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裁く眼
法廷画家が描いたその絵は危険すぎる――。 美人被告人は残忍な殺人鬼か、それとも聖女なのか? 漫画家になりそこね、路上で似顔絵を描いて生計をたてていた袴田鉄雄。 ある日、テレビ局からの急な依頼を受け、連続殺人事件裁判の「法廷画」を描くことに。 注文通り仕上げた絵が無事に放送に使われた直後、何者かに襲われて怪我を負う。 鉄雄の絵には一体なにが描かれていたのだろうか? 容疑者の美人被告人は残忍な殺人鬼なのか、それとも聖女なのか? 頭の回転の速い姪っ子、警察官、テレビ局、それぞれの思惑と発言が絡み合い、裁判の展開は意外な方向へ。 予測不能、驚愕の法廷サスペンス。 解説・北尾トロ ※この電子書籍は2016年8月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
江戸染まぬ
江戸に生きる人々が織りなす鮮やかな人生。 “青山流時代小説”の真骨頂! 旗本の次男坊で部屋住みの俺は、武家であらねばならぬ、などとは思っていない。 堅物の兄が下女に好意を寄せているのを見て取って、 わざと下女にちょっかいを出そうとするが、気づくと女は身籠っていた。 しかも父親は、隠居の祖父だという。 六十九歳の老人に女で負けた俺がとった行動は――。 直木賞受賞作『つまをめとらば』に連なる傑作短編集。 史実から生まれた圧巻の7編。 ※この電子書籍は2020年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
逃亡
戦争に圧しつぶされた人間の苦悩を描いた傑作 戦時下の緊迫した海軍航空隊で、若き整備兵が背負った過酷な運命とは? 軍用飛行機をバラせ……その男の言葉に若い整備兵は青ざめた。昭和19年、戦況の悪化にともない、切迫した空気の張りつめる霞ヶ浦海軍航空隊で、苛酷な日々を送る彼は、見知らぬ男の好意を受け入れたばかりに、飛行機を爆破して脱走するという運命を背負う。初期の力作長篇が待望の再登場。 解説・杉山隆男 -
敗れざる者たち
勝負の世界に青春を賭け、燃え尽きていった者たちのロマンを描く、 スポーツノンフィクションの名作が、待望の新装版に! 燃え尽きたいと望み続けついに叶わなかったボクサー、 栄光の背番号3によって消えた三塁手、夭折した長距離ランナーの「思い」、 良血馬達との決戦に臨むサラブレッ ド― “勝負の世界に何かを賭け、 喪っていった者たち”をテーマに書き継がれた6篇。 著者の原点ともいうべきスポーツ・ノンフィクシ ョンの金字塔! 沢木耕太郎が、徒弟修業中の自分にひとつの可能な道筋が見えてきた、と語る、自身の出発点ともいえる記念碑的作品。 解説・北野新太 -
Iの悲劇
Iターンプロジェクト担当公務員が直面するのは、 過疎地のリアルと、風変わりな「謎」――。 無人になって6年が過ぎた山間の集落・簑石を 再生させるプロジェクトが、市長の肝いりで始動した。 市役所の「甦り課」で移住者たちの支援を担当することになった万願寺だが、 課長の西野も新人の観山もやる気なし。 しかも、公募で集まってきた定住希望者たちは、 次々とトラブルに見舞われ、 一人また一人と簑石を去って行き……。 直木賞作家・米澤穂信がおくる極上のミステリ悲喜劇。 解説・篠田節子 ※この電子書籍は2019年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
悲しみの秘義
