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枯れた公孫樹の葉がアイスダストのようにふりそそぐ十二月、中学の同級生・竹田寛子が、ラブホテルで殺害された。高校二年生の木村時郎は、かつて一日だけデートしたことがあった寛子が、最近どうしていたのかが気にかかり、彼女の高校の同級生を訪ねる。すると寛子は、交際中の相手について、“プラスチック・ラブ”という謎の言葉を残していた。その帰り、時郎は事件を調査している柚木草平と出会う――。『刺青白書』に先駆け柚木草平の姿を客観的に描写した表題作「プラスチック・ラブ」など、時郎の目から八つの事件を綴った連作短編集。青春私立探偵シリーズ番外編。
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Posted by ブクログ
読み終えるやいなや、またこの作家の短篇を読みたいと思った。物語世界を包む空気感が、特に気に入ったポイントだ。本書は、高校二年生の木村時郎を主人公に据えた、ハードボイルド風青春ライト・ミステリの短篇集。8篇を収録している。軽妙洒脱な会話、勝気でかわいい女の子たち。そしてなにより高校生でありながら世の中を達観しているかのような主人公・時郎が生意気でいい。文章の心地よさもプラスポイント。街の風景、鳥や植物をさりげなく描写する文章が、読者をやさしくストーリー世界へと誘ってくれる。それから、女心の描き方が憎らしい。作者の樋口さんは1950年生まれの男性。年配のしかも男性の創造が書かせた女心なのだから、読者が同じ男性ならウケがよいのも当たり前といえなくもないが、それにしても小生意気な女の子たちが実に魅力的で小憎らしい。それから、本書にはストーリーとは関係のないところで、いくつか謎も仕込まれている。これも本書のお楽しみのひとつである。・主人公の時郎は高校二年生のとき、いったい何人の女の子と付き合ったのか? 各篇ごとに登場する女生徒達がみんな違うから、ちょっと面食らう。・主人公の時郎は高校二年生のとき、いったい何度引っ越したのだろうか? 各篇ごとに時郎の住む町が違う。堀切、葛西、多摩川、吉祥寺、調布、飯能、雑司ヶ谷、幡ヶ谷という地名が出てくる。どんな意図があるのだろうと考えてしまう。そして、とびっきりのお楽しみが。樋口ファンなら喜ぶに違いない、「柚木草平」の登場である。時郎の目を通した柚木の姿が書かれている。彼の外見の描写は他に1冊あるだけで、結構貴重なんだよね。以上、お手並み鮮やかで、ファンサービスも忘れなかった、素敵な短篇集でした。
Posted by ブクログ
高校生の木村くんが主人公の短編集。元警察官のフリーライターも登場するが、あくまでも脇役。ハードボイルドな高校生活を送る都立高校生の物語。連作なのかと思ったら、時期がかぶっているのに彼女らしき人物の名前が違っていたりと、主人公の名前が同じなだけで基本的に短編の関連性は低い。それで面白くなくなっているということはないと強調しておこう。青春ミステリーとは一線を画しているのが特徴か。作者自身が指摘するとおり、スポーツ万能でもなく頭脳明晰でもない、ただの高校生が主人公。だからこそずっと同じ彼女というわけにもいかなかったのだろうなと想像。普通の高校生にずっと付き合ってる彼女ってあんまりいないからね。
Posted by ブクログ
“「木村くん……」と、ペンギンハウスを出て、細かい雨に傘をさしかけたぼくの腕に、軽く指を突き刺して、夏帆が言う。「レジにいた女の子、新しい子だったよねえ」
「気がつかなかった」
「信じられない」
「どうして」
「だって、奇麗な子だったじゃない」
「そうだったかな」
「そうだったよ。知ってたくせに」
「………」
「木村くん、彼女の顔、じっと見てたじゃないの」”
木村時郎くん視点の短編集。
女の子をひっかえとっかえな木村くんの性格がつかめない。
“「あなた、疲れるでしょう」
「はい」
「どこかに逃げる場所が、あるの?」
「いえ」
「やっぱり諦めて、我慢をして、最善をつくすの?」
「ほかに方法がありますか」
「どれかひとつに決めたら?」
「はい?」
「人生を諦めるか。ひたすら我慢をするか。それともただ無心に、最善をつくすか」
「考えてみます」
「疲れるわね。まだ高校生なのに、可哀そう」”
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