文春文庫作品一覧

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  • 初詣で 照降町四季(一)
    3.7
    日本橋の近く、傘や下駄問屋が多く集まる町・照降町に「鼻緒屋」の娘・佳乃が三年ぶりに出戻ってきた――  著者初・江戸の女性職人が主役の書下ろし新作<全四巻> 1巻「初詣で」内容 文政11年暮れ。雪の降る中、18で男と駆け落ちした鼻緒屋の娘・佳乃が三年ぶりに照降町に戻ってきた。 懐かしい荒布橋(あらめばし)を渡り、町の入り口に立つ梅の木を、万感の思いで見上げる佳乃。 実家の鼻緒屋では、父が病に伏せっており、九州の小藩の脱藩武士・周五郎を見習いとして受け入れていた。 父にかわり、職人として鼻緒挿げの腕を磨く佳乃は、新鮮なアイデアを出して老舗の下駄問屋の宮田屋に認められ、吉原の花魁・梅香からも注文を受ける。 自分を受け入れてくれた町に恩返しをすべく、日々を懸命に生きる佳乃だったが、駆け落ちの相手・三郎次が あとを追ってきて―― 「己丑の大火」前夜の町と人々を通して描く、知恵と勇気の感動ストーリー。
  • 冬山の掟
    3.8
    遭難をめぐり、人間の本質を深くえぐった、新田作品の初期短編集! 冬山では午後になって新しい行動を起こすな―― 山で発熱した者のためにこのルールに背いて、吹雪の中をさまよう一行と、 その身を案じる家族の懊悩を描く表題作のほか、 「地獄への滑降」「遭難者」「遺書」「霧迷い」など、遭難を材にとった迫力溢れる山岳小説全十編。 解説・角幡唯介 ※この電子書籍は1978年7月に文春文庫より刊行された文庫の新装版を底本としています。
  • かばん屋の相続
    4.1
    働く男たちの愛憎、葛藤を描いた文春文庫オリジナル短編集。池上信用金庫に勤める小倉太郎。その取引先「松田かばん」の社長が急逝した。残された二人の兄弟。会社を手伝っていた次男に生前、「相続を放棄しろ」と語り、遺言には会社の株全てを大手銀行に勤めていた長男に譲ると書かれていた。乗り込んできた長男と対峙する小倉太郎。父の想いはどこに? 表題作他、五編収録。
  • 楚漢名臣列伝
    3.9
    乱世を彩った異才・俊才10人の肖像 秦の始皇帝の死後、勃興してきた楚の項羽と漢の劉邦。覇を競う彼らに仕え、乱世で活躍した様々な異才・俊才十人の知られざる肖像。
  • べらぼうくん
    4.1
    大学入学後の夏休み、海外で身ぐるみ剥がされサバイバル。在学中、書きあげた小説を読んだ友人からは「気持ち悪い」。卒業後、のどかな静岡での工場勤務から一転、作家になるべく上京するが……。自らの言葉を生み出し始めた浪人時代からデビューするまでの、うまくいかない日々を軽妙に綴る、青春&人生エッセイ。解説・浅倉秋成 ※この電子書籍は2019年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 太陽の棘
    4.3
    この著者にしか描けない、沖縄と美術の物語! 終戦後の沖縄。米軍の若き軍医・エドワードはある日、沖縄の画家たちが暮らす集落――ニシムイ美術村に行きつく。 警戒心を抱く画家たちだったが、自らもアートを愛するエドは、言葉、文化、何よりも立場の壁を越え、彼らと交流を深める。 だがそんな美しい日々に影が忍び寄る――。 実話をもとにした感動作! 「原田マハ氏は、小説家の優れた才能と人間的な温かさにより、どんなに善意の人間であっても、理解できない事柄があることを明らかにした。私は日本人が書いた沖縄をテーマとする小説で『太陽の棘』がいちばん好きだ。」 ――佐藤優(解説より)
  • ヴァレンヌ逃亡 マリー・アントワネット 運命の24時間
    3.8
    フランス革命の転換点となった有名な逃亡事件「ヴァレンヌ事件」はなぜ失敗したのか。愛のため、命がけで計画を練ったフェルゼン、狂おしいほどに優柔不断なルイ16世、「贅沢と傲慢」の女王アントワネットの真実。嫉妬、楽観、逡巡。濃密な人間ドラマと追いつ追われつ迫真の攻防戦24時間の再現は、息も継げない第一級の面白さ! 焦る王妃、迷う国王。フランス革命史上の濃密な人間ドラマ。マリー・アントワネットの運命の24時間とは。
  • 愛する源氏物語
    4.3
    源氏物語には795首の和歌が登場する。 ここぞ、というときの和歌は、恋のゆくえを大きく左右する。 心の結晶である和歌を、小石のように飛び越えてしまうのではなく、 氷砂糖をなめるように味わったならば、 源氏物語の世界はさらに豊かな表情を見せてくれるだろう。 千年の時を越え、「万智訳」でよみがえる愛の物語。 解説=東直子 ※この電子書籍は2003年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 堤清二 罪と業最後の「告白」
    3.5
    第47回大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)受賞作。月刊「文藝春秋」の連載『堤清二の「肉声」』に大幅に加筆したもので、セゾングループの総帥だった堤清二氏が死の一年前、父・康次郎氏そして弟の義明氏との関係をじっくり振り返った一族の物語です。 清二氏が、著者の児玉さんに10時間以上も語った堤家の物語は、愛憎と確執に満ちた肉親相食む世界でした。 康次郎氏は西武グループの礎を築いた実業家であると同時に、強引な手法で「ピストル堤」の異名をとり、異常な好色でも知られていました。清二氏ら七人の兄弟姉妹の母親だけで四人、そのうち二人とは入籍をしませんでした。関係を持った女性はお手伝いから看護士まで相手選ばず、清二氏の母・操さんの姉妹とも関係を持ちそれを操さんも承知していたといいます。その異常な環境で、清二氏・義明氏兄弟は静かな“狂気”を身の内に育まざるをえませんでした。 フォーブス誌の世界長者番付で世界一位に輝いた義明氏と、セゾン文化で一世を風靡した清二氏は、一転して凋落し、軌を一にするように堤家も衰退の一途を辿ります。 西武王国について書かれた本は数多くありますが、清二氏が初めて明かした一族の内幕は、堤家崩壊の歴史であると同時に、悲しい愛と怨念の物語であり、どうしようもない定めに向き合わなければならなかった堤家の人々の壮大な物語です。 ※この電子書籍は2016年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • ゲルマニウムの夜 王国記 I
    4.2
    1~7巻815円 (税込)
    街で人を殺し、身を隠すため、自分が育った古巣の修道院兼教護院に舞い戻った青年・朧(ろう)。その修道院でもなお、修道女を犯し、神父に性の奉仕をし、暴力の衝動に身を任せて教護院の少年たちや動物に鉄拳をふるい、冒涜の限りを尽くす。あらゆる汚辱を身にまとう──もしや、それこそ現代では「神」に最も近く在る道なのだろうか? 世紀末の虚無の中、〈神の子〉は暴走する。目指すは、僕の王国! 第119回芥川賞を受賞した戦慄の問題作にして、「王国記」シリーズ第一作。
