「プロレス少女伝説」や「同性愛者たち」を読んで、なんと類いまれなルポライターだろうかと思っていたら、2001年にあっけなく亡くなり驚きつつ惜しんだ。自分の体を売り街で生きる十代を追ったルポルタージュだ。サンフランシスコと日本で。バブル崩壊後、貧困以外の理由で街でサバイブする子供が増えているそうだ。そ
...続きを読むれからまた10年、今、街で生きる子どもたちは何が原因で街をたゆたうのだろうか。「家庭も家族も、親も子供たちも、少ない例外を覗いて、ほぼ壊れたのです」そして壊したのは私たちです、と本書の終わりの項で井田は言う。それを認めて、そこから始めることしか出来ない、と。そして井田自身は8歳の時自分に起こったことを抱えて生きてきたと、何の前触れもなくスルッと告白する。スルっと。サンフランシスコでストリートサバイバーを支援する活動を続けるロジャーとの会話の中で。家庭に子供を帰せば解決する時代は終わったならば、子供たちはどこへ帰っていけばいいんだろうか。