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一人称単数
人生にあるいくつかの大事な分岐点。そして私は今ここにいる。 ――8作からなる短篇小説集、待望の文庫化! ビートルズのLPを抱えて高校の廊下を歩いていた少女。 同じバイト先だった女性から送られてきた歌集の、今も記憶にあるいくつかの短歌。 鄙びた温泉宿で背中を流してくれた、年老いた猿の告白。 スーツを身に纏いネクタイを結んだ姿を鏡で映したときの違和感――。 そこで何が起こり、何が起こらなかったのか? 驚きと謎を秘めた8篇。 「一人称単数」の世界にようこそ。 ※この電子書籍は2020年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
日暮れのあと
生と死、そして性愛――人生を謳いあげる至高の短編小説集 【誰だって、人に知られたくない秘密がある。】 「過ぎてみれば、全部、どうってことなかった」 こんなに心を震わす小説が、他にあるだろうか――? 孤独、死、性愛と情熱、そして嫉妬…… 人に悟られたくない、繊細な心の機微を見事に描く極上の短編小説集。 【解説・小川洋子】 老いを感じながら山裾で暮らす童話作家の72歳の雪代。庭を訪れた植木屋の若者から、還暦過ぎの風俗嬢への一途な恋心を聞き嫉妬するが…(表題作)。自分の夫と一緒に死んだ女に、線香をあげる妻が放つ不穏な空気(「喪中の客」)。 誰しも運命に逆らえず秘密を抱えて生きていく。 短編の名手・小池真理子が放つ、至高の7編。 〈あの人に抱いた、言葉にできない想い――〉 ・いつものように彼女に請われても、彼は化粧をしようとしなかった。(「アネモネ」) ・ある日、朽ち果てて使われなくなった玄関のブザーが鳴った…(「喪中」の客) ・若かったおばの白いふくらはぎと甘ったるい声が、彼女の遺骨を抱いて蘇る(「ミソサザイ」) ・40歳の時に恋をした相手は、大学生。旅館で親子と間違われて…(「微笑み」) 単行本 2023年6月 文藝春秋刊 文庫版 2026年4月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています -
罪人の選択
2年半の沈黙を破り、満を持して世に放つ貴志祐介ワールド全開の作品集。 最新SF「赤い雨」は、パンデミックが起きたときあらわになる人間の本性を描いた、今読むべき一作。 表題作は、著者自身が「ここまで強いテンションを維持した作品は、書いたことがありません」と断言する手に汗握るミステリー。 人間の愚かさが絶望で世界を塗りつぶすとき、希望が一筋の光となって未来を照らし出す。 〈収録作〉 「夜の記憶」――『十三番目の人格‐ISOLA‐』『黒い家』で本格デビュー前に書かれた貴重な一編。水生生物の「彼」は、暗黒の海の中で目覚め、「町」を目指す。一方三島暁と織女の夫婦は、南の島のバカンスで太陽系脱出前の最後の時を過ごす。二つの物語が交錯するとき、貴志祐介ワールドの原風景が立ち上がる。 「罪人の選択」――1946年8月21日、磯部武雄は佐久間茂に殺されようとしていた。佐久間が戦争に行っている間に、磯部が佐久間の妻を寝取ったからだ。磯部の前に出されたのは一升瓶と缶詰。一方には猛毒が入っている。もしどちらかを口にして生き延びられたら磯部は許されるという。果たして正解は? ほか「呪文」「赤い雨」の全4作。 ※この電子書籍は2020年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
万感のおもい
確かな人生の手触りに涙がにじむエッセイ集 笑いあり、涙ありの絶品エッセイ46篇を収録! 「万」エッセイの文庫最新刊。 日々に溢れるたくさんの色 大学生活をおくった京都のこと 生まれ育った大阪のこと これまで読んできた本 対談で出会ったあの人の話 大切な人との別れ 直木賞受賞までの道のり 作家として過ごす毎日のこと…… 出会った人と話し、季節の移ろいを目の当たりにし、日常の中で起きる新鮮な出来事が、たくさんの記憶を色鮮やかに呼び起こす。 ――今日も私は「しあわせな気持ち」を求め、仏頂面で執筆中である。 万城目節全開! ユーモアたっぷり、でもときに切ない。 日常の「面白い」を鋭く切り取った、確かな人生の手触りに満ちる名エッセイ。 直木賞受賞までの道のりを描いた「待ち会戦記」、「直木賞賞金の使い道」、陸上競技選手・田中希実さんと会った日のこと、そしてクイズ番組出演の記録の4篇の名作を新たに収録! 単行本 2022年5月 夏葉社刊 文庫版 2025年10月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