  • 最高のオバハン 中島ハルコの恋愛相談室
    3.8
    中島ハルコ52歳、バツ2、女社長。自称・いま最もブレイクしているオバハン。金持ちなのにドケチで、口の悪さは天下一品。新幹線ホームのキヨスクで週刊誌を立ち読みしたり、大地震が起きたとき、無理矢理運送会社のトラックに自宅まで送らせたりといった無茶苦茶なエピソードが満載。そんな彼女の周りには、なぜか悩みごとを抱えた人間が寄ってくる。「十年間付き合ってる不倫相手に貸した三百万円が返ってこない」「老舗の和菓子屋の跡継ぎ息子がミュージシャンになると言い出した」「自分の学歴(東大卒)が高すぎてオトコができない」「40過ぎてやっと結婚したい相手が現れたのに、同居している実家の両親が結婚に猛反対」など、さまざまな相談が持ち込まれる。これらの悩みを、ハルコは決してきれいごとは言わず、独特の人生観によって解決していく。 心あたりのある人は読んで恐ろしくなり、若い読者にとっては、きたる人生の参考書にすらなるのではないだろうか。常識にとらわれず、本音で行動するハルコの歯に衣着せぬ物言いには、聖人君子の教えにはない、不思議な説得力がある。胸のすくような啖呵と、ハルコの傍若無人なようで鋭い洞察力が、悩める人々の背中を押してくれる、痛快エンタテインメント小説。※本作品は 2017年10月5日まで販売しておりました単行本電子版『中島ハルコの恋愛相談室』の文庫電子版となります。 本編内容は単行本電子版と同じとなります。
  • 「ななつ星」極秘作戦 十津川警部シリーズ
    -
    豪華列車「ななつ星」の車中で明かされる、戦争末期に試みられた日中和平工作の秘密とは!? 警視庁副総監からの命令で、十津川警部は「ななつ星」へ乗り込む。 乗客を装うために同伴した妻・直子は、豪華列車に声を弾ませるが、十津川はマークすべき人物が誰なのかさえも分からない。同乗するは、台湾からの旅行客、アメリカ人夫婦、気鋭の歴史学者、外務省の職員。 やがて、列車最後部の7号車DXスイートに集まった彼らは、太平洋戦争末期の1945年にあったという南京政府の高官・繆斌(みょうひん)による日中和平工作について激しい議論を交わす。 十津川は、彼らの目的が日中の歴史の真実を明かすことと知るが、ここに敵対する勢力が登場、思わぬ妨害工作で乗客たちは絶体絶命の危機に直面する! JR各社が手掛ける「クルーズトレイン」のなかでも、JR九州が運行する「クルーズトレインななつ星in九州」はいまだに予約が困難な人気豪華列車。「一度は乗ってみたい……」と思う読者も多いはず。 本書は、鉄道・トラベルミステリーの第一人者である著者が、「ななつ星」に実際に乗車し、車内を隅々まで取材して書かれた、臨場感溢れる作品である。 2015年に単行本として刊行された本書には、西村さんの実際に乗車した「ななつ星」への感動と、戦後70年という節目にも関わらず対立を深める日中両国への危機感とが込められている。作中、熱く議論される歴史の断章は、鉄道ファンのみならずすべての日本人必読だ。
  • 花酔ひ
    3.8
    『ダブル・ファンタジー』を超える、衝撃の官能世界! 恋ではない、愛ではなおさらない、もっと身勝手で、純粋な何か――。浅草の呉服屋の一人娘、結城麻子はアンティーク着物の仕入れで、京都の葬儀社の桐谷正隆と出会う。野心家の正隆がしだいに麻子との距離を縮めていく一方、ほの暗い過去を抱える正隆の妻・千桜は、人生ではじめて見つけた「奴隷」に悦びを見出していく……。かつてなく猥雑で美しい官能世界が交差する傑作長篇。
  • 三匹のおっさん
    4.4
    1巻764円 (税込)
    還暦ぐらいでジジイの箱に蹴り込まれてたまるか!と、かつての悪ガキ三人組が自警団を結成。定年退職後、近所のゲーセンに再就職した剣道の達人キヨ、同じく武闘派の柔道家で、居酒屋「酔いどれ鯨」の元亭主シゲ、機械をいじらせたら無敵の頭脳派、愛娘にはめっぽう弱い機械工場経営者ノリ。詐欺に痴漢に動物虐待…ご近所に潜む悪を「三匹のおっさん」が斬る! その活躍はやがて孫や娘にも影響を与え…。話題の作家・有川浩の新境地、痛快活劇シリーズ始動!
  • 花や散るらん
    4.0
    京の郊外に居を構え静かに暮らしていた雨宮蔵人と咲弥だったが、将軍綱吉の生母桂昌院の叙任のため、上京してきた吉良上野介と関わり、幕府と朝廷の暗闘に巻き込まれてしまう。そして2人は良き相棒である片腕の僧、清厳とともに江戸におもむき、赤穂・浅野家の吉良邸討ち入りを目の当たりにする事となるのだが。2人の運命は如何に……。『いのちなりけり』で歴史小説界に新たな地平を切り開いた作者が、名コンビを再び登場させた! 葉室麟の野心作。
  • ペット・セマタリー(上)
    4.1
    2019年、リメイク版映画が公開! 競争社会を逃れてメイン州の田舎に越してきた医師一家を襲う怪異。モダン・ホラーの第一人者が“死者のよみがえり”のテーマに真っ向から挑んだ、恐ろしくも哀切な家族愛の物語。
  • 午前三時のルースター
    3.8
    旅行代理店で働く長瀬は、得意先の社長に「孫の慎一郎のベトナム旅行に添乗してくれ」と頼まれる。少年の本当の目的は、失踪した父親の消息を尋ねることだった。4年前、商用先のサイゴンで父は姿を消し、血染めの上着が見つかったという。母が再婚する前に父に会いたい! 無事を信じる少年のため、現地の娼婦やカーマニアのタクシー運転手と共に父親を探す一行を、何者かが妨害し続け……そして辿りついた真実とは。サントリーミステリー大賞・読者賞ダブル受賞作!
  • テティスの逆鱗
    3.9
    1巻641円 (税込)
    華やかな美貌で売る女優、出産前の身体に戻りたい主婦、完璧な男との結婚をねらうキャバ嬢、そして、独自の美を求め続ける資産家令嬢。美容整形に通い詰める4人は、どんどんエスカレートし、やがて「禁断の領域」にまで達する――。終わりなき欲望を解き放った女たちが踏み込んだ、美容整形という天国と地獄。その戦慄の風景、女の心模様に震撼する、美と恐怖の異色作!
  • 菩提樹荘の殺人
    3.8
    「臨床犯罪学者・火村英生」斎藤工×窪田正孝で2016年1月より連続ドラマ化 お笑い芸人志望の若者、アンチエイジングのカリスマ等、「若さ」をモチーフとした作品集。学生時代の火村英生の名推理もキラリ
  • 歴史を紀行する
    4.1
    幕末――吉田松陰を筆頭に過激な思想、行動に突っ走った長州。西郷隆盛、大久保利通と大人の智恵を発揮した薩摩。松平容保を頂点とした会津の滅びの美学。危機の時ほど、その人間の特質が明瞭に現れる時はない。風土と人物のかかわり合い、その秘密、ひいては日本人の原形質を探るために、日本各地を歴訪し、司馬史観を駆使して語る歴史紀行。
  • おでかけ料理人 佐菜とおばあさまの物語
    3.4
    呼ばれたお家でお料理!美味しい新シリーズ 教養ある老舗の隠居のおばあさまと、料理好きだが内気な孫娘。誰にも頼れない二人が、人情と料理と度胸で世の荒波を生きていく!
