリシアたち主婦をかなり見下した暴言を吐いている。
ホラーエンターテイメントであるが、これらの要素も加わり、かなり読み応えのある作品となっている。
現在日本でも、主婦の立場は弱い。主婦の家の仕事の多さと忙しさを知りもしないで、主婦は気楽でいいなどと言われるのだから憤慨ものである。
本書でも、パトリシアの誰にも(夫にも)助けられず育児家事にと目の回るような忙しさに追われている描写が細かくされている。
それらの努力や愛情が、子どもになかなか伝わらないもどかしさも。
ジェームズと対する時の主婦たちの連帯感と奮闘ぶりも見どころである。彼女たちの誰1人が欠けてもこの展開にはならない。
ぜひたくさんの人に読んでほしい。
また本書にはたくさんの実在するホラー小説や犯罪実録本が登場し、すべてではないがほとんどの章題がそれらの作品のタイトルから付けられている(「マディソン郡の橋」「冷血」「テッド・バンディー「アメリカの模範青年」の血塗られた闇」など)。
参考文献もそれだけ膨大である。
残念ながら、章題に使われた書物は私はどれも読んだことがないので、なぜこの章にこのタイトルが選ばれたのか、といった理由は分からない。
面白そうなものがあれば、いくつか読んでみたいと思う。
最後に、作者の著作は、本作が初邦訳だそうだ。
面白い題材のホラー作品を書く方だと本作を読んで思ったので、ぜひ他の著作も邦訳・出版されてほしいものである。
Posted by ブクログ
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「不思議の国の少女たち」シリーズ3冊目。最初の巻の続編ではあるけれど、主要登場人物の何人かは故郷(という名の異世界)に帰ってしまったので、新しいメンバーもいる。そして、空から落ちてきた少女リニ。彼女は、前にこの学園にいたスミの娘だと名乗る。スミが戻らなければ、消えてしまうリニを救うために、4人の生徒
...続きを読むが、死者の国を経由して、お菓子の国に向かう。それぞれの国におかしなルールはあるけれど、ナンセンスの世界であるお菓子の国は特によくわからなくて面白い。翻訳では三部作の完結となっているが、原書は5冊まで出ている。ひきつづき、翻訳されることを期待している。
Posted by ブクログ
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「不思議の国の少女たち」の2作目。続編というよりは、登場人物の中にいた双子の過去の物語。すでに概要は語られていたのだけれど、物語として詳しく書かれている。親に押し付けられた「元気な子」「おしとやかな子」というイメージに苦しむ子どもたちの話。前に読んだ「とわの庭」も親子問題だったので、続けて読むもんじ
...続きを読むゃないなって思った。自分は娘に何かを押し付けていないかと、親の視点になってしまう。次の作品までで三部作と書かれているので、全体がハッピーエンドになってくれることを期待。
Posted by ブクログ
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このシリーズの5作目"Come Tumbling Down"がHugo賞候補になっているのだが、シリーズ途中を英語でというのはあまりにハードルが高いので、邦訳が出ている1作目を読んだ。巻末の解説では三部作とあるのだけど、5作目が出ているので、そこまで訳してほしいなぁ。寄宿制の学校が舞台。普通の学校と
...続きを読む違って、先生も生徒も、かって、扉をくぐって、別の世界に暮らしたことがあるものばかり。夢のようなロマンチックな国が多いのだけれど、主人公のナンシーが過ごしたのは死者の国。別の世界を故郷と考え、元いた現実世界に馴染むことを拒否した生徒達。そんな世界で殺人が起こる。とっても面白い設定。
Posted by ブクログ
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