女にもてない「私」がようやく女とめぐりあい、相思相愛になった。しかし、「私」の生来の暴言、暴力によって、女との同棲生活は甘いどころか、どんどん緊張をはらんだものになっていく。金策に駆け回り、疎遠な友をたずね、断られれば激昂し…金をめぐる女との掛け合いが絶妙な表題作に、ぬいぐるみを溺愛する女との関係を描く「焼却炉行き赤ん坊」を併録。爆笑を誘うほどに悲惨な、二つのよるべない魂の彷徨。新しい私小説がここから始まる。
Posted by ブクログ 2023年01月29日
『苦役列車』が面白かったのでこちらも。「焼却炉行き赤ん坊」のスピード感がたまらない。爆笑に次ぐ爆笑。文章のグルーヴがとんでもないことになっている。そして読後にはわずかな寂寥感が取り残される。なんなんだコレは。他の文庫も全部揃えたくなった。
「心の底から反省して、二度とこんな陋劣な真似はしませんから、...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年06月28日
いやーおもしろい。隠さずにすべてを晒すことができるのが私小説の良さなのか。
クソみたいな人間に辟易するがなにか愛らしい。
「こんな人間にはなりたくない」「こんな部分が自分にもあるのかも」「自分も角度を変えるとクソなんじゃないか」
よくわからんが、いろんな感情に揺さぶられる。
しかしどんな想いも包...続きを読む
Posted by ブクログ 2016年12月31日
同棲した女性が、ぬいぐるみ心酔し、徐々にそれが煩わしくなり主人公と口論、暴力へと発展し最終的には女性が大事にしていたぬいぐるみを引き裂き無残な結末を遂げる「焼却炉行き赤ん坊」と、自費出版の経費が必要となり、同棲した女性の父から金を借り、更には旧友からも金をせびる「小銭を数える」。両作とも無残な結末を...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年07月18日
夫が「こんなのを買った」というのをちょいと横取り、あっという間に読んでしまった文庫本
この文庫、短い間に版も重ねて売れているらしい、この作家さん知らなかった
芥川賞を受賞した時にもヘンな言動で話題になったらしいが、それもスルーしていたらしい
ま、わたしの読書好きも偏っているから
それで
面白...続きを読む