  • ロータスコンフィデンシャル
    4.0
    公安部外事一課の倉島警部補シリーズ、待望の新刊! 外事一課の倉島は、「ゼロ」の研修帰りのエース公安マン。 ロシア外相が来日し、随行員の行動確認を命じられるが、同時期にベトナム人の殺害事件が発生。 容疑者にロシア人ヴァイオリニストが浮かび上がる。 一方、外事二課で中国担当の盛本もこの事件の情報を集めていることがわかる。 倉島は、ベトナム、ロシア、中国が絡む事件の背景を探るが……。 公安のエース、倉島警部補の活躍を描くシリーズ最新刊! ※この電子書籍は2021年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 静かな炎天
    3.9
    有能だが不運すぎる女探偵・葉村晶シリーズ第4弾。 苦境にあっても決してへこたれず、ユーモアを忘れない、史上最もタフな探偵の最新作。 〈甘いミステリ・フェア〉〈サマーホリデー・ミステリ・フェア〉〈風邪ミステリ・フェア〉〈学者ミステリ・フェア〉〈クリスマス・ミッドナイトパーティー〉など、各回を彩るユニークなミステリの薀蓄も楽しめます。 好評の「富山店長のミステリ紹介ふたたび」も収録。 解説は大矢博子氏。 【目次】 「青い影~7月~」……バスとダンプカーの衝突事故を目撃した晶は、事故で死んだ女性の母から娘のバッグがなくなっているという相談を受ける。晶は現場から立ち去った女の存在を思い出す 「静かな炎天~8月~」……かつて息子をひき逃げで重傷を負わせた男の素行調査。疎遠になっている従妹の消息。晶に持ち込まれる依頼が順調に解決する真夏の日。晶はある疑問を抱く 「熱海ブライトン・ロック~9月~」……35年前、熱海で行方不明になった作家・設楽創。その失踪の謎を特集したいという編集者から依頼を受けた晶は失踪直前の日記に頻繁に登場する5人の名前を渡される。 「副島さんは言っている~10月~」……元同僚の村木から突然電話がかかってきた。星野という女性について調べろという。星野は殺されており、容疑者と目される男が村木の入院する病院にたてこもっていた。 「血の凶作~11月~」……ハードボイルド作家・角田港大の戸籍抄本を使っていた男がアパートの火事で死んだ。いったいこの男は何者なのか? 「聖夜プラス1~12月~」……クリスマスイブのオークション・イベントの目玉になる『深夜プラス1』初版サイン本を入手するため、翻弄される晶の過酷な一日を描く。
  • タイムマシンに乗れないぼくたち
    3.8
    愛され度200%! 大人気著者初の短篇集 商店街で働く南優香は、いまよりほんの少し愉快に生きるためのライフハックを思いつく。今日から私、殺し屋になる――(「コードネームは保留」)。 博物館の片隅で現実逃避に余念のないサラリーマンと小学生。つい悩みを吐露し合ってしまった二人の本当の願いは……(表題作)。 読むほどに心が楽になる、7つの物語。 解説・森川すいめい 目次 (1)コードネームは保留 (2)タイムマシンに乗れないぼくたち (3)灯台 (4)夢の女 (5)深く息を吸って、 (6)口笛 (7)対岸の叔父 単行本 2022年2月 文藝春秋刊 文庫版 2025年2月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
  • 魔女のいる珈琲店と4分33秒のタイムトラベル
    4.1
    珈琲の香りと古時計の音が誘う感動のファンタジー 過去に戻って、後悔の瞬間をやり直せたら――。札幌の珈琲店を舞台に、“時を渡す”店主と少女が織り成すほろ苦くも温かい物語。
  • いわいごと
    3.9
    麻之助、ついに後妻をとる――!? 江戸町名主のお気楽者の跡取り息子・高橋麻之助が、幼なじみで町名主を継いでいる色男・八木清十郎、堅物の同心・相馬吉五郎とともに、さまざまな謎ともめ事の解決に挑む、好評連作短篇シリーズ「まんまこと」第8弾。 かつて恋女房を亡くした麻之助。 彼のもとに、縁談が3つもやってきた! しかも、ひとりは江戸一と謳われる美人。そして、どの縁談も妙なところがあるようで……。 麻之助たちは、なぜ不思議な縁談ばかり集まったのか調べることに。 果たして、麻之助の縁談の行方は……。  他にも、相馬家が吟味方与力に昇進したり、高橋家の支配町が増えたりと、今回も麻之助たちは大忙し! 急展開の第8巻。 文庫解説・大矢博子 ※この電子書籍は2021年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • かわたれどき
    3.7
    ベストセラー「まんまこと」シリーズ第7弾! 町名主のお気楽跡取り息子・麻之助が、幼なじみの色男・清十郎と堅物の同心・吉五郎とともに、さまざまな謎と揉め事の解決に挑みます。 「きみならずして」「まちがい探し」「麻之助が捕まった」「はたらきもの」「娘四人」「かわたれどき」の6篇を収録。 清十郎に子が生まれ、縁戚のおこ乃の縁談がまとまるなど、麻之助の周りで祝い事が続くものの、自分自身には揉め事ばかり。 特に親しい料理屋の娘・お雪には何かと振り回される日々だ。 ある時、野分けと呼ばれる大嵐が起こり、お雪が洪水に流される。 間一髪助かるが、何やら一大事が……!? 解説は「まんまこと」シリーズの装画を手掛けるイラストレーターの南伸坊さんです。 ※この電子書籍は2019年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • BKBショートショート小説集 電話をしてるふり
    3.8
    たった5分で見えていた景色が変わる! よくナンパをされる私は、スマホで父親と話すふりをして避けていると……(「世にも奇妙な物語」でドラマ化された表題作)、老夫婦が営む喫茶店で話の上手な友が(「いつも悪いな」)など、ブラックジョークに笑い、思わず涙し、展開に驚く。 たった5分で見えていた世界がガラリとかわる、極上のショートショート、たっぷり50編! BiSHのモモコグミカンパニーとの特別対談も収録。
  • 裁判員法廷
    3.4
    ある日、あなたのもとに届いた一通の呼出状。それは裁判員候補者として選ばれたという通知だった。裁判など、もちろん生まれて初めての体験。茫洋とした弁護士、森江春策と敏腕検事、菊園綾子が火花を散らす法廷で、あなたは無事評決を下すことができるのか。裁判員制度の詳細を正確に伝え、法廷での証拠開示ルールを守るという強力な縛りにもかかわらず、見事なリーガルサスペンスに仕上がった傑作。本邦初の“裁判員”ミステリー、ここに開廷。
  • 耳袋秘帖 目黒横恋慕殺人事件
    3.6
    茶店の主人が首を吊った。南町奉行・根岸肥前守は事件のカギが目黒にありと察知、家臣である宮尾玄四郎を派遣する。不動尊の参詣客でにぎわう町で遭遇する怪事件。優れた耳を持つ岡っ引き・音無の六蔵と、松平定信が普請を命じた屋敷の謎。そして大悪党・暁星衛右門の正体とは――。舞台は大坂にも広がり、ますます展開が加速! 根岸肥前守の名推理と恋模様が絡み合う人気シリーズ第19弾!
  • ユニクロ帝国の光と影
    3.8
    ユニクロ側が出版社に対し2億2000万円の損害賠償を求め提訴した衝撃の書!(一審判決は原告の請求棄却) 大型旗艦店を続々開き、世界に覇を唱えるユニクロ。総崩れの日本企業の中で、唯一気を吐いているように見える。しかし、これまで創業者・柳井正氏率いる同社の経営を精査したメディアはなく、その実体は謎に包まれていた。なぜ、執行役員が次々と辞めていくのか? なぜ、業績を回復させたにもかかわらず玉塚元一社長は追い出されたのか。なぜ、中国の協力工場について秘密にするのか? 誕生の地山口県宇部から、ユニクロ躍進の秘密を握る中国へ、そしてライバルZARAの心臓部スペインへ。グローバルな取材によって著者があぶり出した、「柳井正」と「ユニクロ」の真の姿。
  • 高丘親王航海記
    4.6
    澁澤龍彦没後30年。遺作となった伝説の傑作幻想小説が、いま新たな装いで! 平城天皇の皇子に生まれ、嵯峨天皇即位すると皇太子に立てられるも、父上皇と天皇との諍い(薬子の変)により廃された高丘親王。出家し弘法大師の直弟子となった親王は、東大寺大仏の再建に尽力するなど重要な働きを果たすが、晩年に至り朝廷に入唐求法の願いを出し、唐へ渡った。 親王の真の願いは、幼き日に父帝の寵姫藤原薬子に教えられ、憧れていた天竺を訪れることだった。 貞観七(865)年正月、高丘親王は唐の広州から海路、天竺へ向かった。鳥の下半身をした女、犬頭人の国など、怪奇と幻想の世界を遍歴した親王はやがて旅に病み、その心に去来したものとは……。 無類の面白さと、静かなる気品に満ちた傑作幻想小説。著者の死後に読売文学賞が与えられた。 高橋克彦さんの傑作解説も再収録!
  • 一刀斎夢録 上
    4.0
    「飲むほどに酔うほどに、かつて奪った命の記憶が甦る」――最強と謳われ怖れられた、新選組三番隊長・斎藤一(さいとう・はじめ)。明治を隔て大正の世まで生き延びた“一刀斎”が近衛師団の若き中尉に夜ごと語る、過ぎにし幕末の動乱、新選組の辿った運命、そして剣の奥義。慟哭の結末に向け香りたつ生死の哲学が深い感動を呼ぶ。『壬生義士伝(みぶぎしでん)』『輪違屋糸里(わちがいやいとさと)』に続く、浅田版「新選組」3部作完結篇!
