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Posted by ブクログ
名作青春ミステリ「ぼくと、ぼくらの夏」のリブートともいえる本作。人情ミステリのようなとぼけた味わいがありつつも、どこか切ない青春ミステリの雰囲気も漂わせている。江戸文化研究会の部活の部長である金持ちで美人の先輩、おどおどしつつも主人公を振り回す頑固さとアクティブさを持った眼鏡美少女、そして顧問の若くて美人な女教師と、魅力的な属性のヒロインが多数詰め込まれている。しかし本書の見どころはそこではなく主人公の父親であろう。「ぼくと、ぼくらの夏」もそうだが、父と子の距離感の描き方が絶妙で、父権的な押し付けがましさをまるで感じない。ぼんやりしててもいざというときには頼りになる父親、という安易な書割ではなく、一個人の人格をしっかりと持っていて話にぐいぐい食い込んでいくのがポイントが高い。とぼけていながらも聡明な部分もある、実に魅力的な父親像を描いている。その父親の存在感は主人公やヒロインたちを食っているといっても過言ではない。一連の事件を父と子の視点を交代させながら解き明かしていく構図は面白く、早々に動機や関係性は明らかになるものの、真犯人は意外なキャラクターで文字通りころっと騙されてしまった。主人公は所謂「やれやれ」系であり、少し冷めていながらもしっかりものであるため、とぼけた父親との対比になっているのは良かった。加えて「ぼくと、ぼくらの夏」のようなモテキャラでもないため、語り部としてはこちらのほうが良いと思う。やや感情の動きが乏しく、よもやすれば鉄面皮の冷血漢に映るものの、最後の煙草とライターを川に投げ捨てるくだりの感情の振れ幅は抑えていただけあって、切なさは凄まじい。総じてミステリ的にも完成度は高く、リブート前の作品を上回ってはいるものの、やや小手先の感が否めない。また、幽霊のキャラクターである真夏という少女の存在が話の中でやや浮いているようにも思える。特にバックボーンが事件に絡むわけではなく、幽霊という体質が事件解決に活かされるわけでもない。主人公の感情弁の解放と、オチに申し訳程度に使われたものの、主人公ほどの愛着が湧かなかったのが痛い。装置になりきれない装置だったように思う。
Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
真鍮色の光におおわれる夏。松華学園高校、江戸文化研究会の部長・高原明日奈が姿を消した。部員の「ぼく」は後輩の紅亜に叱咤され、無理やり事件にまき込まれる。元刑事の「親父」も美人教諭への下心から、やはり事件を追う。東京の下町を舞台にくり広げられる爽やかで可笑しくて、ちょっと切ない青春ミステリー。
樋口有介さんはウィットに富んだ会話を盛り込んだ洒脱な展開が持ち味ですが、主人公が高校生にしては物言いがおっさんなのでしっくりこないのが残念。つまらなくないのですが褒め処よりも突っ込み所が目についてしまって・・・。幽霊になって出てくる幼馴染をもうちょっと上手く使って切なくすればもう一ランク上の話しにできたのではないかと。
Posted by ブクログ
この夏を忘れない。まばゆい夏の午後、なぜ少女は
姿を消したのか。あの名作「ぼくと、ぼくらの夏」を
原点に描く、青春ミステリーの新たなる傑作。
東京の下町を舞台にくり広げられる爽やかで可笑しく
て、ちょっと切ない青春ミステリー。
買ってはみたのものの長らく積読状態でした。樋口有介は好きな作家で、柚木草平シリーズであれば、間を置かずに読むのですが、イマイチ気が乗りませんでした。
最近、本を読む気力が湧かなかったので、手にとってみたのですが、なかなか面白かったです。樋口作品は、ミステリー色が弱く、私的にはキャラクターの掛け合いの方が楽しみですが、本書ではその辺りも頑張っています。
セルフパロディーの部分にはニヤリとさせられました。この親子の掛け合いもなかなか好きです。真夏さんはいささか消化不良でした。
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