あらすじ
彼方は遠く、記憶になかったことばかり思われる
仰げば彼方は鏡のようにある。記憶になかったことばかり思われる。――「ラサンドーハ手稿」
蜃気楼のように現れる塔。ざぶんざぶんと波の音。へそから出てくるうなぎたち。母がクリーニング店に預けたもの。画家が描く瓜二つの妹たち。ある日、人類に備わった特殊能力……
九人の実力派作家が紡ぐ幻想アンソロジー。
【目次】
ラサンドーハ手稿 高原英理
串 マーサ・ナカムラ
うなぎ 大木芙沙子
マルギット・Kの鏡像 石沢麻依
茶会 沼田真佑
いぬ 坂崎かおる
開花 大濱普美子
ニトロシンドローム 吉村萬壱
天の岩戸ごっこ 谷崎由依
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Posted by ブクログ
•『ラサンドーハ手稿』高原英里
この作品が最初で良かった。退廃的な世界観、暗い路地裏から話しかけてくる仮面たち、ひょっとして私たちの世界でも起きているかもしれないよと錯覚させるような精神が入れ替わるストーリー。百点満点です。
•『串』マーサ•ナカムラ
奇妙なお役目がグロい!
連綿と続いていくんだなと主人公の微笑みで感じます。なんだか鬱りたくなるのに爽やかで奇妙な読後感。
•『うなぎ』大木芙沙子
あーっ、純文学!うなぎが臍から出てくる超自然的現象はさておき、不良と仲良くしているところをいい子ちゃんの家族(になりかけの人と母親)に見られたくないっと顔を背けてしまった…小さなしこりが今も残り続けていた様がいいですね。
•『マルギット•Kの鏡像』石沢麻衣
とっても好き。退廃的なのにどこか美しさを感じさせる世界観が好きなんでしょうね。
•『茶会』沼田晋佑
僕の理解力がなかったら申し訳ないけど、体入れ替わっちゃってますよね?
•『いぬ』坂崎かおる
精神が侵食されるような短編。本当にいるのかいないのか、いると思えばいるんでしょう。
•『開花』
•『ニトロシンドローム』
•『天岩戸ごっこ』
Posted by ブクログ
作品紹介・あらすじ
仰げば彼方は鏡のようにある。記憶になかったことばかり思われる。――「ラサンドーハ手稿」
蜃気楼のように現れる塔。ざぶんざぶんと波の音。へそから出てくるうなぎたち。母がクリーニング店に預けたもの。画家が描く瓜二つの妹たち。ある日、人類に備わった特殊能力……
九人の実力派作家が紡ぐ幻想アンソロジー。
【目次】
ラサンドーハ手稿 高原英理
串 マーサ・ナカムラ
うなぎ 大木芙沙子
マルギット・Kの鏡像 石沢麻依
茶会 沼田真佑
いぬ 坂崎かおる
開花 大濱普美子
ニトロシンドローム 吉村萬壱
天の岩戸ごっこ 谷崎由依
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全9編からなる短編集。タイトルの通り幻想的な内容の作品を集めている。
本書の刊行が2023年9月25日。本書の元となった雑誌「文學界」の発売が2023年4月7日。この「文學界」には12編の短編が掲載されており、そのうちの9編が本書に収録された。ただし坂崎かおるの「いぬ」は「文學界」では「母の散歩」となっていた。
本書に収録されなかった残りの3編は山尾悠子「メランコリア」、諏訪哲史「昏色の都」、川野芽生「奇病庭園(抄)」。なぜこの3編が除外されたのかは分からないけれど、内容的なものなのかもしれないと推測される。
幻想的な内容を集めたとされているけれど、僕の考える“幻想的”とは少し違う方向性の作品が多かった。ただしそれでつまらなかったかというと、そんなことはなく、かなり面白く読み進めることができた。「うなぎ」や「いぬ」などは幻想的な内容、というよりもかなり現実的な主題に傾いているように思えるし、「天の岩戸ごっこ」などは可愛らしくもある。「茶会」や「開花」は少し分かりづらい印象もあったけれど、それでも作品の持つ雰囲気に十分に没入することができた。「ラサンドーハ手稿」や「マルギット・Kの鏡像」は映像が目に浮かんでくるようだし、「ニトロシンドローム」はちょっとスラップスティック的な要素も感じられた。
そんな中にあってマーサ・ナカムラの「串」は僕にとって出色の作品。僕がイメージしていた幻想的なものに最もマッチしており、此岸と彼岸の行き来に無理がなく、不気味な中に暖かみや優しさ、そして哀愁すら感じることができた。この作品を機に彼女の詩集を読み始めることとなった。