作品一覧

  • 漂流物・武蔵丸
    4.0
    1巻990円 (税込)
    「あのな、ええことおせちゃる。」――鬼気迫る母親の一人語り「抜髪」、平林たい子賞、川端康成賞受賞の表題作二篇ほか、私小説の真髄を示す佳篇を精選。さらに講演「私の小説論」と随筆一篇を併録した直木賞作家の文庫オリジナル選集。 〈巻末エッセイ〉高橋順子 〈解説〉井口時男 ■目次 木枯し/抜髪/漂流物/変/武蔵丸/狂/「鹽壺の匙」補遺/直木賞受賞修羅日乗(随筆)/私の小説論(講演) 〈巻末エッセイ〉けったいな連れ合い(高橋順子) 〈解説〉井口時男
  • 飆風
    3.0
    1巻1,562円 (税込)
    作家になることは悪人になることだ。生きることで他人を傷つけ、小説を書くことで自らをも痛めつけてゆく。すさまじい作家が、己の精神を追い込み、崩壊していく様を曝した、最後の私小説――「靴と下駄とスリッパが空中を飛んでいるんだ。ほら、そこに。」「くうちゃん、何言ってるの。何も飛んでいないじゃない。」「いや。飛んでいるんだ。階段も廊下も流れているし。」「変ねェ。何も流れていないじゃない。いつもの通りじゃない。」「ああ、俺は気が狂った。アロエの毒を呑まされた。」「誰に。」「誰だか分からない。俺の頭の中を風が吹いていくんだ。」「風?」(本文より)
  • 雲雀の巣を捜した日
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    すさまじき小説家が作り事でない想いを綴り忌憚なく心の内を覗かせる! 私小説を断筆するとした「凡庸な私小説作家廃業宣言」、「私の思想」から「死のやすらぎ」、そして「言葉について」……。作家の覚悟と矜持を示したエッセイ集。 ――私は三十八歳でふたたび東京へ来てから二十一年、ほとんどこの市九郎のごとき懺悔の執念で、私の私(わたくし)小説を書いて来ました。懺悔と言うのは、人間としてこの世に生れて来たことが、すでにそれだけで重い罪であるからです。(「凡庸な私小説作家廃業宣言」より)
  • 錢金について
    -
    1巻850円 (税込)
    人が「銭金の問題じゃねえだろッ」と怒るとき、実際のことの発端はやはり銭金の問題なのである! 貧乏、借金、挫折、嫉妬……欲望渦巻く人間の金がらみ人生を赤裸々に綴った表題作など、一大不況の時代を乗り切るための救済と覚悟を示すエッセー集。
  • 車谷長吉の人生相談 人生の救い
    3.9
    1巻630円 (税込)
    新聞連載時より話題沸騰! “最後の文士”にして“私小説家の鬼”たる著者が、投稿による身の上相談に答える。妻子ある教師の「教え子の女子高生が恋しい」、主婦の「義父母を看取るのが苦しい」……この問いに著者が突きつける凄絶苛烈な回答とは?

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  • 赤目四十八瀧心中未遂
    4.0
    1巻559円 (税込)
    東京から流れつき、どこに行くあてもない「私」は日の当たらない蒸し暑いアパートの一室でモツを串に刺し続けた。向いの部屋に住む女の背中一面には、極楽の鳥、迦陵頻伽(カリョウビンガ)の刺青があった。ある日、女は私の部屋の戸を開けた。「うちを連れて逃げてッ」──。圧倒的なストーリーの巧みさと見事な文章で、底辺に住む人々の情念を描き切る。直木賞受賞で文壇を騒然とさせた話題作。寺島しのぶ主演の映画化も、日本映画大賞など数々の賞を受賞。
  • 車谷長吉の人生相談 人生の救い

    Posted by ブクログ

    文庫の帯に加藤シゲアキが推薦文を寄せていたので読んでみた。
    著者は2015年に亡くなった直木賞作家の車谷長吉。
    朝日新聞土曜版に連載されていたもので、読者からの悩みに車谷氏が答えるというシンプルな人生相談形式なのだが、この回答のぶっ飛び具合がなかなか凄い。
    一例を挙げると、定期的に教え子の女子生徒に恋心を抱いてしまうという妻子持ちの高校教師に対して
    「生が破綻した時に、はじめて人生が始まるのです。」
    「好きになった女生徒と出来てしまえば、それでよいのです。」
    「阿呆になるのが一番よいのです。あなたは小利口な人です。」
    と唆したと思えば、人の不幸を望んでしまう自身の心を入れ替えたいという主婦に対

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    2023年08月06日
  • 車谷長吉の人生相談 人生の救い

    Posted by ブクログ

    素晴らしい本に出会いました。知らないままでいずにすんでよかった!朝日新聞に連載された車谷長吉さんの人生相談。ただ、なんとか悩みにこたえようとする人生相談とはまったく違う。ある悩みへの車谷さんの返答の冒頭が「あなたの相談を読んで、この人は一生救われないなと思いました」…!さらには車谷さん自身が重度の障害者であり、生まれつき鼻で息ができないという。手術のときは「失明してもよい」という同意書にサインをしたという。これではどんな悩みも吹き飛んでしまう。つまりは、人生には悩みがあって当たり前。解決しようなんて虫がいいんじゃないですかと。そんなメッセージを感じます。なにかに悩んだら、駆け込み寺のようにこの

    0
    2023年07月24日
  • 赤目四十八瀧心中未遂

    Posted by ブクログ


    異質な作品。
    作者は暗くある種陰惨な私小説をキャリアとしていて、本作品もベースは世捨て人の作者自身を投影した様な一人称視点。
    にも関わらず、本作品の直木賞受賞には納得をしてしまう寓話性があり、作品が締まった瞬間物語の世界から弾き出された様な寂しさを感じた。
    特に女性とのさもしい縺れた恋情を描くのが巧すぎる。

    0
    2023年06月28日
  • 赤目四十八瀧心中未遂

    Posted by ブクログ

    日常を虚で湿った目線でかすめる言葉たちとなにかの起きていることはわかるがなにが起きているのかはわからない感覚とがまじりあって神話的な雰囲気を醸成している。ただ二十四節で終わってほしかった。釣れない釣りを続けるひとたち好きだった。

    0
    2022年12月25日
  • 赤目四十八瀧心中未遂

    Posted by ブクログ

    社会の底辺で生きる人達と、そこに身を置かざるを得なくなった主人公の話。
    文章が面白過ぎて、全然好きな題材じゃないのに怖い物見たさもあり一気に読んでしまった。
    主人公が「生きる世界が違う」と体良く追い出され更に女の後を追いかけて彼の地を離れるまでの冒険譚のような話だった。

    0
    2022年10月03日

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