マイ遺品セレクション
※電子書籍版の写真はカラーです。 「マイ遺品」とは、「死ぬまで捨てるもんか!」と強い意志を持って収集し続けているモノのこと。 還暦過ぎても生前整理や断舎離は一切やらず、人に見せて笑ってもらうためだけに倉庫まで借りて集め続けている「マイ遺品」を一挙大公開! ヤシの実を使ったキャラ人形やヘンな掛け軸など、もらってもうれしくないみやげ物(「いやげ物」と命名)、街で見かける「Since○○」と書かれた看板の写真、世界各国盤のボブ・ディランのレコード(デザインはほぼ同じ!)、子供の交通事故防止のために立てられた「飛び出し坊や」の写真、名所があまりない土地に発生しがちなカスみたいな風景の絵葉書(「カスハガ」と命名)、カニの表紙がおいしそうな旅行パンフレット(「カニパン」と命名)、冷蔵庫にはられがちな水道工事などの宣伝マグネット(「冷マ」と命名)……。 著者ならではの視点でカテゴリーを作り、独自のセンスで名前をつけて、「メディアで発表することを前提」で集めまくった「自分にとっては大切なモノ」たちを「遺族は困るだろうけど、死ぬまで捨てられないマイ遺品」として、熱い文章と集めた証拠写真で紹介。 コレクションや趣味の域をこえてもはや「集めることが癖になってしまった」という著者の「マイブーム」の集大成! ※この電子書籍は2019年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
ハンチバック
23の国と地域で翻訳決定! 芥川賞受賞作 【2025 国際ブッカー賞ロングリスト】【2025全米図書賞・翻訳文学部門ロングリスト】に選出! 23の国と地域で翻訳決定。話題沸騰の芥川賞受賞作がついに文庫化! 「私の身体は生きるために壊れてきた。」 井沢釈華の背骨は、右肺を押し潰すかたちで極度に湾曲している。 両親が遺したグループホームの十畳の自室から釈華は、有名私大の通信課程に通い、しがないコタツ記事を書いては収入の全額を寄付し、18禁TL小説をサイトに投稿し、零細アカウントで「生まれ変わったら高級娼婦になりたい」と呟く。 ある日、グループホームのヘルパー・田中に、そのアカウントを知られていることが発覚し――。 【文庫版の特徴】 ・ルビを大幅に増やしました。 ・著者が執筆にあたり大きな影響を受けたと語る『凜として灯る』の著者・荒井裕樹氏との往復書簡「世界にとっての異物になってやりたい」(「文學界」2023年8月号)は、大変話題となりましたが、今回新たな書簡を特別付録として追加し、全文を巻末に収録しました。 単行本 2023年6月 文藝春秋刊 文庫版 2025年10月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
法廷
昭和三年、広島で起こった養母殺しの容疑者山本老は、実に五十数年間に渡って無実を訴え続けて再審を請求、「第二の加藤老事件」といわれている。昭和四十九年、千葉で起きた両親殺しの容疑者は「史上稀に見る残忍な凶悪事件」として死刑を言い渡された……。陪審制度支持の立場から、長年に渡って日本の司法・裁判制度の問題点を追及してきた著者が、周到綿密な取材をもとに、冤罪事件に取り組む弁護士たちの、地道で真摯な闘いを描いた異色の裁判ドキュメンタリー。 -
池波正太郎と七人の作家 蘇える鬼平犯科帳
