【感想・ネタバレ】襷がけの二人のレビュー

あらすじ

オール讀物新人賞で注目を浴びた新鋭、初の長編小説

裕福な家に嫁いだ千代と、その家の女中頭の初衣。
「家」から、そして「普通」から逸れてもそれぞれの道を行く。

「千代。お前、山田の茂一郎君のとこへ行くんでいいね」
親が定めた縁談で、製缶工場を営む山田家に嫁ぐことになった十九歳の千代。
実家よりも裕福な山田家には女中が二人おり、若奥様という立場に。
夫とはいまひとつ上手く関係を築けない千代だったが、
元芸者の女中頭、初衣との間には、仲間のような師弟のような絆が芽生える。

やがて戦火によって離れ離れになった二人だったが、
不思議な縁で、ふたたび巡りあうことに……

幸田文、有吉佐和子の流れを汲む、女の生き方を描いた感動作!

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Posted by ブクログ

「カフェの帰り道」で最近直木賞を受賞された嶋津輝さんの作品。女同士の友情が爽やかで読後感がいい。

千代は目の見えない三味線のお師匠さん初衣のところに住み込み女中としてお世話になることになった。初衣は空襲で目が焼けて見えなくなった。千代も空襲で喉が焼けてしまって今はダミ声である。それで初衣は千代がわからなかったのだ。初衣と千代はもともと知り合いだった。

大正15年、千代は山田家に嫁ぐ。初衣はそこのお手伝いさんだった。家事全般何をさせても手際が良く、素晴らしい。特に料理がうまく、千代は初衣に教えてもらったようなものだ。初衣は元芸者で、夫の父に落籍されて山田家に来ていた。

夫が高崎の方に仕事に行くようになり、東京への帰りは1-3月に一回になった。高崎では若い子に手をつけているようで、妊娠の機会さえ訪れない。千代は次第に離婚を考えるようになるが、夫が頑なに離婚を拒んだ。

戦争が始まった。隣組が結成された。東京大空襲で千代と初衣は別れてしまった。その後30人の従業員がいる寮母さんになり、5升の米を研いで炊く生活になる。量も多いから、朝4時に起きて働き出す。

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2026年03月08日

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ネタバレ

襷がけをして家事に勤しむ2人の姿と、長い人生をかけて交差する2人の関係性を掛けているんですね…

おっとりした千代さんと芸妓あがりで粋なお初さん。主従関係が入れ替わりながらも長い間連れ添った2人の関係性が羨ましい。
義父の妾と嫁という間柄で、お互いに軽蔑しようと思えばできたのに、尊敬しあって支え合う2人の心根の良さが沁みました。

お料理シーンが大変多く出てくるので、昔の手の込んだ旬の食材を使ったお料理が美味しそうで美味しいそうで…現代では高いお金を払わなければ食べられなくなりましたが、手間暇かけて自分と誰かのためにお料理したくなりました。

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2026年03月01日

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この世に生きる人たちが綴る日常ひとつひとつが、大切な人生でありドラマなのだと思わせる物語。どのエピソードも人物も愛おしく、読み終わると心が温かくなる本でした。

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2026年02月14日

Posted by ブクログ

 とにかく面白かったです。
 大正15年(1926年)から昭和25年(1950年)までの千代さんと初衣さんの関係と人生が描かれています。
 少しぼおっとしたところがある千代さん、背が高くキビキビと行動する初衣さん。
わたしは、お初さんのカッコよさのファンになりました♡

 千代さんとお初さんがお風呂に入っている場面での、お初さんの「もそっと」には声を出して笑ってしまいました。

 ていねいに書かれている名作だと思います。
 みなさまもぜひ♡

〔作品紹介・あらすじ〕
第170回直木賞候補作として選考委員から激賞!
全編にわたるユーモアが、高く評価された女性たちの大河小説。
 裕福な家に嫁いだ千代と、その家の女中頭の初衣。
 「家」から、そして「普通」から逸れてもそれぞれの道を行く。
 「千代。お前、山田の茂一郎君のとこへ行くんでいいね」
親が定めた縁談で、製缶工場を営む山田家に嫁ぐことになった十九歳の千代。
実家よりも裕福な山田家には女中が二人おり、若奥様という立場に。
夫とはいまひとつ上手く関係を築けない千代だったが、
元芸者の女中頭、初衣との間には、仲間のような師弟のような絆が芽生える。
 やがて戦火によって離れ離れになった二人だったが、
不思議な縁で、ふたたび巡りあうことに……
幸田文、有吉佐和子の流れを汲む、女の生き方を描いた感動作! 

