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Posted by ブクログ
このシリーズの5作目"Come Tumbling Down"がHugo賞候補になっているのだが、シリーズ途中を英語でというのはあまりにハードルが高いので、邦訳が出ている1作目を読んだ。巻末の解説では三部作とあるのだけど、5作目が出ているので、そこまで訳してほしいなぁ。寄宿制の学校が舞台。普通の学校と違って、先生も生徒も、かって、扉をくぐって、別の世界に暮らしたことがあるものばかり。夢のようなロマンチックな国が多いのだけれど、主人公のナンシーが過ごしたのは死者の国。別の世界を故郷と考え、元いた現実世界に馴染むことを拒否した生徒達。そんな世界で殺人が起こる。とっても面白い設定。
Posted by ブクログ
ファンタジー3部作の1作目。
異世界へ行って戻ってきた少女たちが集まる学園での物語。
いくつも異世界があるという異色の設定が光ります。
転入生のナンシーは、学園に足を踏み入れる。
突然、「死者の殿堂」という異世界に飛び、ナンシーには何年もそこで過ごして順応した記憶があるのだが、現実には半年間の行方不明。両親に何を話しても、空想としか受け止めてもらえないまま。
この学園は、異世界に戻りたい気持ちを抱いている子のためのものだった。
学長のエリノア自身、異世界に行った経験がある。しかも、何度も。
それは異例なことで、普通は行くのは一度だけで二度と戻れないため、そのことをだんだんに受け入れ、こっちの世界に馴染む必要があるのだ。
お菓子の国など、不思議の国に近そうなイメージの異世界もあれば、骸骨国など見当がつかない世界、ヴァンパイア、死者など、危険そうな世界もある。
そんな世界の性質を表すのに、「ナンセンス←→ロジック」「邪悪さ←→高潔さ」という指標を使うのもユニーク。
ほとんどが女子だが、妖精の国で王女と扱われていた美少年のケイドのように、男子もいる。
そんな学園で殺人事件が起こり…?
今自分がいる世界に馴染めないでいる10代半ばの子は結構いるでしょう。
感じやすい年齢の少女が黒い口紅やキッチュなドレスで装うゴスロリ・ファッションを思わせるダークさがある世界で、表紙のイラストがぴったり。
設定が変わっている割には短い作品なので、これだけではわからない気もしますが。
1作目では男装しているクールなジャックと双子のジルが異世界にいた当時の話になっている、2作目が面白かったです。
ヒューゴー賞など主要な三賞を受賞している、骨太な作品です。
Posted by ブクログ
不思議の国に行ってしまった子供たちがこちらの世界にかえってきた後の物語。
もっとふわふわした話しかと思ったが、不思議の国に帰りたいという気持ち大きすぎて、現実の折り合いをつけることが難しい。
主人公のナンシーは、冥界の世界から戻ってきており、カラフルな色や、食事が苦手。親の思う子供とは違い、親は子供を受け入れることができず、この学校に送り込まれた。
いつでもどこでの親は、子供にこうあってほしいという理想がある、、、
不思議の国というと、キラキラ、ふわふわの世界を思い浮かべていたが、冥界の世界、荒野の世界、などいろいろな世界があるのだな。
殺人事件が起こり、びっくりしたが、最終的には(ナンシーにとって)幸せな結末になったのかなと思った。
三部作の一作目らしいので、続きもちょっと気になります。
Posted by ブクログ
一度〈あちら側の世界〉に行って、ふたたびこの世界へ戻ってきた子どもたちばかりを集めたエリノアの学校には、ナンセンスの世界へ行ったスミ、吸血鬼の統べる荒地に行った双子のジャックとジル、妖精界に捨てられたケイドたちがいた。〈死者の殿堂〉から戻ってきて世間に馴染めずにいたナンシーが編入してくると、その二日後に残酷な事件が発生する。慣れない環境に戸惑うナンシーに、疑いの目を向ける生徒たち。その後も何者かによって次々に少女たちが狙われ……。
異世界から現実世界へ戻ってきた子どもたちの虚脱状態にスポットを当てたのが面白いアイデア。異世界へ行く前後で性格が真逆になり、親と世間の無理解に苦しむ少年少女たちは、異世界をこそ「ふるさと」と感じ、早く戻りたいと切望している。二年目の九月に誰も迎えにきてくれなかったハリー・ポッターが集まってるような学校と言ったらいいか。やがて起こる集団ヒステリーの予感をはらんだ学園生活の描写は、恩田陸の『麦の海に沈む果実』も連想する。ナンシーのキャラも記憶喪失中の理瀬に近いかも。
各々が訪れた世界を〈ロジック←→ナンセンス〉〈ウィキッド←→ヴァーチュー〉という対立概念の軸を使ってマッピングしているのも面白い。たとえばナンシーの〈死者の殿堂〉は「高ロジック・高ウィキッド」と言い表される。そして、キラキラしたかわいい生きものたちの世界を旅した生徒たちは、ナンシーや双子たちのように不気味な世界から帰ってきた生徒を見下して差別していることがのちのち明らかになる。
ケイドの性自認や、「なぜこの学校には女の子ばかりなのか」という質問に対するランディのフェミニズム的(むしろ男性学的?)な返答など、もろもろ思春期の鬱屈をファンタジーに落とし込んだ最新版アップデート!という感じなんだろうと思いつつ、少々言葉足らずでテーマが先走っている、というのが素直な感想。
一番気になるのはエリノアの描き方。本書はナンシーを主人公にしながら、書き出しはエリノア視点で始まる。大人が読んでも共感できるキャラクターとして設定されているのかなと思うのだが、エリノアは死体の処理をナンシーたち学園の嫌われ者グループに押し付けてしまったり、素性を全部ケイドの口から説明して終わりだったり、非常に中途半端な存在である。ティーンたちの会話を通じて伝えようとしているセクシャリティに対する問題意識と比較して、子どもの保護者としての大人の描き方には疑問が残った。ダンブルドアだってもうちょっと頼りになる(笑)。
また後半の、ジルを一人にしちゃいけない→手分けして探す→見つからない→屋根裏に集合→逆にジルがみんなを探しにくる、の流れがまどろっこしすぎる。魅力的なところも多いけど、上手な小説ではないと思う。ヒューゴー賞・ネビュラ賞同時受賞というので期待していたので、三部作を全部読んだら評価がまた変わるといいなと思う。
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小説・文芸
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