  • ウィンター・ホリデー
    3.8
    1巻733円 (税込)
    元ヤンキーでホストだった沖田大和の生活は、小学生の息子・進が突然に夏休みに現れたことから一変。宅配便のドライバーへと転身し子供のために奮闘する。そして冬休み、再び期間限定の親子生活がはじまるが、クリスマス、お正月、バレンタインとイベント盛り沢山のこの季節は、トラブルも続出で……。
  • 風と共にゆとりぬ
    4.6
    読んで得るもの特にナシ! 500枚超の楽しいことだけ詰まった大ボリュームエッセイ集。 対決!レンタル彼氏/ポンコツ!会社員日記/冒険!朝井家、ハワイへ/諦観!衣服と私 失態!初ホームステイ/本気!税理士の結婚式で余興/阿鼻叫喚!痔瘻手術、その全貌等 ・ダヴィンチBOOK OF THE YEAR 2017 2位 ・ブクログ大賞2018 ノミネート ・読書メーター OF THE YEAR 2018 3位 『桐島、部活やめるってよ』で鮮烈なデビューを飾り、 『何者』で戦後最年少直木賞作家となった著者のユーモアあふれるエッセイ集が待望の文庫化。 日経新聞「プロムナード」連載エッセイや、壮絶な痔瘻手術の体験をつづった「肛門記」を収録。 また、その顛末が読める「肛門記~Eternal~」書き下ろし! ※この電子書籍は2017年6月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 夜の谷を行く
    3.9
    女たちが夢見た「革命」とは? 連合赤軍事件をめぐるもう一つの真実に光をあてた傑作長篇。 山岳ベースで行われた連合赤軍の「総括」と称する凄惨なリンチにより、十二人の仲間が次々に死んだ。 アジトから逃げ出し、警察に逮捕されたメンバーの西田啓子は五年間の服役を終え、人目を忍んで慎ましく暮らしていた。 しかし、ある日突然、元同志の熊谷から連絡が入り、決別したはずの過去に直面させられる。 解説・大谷恭子 ※この電子書籍は2017年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 「死ぬんじゃねーぞ!!」 いじめられている君はゼッタイ悪くない
    4.2
    すべての子供たちの未来の夢と出会いのために叫ぶ魂のエール 中学高校といじめられ、ひとり「死にたい夜」を過ごした中川翔子が傷つき悩む十代に送る言葉。あなたの時間と命は誰も奪えない――。 ※この電子書籍は2019年8月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 東西ミステリーベスト100
    3.9
    あの傑作ガイド『東西ミステリーベスト100』が帰ってきた! 古典、新作取り混ぜてのオールタイムで、ミステリー傑作中の傑作とはいったい何か? ミステリーファンなら誰でも考えてみたいこの問を、日本推理作家協会、SRの会、各大学ミステリークラブ、各地の読書会、国内外のミステリー通などに大アンケート! 国内・海外全202冊を「あらすじ」と「うんちく」で紹介する。既読者には備忘の一冊。これからの方にはマストガイドに。文庫版おまけとして、100位以下の100タイトルリストも特別追加。四半世紀ぶりの大改訂版!
  • ある町の高い煙突
    3.9
    映画「ある町の高い煙突」 2018年春撮影開始。 2019年春公開予定。 明治38(1905)年、買収によって茨城の地に開業した日立鉱山。やがて鉱山の宿命ともいえる煙害が発生。亜硫酸ガスが山を枯らし、農民たちの命である農作物までも奪っていく。 そこで、立ち上がったのが地元の若者・関根三郎(モデルとなった実際の人物は関右馬允)である。郷士であった名家に生まれ、旧制一高に合格、外交官という夢に向かって進んでいた。しかし、祖父・兵馬が煙害による心労で倒れ、人生が変わる。 こうして、地元住民たちと日立鉱山との苦闘のドラマが幕を開ける。 試行錯誤の末、1914年、当時としては世界一の高さを誇る155.7mの大煙突を建設し、危機を乗り切るのであった。 足尾や別子の悲劇がなぜこの日立鉱山では繰り返されなかったのか。 青年たちの情熱と今日のCSR(企業の社会的責任)の原点といえる実話を基にした力作長篇。
  • お母さんの「敏感期」 モンテッソーリ教育は子を育てる、親を育てる
    4.2
    20世紀初頭、イタリアのマリア・モンテッソーリ博士が生み出し、今も世界中で支持されている「モンテッソーリ教育」。その一番の特徴は、子どもには特定の事柄に特別な感受性を発揮する「敏感期」があることを指摘し、その重要性を唱えたこと。本書は、わが国のモンテッソーリ教育の第一人者である著者が豊富なイラストとともに解説する、育児書の決定版です! 『お母さんの「発見」』とあわせてどうぞ。
  • がん 生と死の謎に挑む
    4.1
    そもそも、がんとはいかなる病気なのか。 がん本質論に真っ向から取り組んだNHKスペシャルなど4本の番組の情報量が詰まった一冊。がんについて知っておくべき基本的事実と、がんについて考えるときにおさえておくべきポイントが、すべて織りこまれていると自負する著者の自信作。 また、自身の膀胱がん体験記「僕はがんを手術した」も収録。当事者ならではの視点で、がんという「人類最大の敵」に対峙する。
  • モダン
    4.1
    モダン・アートの聖地、ニューヨーク近代美術館――MoMA。ピカソ、マティス、ルソー、ワイエスなど20世紀絵画の巨匠たちの作品が綺羅星のごとく並ぶこの美術館を舞台に、アートを愛するさまざまな人の夢や苦悩、人生の決断を描く。アート小説の名手たる著者の真骨頂にして、もっとも都会的な短編集。
  • 悪魔の勉強術 年収一千万稼ぐ大人になるために
    3.8
    「役立つ。そして稼げる」知識と教養が身につく特別講義! 同志社大学神学部の後輩へ向けての20時間におよぶ集中講義を完全収録。 「やや刺激的かつ俗物的にいえば、年収1000万円を稼げる大人になるための知力を身につけるための授業です。  したがってこの講義では、そうしたことを念頭に置きながら、就活、資格試験や外国語の勉強の仕方など、社会の実践の場で「役立つ。そして稼げる」知識と教養のあり方を、一緒に考えながら進めて生きたいと思います。」(本文より) ■おもな目次■ <第1講>天国か地獄か 型を身につけることは重要だ/自己愛を分析する武器としての神学/ 傷つきたくない自分という病/数学力が身を助ける/ 動機付け次第で暗記力はアップする  ほか <第2講>天使のように貪欲に カイロスとしての年号/資格試験予備校は教材が命/ 勉強のスケジュールにも締切を導入せよ/じつは難しくない司法試験/ 翻訳のあるものはすべて日本語でよい  ほか <第3章>悪魔のように勤勉に 正しいウィキペディア活用術/パウロは「ポケモンGO」に何というのか/ 難しい語学には二重の要素がある/勉強の「踊り場」までは一気呵成に集中する/ メモ起こしからノートづくりまで ほか <第4章>復活の日に向けて 神童が伸び悩む理由とは/学生時代の三〇〇万円か、四十歳の一〇〇〇万円か/ これが一五〇〇時間の勉強習慣のつけ方だ/遅刻は重大なペナルティ/ 「神学者」佐藤優はこうして生まれた  ほか
  • 不穏な眠り
    3.5
    仕事はできるが不運すぎる女探偵・葉村晶。 NHKドラマ化で話題の人気シリーズ! ミステリ専門書店でアルバイトとしながら、〈白熊探偵社〉の調査員として働いている葉村晶に今日も事件の依頼が……。 「水沫(みなわ)隠れの日々」 終活で蔵書の処分を頼んできた女性のもう一つの依頼は、死んだ親友の娘を刑務所から連れてきてほしいということだった。刑務所から女性の元に向かう道で、娘は拉致される。 「新春のラビリンス」 大晦日の夜、解体直前の〈呪いの幽霊ビル〉の警備をすることに。ヒーターが壊れ、寒さの中一夜を明かした葉村は、女性事務員から連絡が取れない男友達の行方を調べてほしいと頼まれる。 「逃げだした時刻表」 葉村の働くミステリ専門店でGWに〈鉄道ミステリフェア〉を開催することになった。展示の目玉として借りた弾痕のあるABC時刻表が盗難にあう。本の行方を追ううちに思わぬ展開に。 「不穏な眠り」 相続で引き継いだ家にいつのまにか居座り、そこで死んでしまった女の知人を捜してほしいという依頼を受けた葉村。女を連れ込んだ男の家を訪ねたところ、男の妻に危うく殺されかける羽目に。 解説・辻真先