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2026年01月25日

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主人公に感情移入してしまった
それぐらい応援したくなる女性
初枝さんとお芳ちゃんとまた3人で笑顔で会えたかな
この作家さんの本 次も読みたい

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2026年01月17日

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『カフェーの帰り道』『スナック墓場』に続く3作目。
非常に良い!
柔らかな、血の通った文章を書く作家さんだと思う。次回作も今から待ち遠しい。

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2025年12月29日

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audible→本購入♡
とっても大好きな物語だったので、すぐに本購入した。
千代の嫁入りしてから茂一郎とのやり取りにモヤモヤした…千代の心情は事細かく書かれていて同じ女性として共感できることも多かった。
一方で茂一郎がなにを考えて想っているのか⁇同じくらい細かく知りたかった。
お初さんと千代の物語はもー心が震えるくらい身に染みた。戦前、戦中、戦後の2人が支え合い生きる生き様が美しく、いつの時代も手のこもった料理は心を温めてくれるんだと感じた♡

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2025年12月27日

Posted by ブクログ

大正から昭和にかけての時代を生きた女性2人の物語。

父の友人が経営する製缶会社の跡取り息子に嫁いだ千代は、無口な夫とは心も体も通じず、女中頭の初衣や歳若い女中のお芳ちゃんと家事をする毎日だった。

千代と夫の関係がどうにもならなくなったり、初衣が元芸者で義父と関係があったことなどやさまざまなことがあるなかで、戦禍のなか逃げているうちにはぐれた千代と初衣。

ひとりで健気に生きようとする千代が、やっと親しくなれた男性にも裏切られ、次に出向いたのは住み込みで盲人の三味線のお師匠さん宅だった。


空襲に巻き込まれて喉を潰した千代と目が見えなくなった初衣との再会は、2人の立場が逆転したとはいえ、そんなことなど関係ないほどに絆は深かったのだと感じられた。
男運に恵まれたとはいえないし、子どもにも縁はなかったが、相性のいい2人にはずっと一緒にいてほしいと思った。
年齢差もあり、性格も違うけれど気になる2人。




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2026年03月09日

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忘れ得ないもの、ってあると思いますか?そんな問いかけが聞こえてくるようだった。懐かしい気持ちにさせられる、不思議な文体であった。

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2026年03月05日

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戦前から戦後にかけての家父長制の時代。そんな中で、女性が「自分の生きたいように」生きることは、どれほど困難だっただろう。 さまざまな出来事に翻弄されながらも、「家」や「普通」という枠からはみ出すことを恐れずそれぞれの道を選び取っていく千代と初枝さんの姿はとても力強く凛としていて、心から素敵だと思った。 主人と女中という立場の違う二人が、次第に心を通わせ、やがてタッグを組む。そのときに生まれる絆の強さには思わず惚れ惚れする。身分や常識を越えて結ばれる信頼関係の尊さが、心に残る作品。

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2026年03月04日

Posted by ブクログ

千代は容姿が平板で後味を残さない。
それがいいのか、悪いのか。

昭和24年、千代が訪れたのは
盲人で三味線の師匠をしている女性・初衣の家。
師匠の身の周りの世話をする仕事を得た千代。
そこから2人がどのように生きてきたのか
世の中の動きと共に明かされていく。

大正15年、千代が嫁いだ先に女中頭の初衣がいた。
時代と共に日常生活から戦局が深刻化していく様子が伝わってくる。

初衣と千代、その時代を生きた全ての女性たちの力強さが
読むものの胸にしっかり響いてくる。

木内昇さんが好きで読み続けているけれど
似ているようでまた違った面白さがある。
初読み作家さんだったが、この先も追っていきたい。

ひとつ、初衣の言葉で印象に残った箇所を。
p166
〈世の中にはさまざまな役割の人がいて、
そういう人たちが、こちらの人生に、なにか、
印になるような、置き土産みたいなもんを残していくもんです。
そういうのを拾ったり踏んづけたり、
場合によっちゃつまづいたりするのも、
生きていくってことのひとつだと思っています〉

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2026年03月05日

Posted by ブクログ

大正14年
19歳で工場を経営する山田家へ嫁いだ千代
その婚家で女中頭だった初衣
二人は20歳差ながら、気の合う仲間

千代の夫である茂一郎はあまり喋らない人で夫婦関係はうまくゆかない
よその女性との間に子供を作り家にはほぼ帰らない

この時代の女性達は、一人で暮らしていける様な仕事もないから、どんな夫であろうと離縁されると生きてゆけず我慢するしか無いのですね

女性が一人前の仕事をしていた、数少ない人たちは
朝ドラのヒロインになる位珍しい事だったのでしょう

戦争の後初めて、一人で必死で生きる千代
戦禍の中生き別れになってしまった千代と初衣
そして再会出来た後、前向きに今を生きる二人の姿が、清々しく心地よい
苦しく生きにくい時代を、暗くなり過ぎず描く作者はとても好感が持て、本当に楽しく読み終えました