永遠のヒーロー「鬼平」再来! 人気作家7名が、伝説の男に新たなる命を吹き込みます。 池波正太郎が長谷川平蔵を主人にした短篇小説「浅草・御厨河岸」を書いたのは、昭和42(1967)年のこと。 オール讀物12月号に掲載されたその短篇は大きな反響を呼び、「鬼平犯科帳」としての連載が始まりました。 「鬼平」誕生50周年を迎えた2017年。この記念すべき年に、7人の作家が「鬼平」へ新たな命を吹き込みます。 逢坂剛は「逢坂・平蔵シリーズ」の特別版、上田秀人は武家という官僚社会で生きる平蔵の立場を、諸田玲子は妖盗・葵小僧と鬼平の再対決、風野真知雄は人気シリーズ「耳袋秘帖」鬼平版。 門井慶喜が木村忠吾の食欲の夏を描けば、土橋章宏は平蔵と料理人の味対決、梶よう子は史実の長谷川平蔵に迫ります。これらの短篇に加え、池波正太郎が自らベスト5に選んだ鬼平作品の中から「瓶割り小僧」を特別収録。 各作品に池波正太郎のカット画を使用した、豪華な競作短編集をお楽しみください。 -
最高のオバハン 中島ハルコの恋愛相談室
中島ハルコ52歳、バツ2、女社長。自称・いま最もブレイクしているオバハン。金持ちなのにドケチで、口の悪さは天下一品。新幹線ホームのキヨスクで週刊誌を立ち読みしたり、大地震が起きたとき、無理矢理運送会社のトラックに自宅まで送らせたりといった無茶苦茶なエピソードが満載。そんな彼女の周りには、なぜか悩みごとを抱えた人間が寄ってくる。「十年間付き合ってる不倫相手に貸した三百万円が返ってこない」「老舗の和菓子屋の跡継ぎ息子がミュージシャンになると言い出した」「自分の学歴(東大卒)が高すぎてオトコができない」「40過ぎてやっと結婚したい相手が現れたのに、同居している実家の両親が結婚に猛反対」など、さまざまな相談が持ち込まれる。これらの悩みを、ハルコは決してきれいごとは言わず、独特の人生観によって解決していく。 心あたりのある人は読んで恐ろしくなり、若い読者にとっては、きたる人生の参考書にすらなるのではないだろうか。常識にとらわれず、本音で行動するハルコの歯に衣着せぬ物言いには、聖人君子の教えにはない、不思議な説得力がある。胸のすくような啖呵と、ハルコの傍若無人なようで鋭い洞察力が、悩める人々の背中を押してくれる、痛快エンタテインメント小説。※本作品は 2017年10月5日まで販売しておりました単行本電子版『中島ハルコの恋愛相談室』の文庫電子版となります。 本編内容は単行本電子版と同じとなります。 -
色の秘密 色彩学入門
色彩学のバイブル的著書、文春文庫で再登場 人はピンクで若返り白い部屋が美人を作る。赤は血圧を上げ不眠症には青が効く。商品学の草分け的存在の著者が解明した快適色彩生活。 -
翔ぶが如く
司馬遼太郎畢生の大長編! 西郷隆盛と大久保利通。ともに薩摩藩の下級藩士の家に生まれ、幼い時分から机を並べ、水魚の交わりを結んだ二人は、長じて明治維新の立役者となった。しかし維新とともに出発した新政府は内外に深刻な問題を抱え、絶えず分裂の危機を孕んでいた。明治六年、長い間くすぶり続けていた不満が爆発。西郷は自ら主唱した“征韓論”をめぐって大久保と鋭く対立する。それはやがて国の存亡を賭けた抗争にまで沸騰してゆく――。西郷と大久保、この二人の傑人を中心軸に、幕末維新から西南戦争までの激動を不世出の作家が全十巻で縦横に活写する。 -
アンソロジー 隠す
冒険、ミステリー、人間ドラマ、恋愛……。 11人の人気女性作家が同じテーマに挑む短編小説集! 誰しも、自分だけの隠しごとを心の奥底に秘めているもの――。 実力と人気を兼ね備えた11人の女性作家たちがSNS上で語り合い、「隠す」をテーマに挑んだエンターテインメントの傑作! 『アンソロジー 捨てる』に続く「アミの会(仮)」が送る、注目シリーズ第2弾。 多彩な物語すべてに、共通の「なにか」が隠されています。 (答えが掲載されている「あとがき」は、最後にお読みください) これが、本物の短編小説集。 ※この電子書籍は2017年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
花束は毒
未来屋小説大賞受賞! 芳樹は憧れのかつての家庭教師・真壁が結婚を前に脅迫されていると知り探偵に調査を依頼するが――。完全に騙される傑作ミステリー。 憧れの家庭教師だった真壁が結婚を前に脅されていることを知り、僕は尻込みする彼にかわり探偵事務所に調査を依頼。そこに現れたのは中学時代にいじめに遭っていた従兄をえげつない方法で救ってくれた先輩の理花だった。調査を進めるにつれ、見えてきた真実。背筋も凍るラスト。気鋭のミステリ作家による、衝撃の傑作長編! ※この電子書籍は2021年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
