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新聞連載時より話題沸騰! “最後の文士”にして“私小説家の鬼”たる著者が、投稿による身の上相談に答える。妻子ある教師の「教え子の女子高生が恋しい」、主婦の「義父母を看取るのが苦しい」……この問いに著者が突きつける凄絶苛烈な回答とは?
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Posted by ブクログ
文庫の帯に加藤シゲアキが推薦文を寄せていたので読んでみた。 著者は2015年に亡くなった直木賞作家の車谷長吉。 朝日新聞土曜版に連載されていたもので、読者からの悩みに車谷氏が答えるというシンプルな人生相談形式なのだが、この回答のぶっ飛び具合がなかなか凄い。 一例を挙げると、定期的に教え子の女子生徒に...続きを読む恋心を抱いてしまうという妻子持ちの高校教師に対して 「生が破綻した時に、はじめて人生が始まるのです。」 「好きになった女生徒と出来てしまえば、それでよいのです。」 「阿呆になるのが一番よいのです。あなたは小利口な人です。」 と唆したと思えば、人の不幸を望んでしまう自身の心を入れ替えたいという主婦に対して 「まず思ったのは、この人は一生救われないな、ということでした。」 「あなたは人生の不幸を乗り越える力がありません。愚痴死が待っているだけです。」 と吐き捨て、妻が新興宗教にハマってしまった会社員に対しても 「夫であるあなたが説得することは出来ないでしょう。」 と身も蓋も無いことを書くという、真剣に悩んで相談を寄せた者からしてみたら唖然とするであろう回答ばかりなんだけど、第三者として読んでいる分には実に面白くて笑えてしまうのである。 特に「美禰子」のくだりは最高。まさか夏目漱石先生もダッチワイフに名前を拝借されるとは思っていなかったでしょうに。 初版から10年以上経っているけど、時代の経過を感じさせない魅力が本書にはあると思う。それは恐らく、世間一般でいうところの「道徳」とは対極にある、人間としての真理を突いた部分があるからではなかろうか。
素晴らしい本に出会いました。知らないままでいずにすんでよかった!朝日新聞に連載された車谷長吉さんの人生相談。ただ、なんとか悩みにこたえようとする人生相談とはまったく違う。ある悩みへの車谷さんの返答の冒頭が「あなたの相談を読んで、この人は一生救われないなと思いました」…!さらには車谷さん自身が重度の障...続きを読む害者であり、生まれつき鼻で息ができないという。手術のときは「失明してもよい」という同意書にサインをしたという。これではどんな悩みも吹き飛んでしまう。つまりは、人生には悩みがあって当たり前。解決しようなんて虫がいいんじゃないですかと。そんなメッセージを感じます。なにかに悩んだら、駆け込み寺のようにこの本を手に取りたいと思います。毒を持って毒を制す、ワクチンのような一冊。
大半を通勤バスの中で読んでいたので、 声を出して笑い出しそうなところを、 堪えるのが大変だった。 読みすすめるにつれて、 車谷長吉という魂から紡がれた言葉が、 いつだって柱となり、 普遍性を生み出していることに慄き、 心の底からため息が出た。 身も蓋もないような言葉の連なりなのだが、 それが一貫...続きを読むしていると、 究極的な真理とおもいやりを体現するようだった。 特に10代、もしくは20代前半の相談者への、 優しさたるや。
先天的な障害と貧乏と…色々薪炭を舐めて仏の道に明るい作者の前にあっては、どんな質問も薄っぺらで、どう一蹴されるのか心配になってしまう。それでいて爽快。
回答者の車谷さんの歩んで来た人生が壮絶過ぎて、相談者の悩みが霞んでしまう。 相談に対し、ご自身の苦悩や人生経験を述べられ、 「人生に救いはないのだから、ありのまま今の自分を受け入れ、阿呆になり黙々と生きなさい」 と諭す、斬新な回答スタイル。 車谷さんの苦悩が桁違いに大きいので、相談者の悩みはちっぽけ...続きを読むに思われ、昇華される。 まさに毒をもって毒を制す! 解説で万城目さんがこのことを、「殺す」と表現されていたのが可笑しかった。 「人の不幸を望んでしまいます」という相談には、 「子供が不治の病にかかるとか、夫が事故死するとか、 苦い思いを舐めない限り救われないでしょう。 あなたに待っているのは愚痴死だけ」と、ほとんど呪いのような言葉が....。 ホント、殺してはるわ〜(笑) かと思えば、結婚するまでは寂しくて木目込み人形を抱いて寝ていたとか、 「ほんまかいな?」というエピソードもちょいちょい挟まれ、 冗談なのか真面目に言っているのか分からない、ぎりぎりのラインがまた可笑しい。 車谷さんのことは今まで知らなかったが、俄然興味を持った次第です。 私も山歩きが好きで、奈良にもよく出掛けますが、 いつか山で「うれしいひなまつり」の歌声に遭遇したいものです。
