嶋津輝のレビュー一覧
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上野のカフェーで働く女給のドラマを描く。大正から昭和を描く。着物にフリルのエプロンだなんて想像しただけでレトロで粋だ。
好きな世界観。
美しいが学がなく文字の読めない未亡人であるタイ子。客だった女学校の国語教師に字を教わる。その妻の稲子に関係を疑われる。タイ子より稲子目線の話。皆純粋。学がないことを恥じる稲子とタイ子それぞれがいじらしい。
嘘を好む美登里とどう見ても四十路近いのに19歳と言い働き始めた園子の話。園子の言うことのどこからどこまでか本当か!?
気が強く高学歴でプライドの高いセイの話。一度はカフェーを辞めて他の職につくもののやはり時代的に女性は活躍しづらい。結局、カフェーに出戻った -
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向井正一に髪を切ってもらいたい。そして、「28歳でしょ?」と本気で言ってもらいたい。
容姿を美しくさせる能力が高いのに、年齢を当てる能力が破滅的な向井が面白い。そして、悲しい。
人間の魅力は、アンバランスさにあるんだなと思う。
向井といい、菊田といい、園子といい、脇役も魅力的だった。
明治から昭和に生きた女性を主人公に描いた小説。
きっと、私の曾祖母と同年代だろうか。
遠い昔の物語のようだけれど、一方で生きていた頃の曾祖母を重ね合わせると、最近の話のような気もする。
タイ子のナチュラルなパパ活は、全く古さを感じなかった。そして、セイの職場での男尊女卑。当時の女性の生き様は、現代とそう変わった -
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直木賞作品として話題の本。カフェーを舞台に大正から昭和の時代をたくましく生きる女性の姿は、現代にも通ずる葛藤や困難を乗り越えて掴み取る自分らしさに共感する。優美な文章にどんどん引き込まれていき、その世界観にどっぷりとつかって最後読み終えたら、ため息が出るほど面白かった。
当時の華やかな世界から戦争が落とす悲惨な影。そこには母であり、妻であり、娘であるそれぞれの女性の姿が確かに存在していたと感じさせてくれる。
勝手ながら天海祐希を想像させるタイ子が、努力して学んだ文章で綴ったものの、出せなかった息子への手紙に涙し、今の時代も平和でありますようにと祈らずにいられなかった。 -
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ものすごく私好みのお話でした(о´∀`о)
大正から昭和の時代を生きた、「カフェー西行」で働く女給達の連作短編集。
連作短編集ってやっぱりいいな、と思いました。
前のお話では脇役だった人が次のお話では主人公になっていて、誰もがその人の人生の主人公なんだと気付かせてくれます。
一冊の中で二十年ほど経過しているので、その時間を生きてきた彼女達の暮らしに思いを馳せてしまいます。
若い頃は不安や不満があった彼女達も、歳を重ねた今は、後輩女給の悩みに、その人それぞれの言葉ややり方で、慰めやアドバイスを与えたりして。
きっとこの後輩女給も数年後には誰かを助ける言葉をかけたりするのでしょう。こう思うと歳をと -
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ネタバレ島津輝さんは『襷掛けの二人』についで2度目の作者さん。
この作品も直木賞候補に上がっていましたが、今回は見事に受賞なさいました。おめでとうございます。
時代も、女性の生き方というテーマも、襷掛けの〜とほぼ同じで、別の場所で生きる女性たちの物語になる。
小説としては本編の方がすっきりとまとまっていて、わかりやすいと思う。
というわけで、今回の小説。
初期のカフェの女給は、華やかで憧れの職業でもあったようだ。時代が進むにつれて、いかがわしい所と見られるようになり、規制が厳しくなった。「西行」は店主のおおらかで優しい人柄と、真面目な性格からそういう店にはならず、戦後まで、コーヒーを出し続ける店だっ -
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第174回直木賞受賞作品
美術海(近代図案コレクション)の図案のカバーが、大正時代を思わせ、目を惹きます。大正から昭和にかけて、喫茶西行で働いた女性達の物語にふさわしい装丁だと思いました。
ページをめくると、最初の情景を表す文章から引き込まれました。カフェー、女給、 昇降機ガールなど時代を表す言葉とカフェーで働く女性たちの生きざまが興味深かったです。
ひょんなことから西行という名前で呼ばれるようになったカフェーと、そこで働く女性達が時代の流れと共に変わっていく様子がうまく表現されていました。
大正から昭和へ、そして戦後と目覚ましく変わっていた時代に働いていた女性達の思い、生き方、家族へ -
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「カフェの帰り道」で最近直木賞を受賞された嶋津輝さんの作品。女同士の友情が爽やかで読後感がいい。
千代は目の見えない三味線のお師匠さん初衣のところに住み込み女中としてお世話になることになった。初衣は空襲で目が焼けて見えなくなった。千代も空襲で喉が焼けてしまって今はダミ声である。それで初衣は千代がわからなかったのだ。初衣と千代はもともと知り合いだった。
大正15年、千代は山田家に嫁ぐ。初衣はそこのお手伝いさんだった。家事全般何をさせても手際が良く、素晴らしい。特に料理がうまく、千代は初衣に教えてもらったようなものだ。初衣は元芸者で、夫の父に落籍されて山田家に来ていた。
夫が高崎の方に仕事に -
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ネタバレ襷がけをして家事に勤しむ2人の姿と、長い人生をかけて交差する2人の関係性を掛けているんですね…
おっとりした千代さんと芸妓あがりで粋なお初さん。主従関係が入れ替わりながらも長い間連れ添った2人の関係性が羨ましい。
義父の妾と嫁という間柄で、お互いに軽蔑しようと思えばできたのに、尊敬しあって支え合う2人の心根の良さが沁みました。
お料理シーンが大変多く出てくるので、昔の手の込んだ旬の食材を使ったお料理が美味しそうで美味しいそうで…現代では高いお金を払わなければ食べられなくなりましたが、手間暇かけて自分と誰かのためにお料理したくなりました。 -
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とにかく面白かったです。
大正15年(1926年)から昭和25年(1950年)までの千代さんと初衣さんの関係と人生が描かれています。
少しぼおっとしたところがある千代さん、背が高くキビキビと行動する初衣さん。
わたしは、お初さんのカッコよさのファンになりました♡
千代さんとお初さんがお風呂に入っている場面での、お初さんの「もそっと」には声を出して笑ってしまいました。
ていねいに書かれている名作だと思います。
みなさまもぜひ♡
〔作品紹介・あらすじ〕
第170回直木賞候補作として選考委員から激賞!
全編にわたるユーモアが、高く評価された女性たちの大河小説。
裕福な家に嫁いだ千