暗闇のなかにいる人へ――傑作エッセイ もしあなたが今、このうえなく大切な何かを失って、暗闇のなかにいるとしたら、この本をおすすめしたい――(解説・俵万智) 宮沢賢治、須賀敦子、神谷美恵子、リルケ、プラトン、小林秀雄、ユングらの、死者や哀しみ、孤独について書かれた文章を読み解き、人間の絶望と癒しをそこに見出す26編。 「言葉にならないことで全身が満たされたとき人は、言葉との関係をもっとも深める」――自らの深い悲しみの経験を得た著者が、その魂を賭けて言葉を味わい、深い癒しと示唆を与えてくれる。 日経新聞連載時から話題を呼び、静かなロングセラーとなった一冊。 文庫化に際して「死者の季節」「あとがき」を増補。 カバーと本文内を、世界的に人気の高いアーチスト・沖潤子の作品が 優しく深く彩る。大切な人に贈りたい、特別な一冊。 単行本 2015年11月 ナナロク社刊『若松英輔エッセイ集 悲しみの秘義』 文庫版 2019年12月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
喫茶ガクブチ 思い出買い取ります
「いらっしゃいませ。喫茶ガクブチへようこそ!」 東京・高円寺の街角――〈あなたの思い出買い取ります〉と書かれたド派手な看板と、元気な掛け声に吸い寄せられるように入ったカフェは、壁が大小様々な額で覆われていた。 中には靴紐や映画の半券、玩具など“誰かの思い出の品”らしきもの……? そこは、父親の跡を継いだ美咲兄妹が切り盛りする額縁店。寂れた店を復活させようと、妹の真日留は一階をカフェに大改造。兄の伸也はお客さんから持ち込まれた”思い出の品“を額装。額は客が大切に持ち帰ることもあれば、カフェの壁に飾られ、別の誰かが買っていくこともある。 店を訪れるのは、〈かつて世界中を旅し、いまは親の介護に明け暮れる多喜子〉〈カメラが趣味だった夫の遺言で、個展を開こうとしている郁恵〉〈無職の夫へのイライラが止らない梨々花〉〈大切なUFOの玩具を手にした、結婚を控える一直〉〈隣りの”おじいちゃん”の絵を持ってきた中学生の蒼空〉……。 生まれ変わった思い出が、傷ついた心と体を癒し、いつしか新しい出会いに繋がっていく。 『人生写真館の奇跡』『天国からの宅配便』著者が贈る、とっておきのハートウォーミング・ストーリー。文庫書き下ろし。 -
水に眠る
さまざまな愛を描いた短編集 ―短編ミステリーの名手が挑む愛情物語― 儚い愛がつまった美しい短編集です。 同僚への秘めた想い、途切れてしまった父娘の愛、義兄妹の許されぬ感情…。 人と人の、《と》に重きを置いて書かれた物語(あとがきより)は、人の数だけ愛があるということを感じさせます。 一編に一つずつの解説という、豪華な解説付き。 《収録作》 恋愛小説 水に眠る 植物採集 くらげ かとりせんこうはなび 矢が三つ はるか 弟 ものがたり かすかに痛い 《贅沢な解説》 「恋愛小説」光原百合 「水に眠る」有栖川有栖 「植物採集」加納朋子 「くらげ」貫井徳郎 「かとりせんこうはなび」若竹七海 「矢が三つ」近藤史恵 「はるか」戸川安宣 「弟」おーなり由子 「ものがたり」山口雅也 「かすかに痛い」澤木喬 ―総論―水星今日子 単行本 1994年10月 文藝春秋刊 文庫新装版 2020年2月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
赤い博物館
『密室蒐集家』で第13回本格ミステリ大賞を射止めた著者がミステリ人生のすべてを賭けて贈る渾身作! 松下由樹主演ドラマ「犯罪資料館 緋色冴子シリーズ『赤い博物館』」原作。 キャリアながら《警視庁付属犯罪資料館》の館長に甘んじる謎多き美女・緋色冴子警視と、一刻も早く汚名を返上し捜査一課に戻りたい寺田聡巡査部長。 図らずも「迷宮入り、絶対阻止」に向けて共闘することになった二人が挑む難事件とは――。 予測不能の神業トリックが冴え渡る、著者初の本格警察小説! 〈収録作品〉 パンの身代金 復讐日記 死が共犯者を別つまで 炎 死に至る病 解説・飯城勇三 -
『陰陽師』のすべて
安倍晴明と源博雅のコンビが平安の闇をはらう人気シリーズが誕生して30年。 マンガ、映画、歌舞伎とジャンルを超えて人気をほこる『陰陽師』の世界の全貌にせまる。 ・主な内容 夢枕獏ロングインタビュー「倒れるまで書き続けたい」 獏さんと歩く『陰陽師』京都案内 熱烈ファンのアナウンサー渡辺真理さんとの対談「悲しくて愛おしい、鬼という存在」 挿画を手がける村上豊さんとの対談「ペンと筆が紡ぐ平安の闇」 マンガ化した岡野玲子さん、睦月ムンクさんインタビュー 映画で主役を演じた狂言師、野村萬斎さんインタビュー 新作歌舞伎『陰陽師』で主演の市川染五郎さんと夢枕獏さんとの対談 『陰陽師』エピソード総解説 ・・・など -
