作品一覧

  • 饒舌な名画たち 西洋絵画を読み解く11の視点
    4.0
    1巻2,750円 (税込)
    ティツィアーノ、フェルメール、ボッティチェリ、カラヴァッジョ、ゴヤ、ボス、ベラスケスetc. 西洋絵画のポイントを知れば、名画鑑賞はさらに楽しめる。神話、キリスト教、聖母、女神、ファム・ファタル、寓意、魔女、メメント・モリなど、絵の中に散りばめられたヒントとその背景をもとに、美術研究を重ねる芥川賞作家が解説。以下、章タイトル。 第1章 聖母とマグダラのマリアの描かれ方~キリストの時間の中にいた聖なる人たち 第2章 絵画空間に置かれた「自分」~寄進者の肖像 第3章 都市風景が見せる街の肖像~画家たちが記録した都市の姿 第4章 絵の中で主役となるもの~物語を包む風景 第5章 失われるもの、移ろうものたちの表現者~舞台装置としての小道具 第6章 害悪の象徴として作られた魔女~キリスト教的価値観から外れた存在 第7章 古代の女神が見つめる先にあるもの~理想美と教訓をもたらす多面性 第8章 ファム・ファタル(宿命の女)と呼ばれた女たち~愛がもたらす破滅の運命 第9章 絵画の中の夜~夜がどのように生まれ、どう描かれてきたか 第10章 画家の目としての鏡~アントニオ・タブッキの短編と奇妙な写真 第11章 カンヴァスをはさんで画家が対話する肖像~移ろう姿を切り取って
  • かりそめの星巡り
    3.5
    1巻2,090円 (税込)
    遠く離れた場所と言葉が響きあう、記憶への旅。 ドイツでの暮らしに故郷仙台の風景を重ね、愛する文学世界と過去からの声に耳を澄ませる――。 デビュー作『貝に続く場所にて』で芥川賞を受賞した注目作家が、静謐にして豊饒な文章で綴る初めてのエッセイ集。 「河北新報」連載「記憶の素描」、「日本経済新聞」連載「美の十選」を収録。
  • 水都眩光 幻想短篇アンソロジー
    5.0
    1巻2,400円 (税込)
    彼方は遠く、記憶になかったことばかり思われる 仰げば彼方は鏡のようにある。記憶になかったことばかり思われる。――「ラサンドーハ手稿」 蜃気楼のように現れる塔。ざぶんざぶんと波の音。へそから出てくるうなぎたち。母がクリーニング店に預けたもの。画家が描く瓜二つの妹たち。ある日、人類に備わった特殊能力…… 九人の実力派作家が紡ぐ幻想アンソロジー。 【目次】 ラサンドーハ手稿 高原英理 串 マーサ・ナカムラ うなぎ 大木芙沙子 マルギット・Kの鏡像 石沢麻依 茶会 沼田真佑 いぬ 坂崎かおる 開花 大濱普美子 ニトロシンドローム 吉村萬壱 天の岩戸ごっこ 谷崎由依
  • 貝に続く場所にて
    3.3
    1巻704円 (税込)
    芥川賞受賞の鮮烈デビュー作、待望の文庫化。 あの日行方不明となった彼が、ドイツの私の元を現れる。 忘却に抗う言語芸術の傑作にして、鮮烈なるデビュー小説。 第165回芥川賞受賞作 第64回群像新人文学賞受賞作 ドイツの学術都市ゲッティンゲンに暮らす私の元に、東日本大震災で行方不明になった彼が現れる。 陽に透けないほどの存在感を持つその訪問者に私は安堵するが、死者との邂逅はその街と人の様相を重層的な記憶を掘り起こすように変容させてゆく。 群像新人文学賞と芥川賞をダブル受賞した著者のデビュー作。 解説=松永美穂(ドイツ文学者、翻訳家)
  • 月の三相
    5.0
    1巻1,771円 (税込)
    デビュー作にして芥川賞受賞作『貝に続く場所にて』に続く、最注目の受賞第一作! 「フローラが失踪した」。旧東ドイツの小さな街に広がる噂が、歴史に引き裂かれた少年と少女の物語を呼び醒ます。分断の時代を越えて、不在の肖像をたどる旅。 「不在の者が失踪した後、静寂の表層と化した過去に踊り込もうとする言語がここにある。」 ーー多和田葉子 「傷だらけの歴史、その交差点に花開く魂の仮面劇。生命のリアルはどこに宿るのか。新次元の世界文学が誕生した。」 ――亀山郁夫 旧東ドイツに位置するその街では、誰もが自分の「肖像面」を持っていた。面に惹かれて移り住んだ三人の女たち――望、グエット、ディアナは、失われた「顔」を探して、見えない境界を越えていく。いくつもの時間が重層する街で、歴史と現在、記憶と幻想が交差して描き出す、世界の肖像画。

