沼田真佑のレビュー一覧

  • 水都眩光 幻想短篇アンソロジー
    •『ラサンドーハ手稿』高原英里
    この作品が最初で良かった。退廃的な世界観、暗い路地裏から話しかけてくる仮面たち、ひょっとして私たちの世界でも起きているかもしれないよと錯覚させるような精神が入れ替わるストーリー。百点満点です。

    •『串』マーサ•ナカムラ
    奇妙なお役目がグロい!
    連綿と続いていくんだな...続きを読む
  • 影裏
     文學界新人賞の受賞作が芥川賞を受賞ということで、公募においてのかつては定番コースだったがこの頃聞かず、久しぶりの王道だなと思って、さて、どんなものだろうか、と特に前評判を聞かずに読んでみたがなかなか良い短篇集だったと思う。
     地の文中心の密度の高い文章で紡がれているが、そう重々しさはない。もっと会...続きを読む
  • 影裏
    影裏 沼田真佑 著

    短編が3編。

    #読書好きな人と繋がりたい

    読み終えたあとに、終わってしまったあとの余韻が少しだけ胸騒ぎする、そして時をかけて鎮まる感じの著書でした。

    1.影裏
    東北が舞台です。地方の静かな空気感、自然の音や香りが行間から溢れてきます。

    転勤で住み慣れない男性とその職場の...続きを読む
  • 文藝春秋 2015年 6月号

    イイネ

    10年前から毎月購読していますが、本の整理が大変ですので3年前から電子ブックに変更。もう少し、普通の書籍に比べて安くなるとありがたいですが...
  • 文藝春秋2月号

    文芸春秋3月号

    年間購読にしているのですがどうしたら読めますか
  • 影裏
    私にも覚えがある。友情以上に近い好意を寄せた相手がすり抜けていく感覚。自分の知らない一面に、寂しいけど強がりたいような。苦い気持ちを思い出した。
  • 影裏
    芥川賞受賞作品
    生活の中にある人との繋がりが自身にとって、本当に必要なものか、なぜ続くのか考えた。他人の希薄さやそれでも求める人間の弱さ、信じきれない微妙な不安が細かい描写から浮かび上がってくる。
  • 影裏
    嫌いでは無いというのが正直な感想。
    3作品とも最後にどうなるのかわからないところも考える楽しみがある。
    LGBTやDVの内容ももっと身近に考えなければならないと感じた。
    沼田真佑さんの他の作品も読んでみたくなった。
  • 影裏
    読書開始日:2021年7月4日
    読書終了日:2021年7月4日
    所感
    これぞ純文学といった作品に思えた。
    主人公目線で、日浅、主人公のことが淡々と語られる。
    日浅の心情、主人公の心情もそれぞれそこはかとなく描かれていて、日常で相手の心情を図ろうとする力と同じ程度の力で推測しながら進めることが出来た。...続きを読む
  • 影裏
    岩手出身です。
    他県の人が岩手に移り住んだらこんなイメージなんだ、という感じですね。盛岡を綺麗に描写してくれて嬉しい。方言の使い方も上手。
    人の捉え方は表裏一体。だから影裏。
    映画はまだみてません。映画館通り行きたいなぁ。川徳を冷やかしてフェザンで買い物したい。一階のタリーズはまだあるのかな。
  • 影裏
    映画「影裏」は小説では書ききっていないところまで描写しているのね。ということが分かった。
    「陶片」の、「…世界は臆病者で溢れている」という一文のためだけに読んで良かったと思う。
  • 影裏
    芥川賞作品。
    盛岡の自然描写の表現が見事。
    丁寧でとても美しい。
    人間の弱さ、生き辛さが大袈裟でなく描かれている。

    他の2篇もマイノリティの心情が良く伝わってきて、面白かった。
  • 影裏
    岩手を舞台に、疎遠になった同僚に思いをはせる表題作ほか、2編を収録した短編集。

    芥川賞受賞作は初めて読む作家であることが多く、手に取るときには新たな作家に出会える期待と少しの緊張が伴って、背筋が伸びる。
    この「影裏」も同様で、ひとつ深呼吸してから読み始める。
    冒頭から、情景描写に魅了された。こんな...続きを読む
  • 影裏
    様々なマイノリティーと共に身近な人間関係が描かれていく三編。‬

    ‪美しく豊富な言葉と、静かにスッと突き刺さる文章で構成されていた。‬
    ‪三編の主人公に共通した生きづらさのようなものに感情を刺激される。特に『陶片』の最後の数ページにグラグラと揺さぶられて夢中になった。‬
  • 影裏

    謎が残る

    芥川賞受賞、映画化等で興味を持ち、読みました。短編集なのですぐ読み進める事が出来ますが…。表題作に関しては、主人公の妹の結婚のあたりから、最初の疑問が生じ…というのは、主人公の性別が、男性だと思っていたけど男性と付き合っていて別れたと思われる描写があったからです。さらに、読み進めると震災が起こり親友...続きを読む
  • 影裏
    岩手では年末から映画「影裏」のCMがガンガン流れていて、CMの最後でふるふると震えて泣いている綾野剛が、笑えてくるくらいなのだけれど、この本を読んで、もう冒頭で文章の美しさに衝撃を受けてしまった。言葉が豊富、そしてリズムが良く読んでいて気持ちが良い。
    「影裏」はまだ続きがありそうな感じで終わってしま...続きを読む
  • 影裏
    森の濃い香りが漂ってきそうな 丁寧な風景描写が印象的な表題作。著者のことは存じ上げなかったのですが、映画化、芥川賞受賞作ということで手に取ってみました。読後、幸せとは? 普通とは? 常識とは? 揺さぶられて不安な気持ちになりました。
  • 影裏
    意識が深化していく。記憶を辿るたびに文章は深みへ向かう、深まるほどに時間や空間という軸の制限が取れていきなり視点が飛躍する、我に返る、繰り返し。深い内面描写とともに今目に映る光景の描写もまた枝葉の端まで見つめようとしている。まさに影の裏までを見ようとする静謐で貪欲な文章。

    でも個人的には表題作「影...続きを読む
  • 影裏
    芥川賞受賞作の文庫化。その他2編も含んだ短編集。3.11、DV、LGBTをそれぞれ題材にしていて、いずれも、ともすれば散々な結果を招きかねないものだけど、上手に取り扱われていると思う。さりげない日常を描きながら、実はそれが上記題材へと繋がる伏線になっているのは、それぞれの作品に通底する部分。かといっ...続きを読む
  • 幻日/木山の話
    つらつらと流れるように言葉が連なっている、木山の話。
    自然の描写が精緻で雅で、まるで絵巻物のように目の前に展開されていく。
    自然の中に自分の過去の姿を見つけ、その過去の自分に誘われるがままに、昔のことを回想する。
    時系列がポンポンと飛ぶので、たまに頭が追いつかなくなるが、人の思考をリアルに描写したら...続きを読む