横浜元町洋菓子譚 春といちごのホームメイド
甘酸っぱくてちょっとビターな連作短編集! 「ホテルクラシカル猫番館」「若旦那さんの『をかし』な甘味手帖」シリーズで大人気の著者が、文春文庫に初登場! 祖父の洋菓子店を引き継ぎ、パティシエとして店を守ってきた花丘春。 経営が厳しくなり、激務がたたって体を壊してしまう。 これから来るクリスマス期を乗り切れるか悩んでいたところに、かつて共に修業した有沢壱悟が突然現れる。 よく似た顔立ちの女の子・璃々花を連れて…。 ショートケーキ・バタークリームケーキ・いちごのタルト・ シュークリーム・コーヒーゼリー… 様々な思い出がつまった、懐かしの洋菓子が続々登場。 山手にあるあのホテルもちらっと出てくるかも…!? 横浜の元町を舞台に、人々を笑顔にするケーキ作りに 奮闘する春と、 何やら事情を抱えた壱悟と璃々花が織りなす、 甘酸っぱくてちょっとビターな連作短篇集。 -
Phantom ファントム
FIREの先は薔薇色なのか? 幻影に覆われた現代を巧みに描いた傑作小説 外資系食料品メーカーの事務職として働く元地下アイドルの華美は、 生活費を切り詰め株に投資することで、 給与収入と同じ配当を生む分身(システム)の構築を目論んでいる。 恋人の直幸は「使わないお金は死んでいる」と華美を笑うが、 とある人物率いるオンラインコミュニティ活動にのめり込んでゆく。 そのアップデートされた物々交換の世界は、 マネーゲームに明け暮れる現代の金融システムを乗り越えゆくのだ、と。 やがて会員たちと集団生活を始めた直幸を取り戻すべく、 華美は《分身》の力を使おうとするのだが……。 高度に発達した資本主義、その欠陥を衝くように生まれる新たな幻影。 自らの価値観と生き方を問われる、いま読まれるべき傑作小説! ※この電子書籍は2021年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
ノモンハンの夏
「絶対悪」が、背広をきてソファに座っている……著者が辻政信に初めて会った感慨である。師団によっては76%という絶望的な損耗率のノモンハン事件を扇動しながら、狂いもせず、戦後は国会議員となった男。この戦いを可能にしてしまったのは、いったい何だったのか? 参謀本部作戦課と関東軍作戦課、二つのエリート集団が齟齬をきたし、満蒙国境の悲劇がはじまった。モスクワのスターリン、ベルリンのヒトラーの野望、中国の動静を交えて雄壮に描く、ノモンハン事件の決定版。 -
朝が来る
第147回直木賞、第15回本屋大賞の受賞作家が到達した新境地! 長く辛い不妊治療の末、栗原清和・佐都子夫婦は、民間団体の仲介で男の子を授かる。朝斗と名づけた我が子はやがて幼稚園に通うまでに成長し、家族は平穏な日々を過ごしていた。そんなある日、夫妻のもとに電話が。それは、息子となった朝斗を「返してほしい」というものだった――。 自分たちの子供を産めずに、特別養子縁組という手段を選んだ夫婦。 中学生で妊娠し、断腸の思いで子供を手放すことになった幼い母。 それぞれの葛藤、人生を丹念に描いた、胸に迫る長編。 河瀬直美監督も推薦! 「このラストシーンはとてつもなく強いリアリティがある。」(解説より) -
信仰
信じることの危うさと切実さに痺れる11篇 「なあ、俺と、新しくカルト始めない?」 好きな言葉は「原価いくら?」 現実こそが正しいのだと強く信じる、超・現実主義者の私が、 同級生から、カルト商法を始めようと誘われて――。 世界中の読者を熱狂させる、村田沙耶香の11の短篇+エッセイ。 表題作は2021年シャーリィ・ジャクスン賞(中編小説部門)候補作に選ばれました。 文庫化にあたり、短篇小説「無害ないきもの」「残雪」、エッセイ「いかり」を追加。 書き下ろしエッセイである「書かなかった日記――文庫版によせて」を巻末に収録。 〈収録作〉 「信仰」「生存」「土脉潤起」「彼らの惑星へ帰っていくこと」「カルチャーショック」「気持ちよさという罪」「書かなかった小説」「最後の展覧会」「無害ないきもの」「残雪」「いかり」 単行本 2022年6月 文藝春秋刊 文庫版 2025年5月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