マリエ
幸せも不幸せも、ぜんぶ私が決める 離婚って、幸せになるための選択なんじゃない? 40歳を目前に夫から離婚を切り出されたまりえ。しかし、戸惑いながら始めたひとり暮らしは思いのほか快適で、自らを慈しむ日々は確実に彼女を変えていく。 そんなときに出会った年下の男性・由井くん。 そして、コロナ禍という非常事態の発生。想像もしなかった未来がまりえにもたらすものとは――。 直木賞作家が紡ぐ 結婚と幸福をめぐる物語 巻末に金原ひとみさんとの対談「私たちの離婚」も収録。 単行本 2023年8月 文藝春秋刊 文庫版 2025年12月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
売国
検察、宇宙、陰謀――真山仁の真骨頂! 日本が誇る宇宙開発技術をアメリカに売り渡す「売国奴」は誰だ!? 検察官・冨永と若き研究者・八反田遙。陰謀渦巻く骨太社会小説。 テレビ東京系ドラマスペシャル 『巨悪は眠らせない 特捜検事の逆襲』(出演 玉木宏 仲代達矢ほか)原作。 気鋭の特捜検事、冨永真一。 宇宙開発の最前線に飛び込んだ若き女性研究者・八反田遙。 ある汚職事件と、親友の失踪が二人をつなぐ。 そして炙り出される、戦後政治の闇と巨悪の存在。 正義を貫こうとする者を襲う運命とは!? 雄渾な構想と圧倒的熱量で頁を捲る手が止まらない! 真山仁の超弩級謀略小説。 解説・関口苑生 -
日本の路地を旅する
大宅壮一ノンフィクション賞受賞。中上健次はそこを「路地」と呼んだ。「路地」とは被差別部落のことである。自らの出身地である大阪・更池を出発点に、日本の「路地」を訪ね歩くその旅は、いつしか、少女に対して恥ずべき犯罪を犯して沖縄に流れていった実兄との幼き日の切ない思い出を確認する旅に。 -
夢を食った男たち 「スター誕生」と歌謡曲黄金の70年代
スターが輝いていた黄金の70年代を活写 阿久悠が山口百恵、桜田淳子、森昌子の花の中三トリオ、ピンク・レディー、小泉今日子らのスターを次々生み出した黄金の70年代を描く -
斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇
日本文学を代表する天才作家の名作11篇! 没落貴族の家庭を背景に、滅びゆく高貴な美を描く「斜陽」。太宰文学の総決算ともいうべき、小説化された自画像「人間失格」。ふたりの若者の信頼と友情を力強く表現した「走れメロス」。家族の幸福を願いながら自らの手で崩壊させる苦悩を描き、命日の呼び名となった「桜桃」など、11篇を収める。 奥野健男氏のくわしい年譜、臼井吉見氏のこまやかな作品案内と作家評伝付き。 <収録作品> 斜陽 人間失格 ダス・ゲマイネ 満願 富嶽百景 葉桜と魔笛 駈込み訴え 走れメロス トカトントン ヴィヨンの妻 桜桃 -
「ない仕事」の作り方
「仏像ブーム」を牽引してきた第一人者であり、「マイブーム」や「ゆるキャラ」の名付け親としても知られるみうらじゅん。とはいえ、「テレビや雑誌で、そのサングラス&長髪姿を見かけるけれど、何が本業なのかわからない」「どうやって食っているんだろう?」と不思議に思っている人も多いのでは? 本書では、それまで世の中に「なかった仕事」を、企画、営業、接待も全部自分でやる「一人電通」という手法で作ってきた「みうらじゅんの仕事術」を、アイデアのひらめき方から印象に残るネーミングのコツ、世の中に広める方法まで、過去の作品を例にあげながら丁寧に解説していきます。 「好きなことを仕事にしたい」、「会社という組織の中にいながらも、新しい何かを作り出したい」と願っている人たちに贈る、これまでに「ない」ビジネス書として話題となり、ロングセラーを続ける本書がいよいよ文庫に。 文庫版オリジナル企画として、「スペシャル対談 糸井重里×みうらじゅん」も掲載。 -
