樋口有介の一覧
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ユーザーレビュー
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元刑事のフリーライター柚木草平は、山代母娘の家で鎌倉在住の薬膳研究家である藤野真彩という女性と出会う。
10年前、高校生だった真彩の同級生が失踪しており、その同級生らしき人物の目撃情報が鎌倉周辺で増えているという。
成り行きで女子高生の失踪事件を調べることになった草平だったが、関係者が殺害され
...続きを読むる事件が起きてしまう。
1990年に「彼女はたぶん魔法を使う」で始まり、本作で12弾を迎えた柚木草平シリーズ。
いつだったか、書店で手に取った縁でずっと読み続けてきました。
主人公の草平さんはいつまで経っても歳を取らずに永遠に38歳のまま。妻とは別居中で、一人娘の加奈子には頭が上がらず、そして美女にはめっぽう弱い(というより甘いw)という、なんとも不器用で愛すべきキャラクターでした。
その草平さんの周辺が、前作の「うしろから歩いてくる微笑」でちょっと様変わり。これは新章突入かな?と思っていたのですが、作者である樋口有介さんが2021年10月23日に急逝されたとのこと。
本書の帯に記された、おそらく編集担当さんの文章によれば完結編の構想もあったとのことで、それを見届けることが叶わないということがとても悲しいです。
巻末の解説を担当された杉江さんの言葉にあるように、草平さんはきっと今もどこかを軽やかな足取りで歩き続けているのでしょう。そう思うと少し心が軽くなります。
なんだか完全に追悼文になってしまいましたが、本作でも草平さんの洞察力は相変わらず。
前振りが長いと言えば長いのですが、後半で一気に真相に近付いていくくだりはやはりお見事でした。
やっぱり草平さんはいいですね。きっと草平さんにまた会いたくなると思うので、しばらくしたら最初からまた読み返すのもいいな、と思っています。
Posted by ブクログ
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63非常に面白い。刑事さんだから難しく怖い描写もあるけど、主人公と取り巻く人たちの本質的な暖かさが文脈に滲み出ていて、作者の想いが伝わる。捜査一課での活躍を早く読みたいです。
Posted by ブクログ
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作者である樋口有介氏のデビュー作。或る事件をきっかけとして出会った高校生カップルが、事件の謎を探る過程で互いの仲を深めていく青春ミステリー小説。主人公である高校生男子の一人称による語りで物語が進行するが、主人公と登場人物の会話でストーリーが進む場面も多く、ラノベ風味の仕上がり。評者がこれを初めて読ん
...続きを読むだのは1996年ごろ。評者は何度も爆笑しながら読み、作者の名前は忘れられぬものとなった。その後、本作は評者にとって何度も読み返すほどのお気に入りとなって今日に至るが、昨年、氏が逝去されたと報じられた。残念に思う。
Posted by ブクログ
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柚木草平が嫌いということではないんだけど、樋口有介は、やっぱり青春真っただ中な主人公が事件を探っていく話の方がいい。
それは、最初に読んだ著者の本が『ぼくとぼくらの夏』と『風少女』だからだろう(どっちを先に読んだのかはおぼえていない)。
これは主人公が大学4年の女の子ということで、そういう意味でも樋
...続きを読む口有介っぽくって、すごく好みの話。
というかー。
柚木草平って、このポジションの方がおさまりがいいと思うんだけど?w
読み始めて、最初に感じたのが、え? 樋口有介って、こんな文学的に情景描写する人だったっけ!?ということ(^^;
たしかに、変に詩的なタイトルwとか、ムダにキザなへらず口とかw(いや。どっちも好きなんだけどさ)、書きたがる作家だとは思っていたけど。
でも、“細い地雨がフロントガラスをけぶらし、ワイパーの移動が隅田川の夜景を飴色に明滅させる……”みたいな描き方、記憶ないけどなーと、他の本を見てみたら、やっぱりないと。
え? これ、なんなの!?なんて思いながら読んでいたんだけど、特にはわからなかった。
ま、たんに他の柚木草平の話は、彼の語りで話が進むけど、これは三人称の文章だから、そういう風に書いたっていうことなのかな?
ていうかー、樋口有介。こっちの描き方の方がよくない?(^^ゞ
話は主に、主人公の三浦鈴女のパート、柚木草平のパートと進んでいくんだけど、それぞれ初めにその情景が描かれることで、二人の感情や思いがより鮮明になってくるっていうのかな?
この話のやりきれない結末もあって、描かれた風景が無機的なんだけど、だからこそ、それらは誰にも平等で、優しくて、哀しい。
そこが、すごくいい。
唯一難点を言えば、左近万作の物言いが柚木草平と妙にダブることw
いや。決してキザなへらず口をたたくわけではないんだけど、ぶっきらぼうな物言いがなぁー。
もうちょっとバリエーションがあってもいいんじゃない?(爆)
読み終わって、違和感を覚えたのが『刺青白書』というタイトル。
だって、これって、刺青白書な話でないよね?w
『刺青白書』ってタイトルを見た時、すごく樋口有介あるある的なストーリーをイメージしたんだけど、でも、これはそういう週刊誌的なセンセーショナルさが事件になっている話では全然ない。
むしろ、事件の根本にあるのは、抑えきれない虚栄心の暴走(迷走?)みたいなものがきっかけになって起こっていく地味な話なのだ。
地味だし、また、意外なところに配置されていた犯人も、実はこの手の話の定番の配置だったりするwんだけど、ミステリー小説に、すごいトリックも、驚くようなどんでん返しも、これっぽっちも期待していない自分みたいな読者からすると、そこがよかったりするのだ。
ていうか、樋口有介のファンって、そういう読み方をする読者の方が多いような気がするんだけどな。
『刺青白書』というタイトルは、無理に煽ることで売ろうとする最近の新書のタイトル(or帯)みたいで、すごくイヤ(爆)
違和感といえば、もう一つ。
三浦鈴女の最初のパートで、彼女が神保町でカラスアゲハが飛んでいるのを見る場面があるんだけど。
神保町でアオスジアゲハが飛んでいるのよく見かけたけど、カラスアゲハは1回も見たことないんだよなぁ~(^^ゞ
Posted by ブクログ
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荒唐無稽とも言い切れない近未来の日本のド田舎が舞台設定のスモールタウンミステリ。勿論ミステリの筋も一級品なのだが、樋口氏の絶妙な会話の妙が堪能できる。幸祐と夜宵、幸祐と愛芽、由希也と蛍子、の関係性を本線に、幸祐が捜査していくうちに明らかになっていく驚くべき事実を伏線に、人生の意味や社会の矛盾を鋭く描
...続きを読むきつつ、全体的には軽妙さを忘れない表現で、幸せな読後感を与えてもらった。幸祐の夜宵への淡い恋心が切なさも感じさせてくれる。
Posted by ブクログ
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