菊池寛の作品一覧
「菊池寛」の「マスク スペイン風邪をめぐる小説集」「勝負事」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「菊池寛」の「マスク スペイン風邪をめぐる小説集」「勝負事」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
些細なことが
有名な吉田松陰の密航失敗事件を取り上げている。菊池寛の歴史モノには、定説通りのものと斬新な視点から描いたものの二種類があるが、この作品は後者の好例である。もしこの時、密航が成功していたら、松下村塾は開かれず、維新の英雄たちも随分と違ってきただろう と歴史ifを想像して面白い。
人生の皮肉
自殺者を助ける副業をしている女が自らも という大変に皮肉なめぐり合わせを描いている。語り口の中に抑えたユーモアが含まれているのがとても良い。短い作品ではあるが、私は作者菊池寛の数多くの作品の中でも名作と言えると思っている。
なにが幸せか?
鬼界ヶ島に流された俊寛が流人が自分一人になったあとも、ロビンソンクルーソー的な生活をして家族も持って生き続けるとあっても不思議ではない物語である。終盤のはるばる訪ねてきた都人と、俊寛自身の感じ方の対比が実にくっきりとしていて印象的である。なにが幸せか?を考えさせられる名作である。
迫真のリアル感
阿弥陀経で説いてあるとおりの極楽へ行けた夫婦が、退屈しきってしまって...という話を、迫真のリアル感を以て描き出している。「隣の芝生は」の究極のたとえである。作者菊池寛は、このような冷徹な味方ができる作家だったんだな と認識を新たにした。
人の幸せとは?
知的障害を持った人の幸せとは?ということについて正面から描いた短編戯曲である。現在でも知的障害者は敬遠され気味であるが、ましてや菊池寛の時代では「狐憑き」と言われて爪弾きにあっていた。その時代にこのような作品を書いた菊池寛に敬意を表したい。