裁判長! ここは懲役4年でどうすか
ワイドショーも小説もぶっ飛ぶほど、リアルで面白いのがナマの裁判だ。しかもタダで誰でも傍聴できる、殺人、DV、詐欺、強姦事件……。突っ込みどころ満載の被告の弁明や、なんとも噛み合わない被告と弁護士、傍聴席に鈴なりの女子高生にハッスルする裁判官、有名漫画家の男気ある証人ぶり、ヒトゴトじゃないと思う切実な事件。「こいつ、絶対やってるよ!」なんて心の中で叫びつつ、楽しく通った傑作裁判傍聴記。自筆のイラスト満載(法廷内は写真撮影不可のため)。 -
亡国スパイ秘録
「スパイ天国・日本よ、目を覚ませ」──初代内閣安全保障室長をつとめ、「危機管理」という言葉を創った男が、最後の告発! 少年時代にゾルゲ事件に関与。警察官僚として米国でスパイ研修を受け、007のように華麗にはいかないスパイ捜査や、ハニー・トラップの実態を学ぶ。国際インテリジェンス・オフィサーとして、戦中戦後の日本を見つめてきた著者の「インテリジェンスなき国家は亡びる」という遺言の書。 解説・伊藤隆 【本書で明かされた佐々淳行の“スパイ大作戦”】 ・少年時代に見た、父佐々弘雄と「ゾルゲ事件」 ・ワシントンで、CIA、FBIの秘密スパイ研修を受けた ・「ラストボロフ事件」で対ソ協力者に政界・財界の大物が ・外国人スパイを運用し、MI5に監視される ・我が友、MI6のフォーサイス ・各国諜報機関のハニー・トラップの実態 ・大物スリーパーとして瀬島龍三をマークしたが── 【本書は単行本『私を通りすぎたスパイたち』を文庫化にあたり改題したものです】 -
強父論
「俺が死んでも讃える追悼記など書くな」という父・阿川弘之の遺言に、「お父ちゃんがいかに無茶苦茶な人であったか。周囲がどれほどひどい目に遭わされたか。思い出すかぎり、精根込めて書いてみる」とエッセイストの娘が綴る、前代未聞の追悼記。 94歳で大往生した破天荒な父の「強父語録」を挙げてみると──。 ・老人ホームに入れたら自殺してやる! ・のたれ死のうが女郎屋に行こうが勝手にしろ ・勉強なんかするな。学校へ行くな ・結論から言え、結論から ・今後、誕生日会を禁止する! ・大学でサムシングを学んでこい ・戦後教育が悪いからバカが育つ ・お前の名前はお墓から取った ・知ったかぶりをした文章を書くな ・朝日の手先になりやがって ・お前は俺にそっくりだ あまりの暴言に震え、時折のユーモアに笑いつつ、いつしか父と娘の不思議な情愛に胸が熱くなる。 解説・倉本聰 -
連合赤軍「あさま山荘」事件
動員された警察官のべ十二万人、集まった報道陣は六百人、負傷者二十七人、そして死者三人。テレビ中継の視聴率は、史上最高を記録。厳寒の軽井沢の山荘で、いったい何が起きているのか? 人質、牟田泰子さんの生存は? 警察官の発砲は許されるか? 十日間にわたって繰り広げられた、戦後警察史上最悪の事件の一部始終を、水もおにぎりも瞬く間に凍るという現場で指揮をとった著者が、メモを基に克明に再現した臨場感あふれるノンフィクション。話題の映画化の原作。 -
「空気」の研究
昭和52年の発表以来、40年を経ていまだに多くの論者に引用、紹介される名著。 日本人が物事を決めるとき、もっとも重要なのは「空気」である。 2018年3月にも、NHK Eテレ「100分deメディア論」で、社会学者・大澤真幸氏が本書を紹介し、大きな反響があった。 日本には、誰でもないのに誰よりも強い「空気」というものが存在し、人々も行動を規定している……。 これは、昨今の政治スキャンダルのなかで流行語となった「忖度」そのものではないか! 山本七平は本書で「『気』とはまことに大きな絶対権を持った妖怪である。一種の『超能力』かも知れない。」「この『空気』なるものの正体を把握しておかないと、将来なにが起るやら、皆目見当がつかないことになる。」と論じている。 それから40年、著者の分析は古びるどころか、ますます現代社会の現実を鋭く言い当てている。 「空気を読め」「アイツは空気が読めない」という言葉が当たり前に使われ、誰もが「空気」という権力を怖れて右往左往している。 そんな今こそ、日本人の行動様式を鋭く抉った本書が必要とされている。 『「水=通常性」の研究』『日本的根本主義(ファンダメンタル)について』を併録。 日本人に独特の伝統的発想、心的秩序、体制を探った名著である。 解説・日下公人 -