解説の万城目学が書いているように、悩みを次々と殺していく、車谷長吉さんのお悩み相談。 朝日新聞の連載のときも、車谷さんの当番回が来るのがいつも楽しみでした。 もはや悩みの回答になっていませんが、妙に痛快で、読みながらふっと笑ってしまえる不思議。 中年には絶望的な切り返しがおおいけれど、まだまだ先が...続きを読む長い若者にはあたたかい目線があったりするのも、なんだか和みます。 読んでいるうちに、「私の悩みなんて、たいしたことないのかもしれないなぁ」と思えてきます。 個人的に一番好きなのは、「同僚の女性がむかつきます」の回答。 傑作だと思います。 車谷さんに言われちゃうと、もう山登りして歌うしかないかなと思えてくる(笑)
この本を読み始めてすぐに、頬を平手で叩かれたような感覚に陥った。 目が覚めるとはこういうことか。 最初の相談についての答えは、自分の不運を嘆くことは考えが甘い、覚悟がないとけんもほろろである。相談者の悩みに寄り添って回答するありがち悩み相談とは一線を画している。 もうぐうの音もでない。 この本は車...続きを読む谷長吉が朝日新聞の悩み相談で回答したものをまとめたものである。 朝日新聞が車谷先生を起用した心意気はあっぱれ。 こんなこと言っちゃっていいの?とハラハラするほどの珍回答(?)続出。 教え子の女性とが恋しいとの相談には、恐れずに仕事も家庭も失ってみたらと説く!! 人生には救いがない。その救いのない人生を、救いを求めて生きるのが人の一生だと繰り返し本書では語られる。 この作者の信念があってこその回答だと思うと実に深い。 小さなことでクヨクヨするなと叱咤激励してくれるこの本は、私の大事な大事な本になった。 最後の万城目学のあとがきがまたいい。この二人は奈良に共通項があるんだなとニヤニヤしてしまった。 車谷さんの小説は読んだことがないが、これは読まずにいられない。一刻も早く!
車谷長吉さん・・・破天荒な半生と現在の静かな生活。それは理想形のひとつ。人生とは正解などないもの、そのときどきに応じて根拠めいたものを考えて行動はするけれど、結果はさまざま。そういう意味では、人生の無常感を感じさせてくれる小説群。そこから出てくる人生相談もまた、無常を知らずして生きることの虚しさを語...続きを読むる。
「人としてこの世に生まれてきたことには、一切の救いはありません」 車谷さんが答える、新聞のお悩み相談をまとめたものですが、とても面白かったです。 悩みの相談に、更に深いところから答えるというような一冊でしたが、読んでいるうちに心が落ち着いてきました。 悩み相談の解決にはなってないよなぁ…と思いますが...続きを読む、仏教の教えもあり、穏やかな気持ちです。 生きていれば悩み苦しみは尽きないですが、人生そんなものだそう。生きます。
2015年に69歳で逝去した車谷長吉が、朝日新聞で連載していた人生相談をまとめた一冊。 とはいうものの極めてアクの強い作風を持ち、「人生が破綻していく最中でも人間は甘美を感じることができる」という人生観を持つ著者のことであり、一般的な人生相談からはあまりにかけ離れている。 例えば夫の浮気を知りな...続きを読むがら世間体を気にする余りに身動きが取れなくなっている女性に対する助言はこのように語られる。これが真理だとしても、なかなかここまでストレートにアドバイスをできる人間はこの世にはいないだろう。 「自分の世間体など捨ててしまえばよいのです。恥をかいて、醜態をさらせばいいのです。道の真ん中で、夫とその女に怒鳴り散らせばよいのです。泣きわめけばよいのです。そして近所の人たちに事実を知ってもらえばよいのです。その女の家へ怒鳴り込んでいき、女の夫にも知ってもらえばよいのです。そうすれば気が楽になりますよ」 (本書p98) それでも、新聞という媒体のせいか、ときたま投稿される中学生・高校生からの悩みに対する助言は慈悲深く、この二面性にも彼の人間観が強く出ているように思う。
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