沼田真佑のレビュー一覧

  • 幻日/木山の話

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    主人公の木山も作家で作品が映画化されている設定なので私小説っぽく感じた。

    鬱を熊と呼び、熊に食われないよう様々な術で日々を暮らしている。その様子は興味深く、共感する部分もあった。

    幻想文学と現代文学のミックス的なつくり。

    時間をかけて書いている、つまりは丁寧な仕事、というのが伝わる。

    でも、私にはちょっと読みにくかった。
    集中しないとまるで入ってこないし、うっかりするとすぐに目蓋が落ちてしまう。

    8つの話の中で「カタリナ」が良かった。
    幻覚とかが出てこないから分かりやすくて、自然な文章で読みやすい。

    あと、装丁がとても美しい。
    すごく好き。

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    2024年12月04日
  • 影裏

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    「影裏」
    途中で主人公の性別がわからなくなり、あれ?となった。結末含め、日浅のことが、わかるような、よくわからないような。
    「廃屋の眺め」
    昭和の文豪のエッセイのような文章でちょっと面白い。
    「陶片」
    3つの作品の中ではこの作品がよかった。
    こちらも主人公の性別がわからなくなりちょっと混乱。こちらは女性が主人公で、女性の書いた小説のように感じた。

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    2024年07月07日
  • 幻日/木山の話

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    つらつらと流れるように言葉が連なっている、木山の話。
    自然の描写が精緻で雅で、まるで絵巻物のように目の前に展開されていく。
    自然の中に自分の過去の姿を見つけ、その過去の自分に誘われるがままに、昔のことを回想する。
    時系列がポンポンと飛ぶので、たまに頭が追いつかなくなるが、人の思考をリアルに描写したらこんな感じになるのかなと興味深い。木山の思考が赴くままに、ただただ全身を委ねて読み進める気持ちよさを感じた。
    こういう小説を読むのは初めてだったので、貴重な読書体験となった。

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    2023年11月28日
  • 影裏

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    同僚であり唯一の親友であった湯浅。主人公は、突然姿を消した彼の、自分が知らない暗い一面を知ることとなる。

    収録されている三つの短編のどれも、複雑な感情をリアルに、どこか暗くて、レトリックに溢れている。少し回りくどいと感じる表現もあるが、ふっとよぎるものの認識すらしていなかった感情をピンポイントで示す鋭さもあり、そこがこの著者の魅力的な部分なのかも?

    「浜にはわたしのほかに、人影があったりなかったりするが、暗闇の彼方に先客がいるのが目に入ると、なぜだかそれが、残忍極まる人物のように感じられ、回れ右をしてさっさと帰途に就くこともある。一方で、言葉を交わすことさえできたなら、生涯の共になれそうな

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    2023年08月15日
  • 影裏

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    自然の風景 色調などの描写が美しく 目の前に現れるが 登場人物の魅力が欠けていて 感情移入出来なかった
    あっという間に読めた

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    2022年04月20日
  • 影裏

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    読み進めていけばいくほど、ぼやけていく今までの日浅の人物像。
    見せている部分だけが全てではないし、誰でも人によって使い分ける多面性を持っていると思った_φ(・_・

    2021/11/25 ★3.4

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    2021年11月25日
  • 影裏

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    この作品を読んで感じたのは、文章から感じる風景描写の美しさ。3つの短編からなる作品なのですが、私がおすすめしたいのは、「陶 片」という作品で、両親と暮らす独身女性の話で、自分の境遇に嫌気を立ち、時折自宅近くの海岸で、陶器品の破片を集めて、心を落ち着かさせるという話で、非常に共感しました。自分に当てはまる所もあったので、是非読んでほしいです。表題作の「影裏」も良かったです。第157回芥川賞受賞作。