正しい女たち
容姿や年齢、結婚、セックス、お金とプライド… 本音の見えづらい関心事を正しい姿という共通のモチーフで鮮やかに切り取る短編集。 不倫に悩む親友にわたしがしたこと(「温室の友情」)、 同じマンションに住む女に惹きつけられる男(「偽物のセックス」)、 残り少ない日を過ごす夫婦の姿(「幸福な離婚」)――。 偏見や差別、セックス、結婚、プライド、老いなど、 口にせずとも誰もが気になる最大の関心事を、正しさをモチーフに鮮やかに描く短編集。 解説・桐野夏生 ※この電子書籍は2018年6月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
拝啓、本が売れません
――「売れる本」は作れる!!―― 「松本清張賞」「小学館文庫小説賞」をダブル受賞してデビューした新人作家が見た「出版不況」の現実。それは厳しくも、決して暗闇の中にあるものではなかった――。 「売れる本」はどうやったら作れるのか――小説を書く作家自身が、本が読者の手元に届までを支える編集者やデザイナー、実際に売る書店員、本を売り伸ばす施策を考えるWEBコンサルタントらに取材して見えた答えは? 単行本「風に恋う」発売を前に、刊行された本書は、出版社の壁を越えて、発売前の新作を先取り公開。「売れる本」のために、考え、動き、でた結果とは。 実際に『風に恋う』をヒット作として成功させた著者が、発売から二年半経った現在についてまでを書き上げた異例のノンフィクション。 ※この電子書籍は2020年7月刊行の文春文庫を底本としています。 2018年3月にKKベストセラーズから刊行された単行本とは、一部内容が異なります。予めご了承くださいませ。 -
武道館
【正しい選択】なんて、この世にない。 「武道館ライブ」という合言葉のもとに活動する少女たちが、最終的に“自分の頭で”選んだ道とは――。 様々な題材を通して現代を描き続けてきた著者が今回選んだのは「アイドル」。 視聴者のあいだで物議を醸したドラマ化を経て、待望の文庫化。 解説には、音楽家として多くのアイドルをプロデュースしてきたつんく♂を迎える。 結成当時から、「武道館ライブ」を合言葉に活動してきた女性アイドルグループ「NEXT YOU」。 独自のスタイルで行う握手会や、売上ランキングに入るための販売戦略、一曲につき二つのパターンがある振付など、 さまざまな手段で人気と知名度をあげ、一歩ずつ目標に近づいていく。 しかし、注目が集まるにしたがって、様々な種類の視線が彼女たちに向けられるようになる。 そして、ある出来事がグループの存続さえも危うくしてしまい……。 「人って、人の幸せな姿を見たいのか、不幸を見たいのか、どっちなんだろう」 「アイドルを応援してくれてる人って、多分、どっちもあるんだろうね」 恋愛禁止、炎上、特典商法、握手会、スルースキル、無料文化、卒業…… この数年であっという間に市民権を得た言葉たちの中には、 アイドルという存在から発生したものも多い。 新しい言葉が生まれた場所から見えてくるのは、今を生きる人々の様々な一面。 現代社会での生き方を模索するすべての人へ送る、真摯な物語。 -
赤川次郎クラシックス 幽霊候補生
