大正時代、裕福な家に嫁いだ千代と女中の初衣が生きていく話。
めっっっちゃくちゃ良くて大好きなんやけど語彙力が足りないのと何がそんなに琴線に触れたのか自分でも分かってない自分が残念になる。
千代と初衣の主従関係が戦後入れ替わり、再開して穏やかに暮らし直すまでの話なんやけど、この2人の関係性がとにかく
...続きを読む良かった。
大正時代の話やから、価値観とかはぁ?ってなるしこの時代に生まれてなかって良かった、なんならあと100年後くらいの価値観の時代で生きていきたいって思える。
千代の母親の気持ちが分からず、だからこそ余計に千代に感情移入をする。そして千代の嫁ぎ先の女中お初さんとお芳ちゃんが好きになり、3人でキャッキャ仲良くしてるのホッとする。そんな私やからこそ千代と同じようにタケさんに刺される。
あと茂一郎なんだこいつ。千代の旦那やけど初めからずっと嫌いで、そのフィルターのせいか真意が読めない。勝手な解釈で誤解して外に女作って出て行った男。話し合いをせんかったのは千代だけが悪い訳は勿論なくて100%茂一郎が悪いやろ、と個人的には思う。
離婚を口に出す千代にお初が「残るも地獄、去るも地獄、去るのはいつでもできるから残る方を選べば?」と言う言葉に落胆する千代とは逆で救われた。
そして女2人で生きていく大変さ、この時代やからこそ余計に息苦しいはずやのに、2人の間に流れる空気は穏やかで心地良くてずっと続いてほしいと願う。
そして戦後、逃げる最中に離れてしまった2人、千代はその後寮母をして生きていき好いた相手も出来た。その男の死後妻がいてたことが分かり千代と同じように動揺する。この男を通して茂一郎側の気持ちが少し分かる気がする、どっちの男も逃げ場を見つけただけなのでは。
最後、お初に「2人一緒ならどこへでも行けます。だって、生きているんですもの」そう朗らかに告げる千代が色々合って傷付いて、それでも素直でのんびりで裏のない所は変わっていなくて、なんだか泣きたくなった。
あと、始終料理の描写が美味しそうで、それがどんな状況でも救いになる。生きていくことは食べていくこと。この2人のように、主従関係なんて関係ない家族として一緒にいれるのが羨ましい。