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人はなぜ人を殺すのか――。河内音頭のスタンダードナンバーにうたいつがれる、実際に起きた大量殺人事件「河内十人斬り」をモチーフに、永遠のテーマに迫る著者渾身の長編小説。第四十一回谷崎潤一郎賞受賞作。
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Posted by ブクログ
バキ童チャンネルで紹介されていて読んでみた本。 思いの外時間がかかり、読み終わるまでに1カ月以上かかりました。 なぜそれほど時間がかかったのか。自分のメンタルが弱っていた時期だったことも一因ですが、なにより熊太郎の言動にどこか自分自身を感じるところがあり、「ウッ!」と胸を締め付けられて、気持ちを整...続きを読む理してからでないと読み進められなかったからだと思います。 6割を過ぎたあたりからは一気に読めたのですが、前半の「心に違和感を抱いているものの、自分自身の言語化能力が足りないために不快感を解消できず、それゆえコミュニケーションがうまくいかない」あたりは、かなり来るものがありました。 具体的に自分自身にそういうエピソードがあるかと言えば、子どもの頃に勘違いで叱責されても言い返せなかったもどかしい思い出くらいかな、と思っていたのですが、よくよく思い返してみると、私も子どもの頃、色々と違和感を覚えてはそこから疎外感を抱いていたかもな、とか、今でもそれなりの割合で「話が通じていないな」「なんか話してるけど上滑りしてんな」と感じて絶望したり、はたまた焦ってしまったりという経験をすることがありました。 だからこそ、熊太郎が何かを一生謙命に説明しようとしてスベッているところは、自分を見ているようで結構辛かったです。まぁ、このあたりは、相手が何を求めているのかのシミュレーションが上手くできないことと、仮にシミュレーションできたとて、それを自分の喋る内容に反映できないという、いわゆるコミュニケーションスキルが私に足りていないからかな、と思ったりします。 学生時代から社会人になって転勤するまでの約10年ほど大阪に住んでいたことがあるので、大阪については住んだことがない人よりは詳しいつもりです。ただ、住んでいたのは北摂なので、河内と言えば「水ナスおいしいですよね」くらいの知識しかありませんでした。それゆえ、ほぼ前提知識なしにこの本を読んだのですが、熊太郎目線で物語を見ていると、どうしても「あかんではないか」と一刀両断に言い切れない自分がいるわけです。 確かに熊やんのしたことは「あかん」ことです。あかんけれども、それってほんまに熊やんだけのせいですか? なんか少しでも要素が変われば、ちょっと足りない農夫として幸せに暮らせたんちゃいますか? メリトクラシーにまみれた現代人から見れば、熊やんのあかんの根底には「能力不足」があると解釈できるんやけど、能力がないことはホンマにあかんことですか? 構造化の能力が低くて、他人の気持ちをシミュレーションする能力が弱くて、自己分析能力が低くて、自制心が低く、言語化能力が低いのはあかんのですか? 足りないことが多いのはあかんのですか? 「いやいや、能力が無いとて多くの人はその上で自分の責任と意志で頑張って、足りない分を補ったり、出来ることを伸ばしてどうにか暮らしているではないか。熊やんが能力が足りないからといって無頼になって犯罪を犯したことは、他の人がやっている『義務とも言えるべき努力』を熊やんがサボったからではないか?」 そう思われる方もいるとは思いますし、仰る通りだとも思います。ただ、一概に「あかん」と切って捨てられないじゃないですか。確かに熊やんは「あかん」ことをしてるし、「どうしようもない」状態ではあります。ただ、言うても生きること・思考することをサボってるわけじゃないじゃないですか。思考することに関しては、多くの村人よりも多くやってたんとちゃいますか?(しらんけど) 外から見たら「みんなが出来ることをやってない・サボったからこそ、あかんことになっている」ように見えますけど、内から見たら何もサボってないやないですか。みんなが出来ることは出来てないですが、サボっていない。サボってないのに差が出るなら、それは「才能」の差なんとちゃいますか? そう考えると、熊やんのことを大手を振って「あかんではないか」と言い切れないんとちゃいますか? という気持ちになる本。
『太平記 ラブ&ピース』から、町田康作品2冊目。 発明ともいうべき独特の文体と軽妙な河内弁のリズムに乗って進んでゆくのが心地よく、割とさくさく読んでいたのだが、残り200ページという辺りから暗雲が立ち込め、そして最後はすべてのツケを払うかのように崩壊してゆく。特に何も解決せず、誰かが救われるというこ...続きを読むともない。 「他人には自分のことを理解できるはずもない」という思いと、「誰かに理解されて救われたい」という思いを同時に抱きながら、拗れに拗れた結果、最期の最期は「なんらの言葉もなかった。なんらの思いもなかった。」である熊太郎の孤独。 自分とはなんだったのか。他の人も同じように思うことがあるのか。自分だけなのか。まるで自分だけが孤独であるように思う、その虚しさ。そして実際熊太郎の魂はひとり、人間の長く短い命のうねりをそこから外れたところで眺めている。 感想がうまく言葉にならない。 人生の孤独はその人生を生きる者だけの特権だが、本人がそこから目を逸らし続ける様を描くと、かくも悲劇的になるのかと呆然とする。熊太郎の人生は何だったのだろうか。