  • ナースの卯月に視えるもの
    4.0
    新川帆立大絶賛! 創作大賞2023(note主催)「別冊文藝春秋賞」受賞作 「号泣しました。様々な痛みを抱えて生きる人々を、そっと包み込んで肯定してくれる優しい作品です。」――新川帆立(作家)       ★感涙必至のお仕事ミステリーが誕生!★ ~元看護師の著者が送る、命の物語~ 完治の望めない人々が集う長期療養型病棟に務める看護師・卯月咲笑。ある日、意識不明の男性のベッド脇に見知らぬ女の子の姿が。それは卯月だけに視える患者の「思い残し」だった――。彼らの心残りを解きほぐし、より良い看護を目指したいと奔走する日々が始まった。ナースが起こす小さな奇跡に心温まるお仕事ミステリー。
  • 猫はわかっている
    3.6
    現代を代表する人気作家たちが、猫への愛をこめて書き下ろす猫の小説集第二弾! 猫が一生に一度だけ、人間の言葉をしゃべる!? 仕事と家事・育児にフル回転の雑誌編集者、九美が余命幾ばくもない猫を引き取ることになり……(村山由佳) 野良出身、いまは堂々の家猫ニャアが野犬に襲われ、まさかの!?(阿部智里) 火事が起きたとき、妻と双子の息子達の明暗が分れた。猫は何を見ていた?(長岡弘樹) 妊娠した姉から預かった猫との生活に、私の人生観が変わりだし……(望月麻衣) ほか、有栖川有栖、嶋津輝、カツセマサヒコらが登場! 話題の前作『猫が見ていた』に続く、謎と企みに満ちたオリジナル・アンソロジー。
  • パーネ・アモーレ イタリア語通訳奮闘記
    4.1
    家族で食卓を囲んでいたら、突然、テレビ局からの電話。法王のクリスマス・メッセージが英語でなくイタリア語で送られてきた! 通訳はいないのに、オンエアまであと20分! 電話で必死に音声を聞き、訳した紙を持って6歳の息子がFAXまで走る…聖夜の椿事を始め、最強のイタリア語同時通訳が明かすエピソード満載。地方名門女子校の優等生がシモネタ好きの妖艶な(?)イタリア語通訳になるまでのストーリーと、著者をシモネッタと名づけた米原万里の名解説も収録。
  • サロメ
    4.4
    現代のロンドン。日本からビクトリア・アルバート美術館に派遣されている客員学芸員の甲斐祐也は、ロンドン大学のジェーン・マクノイアから、未発表版「サロメ」についての相談を受ける。 このオスカー・ワイルドの戯曲は、そのセンセーショナルな内容もさることながら、ある一人の画家を世に送り出したことでも有名だ。彼の名は、オーブリー・ビアズリー。 マクノイア曰く、「とにかく、世界は知ったわけだ。あのオスカー・ワイルドを蹴散らすほどの強烈な個性をもった若い画家が存在するということを」。 保険会社に勤める病弱な青年・ビアズリーは、1890年、18歳のときに本格的に絵を描き始め、ワイルドに見出されて「サロメ」の挿絵で一躍有名になるが、その後、肺結核のため25歳で早逝。 フランス語で出版された「サロメ」の、英語訳出版の裏には、彼の姉で女優のメイベル、男色家としても知られたワイルドとその恋人のアルフレッド・ダグラスの、四つどもえの愛憎関係があった……。 退廃とデカダンスに彩られた、時代の寵児と夭折の天才画家、美術史の驚くべき謎に迫る傑作長篇。 ※この電子書籍は2017年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • ひとめぼれ
    3.7
    累計130万部突破、大人気「まんまこと」シリーズの第6弾。 札差の娘と揉めて上方へ追いやられた男。その思わぬ反撃とは(「わかれみち」)。盛り場で喧伝された約束が、同心一家に再び波紋を呼び起こす(「昔の約束あり」)。麻之助の亡き妻に似た女にもたらされた三つの縁談の相手とは(「言祝ぎ」)。火事現場で双子を救った麻之助は、新たな騒動に巻き込まれる(「黒煙」)。行方不明の男を探すため、麻之助は東海道へと旅立とうとする。そして新たな出会いが?(「心の底」)。沽券が盗まれた料理屋から、一葉が消えてしまったのは何故か(「ひとめぼれ」)。 いつの世も思い通りにならない、人の生死と色事。泣きたいときほど泣けない、「まんまこと」ワールド、慟哭の第六弾。 解説・紗久楽さわ〈「まんまこと」を自由に漫画で描けた幸福〉 ※この電子書籍は2017年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 東大生はバカになったか 知的亡国論+現代教養論
    4.2
    学力低下や教養教育の欠如など、高等教育の崩壊状況を徹底検証した「知的亡国論」。 日本の教育制度の欠陥を、東京大学や文部科学省の歴史に求めながら、日本を知的亡国の淵からいかにして救うかを論じた「東大法学部卒は教養がない」など四本の東大論。これらはのちに著者の代表作『天皇と東大』へつながる。 体験にもとづいた「立花臨時講師が見た東大生」。 現代における教養とはなにか、その教養をどのようにして獲得すればいいのかを論じた「現代の教養-エピステーメーとテクネー」。 四部にわたって構成された「知の巨人」による教育・教養論。
  • パリ仕込みお料理ノート
    3.6
    なぜかしら音楽家には食いしん坊が多いのです とろとろのチーズトーストに、二時間煮込んだシチュー、たきたてご飯にバター、しょうゆ、おかかを混ぜ、おみそ汁のお豆腐をのせた現代版ウツミ豆腐……戦後シャンソン歌手としてデビューしたパリで“食いしん坊”に開眼した著者が、人生で出会った忘れがたい料理と世界の友人たちを自在に綴るエッセイ集。
  • 春の夢
    4.0
    1巻691円 (税込)
    亡き父の借財を抱えた大学生、井領哲之。大阪にあるホテルでのアルバイトに勤(いそ)しむ彼の部屋には、釘で柱に打ちつけられても生きている蜥蜴(とかげ)の「キン」がいる──。可憐な恋人とともに、人生を真摯に生きようとする哲之の憂鬱や苦悩、そして情熱を1年の移ろいのなかにえがく、青春文学の輝かしい収穫。
  • 身体にきく 「体癖」を活かす整体法
    4.6
    『骨盤にきく』の著者が贈る整体メソッドの決定版! 人は骨盤のタイプによって、最適なリラックス法や疲れ方のパターンが全く異なります。身体の声をよくきき、本来の癖“体癖”を活かすと、本当にその人にとって効く健康法となるのです。倦怠感、頭痛、腰痛、不定愁訴……そんな症状とはさようなら! 本書では、人が無意識のうちに「ゆるもう」とする共鳴作用を利用し、体操でもストレッチでもない、究極の整体法を図解満載で提案します。
  • 1985年のクラッシュ・ギャルズ
    4.9
    1985年8月28日、大阪城ホール。全日本女子プロレス興行。会場は10代の少女で埋め尽くされた。彼女たちの祈るような瞳がリングに注がれる。クラッシュ・ギャルズは私たちの苦しみを背負って闘っている、クラッシュ・ギャルズのようにもっと強く、もっと自由になりたい――。長与千種とライオネス飛鳥、そして二人に熱狂した少女たちの「あのとき」と「あれから」。25年間の真実の物語を描きます。『1976年のアントニオ猪木』に続き、プロレスをテーマに選んだ著者入魂の一作。
  • 株価暴落
    4.2
    織田裕二主演で10月からWOWOWで放送される連続ドラマ「株価暴落」原作本がついに電子書籍化! 巨大スーパー・一風堂を襲った連続爆破事件。企業テロを示唆する犯行声明に株価は暴落、一風堂の巨額支援要請をめぐって、白水銀行審査部の板東は企画部の二戸と対立する。一方、警視庁の野猿刑事にかかったタレコミ電話で犯人と目された男の父は、一風堂の強引な出店で自殺に追いこまれていた。「銀行の存在を賭けた戦い」をめぐる傑作金融エンタテイメント。
  • ダブル・ファンタジー(上)
    3.6
    1~2巻569円 (税込)
    35歳の奈津は売れっ子脚本家。仕事は順調だが、マネージャーである夫の支配的な態度に萎縮し、精神的にはギリギリの日々。そのうえ奈津は人一倍性欲が強く、躯の奥から溢れる焦りと衝動になんとか堪えていた矢先、敬愛する56歳の演出家・志澤とメール交換を始めたのを機に、女としての人生に目覚めていく。志澤の、粗野な言葉遣いでの“調教”にのめり込む奈津。そして生と性の遍歴が始まった…。柴田錬三郎賞ほか文学賞三冠受賞。文壇に衝撃を与えた迫力の官能長篇!
