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アパートの一室から出火、中から若い女性の焼死体が発見される。放火による犯行で、しかも被害者は生きたまま、焼き殺された──。中世の魔女狩りを彷彿とさせる事件を知った広也は、その女性が自分の元・恋人であることに驚く。就職浪人中で頭があがらないのをいいことに、テレビ局員の姉から強引に捜査に協力するよう頼まれ、しぶしぶ引き受けるが、その最中で思いがけない元・恋人の素顔を知ることになり……。せつなさと殺伐、樋口ミステリーの真骨頂。
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Posted by ブクログ
悪夢から目を覚ますと、部屋は火の海。 逃げようとするが力つき、生きたまま焼かれる女。 ...そんなショッキングなシーンから始まる本作。 全体の印象は...何と言うか、かなりクセがあるか。 「元カノの死の原因を探る」といういモチーフは、 樋口作品には何度か登場している。 当然「素人探偵」なのだが、...続きを読む樋口描くところの主人公は 韜晦しつつも常に鋭い頭のキレを見せて、 淡々と真実を暴いて行く。 本作も、その系譜。 死んだ元カノの「引きこもりの妹」という存在が 作品に特異性を付加してはいるが。 細かいことを言い出すと、実はツッコミどころ満載。 樋口作品では、よく「警察はアホ過ぎ」に描かれる。 が、気楽なエンタテインメントとして読めば、 「妹」のツンデレ気味を楽しみつつ読める。 ストーリーもきちんとひねくれてるので、 タイトルにある「魔女」は誰を指すのか、 なぜ魔女にならなければいけなかったのか、 ちゃんと完成作品として楽しめます。 ...作者はきっと女性恐怖症に違いない... と思うほど、登場する女は魔女ばかりですが(^ ^;
魔女っぽい女の人だらけで、誰がホンマもんか!? 主人公の男の子は相変わらずだらだらしていてとても好き。
表面的には感情の起伏が乏しく周囲に流されるように生きている少年が、個性豊かで気が強く魅力的な女性に振り回されながら謎を解決していくストーリーは著者ならでは。本作もその持ち味が存分に発揮されています。デビューから長い間それほど人気がなかったのに、最近になって結構注目されている(ように思う)のは、草食系...続きを読む男子vs肉食系女子の時代にマッチしているからでしょうか。
再読。 母と姉、年上の恋人の尻に敷かれモラトリアムな毎日を送る就職浪人中の広也は、二年前に別れた恋人・千秋の死の真相を追うことになる。 彼女は、中世の魔女狩りのように生きたまま焼かれた。果たして彼女は魔女のような女だったのか・・・。 母、姉、恋人と登場する女たちが強く魅力があり、千秋の人となりが霞ん...続きを読むでしまった感があるが、真相を含め、ミステリーとしても面白かった。 2010.10.28 いつもながらの樋口氏の世界。 今回の探偵役は就職浪人中と若めで「ぼくと、ぼらの夏」をに近い。 猟奇系に対抗して、「懸命に生きる人びとの常識を重みを大切に描いた」という著者に共感。
強い人間と弱い人間。 いったい誰がその判定を下すのだろう。 強そうに見えていても、黒魔術に頼ったり自分を変えようともがいている人間だっている。 いつだって自分は被害者で、いつだって誰かのせいで自分は幸せになれない。 そんなふうに考えていたら、どれだけ恵まれていようが一生幸せだという実感は持てないので...続きを読むは?と思ってしまった。 主人公である広也が元恋人が焼き殺された事件を調べていくという物語だ。 元恋人・千秋の実家を訪ねたり、友人だったと思われる人間に会いに行ったり、そのたびに広也は自分が知らなかった千秋を知ることになる。 本当の千秋を知ろうともしなかった広也と、自分を見せようとしなかった千秋。 二人がともに過ごした時間はいったい何だったのだろう。 人にはいろいろな面がある。 そして、人は自分に都合の良い面だけを見て、その人を評価しようとする。 殺されたことによって千秋の人生は終わった。 人に知られまいと隠してきたことも、自分なりに修正しようとしていた人生も、すべてが無になった。 最後まで、千秋とは本当はどんな人間だったのか。 捉え所のないあやふやな印象しか残っていない。 犯人の言い分もよくわからなかった。 殺して、この世から抹殺して、それで何が変わるのだろう。 殺したいと思うほどの怒りが感じられずに、やけに犯人の中途半端さだけが気にかかった。 実際に人を殺そうと思うときには大した理由なんて無いものだ・・・と言われてしまうかもしれないけれど。
タイトルと裏表紙の紹介文に誘われて読んでみたが…ふつうだった。あんまりミステリー感もなく、魔女感もなく。ワクワクもドキドキもなく、読みが進むわけではないが、かといってつまらなくて読みが落ちるわけでもなく。普通。男は『魔女』と聞くだけで普通でないことを期待しちゃうものなのに。
2月-6。3.0点。 元彼女が、放火殺人で殺された、就職浪人の主人公。 TV局勤務の姉や、元彼女の妹や、元彼女の不倫相手など、 話を聞きながら、犯人捜査。 樋口節。いろんな女に振り回されながら、真相へ。 まあまあです。樋口初期作品。
死んだ元恋人の足跡を辿るうちにそれまで知らなかったもう一つの顔が見えてきて・・・よくあるストーリーと言ってしまえばそれまでだが、オカルトチックなスパイスと作者得意のライトな文体が飽きさせずに最後まで読みきらせる。犯人は確かに意外な人物だったが、ちょっとアンフェアかもと言う気がした。よく読み直せばわか...続きを読むるのかもしれないが。それよりも本当に黒魔術ってあったのかもと思わせる展開はお見事。オカルトに流れてしまいそうで不安にさせておいて、そのギリギリのところでミステリーに帰ってくる。決していい読後感ではないのだが、ほっと一息つかせるエピローグは印象的だった。アリバイも密室も何かトリックがあるわけではない。シンプルミステリーというカテゴリーがあるならばお手本になるだろう・・・とまで言い切ってしまうと誉めすぎか。
枯葉色グッドバイの前身らしい。 この作家さんらしい表現の生きた文章で、わりと軽快に読めた。 ただ、読み終わったときに残らないので、ちょっとキビシ目だけどこの評価で。
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