7世紀のアイルランドという珍しい時代を描いた、修道女フィデルマのシリーズ。
8作目、後半。
これは中でも、船旅が舞台なのと、フィデルマの若い頃の恋人が出てくる、珍しい話です。
王の妹であり勝気で勉学好きな修道女フィデルマ、でもまだどう生きるかははっきり決めていなかった頃。
騎士と恋に落ちて結婚を考
...続きを読むえましたが、手ひどくふられてしまった。こんな恋愛があったとは。
その相手が今は修道士になって同じ船に乗っていた。
当時のキリスト教は聖職者でも結婚できて、男女が一緒に暮らして夫婦で子育てをする修道院もあったのです。
この時代に、ローマでは高位の聖職者については独身が推奨されるようになっていくのですが。まだ強制ではありません。
数々の事件を共に解決した修道士エイダルフに惹かれているフィデルマですが。
エイダルフははっきりしたことは言わず、それが天然だからか?故国や恩師の期待を担っているからか、王の妹であるフィデルマに配慮しているのもあるのか‥
互いの意思は今一つ。さて?
修道女フィデルマのシリーズは、1995年から原著は発表されています。
日本では2000年の短編集の方が先に、2009年から発行されました。
長編の発行順も、原著の順番とは違うので、ちょっとややこしい?
本国での発表順だと、長編は
「死をもちて赦されん」
「サクソンの司教冠」
「幼き子らよ、我がもとへ」
「蛇、もっとも禍し」
「蜘蛛の巣」
「翳深き谷」
「消えた修道士」
「憐れみをなす者」
「昏き聖母」の順になります。
作者ピーター・トレメインは、イングランド生まれですが、アイルランド系。
ケルトの研究で知られる学者でもあります。
古代アイルランドの法の先進性に誇りを持ち、生き生きとした女性の活躍を描いているシリーズですね。