  • こいわすれ
    3.8
    NHKドラマ化もされた大人気「まんまこと」シリーズ第3弾! 江戸町名主の跡取り息子・麻之助は、親友とともに様々な謎と揉め事の解決に立ち向かう。ふわりとした筆致で描かれた、6つのあたたかな短編集。 「私は父親になるのかい?」妻のお寿ずから懐妊を知らされ、驚きつつ大喜びする麻之助には、思いもよらぬ運命が待ち受けており――江戸情緒とともに、切ない幕切れが心にしみる1冊。 解説・小谷真理 ※この電子書籍は2011年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • ときぐすり
    4.0
    NHKドラマ化もされた大人気「まんまこと」シリーズ第4弾! 女房のお寿ずを亡くした麻之助だが、町名主・高橋家の跡取りとして裁定に追われる毎日。 「人が人を、大事だって思う気持ちにつけ込んで、下司なことをするんじゃねぇよ」 ――幼馴染で親友の八木清十郎と相馬吉五郎の助けもあり、魂の抜けたような麻之助も徐々に回復してゆく。 解説・吉田紀子 ※この電子書籍は2013年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 長生きは老化のもと
    4.0
    コロナ禍で土屋教授は悠々自粛の日々を余儀なくされるも、果敢な挑戦は続く。 コロナに負けるな! 家庭平和を破壊しろ! 整理整頓を軽蔑しろ! 通販業者を論破しろ! コーヒーの通になれ! いやなるな!  その都度敗北に塗れる姿に人生の深淵と笑いを見出す根性の一冊。「週刊文春」の大人気長寿連載文庫化。解説・川上弘美
  • まったなし
    3.8
    俳優・福士誠治さんも絶賛! 大好評「まんまこと」シリーズ第5弾! 妻を亡くした悲しみが癒えぬ町名主の跡取り・麻之助、 養子に入った家に年の離れた許婚のいる堅物の吉五郎、 そして彼らを親友と考えている金貸し丸三とその妾のお虎。 いずれも色男・清十郎に運命の人が現れることを願っているが、様々な障害や思わぬ事件に巻きこまれ……。 解説・福士誠治 ※この電子書籍は2015年6月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 螺旋館の奇想
    3.9
    ミステリ界の大御所が、秩父の山荘で10年ぶりの新作執筆に取りかかっていた。タイトルは『螺旋館の殺人』、本格推理ものだ。ある日、作家志望の若い女性が自らの作品を手に訪ねて来る。その後の原稿紛失、盗作疑惑……奇妙な事件の果てに待つものは? 折原ミステリの原点である精緻な多重トリックが冴えに冴える!
  • ゆうれい居酒屋
    3.9
    1~6巻710~750円 (税込)
    「食と酒」小説の名手が贈る、心温まる居酒屋の物語 新小岩の居酒屋・米屋は気の利いたつまみとおかみの人柄で悩みを抱えたお客も癒されるのだが、じつはとんでもない秘密があって……。
  • 溺レる
    3.7
    もう帰れないよ、きっと。 重ねあった盃。並んで歩いた道。そして、二人で身を投げた海……。時間さえ超える恋を描く傑作掌篇集。女流文学賞、伊藤整賞ダブル受賞
  • 風に舞いあがるビニールシート
    4.2
    1巻660円 (税込)
    あたたかくて力強い、第135回直木賞受賞作。 才能豊かなパティシエの気まぐれに奔走させられたり、犬のボランティアのために水商売のバイトをしたり、難民を保護し支援する国連機関で夫婦の愛のあり方に苦しんだり……。 自分だけの価値観を守って、お金よりも大事な何かのために懸命に努力し、近づこうと頑張って生きる人たちを描いた6編を収録。 解説・藤田香織 ※この電子書籍は2006年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 旅をする木
    4.4
    広大な大地と海に囲まれ、正確に季節がめぐるアラスカで暮すエスキモーや白人たちの生活を独特の味わい深い文章で描くエッセイ集。 解説・池澤夏樹。 ※この電子書籍は1995年8月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 春の庭
    3.6
    第151回芥川賞受賞作。「春の庭」 書下ろし&単行本未収録短篇を加え 待望の文庫化! 東京・世田谷の取り壊し間近のアパートに住む太郎は、住人の女と知り合う。 彼女は隣に建つ「水色の家」に、異様な関心を示していた。 街に積み重なる時間の中で、彼らが見つけたものとは―― 第151回芥川賞に輝く表題作に、「糸」「見えない」「出かける準備」の三篇を加え、 作家の揺るぎない才能を示した小説集。 二階のベランダから女が頭を突き出し、なにかを見ている。(「春の庭」) 通りの向こうに住む女を、男が殺しに来た。(「糸」) アパート二階、右端の部屋の住人は、眠ることがなによりの楽しみだった。(「見えない」) 電車が鉄橋を渡るときの音が、背中から響いてきた。(「出かける準備」) 何かが始まる気配。見えなかったものが見えてくる。 解説・堀江敏幸
  • 夕暮れをすぎて
    3.8
    巨匠キングが贈る不思議と感動の物語 ごく普通の人々の人生に訪れる不思議。切ない悲しみの待つ結末、あるいは血の凍るような恐怖。巨匠の才能を堪能できる最新短篇集
  • 将棋指しの腹のうち
    4.2
    藤井聡太が対局中に豚キムチうどんを注文して、 千駄ヶ谷の聖地と化した「みろく庵」。将棋指し御用達のこうした店では、 昔から棋士たちが勝負の傍ら、飲みかつ食い、素顔を見せてきた。 どんな世界にも、表があれば裏がある。現役棋士が小声で明かす、 メディアには決して登場しない「本当の現場の将棋メシ」。 解説=高橋茂雄(サバンナ) ※この電子書籍は2020年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 朝の霧
    4.0
    「いまのわたくしは元親の妹ではなく、殿に嫁いだ養甫にござります」 四国統一を目指す長宗我部元親の旗下で勇名を馳せた名将・波川玄蕃。元親の妹・養甫を妻とし、領民からの信望も篤い玄蕃だったが、いつしか元親の暗い嫉妬を買い、次々と失脚の罠を仕掛けられる。やがて襲う悲劇――。戦国乱世における夫婦の情愛、家族の絆、側近たちの活躍をいきいきと描いた、感涙の時代小説。
  • 上役のいない月曜日
    5.0
    「月曜の朝」は「最低の気分」と同じ意味。あーあ、今日からまた仕事だよ。ところが、ある月曜日、出社してみると、うるさい上司たちはなんと全員が会社を休んでいた。最高の月曜日だ! 十年に一度の珍事に喜んだのも束の間、クレーマーに不倫に事故! 次から次へと難題が起こり……。表題作のほか、「花束のない送別会」「禁酒の日」「徒歩十五分」「見えない手の殺人」と、平凡なサラリーマンが思わぬ事件に巻き込まれる五つの短篇を収録。
  • お受験
    3.0
    わが子を名門小学校へ! 5歳の秋のワンチャンスをモノにするため、個人塾通いに精を出す“お受験”ママ達。●腹筋50回、鉄棒ぶら下がり10分で根性を養う●自分の洗濯物を洗って干して畳ませる●童話を20話スラスラ説明できるよう記憶させる…など母子一体となって戦闘態勢の「まっしぐら組」。一方、親子代々私立校通い、ほかの選択肢はありえない「老舗組」も…。お受験失敗組の著者が、親たち・塾関係者40人の実態を徹底取材。“お受験”の世界をあぶり出す!