オール讀物推理小説新人賞受賞作「幽霊列車」第2弾が、初めての新装版として登場。 「どんな事件もたちまち解決」を誇っていたオニ警部・宇野だったが、推理マニアの女子大生・永井夕子に出会ってからは、惚れた弱みでふりまわされっぱなし。 あるとき「乗用車・湖へ転落――大学生2人絶望」のテレビニュースを見て仰天。なんと車に乗っていると報道されたのは夕子だった。 22歳の若さで、詰まらない事故で死んでしまうとは。遺体が発見されないまま、茫然と過ごした5か月後、湖畔で最近撮影されたという写真に夕子が写っていることがわかる。 宇野は仕事も投げ出し、急きょ湖まで車で向かい、真相を究明すべく捜査にのりだすが――。 表題作「幽霊候補生」ほか、「双子の家」「ライオンは寝ている」「巷に雨の降るごとく」「眠れる棺の美女」の計五本を収録。 -
私を通りすぎた政治家たち
初公開のメモにもとづく恐怖の政治家エンマ帳。 祖父、父がともに参議院議員という環境に育った著者は、幼少時から多種多様な政治関係者に触れてきた。そうした環境で養われた政治家観をもとに、みずからが接した内外の政治家を取り上げ、忌憚のない筆をふるっています。 政治に携わる人間には、権力に付随する責任を自覚してノーブレス・オブリージュ(高貴なる者の義務)を心得ている「政治家(ステーツマン)」と、権力に付随する利益や享楽を優先して追求する「政治屋(ポリティシャン)」の二種類があります。 こうした観点から戦後日本の政治史で、ベスト5の「政治家」といえるのは、 1)吉田茂、2)岸信介、3)佐藤栄作、4)中曾根康弘、5)石原慎太郎 一方、国益より私益を優先したワースト5の「政治屋」といえば、 1)三木武夫、2)小沢一郎、3)田中角栄、4)加藤紘一、5)河野洋平 「著者はリベラルが嫌いなだけだろう」と感じる向きもあるかもしれませんが、そうではありません。 自民党内のリベラルな人は、いささか無節操で、新聞世論に迎合するだけのタイプの政治家が多かった。それに比べて、同じリベラルでも野党にいる人はちょっと違うタイプの政治家もいました。本書の一章「憎めない政治家たち」に登場するのは、不破哲三、上田耕一郎、大出俊といった、反自衛隊反警察の共産党、社会党左派の論客たち。国会答弁でも、何度もやりあった「天敵の仲」ですが、こういう人たちは思想信条が首尾一貫しており、論敵ではあったけれども、どこかで心が通じ合うものを感じていたとのこと。 こうした佐々節がさえるユニークな政治家論。 -
すみれ
「私がはじめて頭ではなく、心で書いた小説です」 そう作者が語る、今年度最高の感動作! 「一九九六年の秋から一九九七年の冬にかけて、レミちゃんはわたしたちと一緒に暮らした。」 ――十五歳のわたしの家にとつぜんやってきて、一緒に棲むことになった三十七歳のレミちゃん。 むかし作家を目指していたレミちゃんには「ふつうの人と違う」ところがあった……。 季節の移り変わりとともに描かれる人の人のきずな、人間のみにくさと美しさ。 そして涙がおさえられない最後が待ち受ける。 いま筆力を最も高く評価されている、日本文学の正統な担い手による最高傑作。 -
不穏な眠り
仕事はできるが不運すぎる女探偵・葉村晶。 NHKドラマ化で話題の人気シリーズ! ミステリ専門書店でアルバイトとしながら、〈白熊探偵社〉の調査員として働いている葉村晶に今日も事件の依頼が……。 「水沫(みなわ)隠れの日々」 終活で蔵書の処分を頼んできた女性のもう一つの依頼は、死んだ親友の娘を刑務所から連れてきてほしいということだった。刑務所から女性の元に向かう道で、娘は拉致される。 「新春のラビリンス」 大晦日の夜、解体直前の〈呪いの幽霊ビル〉の警備をすることに。ヒーターが壊れ、寒さの中一夜を明かした葉村は、女性事務員から連絡が取れない男友達の行方を調べてほしいと頼まれる。 「逃げだした時刻表」 葉村の働くミステリ専門店でGWに〈鉄道ミステリフェア〉を開催することになった。展示の目玉として借りた弾痕のあるABC時刻表が盗難にあう。本の行方を追ううちに思わぬ展開に。 「不穏な眠り」 相続で引き継いだ家にいつのまにか居座り、そこで死んでしまった女の知人を捜してほしいという依頼を受けた葉村。女を連れ込んだ男の家を訪ねたところ、男の妻に危うく殺されかける羽目に。 解説・辻真先 -
渋谷
