Posted by ブクログ
2022年04月18日
お嬢様の女子高に通う女の子達のお話
4作の短編集で、1作だけ二人の視点が入り交じる
・フォーゲットミー、ノットブルー
・甘夏
・ふたりでいるのに無言で読書
・オイスターベイビー
有名な写真家の父を持ち、特定のグループに属さない自由奔放な朱里
そんな朱里に惹かれる希代子
元々希代子と仲がよかったが...続きを読む、夏休みに自分なりに変化しようとする森奈津子
クラスの女王のように振る舞う恭子
オタクグループでつるんでいる早智子
一番好きなエピソードは「ふたりでいるのに無言で読書」かな
早智子さんとの対比の描写がとてもよかった
早智子はしっかりと墓場鬼太郎のトートバッグと認識しているのに対して、恭子さんから見れば妖怪の書かれたダサいバッグにしか見えないよなぁ
解説に書かれてある通り、登場人物を特徴づけるアイテムの表現が的確なんだと思う
あと、恭子さんのイメージがガラッと変わったし、結局本人は変わらないあたりが逆に物語のテンプレートをを崩している気がする
「甘夏」もなかなかよい
学校に車で迎えに来るという出来事が、色々な人の視点ではどう見えたのか
そしてその裏事情というあたりが面白かった
登場人物に抱くイメージが、他の人視点で描かれるパートを読むと少し変化する
この辺は、「桐島、部活やめるってよ」に似ている
単行本としては霧島の方が早いけど、雑誌掲載はフォーゲットミー、ノットブルーの方が先なんじゃなかろうか?
他の人のイメージ変化とともに、本人達の意識の変化も含めて秀逸な物語になっている
解説でも書かれてある通り、リーダー的な振る舞いからその取り巻きになったり、ランク外でひたすら勉強するグループになったりと
女性のグループは一度固定されるとなかなか変化しないと思っていたけれども、実はもっと柔軟なものかもしれないとも思える
これが柚木麻子さんのデビュー作というのはなかなか興味深い
女性同士の関係を描いた作品として、あまからカルテット、嘆きの美女と続いていく中で共通するものを感じる