  • 鍵のない夢を見る
    3.7
    望むことは、罪ですか? 誰もが顔見知りの小さな町で盗みを繰り返す友達のお母さん、結婚をせっつく田舎体質にうんざりしている女の周囲で続くボヤ、出会い系サイトで知り合ったDV男との逃避行──。普通の町に生きるありふれた人々に、ふと魔が差す瞬間、転がり落ちる奈落を見事にとらえる五篇。現代の地方の閉塞感を背景に、五人の女がささやかな夢を叶える鍵を求めてもがく様を、時に突き放し、時にそっと寄り添い描き出す。著者の巧みな筆が光る傑作。第147回直木賞受賞作!
  • セカンド・ラブ
    3.6
    1983年元旦、僕は、会社の先輩から誘われたスキー旅行で、春香と出会った。やがて付き合い始めた僕たちはとても幸せだった。そこに春香とそっくりな女、美奈子が現れるまでは……。清楚な春香と大胆な美奈子、対照的な二人の間で揺れる、僕の心。ラストで読者を驚愕の淵へと叩き込む、恋愛ミステリー。ベストセラー『イニシエーション・ラブ』に続く、二度読み必至の傑作!
  • 老い力
    3.0
    ただ今80代真っ只中! ジタバタしない! 50代から80代、各年代をいかに上手に枯れるか。夫婦、親友、化粧からボケまで、気概に満ちた愛子節が元気を呼ぶ痛快エッセイ。 いつまでも若く元気に、美しく!? そんなことを言ったって、老衰、病苦、そして死は必ずやってくるのである。ならば現実を静かに受け入れ、ジタバタせずに人生を全うした方がよくはないか――著者50代から80代の現在まで折に触れ記した「老い」についての“超”現実主義な言葉たち。なぜか心が軽くなる傑作ユーモアエッセイ集。
  • 犬と私の10の約束
    4.0
    1巻662円 (税込)
    「私を信じてください。それだけで私は幸せです」 「私が死ぬとき、お願いです、そばにいてください」 ゴールデンレトリバーのソックスを飼う時、母は幼いあかりに10の約束をさせた。 しかし大人になるにつれその関係に微妙な変化が生まれ……。 「あなたには学校もあるし友だちもいます。  でも私にはあなたしかいません」 愛犬と少女の絆を描く、涙なくしては読めない感動物語。
  • おにのさうし
    3.7
    これが「陰陽師」の原点だ! 人は何ものかを愛しすぎると鬼になる……魑魅魍魎が跋扈する平安の都を舞台に鬼と女人を描く陰陽師の原点ともいうべき奇譚集。
  • デッドエンドの思い出
    4.1
    幸せってどういう感じなの? 人の心の中にはどれだけの宝が眠っているのだろうか――。時が流れても忘れ得ぬ、かけがえのない一瞬を鮮やかに描いた傑作短篇集
  • 鬼平犯科帳<番外編> 乳房
    4.2
    「まるで不作の生大根(なまだいこん)をかじっているようだ」と男に自分の身体をけなされ、その煙管職人をお松が殺した頃、長谷川平蔵は旗本として退屈な日々を送っていた。その平蔵が火付盗賊改方に就任した直後の捕り物と、お松の数奇な人生が絡み合うことになろうとは……。平蔵が「男にはない乳房が女というものを強くするのだ」とふと洩らす。過酷な運命を背負う、女だけでなく男の生き方をも、情感ゆたかに描きだした鬼平犯科帳番外編。
  • 男おひとりさま道
    3.5
    女のおひとりさまと男のおひとりさまとでは、生きていくための暮らしの知恵がちょっと違う。本書では、多くの男性“おひとりさま”を取材し、楽しく幸せに男ひとりで老後を生きていくすべを、豊富な事例をまじえて指南。人生の下り坂を降りるスキル、よい介護を受けるためのハウツー、ひとり暮らしの仕方や、人間関係のコツ、そして、幸福な在宅ひとり死まで…。かゆいところに手が届くような作りで、男ひとりの老後暮らしに、必携の一冊。
  • わたしのグランパ
    4.2
    中学校の珠子の前に、とつぜん現れた祖父・謙三はなんと刑務所帰りだった。侠気あふれるグランパは、町の人たちから慕われ、珠子の周囲の問題を次々に解決していく。しかし、グランパの秘密を知った珠子と、彼女を慕う紀子に大事件が襲いかかる──。 石原さとみのデビュー映画の原作で、読売文学賞を受賞した傑作ジュブナイル!  解説・久世光彦
  • 小銭をかぞえる
    3.9
    女にもてない「私」がようやく女とめぐりあい、相思相愛になった。しかし、「私」の生来の暴言、暴力によって、女との同棲生活は甘いどころか、どんどん緊張をはらんだものになっていく。金策に駆け回り、疎遠な友をたずね、断られれば激昂し…金をめぐる女との掛け合いが絶妙な表題作に、ぬいぐるみを溺愛する女との関係を描く「焼却炉行き赤ん坊」を併録。爆笑を誘うほどに悲惨な、二つのよるべない魂の彷徨。新しい私小説がここから始まる。
  • 円朝の女
    3.7
    全盛を支えた名妓から、淋しい晩年を看取った娘分まで――。スーパースターと五人の女が現代に甦る。 時代の絶頂を極め、近代落語の祖といわれた大名人・三遊亭円朝と、彼を愛した五人の女。 江戸から明治に変わる歴史の転換期を乗り越えた、大名人と女たちの人生が深い感慨を呼ぶ傑作時代小説。
  • こいしり
    3.8
    NHKドラマ化もされた大人気「まんまこと」ワールド第2弾! 町名主の跡取り・麻之助は、ついに祝言をあげることに。けれど花嫁を迎えに出ようとしたその時、悪友・清十郎の父が卒中で倒れてしまう。堅物の父・源兵衛から「かつて訳ありだった二人のおなごの境遇を確かめて欲しい」と頼まれた清十郎は仰天し――。 町名主名代ぶりも板につきながら、淡い想いの行方は皆目見当つかぬ麻之助。両国の危ないおニイさんたちも活躍する、江戸情緒溢れる6つの短編集。 解説・細谷正充 ※この電子書籍は2009年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 無理難題が多すぎる
    3.5
    週刊文春の連載エッセイ「ツチヤの口車」をまとめた一冊。 「ぼっち席」「幸福に目もくれない生き方」「老人の生きる道」「善人になる方法」 「運転免許の更新」「住み心地の問題」「よくわからない野球解説」「矛盾との闘い方」など、 今日もツチヤ先生のまわりには、ひと筋縄ではいかない無理難題がいっぱい! 読めばたちまち問題解決するかも!?
  • 弥勒の掌
    3.7
    これが現代ミステリの到達点だ! 愛する妻を殺され、汚職の疑いをかけられたベテラン刑事、蛯原。妻が失踪して途方に暮れる高校教師、辻。やがてふたりはある宗教団体の関与を疑い、ともに捜査を開始するが――。 あらかじめ申し上げておきます。本作は、社会派の本格捜査小説であると同時に、読者を罠にはめようとする壮大なたくらみが隠された作品でもあります。どうか注意深く、慎重に、身構えて読み進めてください。それでもなお……! 必ずや前代未聞の驚きを味わっていただけることでしょう。迫真のリアリティ、サスペンス、そして謎解きの美しさ。まさに、現代ミステリの到達点といえる逸品です。
  • 隣りの女
    3.8
    夫の給料をつましくやり繰りして、家事と内職で毎日が過ぎていく平凡な主婦に訪れた恋。“人妻の恋の逃避行”(そして、気になるその後)をあざやかに描いた表題作。家族のために頑張って、気がついたらそろそろ30歳…な主人公の微妙な恋心を衝いた「幸福」と「胡桃の部屋」。大人になって出会った異母兄弟の愛憎をえがく「下駄」。突然の飛行機事故により、向田邦子の絶筆となった「春が来た」。いずれも読んだら忘れられなくなる、まさに珠玉の5篇。
  • 槍ヶ岳開山
    4.5
    百姓一揆にまきこまれ、過って妻のおはまを刺殺した岩松は、国を捨てて出家する。しかし、罪の償いにきびしい修行をみずから求めた彼を絶え間なく襲うのは、おはまへの未練と煩悩だった。いっぽう、清貧と無欲の極地で庶民救済に生きようとする彼を俗世へと駆りたてることに執念を燃やす奇妙な男がつきまとう。大飢饉や一揆、打ちこわしといった江戸後期の乱世に、妻殺しの呵責に苦しみつつ、未踏の岩峰・槍ヶ岳初登攀に成功した修行僧播隆の苛烈な生きざまを、雄渾に描く長篇伝記小説。
  • 月島慕情
    4.0
    「あたし、あんたのおかげで、やっとこさ人間になれたよ」吉原の年増女郎・ミノにふってわいた結婚話。しかし、身に余る幸せに浸る間もなく、思いもかけない真実が叩きつけられる。ミノが選んだ道とは…。過去をかかえた女の、哀切あふれる恋を描いた表題作「月島慕情」。ワンマン社長とガード下の靴磨きの老人の生き様を描いた、傑作「シューシャインボーイ」。ほか、市井の人々の優しさ、矜持を描いた珠玉の短篇集。著者自身が創作秘話を語る「自作解説」も収録。
  • 危機の宰相
    3.9
    あのとき、経済は真っ赤に熱をはらんでいた――。1960年、安保闘争後の騒然とした世情の中で首相になった池田勇人は、次の時代のテーマを経済成長に求めた。「所得倍増」、それは大蔵省で長く“敗者”だった池田、田村敏雄、下村治という3人の男たちの夢と志の結晶でもあった。戦後最大のコピー「所得倍増」を巡り、政治と経済が激突するスリリングなドラマを、ノンフィクションの巨星が活写する!