歴史に埋もれた中にもそれぞれの人生がある。現代にも語り継がれる凶悪な事件の中にも省略された細部に人の想いと価値観が存在している。人はなぜ自分の想いを言葉にできないのか。なぜ社会と自分は折り合えないのか。文学の主要テーマを語りながら唯一無二の文体で圧倒的な分量を読ませる力強さを感じた。
今まで読んできた本と毛色の異なる文体/展開で、 ページ数もありかなり読み応えがあった。 熊太郎の思案が深いが故に言葉がうまく紡げない様の表現が秀逸だと感じた
全ての行動は自分のため。 他人のためになることをしたとしても、それが100%の純度で他人のためということはあり得ないということを忘れないでおきたい。 そうすれば自分の行動を他人のせいにしたり、他人の行動を自分のせいにしたりせずに済む。 人はそれぞれ自分勝手に、自分の得になるように生きている。 端から...続きを読む見てどんなに莫迦げた行動だとしても、その人なりの正当な理由があるのだということも忘れないでおきたい。 『告白』というタイトルがどこから来るのかと思いながら読み進めた。 人の思いの全てが他人に伝わることは決してない。 自分のことだって自分自身には分からないことばかりなのだから、熊太郎でなくても思っていることを言葉にすることは難しい。 その上、他人に自分のことを語るとなると、その相手との関係から大袈裟に語ったり誤魔化したりもしてしまう。 そういうことなしに人の思いを言葉にして伝えられるのが小説なのだと思った。 もちろん実在する人物のことではないし、この作品の熊太郎は実在した人物のことだとしても他の作品と同様、筆者の想像と創造でしかないのだけれど。 ひとりの人に何が起こり、何を思った結果、何をしたか、その全部が受け取り手に正しく伝わるのは小説しかない。 だから、最期の場面だけでなく、この小説の全てが熊太郎の『告白』なのだと思う。 熊太郎の周囲にいた人たちは熊太郎の行動だけを見て熊太郎のことを莫迦にすることは出来るだろう。 でも、熊太郎の内面を知ることの出来た私は莫迦になど出来ないし、むしろその無垢さに感動してしまう。 そして自分の中にも少なからず共通する部分があると感じる。 私も「告白」したい。
熊太郎の胸の内に抱えているものに共感できすぎてつらい。読むのがつらかった。でも、だからこそ大切に咀嚼しながら読み進めた。また読み返そう。そして熊太郎を、じぶんを肯定してあげよう。
小川哲さんが勧めていたので読んだ。圧倒された。久しぶりに臓物をえぐられた読書体験。中盤以降、休憩ができず夜中まで読み耽った。出会うべきタイミングで出会うべき本と出会えた。新年早々に今年の過ごし方の指針になった、ありがとう熊よ。。。
冒頭の「あかんやないか」で他とは違う独創的な小説だということに気付かされる。舞台は明治時代だが、まるで現代の落語や漫才のように河内弁で語られていくため、読みやすく惹きつけられ長さを感じさせない。これでもかという主人公の心理描写により、通常は理解しにくい人物への同調や感情移入ができ、ずっと楽しめる凄い...続きを読む小説。
面白すぎる。800ページを感じさせない、圧倒的な読みやすさ、展開の速さ、描写の分かりやすさ。 一つ一つが目の前に浮かびます。 そして何より、この情けない主人公が、凶悪な事件に関与することになるなんて、誰にも思い浮かばないと思う。 町田康さんの文体、大好きだなぁ。
かなり分厚い本ですが数日で一気に読み終えた。 面白くてどんどん先に進んでしまう。恐ろしい筆力。 本当に哀しいお話だと思う。最後まで何も見出せなかった熊太郎の人生。めっちゃアホやけど、賢いところもあったからこその破滅人生やったんちゃうかな。 本当の本当の心の底にあるもの、熊太郎が探していたものとは。わ...続きを読むたしは、言葉にせずとも熊太郎の心を分かってほしい、という想いやったんかな、、と思った。 結局、誰も熊太郎のことを理解しなかったことが一番、怒りの大元やったんかな、、とか。 それにしても、町田康さんはいつも、自分の脳みその中や人柄、考えてることを作品に素直に書ききっていかれる印象。 しょうもない俺やけど、カッコつけて自分が憧れたいような人物になりたいと思いながら日々悩んでこられたんじゃないかなと。 充分にかっこいいと思います。ご本人が思われてるよりずっと、小説を読んだ者はそう感じています、と伝えたいな。
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告白
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町田康
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