【感想・ネタバレ】修道女フィデルマの慧眼 修道女フィデルマ短編集のレビュー

あらすじ

聖人の亡骸が眠る地への巡礼に加わったフィデルマ、そこで心臓をひと突きされた修道女の死体が見つかり捜査することに……「祝祭日の死体」。ラーハン王国で催される大祭を訪れたフィデルマとダロウの修道院長ラズローンが、エールの飲み比べ競争の最中に死んだ闘士の事件に挑む「夜の黄金」。ドーリィーとして殺人および窃盗の罪で告発されている少年の弁護を引き受けたフィデルマが真相に迫る「撒かれた棘」など全5編を収録。法廷弁護士にして裁判官、アイルランド全土を旅する修道女探偵フィデルマが、事件を鮮やかに解決する。短編集第6弾。/【目次】祝祭日の死体/狗のかへり来りて……/夜の黄金/撒かれた棘/尊者の死/訳註/解説=♪akira

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Posted by ブクログ

相変わらずどんな身分の相手であれ自分であれそれぞれの持つ権利をきっちり守ろうとする堅物ぶりが心地よい。
短編集なので、フィデルマと共に証言を拾いながら犯人を推察できるのも楽しかった。

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2025年08月27日

Posted by ブクログ

「祝祭日の死体」Corpse on a Holy Day
聖デクランの祝祭日。彼を祀る礼拝堂に詣でたフィデルマは、二百年間眠る聖人の亡骸の上に、刺殺されて間もない若い女性の遺体を発見する。その女性はフィデルマが訪問しようとしていた修道院の見習い修道女だった。
リアル現代と通じるような猛暑の中、聖地巡礼をするフィデルマ。「なんでこんな暑い中を…」と言いつつも、良い事なんだから!と自分に言い聞かせる優等生気質がほほえましい。それでも事件でごたんに元気になってしまうフィデルマ。

「狗(いぬ)のかへり来(きた)りて……」Like a Dog Returning...
聖パトリックの直筆を納めた絢爛豪華な聖遺物箱の前に据えられた、若い娘の彫像に興味をひかれたフィデルマ。なぜか来歴を言い渋る修道院長を問い詰めると、二十年ほど前にこの場所で殺された修道女がモデルだという。しかしその犯人は、法廷で裁かれる前に修道士たちのリンチにより死んでしまった。納得がいかないフィデルマは過去の事件を探り始める。犯人とされた男性の娘が出てきたり、いかにも冤罪の空気がぷんぷん。クリスティ某作品を思わせる“過去の事件を解決”パターン。

「夜の黄金」Gold at Night
モアン王国と対立関係にあるアイルランド第二の大国ラーハンでは、三年ぶりの大祭が開かれていた。賓客として呼ばれていたフィデルマは、後見人ラズローンと親交を温めるのもつかの間、酒の飲み比べ競争で突然死した男の捜査を頼まれる。どうやら毒殺事件だと判明したため、ただちに調査を開始する。
飲んだ酒の量で氏族の優劣が決まるというくだらない勝負にうんざりするのがいかにもフィデルマ。酒飲み比べで死ぬなんでバカバカしい!何やってんのと思いつつも、事件となるとやはり張り切ってしまうお姫様。

「撒かれた棘」Scattered Thorns
小村で起きた殺人および窃盗事件の容疑者は16歳の少年だった。当地のブレホンから弁護を頼まれたフィデルマがその少年と話してみると、彼は自分の身の潔白を証明することを諦めていた。その理由は、彼と父親が市民権すらない最下級の階級に属する人間だからだという。
弱者に優しく権威主義者に厳しいフィデルマがかっこいい。

「尊者の死 」Death of an Icon
かつては勇猛果敢な修道士としてアイルランド全土にその名が知れ渡った尊者ゲラシウスが、90歳を間近に小小動員内で殺された。小修道院の長である神父によれば、金品を目当てに盗みに入った危険な放浪者が、出くわしたゲラシウスを殺害し、貴重な品々をもって逃走したのだという。殺害された状況と神父の説明に納得がいかないフィデルマ。おまけに現場は事件当時に完全な密室状態だったという。フィデルマは調べを始めるが。
フィデルマ、密室殺人に挑む!皆尊者が大好き故にいろいろ動いてしまう困ったちゃん関係者。

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2025年09月28日

Posted by ブクログ

2025年の30冊目は、ピーター・トレメインの「修道女フィデルマの慧眼」です。日本独自の短編集となります。前作「風に散る煙」が、かなり良かっただけに、この短編集も期待が持てる所です。
このシリーズの最大の魅力は、7世紀の古代アイルランドを舞台としているという唯一無二の世界感と主人公フィデルマのモアン王国国王の妹君にして、法廷弁護人という属性、聡明でいて、機知に富んだ性格という、これまた無二のキャラクターに有ります。
素晴らしかった前作と比べてしまうと、もの足りなさを感じもしますが、密室の死の謎を解く「尊者の死」や「撒かれた棘」がおすすめです。いつものように含蓄有る言葉も随所に盛り込まれています。
☆4.4次作の長編に期待です。

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2025年08月25日

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