  • 故郷忘じがたく候
    3.7
    十六世紀末、朝鮮の役で薩摩軍により日本へ拉致された数十人の朝鮮の民があった。以来四百年、やみがたい望郷の念を抱きながら異国薩摩の地に生き続けた子孫たちの痛哭の詩「故郷忘じがたく候」。他、明治初年に少数で奥州に遠征した官軍の悲惨な結末を描く「斬殺」、細川ガラシャの薄幸の生涯「胡桃に酒」を収録。
  • くっすん大黒
    3.7
    1巻550円 (税込)
    賞賛と悪罵を浴びた戦慄のデビュー作 大黒様を捨てようとして始まる日常の中の異次元世界。日本文学史に衝撃的に登場した芥川賞作家の処女小説。「河原のアパラ」を併載。 三年前、ふと働くのが嫌になって仕事を辞め、毎日酒を飲んでぶらぶらしていたら妻が家を出て行った。誰もいない部屋に転がる不愉快きわまりない金属の大黒、今日こそ捨ててこます日本にパンクを実在させた町田康が文学の新世紀を切り拓き、作家としても熱狂的な支持を得た鮮烈なデビュー作、待望の文庫化。 解説・三浦雅士
  • 影裏
    3.7
    第157回芥川賞受賞作。 大きな崩壊を前に、目に映るものは何か。 北緯39度。会社の出向で移り住んだ岩手の地で、 ただひとり心を許したのが、同僚の日浅だった。 ともに釣りをした日々に募る追憶と寂しさ。 いつしか疎遠になった男のもう一つの顔に、 「あの日」以後、触れることになるのだが……。 樹々と川の彩りの中に、崩壊の予兆と人知れぬ思いを繊細に描き出す。 芥川賞受賞作に、単行本未収録の「廃屋の眺め」(「文學界」2017年9月号・受賞後第一作)、「陶片」(「文學界」2019年1月号)を併録。 綾野剛・松田龍平主演で映画化(大友啓史監督)、2020年初頭に公開予定。 ※この電子書籍は2017月7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • パーク・ライフ
    3.3
    昼間の公園のベンチにひとりで座っていると、あなたは何が見えますか? スターバックスのコーヒーを片手に、春風に乱れる髪を押さえていたのは、地下鉄でぼくが話しかけてしまった女だった。なんとなく見えていた景色がせつないほどリアルに動きはじめる。『東京湾景』の吉田修一が、日比谷公園を舞台に男と女の微妙な距離感を描き、芥川賞を受賞した傑作小説。役者をめざす妻と上京し働き始めた僕が、職場で出会った奇妙な魅力をもつ男を描く「flowers」も収録。
  • 私記キスカ撤退
    -
    太平洋戦史の中で奇蹟とされる日本軍キスカ島守備隊の無血全員撤収。「霧の作戦」は、いかにして立案され、どのように実施されたのか? すでに何度も描かれた「語るに足る数少ない後味のいい史実」(あとがきより)であるキスカ作戦成功の全貌を、筆者が新取材と、独自の見方で描いた表題のドキュメントほか、戦後、文筆家として初めて玉砕の島を訪れたときの模様を描く「アッツ紀行」、「海軍の伝統と気風について」など、一貫して揺るがぬ著者の視点をあきらかにする好読物を併録。
  • パン屋再襲撃
    3.9
    堪えがたいほどの空腹を覚えたある晩、彼女は断言した。「もう一度パン屋を襲うのよ」。それ以外に、学生時代にパン屋を襲撃して以来、僕にかけられた呪いをとく方法はない。かくして妻と僕は中古のカローラで、午前2時半の東京の街へ繰り出した……。表題作のほか「象の消滅」、“ねじまき鳥”の原型となった作品など、初期の傑作6篇を収録した短編集。
  • ボラード病
    3.6
    日本中を震撼させた傑作がついに文庫化! B県海塚市は、過去の厄災から蘇りつつある復興の町。 皆が心を一つに強く結び合って「海塚讃歌」を歌い、新鮮な地元の魚や野菜を食べ、 港の清掃活動に励み、同級生が次々と死んでいく――。 集団心理の歪み、蔓延る同調圧力の不穏さを、少女の回想でつづり、 読む者を震撼させたディストピア小説の傑作。 (解説・いとうせいこう) 「誰も触れたがらないきわどいポイントを錐で揉みこむように突いてみせた、とびきりスキャンダラスな作品」(松浦寿輝) 「この作品に描かれた社会が、近未来の日本に現れないことを願っている」(佐藤優) 「世界をありのままに感じることがいかに困難であるかを描きだした魂の小説」(若松英輔)
  • 陰の季節
    3.8
    『64』で話題沸騰! 横山秀夫「D県警シリーズ」はここから始まった! 警察一家の要となる人事担当の二渡真治は、天下りポストに固執する大物OBの説得にあたる。にべなく撥ねつけられた二渡が周囲を探るうち、ある未解決事件が浮かび上がってきた……。「まったく新しい警察小説の誕生」と選考委員の激賞を浴びた第5回松本清張賞受賞作を表題作とするD県警シリーズ第一弾! 表題作他、「地の声」「黒い線」「鞄」の短篇四篇を収録。
  • 黒パン俘虜記
    4.5
    「軍隊は運隊だ」という言葉どおり、運悪く、敗戦と同時に送りこまれたモンゴルの収容所は、まさにこの世の地獄だった。軍律の崩壊した集団に君臨するやくざあがりの大ボス・小ボス。食糧といえば、黒パンとわずかなスープ、それも搾取され、強制労働にかり出される毎日。栄養失調、疾病、私刑で、つぎつぎと失われる生命。襲いくる不条理に耐えながら、帰国を待ち侘びる日々を支えてくれたのは、小説と映画と流行歌への熱い思いだった。死んでいった戦友たちへの祈りをこめた第89回直木賞受賞作。
  • おんなの一人旅
    -
    「せまい日本、そんなに急いでどこへ行く」ってヒネくれた標語ねえ。ソリャ確かにせまいけど、歩けば歩くほど、面白いことがあるわよと原稿執筆とテレビ出演のはざまをぬって講演に、取材にと日本全国津々浦々へ。エンヤトットと大漁節で迎えてくれた女学校、名物の牛なべを食いそびれて涙した夜、講演料を定期預金でくれた銀行、見上げるほどの大女芸者で歓待してくれた新聞社等々、気軽さと心細さを道連れに駈け巡った旅先で起こった立腹、抱腹の旅エッセイ。
  • 日本人の笑い
    -
    西鶴研究の第一人者にして粋人教授のほまれも高き著者が、永年のウンチクを傾けて語る、色の道講座。江戸の川柳を引用しつつ日本人の性感覚やセックスにまつわる、さまざまな滑稽譚やユーモラスなエピソード集。人を悲しませるより、笑わせるほうがはるかに快適な生き方であると言い切る著者は、風刺と明朗な笑いを自由闊達に表現した江戸文学を現代的な解釈をくわえて紹介、当時の人たちの、風俗やハダカの生活が手にとるように解り、時代をこえた日本人の笑いが聞こえてくる名著。

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