噓つきジェンガ
気づいた時には、もう戻れなくなっていた 直木賞受賞作『鍵のない夢を見る』と連なる、 圧巻の辻村ワールド! 大学進学で上京したのに、コロナ禍ですべてが狂った。 孤独感が募るなか、割のよいバイトに誘われる(「2020年のロマンス詐欺」)。 優秀ですんなり合格した長男に比べ苦戦している次男の中学受験。〝特別な事前受験〟があると囁かれた母は(「五年目の受験詐欺」)。 人気漫画原作者・谷嵜レオのオンラインサロンは、オフ会の創作講座が大好評。しかし、主催している紡は、谷嵜に会ったことすらない(「あの人のサロン詐欺」)。 騙す者と騙される者の切実な葛藤と後悔を描く、 スリリングな短篇集。 解説・一穂ミチ 単行本 2022年8月 文藝春秋刊 文庫版 2025年11月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
ふたご
「お前の居場所は、俺が作るから。泣くな」 ピアノだけが友達の孤独な少女の夏子は、異彩の少年・月島と出会い、振り回され、傷付きながらもその側にいようとする。 やがて月島は唐突に「バンドをやる」と言い出した。 彼は、夏子の人生の破壊者でも創造者でもあった。 大切な人を大切にすることが、こんなに苦しいなんて--。 異彩の少年に導かれた孤独な少女。その苦悩の先に見つけた確かな光。 直木賞候補となった鮮烈なデビュー小説。 「生生しくて、切なくて、痛くて、何度も胸を揺さぶられた。この小説が好きだ。好きだ、と叫び出したくなる」 宮下奈都(解説より) 【藤崎彩織】 1986年大阪府生まれ。2010年、突如音楽シーンに現れ、圧倒的なポップセンスとキャッチーな存在感で「セカオワ現象」と呼ばれるほどの認知を得た四人組バンド「SEKAI NO OWARI」でピアノ演奏とライブ演出、作詞、作曲などを担当。研ぎ澄まされた感性を最大限に生かした演奏はデビュー以来絶大な支持を得ている。2017年に発売された初小説『ふたご』は直木賞の候補となるなど、大きな話題となった。他の著書に『読書間奏文』がある。 ※この電子書籍は2017年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間
「ふざけんな、ふざけんな、みんないい思いをしやがって」 藤井フィーバーに沸く将棋界で、突然、羽生世代の有名棋士の休場が発表されました。 様々な憶測が流れましたが、その人、先崎九段は「うつ病」と闘っていたのです。 孤独の苦しみ、将棋が指せなくなるという恐怖、そして復帰への焦り……。 体験した者でなければなかなか理解されにくいこの病について、エッセイの名手でもある先崎さんが、発症から回復までを細やかに、淡々と綴ります。 心揺さぶられること、必至! 解説:佐藤優 ※この電子書籍は2018年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
獅子吼
稀代のストーリーテラーにして短篇の名手でもある浅田次郎の一球入魂の傑作短篇集。 時代に翻弄される名もなき人々の美しい魂を描いた、心ゆさぶる6篇。 「決して瞋るな。瞋れば命を失う」 父の訓えを守り、檻の中で運命を受け入れて暮らす彼が、太平洋戦争下の過酷に苦しむ人間たちを前に掟を破るとき――。 それぞれの哀切と尊厳が胸に迫る表題作ほか、「帰り道」「流離人(さすりびと)」「九泉閣へようこそ」「うきよご」「ブルー・ブルー・スカイ」を収録。 あの時、あの場所にいなければ降りかかってこなかったはずの過酷な運命に、彼らは勇気をもって立ち向かい、優しさをもって受け入れようとする――。 直球ど真ん中、華と涙の作品集です。 解説・吉川晃司 -
深海の使者
インド洋を横切り、アフリカ大陸を回りこんで大西洋を北上する3万キロの隠密行! 第二次大戦中、五回に渡って行われた遣独潜水艦作戦の全貌を描いた著者最後の戦史小説 太平洋戦争勃発後、連合国側に陸路・海路を封鎖され、日本と同盟国ドイツとの連絡は途絶した。この苦境を打破するため、海軍は潜水艦を単独でドイツに派遣する“遣独潜水艦作戦”を敢行した。 マラッカ海峡を抜けてインド洋を横断し、アフリカ大陸を南下、喜望峰を回りドイツ占領下フランスの大西洋岸の港まで、はるか3万キロを連合国側の厳重な対潜哨戒網をかいくぐって往復するという、過酷極まりない作戦。 伊30、伊8、伊34、伊29、伊52。五次に渡る作戦の中で、無事に日本に帰還したのは第二次の伊8一隻に過ぎなかった。 「文藝春秋」連載中から大きな反響を呼び文藝春秋読者賞を受賞。そして本作が著者最後の戦史小説となった。 解説・半藤一利 -
