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「オール讀物」新人賞受賞作「姉といもうと」を含む傑作短篇集。
幸田文の『流れる』に憧れる家政婦の姉と、指がないが活動的でラブホテル受付をする妹。
つぶれたスナックの女性店員たちが開いた競馬場での同窓会。
職人気質のクリーニング店主と常識外れの若い女性客。
駐車場の猫に餌をあげている布団屋の妻と、“役者のような美男子”の夫……。
おもわずほほえんでしまうユーモア。人間観察からあふれでる、生きることへの“姿勢の良さ”がにじみ出る。
解説・森絵都「どんな個性も大らかなユーモアをもって包みこむことで、マイナスをもプラスに転化させる。これぞ嶋津マジックだろう」
何気ないやりとりから生れる違和感がクセになる、オリジナリティ溢れる全7篇。
※この電子書籍は2019年9月に文藝春秋より刊行された単行本『スナック墓場』の文庫版を底本としています。
文庫化にあたり、改題しました。
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Posted by ブクログ
【感想】普通のようでいて、どこか奇妙な感じの人びとが棲息してる短編集。湿っぽくなく、したたかに、やすらかに暮らしている。
【内容】(01)作業ラインで知り合った女たちのほのかな交流。(02)シミ抜き好きクリーニング屋主人と乾いた感じの妻と洗濯をしない不思議な女性カシさん。(03)女中願望のある里香と指に欠損があるが屈託ない多美子の姉妹の仕事と生活。(04)布団屋の民子・治郎夫婦と地域猫とフグ屋の女将。(05)女性にぞんざいに扱われると気分が高揚する益郎はぶっきらぼうな母娘の米屋で弁当を買う。(06)ときどき何かを探そうとする発作が起きる荒雄さんと、商店街のみんなと、いろんな店でアルバイトしている演技好きなユキ。(07)妙に賑わってるスナックは常連客がよく死ぬ店でもあった。
■メモ
「ちゃんと手ぇ動かしてね!」(p.15)
「あたしは一流の人間が好き」(p.25)
柔らかい声がした。高くも低くもなく、ただ柔らかくて、まるく響く声だった。(p.47)
女客はどこかわくわくしているような目つきをし、笑いを堪えているような口許をしていた。(p.48)
あなたの汗って、なんとなく、汚くなさそうな感じがするわ(p.66)
「だって、あなたって、乾いた雑巾みたいだもの」(p.66)
里香にはもともと女中願望がある。(p.81)
「あるもので何とかする」(p.93)
「うん、たしかにやることが一番大事だけど、なんで、を考えるのも時々は必要じゃないかなあ」(p.110)
「そう、里香ちゃんは、凄いところがある」(p.130)
夫はなぜか猫をべつの動物に例えたがる。(p.137)
民子はこの女店主の笑う以外の表情を見たことがない。(p.140)
益郎は、女性にぞんざいに扱われると気分が高揚する。(p.168)
店主たちは一致団結し、荒雄さんを手から手へ運んでいくのだ。(p.189)
貧しくも健気な人間ごっこは徐々にエスカレートしていった。(p.194)
ユキはあたかも商店街全体とフリー契約でも結んでいるような形で、人手が足りないと声がかかるや、どの店にでも手伝いに出ている。(p.202)
なんのきっかけもなく、ある日突然、ああ、いま自分はこの店の一部である、と理解したのだ。(p.223)
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