【感想・ネタバレ】月の三相のレビュー

あらすじ

デビュー作にして芥川賞受賞作『貝に続く場所にて』に続く、最注目の受賞第一作!
「フローラが失踪した」。旧東ドイツの小さな街に広がる噂が、歴史に引き裂かれた少年と少女の物語を呼び醒ます。分断の時代を越えて、不在の肖像をたどる旅。

「不在の者が失踪した後、静寂の表層と化した過去に踊り込もうとする言語がここにある。」
ーー多和田葉子

「傷だらけの歴史、その交差点に花開く魂の仮面劇。生命のリアルはどこに宿るのか。新次元の世界文学が誕生した。」
――亀山郁夫

旧東ドイツに位置するその街では、誰もが自分の「肖像面」を持っていた。面に惹かれて移り住んだ三人の女たち――望、グエット、ディアナは、失われた「顔」を探して、見えない境界を越えていく。いくつもの時間が重層する街で、歴史と現在、記憶と幻想が交差して描き出す、世界の肖像画。

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Posted by ブクログ

月の三相とは、"新月""半月""満月"。月の光が変容を受け入れてくれる。面に惹かれて旧東ドイツの南マインケロートという街にやってきた3人の女性の名にも月が含まれている。面は、欺瞞を表し針鼠にも変貌する。髑髏もまた面である。抽象的な印象だが細かな描写であり想像力が掻き立てられ瞼に映像が映し出される。エーミールとクララ…フランク、フローラ、歴史に引き裂かれる。フランクの拘りの蝶に結びつく物。トマスの蝶へのトラウマ。奇妙な『眠り病』という流行病。人魚姫や茨姫に例えられたり、いくつもの次元が交差するような肖像面の物語。

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2022年11月16日

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