ついでにジェントルメン
なぜ、私たちは社会と噛み合わないの? 分かるし、刺さるし、救われる――自由になれる7つの物語。 編集者にダメ出しをされ続ける新人作家、女性専用車両に乗り込んでしまったびっくりするほど老けた四十五歳男性、男たちの意地悪にさらされないために美容整形をしようとする十九歳女性……などなど、なぜか微妙に社会と歯車の噛み合わない人々のもどかしさを、しなやかな筆致とユーモアで軽やかに飛び越えていく短編集。 目次 Come Come Kan!! 渚ホテルで会いましょう 勇者タケルと魔法の国のプリンセス エルゴと不倫鮨 立っている者は舅でも使え あしみじおじさん アパート一階はカフェー 単行本 2022年4月 文藝春秋刊 文庫版 2025年1月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
インフルエンス
大阪郊外の巨大団地で育った小学生の友梨。 同じ団地に住む里子が、家族内で性虐待を受けていたことを知り、衝撃を受ける。 助けられなかったという自責の念を胸に抱えたまま中学生になった友梨は、 都会的で美しい親友・真帆を守ろうとして、暴漢の男を刺してしまう。 ところが何故か、翌日警察に連れて行かれたのは、あの里子だった。 殺人事件、スクールカースト、子育て、孤独と希望、繋がり。 お互いの関係を必死に隠して大人になった3人の女たちが過ごした20年、 その入り組んだ秘密の関係の果てに彼女たちを待つものは何だったのか。 大人になった三人の人生が交差した時、衝撃の真実が見えてくる。 女たちが幼いころから直面する社会の罪、言葉で説明できないあやうい関係性、深い信頼。 ラストに用意された、ミステリファンも唸る「驚き」。 『サクリファイス』で大藪春彦賞を受賞した近藤史恵が描く傑作長編。 解説・内澤旬子 橋本環奈・葵わかな・吉川愛でWOWOW連続ドラマ化決定。 ※この電子書籍は2017年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
ラーゲリより愛を込めて
二宮和也主演映画『ラーゲリより愛を込めて』(2022年12月9日公開)、究極の愛を描く感動巨編映画、その見どころを余すところなく伝えるノベライズ版。 原作は講談社ノンフィクション賞・大宅壮一ノンフィクション賞をダブル受賞した『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』(辺見じゅん・著)。 第二次世界大戦で劣悪な環境のシベリア強制収容所に、捕虜として抑留された山本幡男一等兵。 妻やまだ幼い4人の子供とは離れ離れになったまま、消息もつかめない。 栄養失調や過酷な労働作業で命を落とす者、自ら命を断つ者が出るなか、 常に帰国する日を待ち、人間としての尊厳、生きる希望を持ち続けた山本。 絶望の状況において、収容所のひとすじの希望の光でありつづけた山本幡男を二宮和也が、 夫の帰国を心から信じ11年間待ちつづけた妻モジミを北川景子が演じる。 メガホンをとるのは『8年越しの花嫁 奇跡の実話』『64―ロクヨン― 前編/後編』の 瀬々敬久監督、脚本は『永遠の0』『糸』の林民夫。 涙なくしては読み進めることができない、驚きと感動で心が震わされる、究極の愛の実話。 -
収容所(ラーゲリ)から来た遺書
戦後12年目にシベリア帰還者から遺族に届いた6通の遺書。その背後に驚くべき事実が隠されていた! 大宅賞と講談社ノンフィクション賞のダブル受賞に輝いた感動の書。 敗戦から12年目に遺族が手にした6通の遺書。ソ連軍に捕らわれ、極寒と飢餓と重労働のシベリア抑留中に死んだ男のその遺書は、彼を敬慕する仲間たちの驚くべき方法により厳しいソ連監視網をかいくぐったものだった。悪名高き強制収容所(ラーゲリ)に屈しなかった男たちのしたたかな知性と人間性を発掘した感動の傑作。第11回講談社ノンフィクション賞(1989年)、第21回大宅壮一ノンフィクション賞(1990年)を受賞。 解説・吉岡忍 -
