作品一覧

  • 幻日/木山の話
    3.7
    1巻1,980円 (税込)
    コロナ禍を含め、4年の歳月をかけ書き継がれた、オーガニックな魅力の連作小説「木山」の話。自然のまま、言葉の流れるまま、音楽に身を任せるように、耽溺し没入する小説体験。自然への、生命への、名もなき人への「眼差し」。人と動植物、水と土と空気、社会が影響し合って成り立つこの世界を生き、過ぎ行く時間をそのままに描き出す。 「早春」「入船」「遡」「ブラスト」「日なた」「朝霧の」「カタリナ」「ながれも」計八本収録。
  • 水都眩光 幻想短篇アンソロジー
    5.0
    1巻2,400円 (税込)
    彼方は遠く、記憶になかったことばかり思われる 仰げば彼方は鏡のようにある。記憶になかったことばかり思われる。――「ラサンドーハ手稿」 蜃気楼のように現れる塔。ざぶんざぶんと波の音。へそから出てくるうなぎたち。母がクリーニング店に預けたもの。画家が描く瓜二つの妹たち。ある日、人類に備わった特殊能力…… 九人の実力派作家が紡ぐ幻想アンソロジー。 【目次】 ラサンドーハ手稿 高原英理 串 マーサ・ナカムラ うなぎ 大木芙沙子 マルギット・Kの鏡像 石沢麻依 茶会 沼田真佑 いぬ 坂崎かおる 開花 大濱普美子 ニトロシンドローム 吉村萬壱 天の岩戸ごっこ 谷崎由依
  • 影裏
    3.7
    1巻601円 (税込)
    第157回芥川賞受賞作。 大きな崩壊を前に、目に映るものは何か。 北緯39度。会社の出向で移り住んだ岩手の地で、 ただひとり心を許したのが、同僚の日浅だった。 ともに釣りをした日々に募る追憶と寂しさ。 いつしか疎遠になった男のもう一つの顔に、 「あの日」以後、触れることになるのだが……。 樹々と川の彩りの中に、崩壊の予兆と人知れぬ思いを繊細に描き出す。 芥川賞受賞作に、単行本未収録の「廃屋の眺め」(「文學界」2017年9月号・受賞後第一作)、「陶片」(「文學界」2019年1月号)を併録。 綾野剛・松田龍平主演で映画化(大友啓史監督)、2020年初頭に公開予定。 ※この電子書籍は2017月7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

ユーザーレビュー

  • 幻日/木山の話

    Posted by ブクログ

    「幻日/木山の話」(沼田真佑)を読んだ。

    短編集。

    端正ではあるが少しざらざらした不快ではなくむしろ好ましい文章なのだがしかし前作がそうであったように油断すると前後の時間を見失いいつかのどこかにふと迷いこむクセのある文章でもある。

    八編のどれもがじわじわと沁み込んできて琴線に触れる。
    もはや名人の域にあるか。

    0
    2024年04月30日
  • 水都眩光 幻想短篇アンソロジー

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    •『ラサンドーハ手稿』高原英里
    この作品が最初で良かった。退廃的な世界観、暗い路地裏から話しかけてくる仮面たち、ひょっとして私たちの世界でも起きているかもしれないよと錯覚させるような精神が入れ替わるストーリー。百点満点です。

    •『串』マーサ•ナカムラ
    奇妙なお役目がグロい!
    連綿と続いていくんだなと主人公の微笑みで感じます。なんだか鬱りたくなるのに爽やかで奇妙な読後感。

    •『うなぎ』大木芙沙子
    あーっ、純文学!うなぎが臍から出てくる超自然的現象はさておき、不良と仲良くしているところをいい子ちゃんの家族(になりかけの人と母親)に見られたくないっと顔を背けてしまった…小さなしこりが今も残り続け

    0
    2024年02月18日
  • 影裏

    Posted by ブクログ

     文學界新人賞の受賞作が芥川賞を受賞ということで、公募においてのかつては定番コースだったがこの頃聞かず、久しぶりの王道だなと思って、さて、どんなものだろうか、と特に前評判を聞かずに読んでみたがなかなか良い短篇集だったと思う。
     地の文中心の密度の高い文章で紡がれているが、そう重々しさはない。もっと会話文を増やせば軽妙さも出るだろうと思ったが、このスタイルもこの頃の作家にはあまりないタイプであると思えるから貫いても良いかもしれない。
     作品の八分辺りに山を持ってきて、弛緩して字を追ってきた読み手に張り手を食らわしてシャキッと覚醒させてから余韻を残して終わる、という構成は収録三篇に共通していて、こ

    0
    2021年07月18日
  • 影裏

    Posted by ブクログ

    影裏 沼田真佑 著

    短編が3編。

    #読書好きな人と繋がりたい

    読み終えたあとに、終わってしまったあとの余韻が少しだけ胸騒ぎする、そして時をかけて鎮まる感じの著書でした。

    1.影裏
    東北が舞台です。地方の静かな空気感、自然の音や香りが行間から溢れてきます。

    転勤で住み慣れない男性とその職場の同僚の物語です。
    釣り、酒、互いに間合いがよいと感じる2人ですが、少しずつずれ始めます。
    同僚の互助会への転職、そして東日本大震災が襲います。

    ある時、同僚が津波で死んだと噂を耳にします。
    本当にそうなのか?

    彼は同僚の足跡を尋ねがら考えたことは?
    読者に解釈を委ねる余韻。

    2.廃屋の眺め
    5

    0
    2020年10月11日
  • 影裏

    Posted by ブクログ

    沼田真佑『影裏』文春文庫。

    第157回芥川賞受賞作の『影裏』の他、『廃屋の眺め』『陶片』を収録した短編集。

    味わい深く、様々な思いが心を過る、そんな3編の短編。芥川賞受賞の表題作は見事と言うしかないだろう。『影裏』というタイトルさえも見事である。人間には表と裏があり、光があって影があるのが人生の機微なのかも知れない。

    『影裏』。自分が生まれ育った盛岡、岩手の風景とそこに暮らす優しい人びとが目に浮かぶような短編。後半は一転、まさか東日本大震災が大きな鍵として物語が描かれるとは思わなかった。

    会社の出向で盛岡に移り住んだ主人公は同僚で気の合う釣り仲間の日浅と楽しい日々を謳歌するが、日浅は突

    0
    2019年09月12日

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