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    2021年09月03日
  • 影裏

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    都会の時間に疲れ、岩手に出向になった2年間
    一人寂しい時間の中に現れた彼、ふいに声を掛けられ、親交が繋がり、釣りと酒を酌み交わすなかに、そんな彼が突然消えた……。心のどこかにいる彼、、、
    突然、現れ何事もなかったかのように、時間が戻る。。。
    しかし、また突然消えた。。。3.11。。。

    知らない間に彼を求め、探すうちに自分の知らない彼を知ることに。一体、私はなぜ?彼を追いかけているのか……

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    2021年07月27日
  • 影裏

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    出向で移り住んだ岩手で、慣れない環境に孤独を感じていた今野。唯一心を許した同僚の日浅と、釣りや酒を楽しむ日々。そんな中、日浅は突然仕事を辞め今野の前から姿を消した。
    二度目に日浅が姿を消した後、311で彼が行方不明になっていることを知る。
    それをきっかけに、次々と知らなかった日浅の人柄が暴かれていく....。

    「廃屋の眺め」
    友人の葬儀の席で知り合った、私と佐尾。
    冴えない者同士、三年ほど飲み仲間として過ごしていた。温泉旅行を計画し、佐尾の妻と三人で向かうが、佐尾に急な仕事が入り、佐尾の妻と二人きりで過ごすこととなる。
    混浴に入った私が見たものは、身体中に痣を作った佐尾の妻だった。
    「陶片」

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    2021年06月11日
  • 影裏

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    表題作は先に映像を観てしまった。映画の方はエピソードが少し足されていて印象が異なる。でも、共通して感じたのは水と緑のイメージ。

    表題作の他に2作。どれも不安定でぐらぐらしているようでどこか吹っ切れて前向き…そんな印象。

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    2021年03月14日
  • 影裏

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    しばらく軽くて読みやすい本ばかり読んでいたので、なかなか骨が折れた。
    表題作は、映画を先に見たので、むしろ原作にはない映画独自のいくつかのエピソードが思い出されて、変な感じだった。
    後の二篇は、これはいったい何が言いたいのかなぁ、という感じ。娯楽小説なら楽しめれば良いが、こういう文学の系統は、何かテーマがあるはず、と思うのが、型にはまりすぎなのか?

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    2020年12月11日
  • 影裏

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    表題作しか読んでいない。よく分からなくて、想像に委ねられてるのかなという印象。
    映画行けなかったから、DVDが届くの待ってます。

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    2020年07月23日
  • 影裏

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    芥川賞作品。一つひとつの話が、そこで終わる?という呆気ない終わり方をしていて、逆に何が伝えたい作品なんだろう…と考えさせられる。こうあるべきだ、という倫理観を信じて疑わない人間と、そこからはみ出した人間の、決して交わらない価値観を描いていて、この世の世知辛さを感じた。

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    2020年05月16日
  • 影裏

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    面白かったです。
    初めて読む作家さんです。
    3話とも、なんだか寂しくて好きです。影のある人々。
    特に「陶片」が好きでした。「穏やかでいると、人って孤立しますよね」ってわかる感覚でした。エムと香生子の会話、好きです。
    登場人物たちのままならないところ…ずっと曇りのような薄暗さが漂っていて好きな世界でした。
    「影裏」の映画化の綾野剛さんと松田龍平さんの帯に惹かれて帯買いです。沼田さんの他の作品も読みたくなりました。

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    2020年01月18日
  • 影裏

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    芥川賞受賞、映画化もされるということで沼田真佑氏の「影裏」を読みました。
    描写表現がとてもきれい。
    文体がとても文学的。
    初めて沼田氏の作品を読んだので、最初はその文体に戸惑いながらなので、頭に内容が残り難かったですが、単独で読むよりも、一緒に収録されている短編二編「廃屋の眺め」、「陶片」を読み終えるジワリと良さが滲みてきます。
    一度だけでなく、何度も読み返す本かもしれません。
    どの様に映画化されるかが楽しみです。

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    2019年10月18日