オール・アバウト・セックス
フランス文学者・鹿島教授が“エロスの総合図書館”に集めたエッチ本は百数十冊! 欲望のためならゲロも食いたい? 江戸時代はセックスが健康法で、男色はフツウのこと? 「短」か「長」かは関係ない? 人々の欲望を映し出すエロス本を読み解くことで、日本のセックスの実状が浮かびあがる。官能劇画、フーゾク、SM、AV、フェティシズム……教授が教えてくれる「あんなこと」や「こんなこと」が、あなたのエッチ観を変えてしまうかも!? -
複合大噴火
1783年の浅間山大噴火は、直後のフランス革命に大きな影響をもたらした――これだけだと「なんのことやら」という話ですが、歴史気候学の見地に立てば、立証が可能になります。日欧でほぼ同時に起こった火山噴火と社会変動の因果関係を探った本書は、発表から20年以上を経た現在でも、まったく古びることがありません。防災の論議が深まりを見せる昨今こそ、広く読まれるべき1冊といえましょう。専門的な話題を興味深く、面白く読ませる著者の腕に脱帽です。 -
青春を山に賭けて
植村直己はいかにして冒険家になり、いかにして「世界のウエムラ」になったか? ひとりの腕白少年が、大学へ進んで美しい山々と出会い、無一文で日本を脱出、ヨーロッパに渡りアルバイトをしながら、ついに五大陸最高峰のすべてに登頂を果たす。さらには南極大陸単独横断という目標めざして、アマゾンのイカダ下りなど過酷なまでの試練に次々と挑戦する――。大自然の中の「何か」に挑まずにはいられなかった冒険家が、みずからの型破りな青春を語り尽した感動篇。 -
サイゴンから来た妻と娘
戦火のサイゴンで日本の新聞記者が、大輪の花のような笑顔に惹かれて子連れのベトナム女性と結婚した。サイゴン陥落後、日本に移り住んだ親子3人だったが、妻のベトナム式生活ぶりと子育て方はまったく変わらず。親に絶対服従のスパルタ教育にショックを受け、可愛いペットのウサギ料理に度肝を抜かれ……毎日のように巻き起こる小事件を通して、アジア人同士のカルチャーギャップを軽妙な筆で描く。大宅壮一ノンフィクション賞受賞作品。 -
90メートル
山時聡真・菅野美穂主演 映画『90メートル』(2026年3月27日[金]公開)ノベライズ。 山時聡真(『君たちはどう生きるか』)×菅野美穂(『ディア・ファミリー』)W主演! 『か「」く「」し「」ご「」と「』新進気鋭の監督・中川駿、初のオリジナル脚本を映画化。 〈物語〉 小学生の頃からバスケットボール一筋だった佑(たすく)。高校2年のとき、母・美咲が難病を患ったことで、母子家庭で育った佑はバスケを辞め、美咲の世話を優先せざるを得なくなる。 ヘルパーの支援はあるものの24時間体制ではないため、佑が美咲のケアをしながら家事をこなす日々を送っていた。 高校3年生になった今、東京の大学に進学したい気持ちはあるが、美咲を一人にするわけにはいかず、常に手元にある呼び出しチャイムの音が、佑の心に重くのしかかる。その看病が一生続くかのように、自分の夢や希望はすべて諦めかけていたある日、担任の先生から自己推薦での受験を勧められる――。 人生の岐路に立つ高校生の息子と、難病を抱えながら我が子の希望ある明日を願うシングルマザー。 複雑な想いを抱える親子の絆と揺るぎない愛を綴った感涙物語。 -
ひとまず上出来
生きることって永遠の微調整! ベストじゃなくても、ひとまず上出来ならOK! 令和を生きるネオ中年の私たちにジャストサイズな、元気が湧き出るエッセイ集。文庫版ボーナストラックもあるよ! いいことも悪いことにも、私たちは慣れてしまうし、忘れてしまう。人間の順応性の高さに簡単します。だからこそ。ちょっとベターを目指したくはある。 ベストじゃなくても、ひとまず上出来。そうやってこれからも生きていきたいと思います。(文庫版あとがきより) 単行本 2021年12月 文藝春秋刊 文庫版 2025年9月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
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