Posted by ブクログ
2011年10月08日
「ぼく、おまえをずっと大切にするから、今後ともひとつよろしく頼むよ」
待望の恋人との同棲生活の始まり。
仲睦まじく二人で迎える初めての正月に貫多の期待は高まるが、些細な事柄に癇の虫を刺激され、ついには暴言を吐いてしまう。
二人の新生活にあやうく垂れ込める暗雲の行方は―。
…
これは"...続きを読む;秋恵シリーズ"というんでしょうか。
新潮文庫から出ている「廃疾かかえて」(読みた〜い)にも"秋恵"が出てくるそうなので。
本書は連作短編集になります。
収録内容は、
「陰雲晴れぬ」
「肩先に花の香りを残す人」
「寒灯」
「腐泥の果実」
…
主人公はお馴染み貫多。
待望の"恋人"との同棲生活の始まり〜破局に至る過程が描かれます。
いやー、もう…よく1年持ったなぁと。秋恵ってば忍耐強い!
私だったら、貫多とは同居、ぜっっったい無理ですね。
お付き合いも無理。
とてもじゃないけど耐えられない(苦)
でも私も案外、貫多タイプなので…うわぁ凄いサイテーじゃん;
でも、小説として読む分には面白い1冊です。
最初は互いに気を使って〜貫多の横暴さとそれに耐える秋恵〜冷めた秋恵の流れ、特に秋恵の変化が生々しくて!
秋恵には悪いけど、貫多がキレて罵詈雑言を浴びせる喧嘩シーンとか笑えます。
人の喧嘩って離れて見ると面白いもんなー(←悪趣味
好きなシーンは、「肩先に花の香りを残す人」から…
嗅覚が鋭い貫多は、タクシーで上着に整髪料の臭いが移ったことに腹をたてます。
「ああっ、何んだよもう! クリーニングに出したばかりのジャケットなのに!」
とキレる貫多。
そして怒りの矛先は秋恵に向けられ…
「今日からぼく、おまえのことを畜膿女と呼んでやるからな」
「…………」
「返事をしろい、畜膿女!」
(略)
「なにがちくのう女だよ! イヤなこと言わないでよ!」
と以降、壮絶な舌戦が繰り広げられる事になるんですが…もうこの喧嘩シーンが最高で(爆)
畜膿女!って…唖然ボーゼン、こうなると笑えますね、もう。
終いには「ゴキブリ女」呼ばわり。かあぁ〜。
しかもヒッドイ事いってるのに一人称は「ぼく」なんだ。
そして秋恵の台詞では「ちくのう女」と畜膿を漢字ではなく平仮名で書く辺りが上手いなぁ、と。
このあと貫多、秋恵にグサリとやられてますが(苦笑)
収録作の中では「肩先に〜」が一番好きですね〜。笑えるし。
面白かった〜♪