親の前で厚化粧し、風俗で素顔になるユリカ。あらゆるイジメに遭い、過干渉な母親のもとで自閉ぎみになったエミ。母親との確執から家を飛び出し、デートクラブへ通った元コギャルのサヤカ。少女達は口々に「本当の自分を見てみたい」と言い「母親は自分を本当は愛していないのではないか」と葛藤し、揺れ動いている。写真家・藤原新也が“いま”をカメラで写しとるように、日本でリアルに起きている母娘の歪んだ愛憎関係をあぶり出す、戦慄のドキュメンタリー。映画化原作。 -
月下上海
第二十回松本清張賞受賞。スキャンダルを逆手にとり人気画家にのしあがった財閥令嬢・八島多江子。謀略渦巻く戦時下の上海で、多江子が愛する運命の男たち。 昭和17年10月、八島財閥令嬢にして当代の人気画家・八島多江子は、戦時統制化の日本を離れ、上海にやってきた。そこで、招聘元である中日文化協会に潜入していた憲兵大尉・槙庸平から、民族資本家・夏方震に接近し、重慶に逃れた蒋介石政権と通じている証拠を探すように強要される。 「協力を断れば、8年前の事件の真相をマスコミに公表する」 8年前、多江子が夫・瑠偉とその愛人によって殺されかける有名な事件が起きた。愛人は取り調べ中に自殺し、瑠偉は証拠不十分で釈放されたものの、親元の伯爵家から除籍され、満州へ追われた。そして奇跡的に一命を取り留めた多江子は、スキャンダルを武器に人気画家へのし上がった。だが、その真相は、愛人と外地へ駆け落ちしようとした瑠偉を許せなかった多江子が、他殺に見せかけて自殺を図ったのだった。槙は何故か、その秘密を嗅ぎつけていた――。 -
最高のオバハン 中島ハルコの恋愛相談室
中島ハルコ52歳、バツ2、女社長。自称・いま最もブレイクしているオバハン。金持ちなのにドケチで、口の悪さは天下一品。新幹線ホームのキヨスクで週刊誌を立ち読みしたり、大地震が起きたとき、無理矢理運送会社のトラックに自宅まで送らせたりといった無茶苦茶なエピソードが満載。そんな彼女の周りには、なぜか悩みごとを抱えた人間が寄ってくる。「十年間付き合ってる不倫相手に貸した三百万円が返ってこない」「老舗の和菓子屋の跡継ぎ息子がミュージシャンになると言い出した」「自分の学歴(東大卒)が高すぎてオトコができない」「40過ぎてやっと結婚したい相手が現れたのに、同居している実家の両親が結婚に猛反対」など、さまざまな相談が持ち込まれる。これらの悩みを、ハルコは決してきれいごとは言わず、独特の人生観によって解決していく。 心あたりのある人は読んで恐ろしくなり、若い読者にとっては、きたる人生の参考書にすらなるのではないだろうか。常識にとらわれず、本音で行動するハルコの歯に衣着せぬ物言いには、聖人君子の教えにはない、不思議な説得力がある。胸のすくような啖呵と、ハルコの傍若無人なようで鋭い洞察力が、悩める人々の背中を押してくれる、痛快エンタテインメント小説。※本作品は 2017年10月5日まで販売しておりました単行本電子版『中島ハルコの恋愛相談室』の文庫電子版となります。 本編内容は単行本電子版と同じとなります。 -
十代に共感する奴はみんな嘘つき
「絶対めんどくさい女になってやると思ったけれど、それもめんどくさい」 いじめも自殺も恋愛もセックスもすべて日常――17歳の濃密な二日間 「感情はサブカル。現象はエンタメ。 つまり、愛はサブカルで、セックスはエンタメ。私は生きているけれど、女子高生であることのほうが意味があって、自殺したどっかの同い年がニュースに流れて、ちょっと羨ましい……。」(冒頭部分) 女子高生の唐坂和葉は17歳。 隣のクラスの沢くんへの告白の返事は「まあいいよ」。 いつもヘッドフォンをつけていて「ハブられている」クラスメイトの初岡と、沢の会話を聞きながら、いろいろ考える。 いじめのこと、恋愛のこと、家族のこと。 十代のめまぐるしく変化する日常と感情と思考を、圧倒的な文体で語る新感覚の小説。
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