ユーザーレビュー

  • 饒舌な名画たち 西洋絵画を読み解く11の視点

    Posted by ブクログ

    とても良くまとめられた本でした。
    掲載されている絵画もそうですが書かれている内容もとても興味深く、著者の石沢麻依氏にも興味を持ちました。
    11の視点でまとめられた絵画たちは、それぞれが思いもしない視点だったりしてそれだけでも成る程と思う物でした。
    リアルを描いたものでもどこか遊び心のような隠しアイテムが描かれてあったり、ゲームのクエストのようなものを攻略本を追って楽しんでいるかのようでした。
    画家もこれだけ丁寧に解説されていたら工夫した甲斐がある…と感激なんじゃないかな。

    0
    2025年08月31日
  • 水都眩光 幻想短篇アンソロジー

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    •『ラサンドーハ手稿』高原英里
    この作品が最初で良かった。退廃的な世界観、暗い路地裏から話しかけてくる仮面たち、ひょっとして私たちの世界でも起きているかもしれないよと錯覚させるような精神が入れ替わるストーリー。百点満点です。

    •『串』マーサ•ナカムラ
    奇妙なお役目がグロい!
    連綿と続いていくんだなと主人公の微笑みで感じます。なんだか鬱りたくなるのに爽やかで奇妙な読後感。

    •『うなぎ』大木芙沙子
    あーっ、純文学!うなぎが臍から出てくる超自然的現象はさておき、不良と仲良くしているところをいい子ちゃんの家族(になりかけの人と母親)に見られたくないっと顔を背けてしまった…小さなしこりが今も残り続け

    0
    2024年02月18日
  • 月の三相

    Posted by ブクログ

    月の三相とは、"新月""半月""満月"。月の光が変容を受け入れてくれる。面に惹かれて旧東ドイツの南マインケロートという街にやってきた3人の女性の名にも月が含まれている。面は、欺瞞を表し針鼠にも変貌する。髑髏もまた面である。抽象的な印象だが細かな描写であり想像力が掻き立てられ瞼に映像が映し出される。エーミールとクララ…フランク、フローラ、歴史に引き裂かれる。フランクの拘りの蝶に結びつく物。トマスの蝶へのトラウマ。奇妙な『眠り病』という流行病。人魚姫や茨姫に例えられたり、いくつもの次元が交差するような肖像面の物語。

    0
    2022年11月16日
  • 貝に続く場所にて

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    難解なことは間違いないですが、すごく好きでした。この先何度も読み返して、そのたびに新しいメッセージを受け取るのだろうという気がします。情景の描写が繊細で静かで、世界の解像度が高い人なんだなと思いました。当事者意識を持てなかったゆえにほとんど忘れてしまった東日本大震災のこと、そわそわしていたコロナ禍のこと、臨場感を帯びて思い出されました。寺田寅彦が出てきたのには驚いたなあ。

    「太陽系の惑星群から外されて準惑星になっても、冥王星がその軌道上を動くことに変わりはないでしょう。惑星の小径を海王星で打ち止めにしても、それは私たちの認識の広がりが変化を受け入れただけで、その先にある冥王星そのものが消えた

    0
    2025年11月23日
  • 貝に続く場所にて

    Posted by ブクログ

    かなり幻想的な設定で初めのうちは何が何だかわからなかった。ただ、各所に散りばめられた魅力的な表現がとても好みであることも作用し、何度か繰り返し読む事で食らいついていけた。解釈が正しいかどうかわからないが、誰しもが抱える思い出したくない記憶に対して、目を背ける弱さと立ち向かう強さの両方を持ちうる人間の面白さが素敵に描かれていると感じた。

    0
    2025年10月31日

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