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2026年02月26日

Posted by ブクログ

2人の女性の愛情物語。
ただやさしく、暖かい話ではなく、日々をなんとか生きていくためにもがいている人びとの姿が描かれている。

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2026年02月22日

Posted by ブクログ

この人すごく惹かれるな、好きだなと思う友愛のような気持ちにとても共感した。
千代の母親の冷たさがつらかった分、お初さんの愛情に安心した。

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2026年02月14日

Posted by ブクログ

とてもよかった。
女性はたくましい。
だけど、終盤で山田だか鈴木だかわからんくなって、作者も間違えてると思う箇所がいくつかあった気がする‥

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2026年02月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公の人生は、結構悲惨だと思うけど、ラストは清々しい。
戦前から戦後にかけての女性の立場の弱さや生きる事が大変な時代の暮らしなどがよくわかる小説。
おっとりとおおらかな千代だからこそ生き抜けたのかも。まっすぐで裏のない千代を大事にした20歳も年上の初さんとの友情がとても心地よい。婚家の女中として出会った初さんは、過去の出来事を悔いている。千代は初のサッパリとした男らしいとさえ感じる性格や品のある優雅な物腰に憧れる。だが、夫はそうではなかった。理由は次第に明らかになるが、不幸な夫婦だったと感じた。
それにしても戦後の千代は頑張ったと思う。初が感心するくらいテキパキと動く。
2人の再会は奇跡的。いや、きっと運命だったんだ、と思う。読んでよかった(^^)いい作品だった。

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2026年02月01日

Posted by ブクログ

今回の直木賞受賞の嶋津輝さんの作品。直木賞候補。
住み込み女中と奥様が固い絆で結ばれ大正から昭和の時代の変化を生き抜き、戦後は雇い主と女中に立場逆転。
その時代の家族関係、夫婦関係、主従関係が興味深い。

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2026年01月29日

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不仲ではない夫。その夫の浮気。
それゆえ、自由に生きていられる。
その自由さに、夫が不要に等しいのだから、受け止めて、飲み込んで、今の生活を大切にする。
生きるために食べる。食べることを大切にする。
食べることで強く生きられて、行きたいからこそ食べる。

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2026年01月19日

Posted by ブクログ

カフェーの帰り道がとても良かったので。
ありそうな話なのに、とてもいいなあ。
昭和24年から時代が遡って、また最終章で戻ってくるのだけど、2人の物語を読んだあとでは、再会の奇跡を思ってどうしても涙ぐんでしまう。

昭和大正のお話だけど、雰囲気から時代小説へ分類。

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2026年01月14日

Posted by ブクログ

淡々と進んでいく人情物語かと思いきや、予想外な理由での夫婦不仲話や芸者の花電車の話など、オモシロ?エピソードが多々出てくる。
もしこれが男性作家の作品だったらちょっと嫌だなと感じそうだが、女性作家だからさっぱりと面白おかしく笑えるのかもしれない。

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2025年12月18日

Posted by ブクログ

昭和24年、鈴木千代が口入屋(職業紹介所)から斡旋されて三村初衣という三味線のお師匠さんの家を訪ねる場面から始まる
千代は目が不自由な初衣の家で住込みで働くのだ…
しかし初衣はその昔、千代が嫁いだ先の女中…
つまり千代が奥様だった
東京大空襲で目が見えなくなっていた初衣と喉を痛め銅鑼声の千代
千代は素性を隠して初衣に仕えることに…
そして場面は大正15年
千代の祝言の日に変わる…
そして二人は互いにかけがえのない存在になっていく

表紙からも想像するように市井の普通の生活が描かれているようで…途中からこれはミステリなのかしら?と思いながらこの作品にどっぷりはまった!
(ミステリではなかった…(笑))
なかなかのネタがぶっ込まれていて(失礼…)
びっくりしたけど、だからこその二人が深いところの繋がりになっているのかしら…と思ったり…
でも男性ウケはしない作品ではある…
とにかくたくましく生きる二人の女性に同性の私としては拍手!
そして丁寧につくられる料理の数々に、こんなに便利な時代なのに面倒くさがる自分に反省…

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2025年09月04日

Posted by ブクログ

朝ドラ「あんぱん」とドラマ「めおと日和」で、ちょうど同じ時期に戦前戦中の暮らしが描かれていたことがきっかけで、こちらの本に興味を持ちました。

工夫しながら丁寧に家事をして日々を過ごしている様子が好印象でした。ご飯もおいしそう!
タケのように噂好きな人はいるでしょうが、基本的には他人の暮らしが見えず、自分たちの小さな生活に集中している感じが、今のSNSまみれの生活よりも精神上安定するのかなと思いました。
悩みはあるけれど、知らないことは知らないでいいし、できないことはできないと割り切る感じ。

千代とお初さんの、奥様と女中でありながら、師匠と弟子、親子のような、踏み込みすぎずお互いを気遣い合う関係が素敵でした。戦後再会できて本当に良かった。
お芳ちゃんとの3人での再会、きっとおいしい食事を作って盛り上がるでしょうね!参加したーい!

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2025年08月30日

Posted by ブクログ

世代も育ちも違う女性達のシスターフッド。
意地悪な人や理不尽な環境があっても、
味方になってくれる人がいたら乗り越えられるかも。

タキさん、嫌い。
噂話をばらまくせいで、放送局呼ばわりされている叔母を思い出す。縁を切りたいけど、未亡人になった母はご近所だからって妙に頼ってしまっている。
家族とはいえ、人の友人関係に口出すべきじゃないんだけど。

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2025年08月11日

Posted by ブクログ

 太平洋戦争を挟んで、ひょんなことから二人で一緒に生活していくこととなった二人の女性の出会いと別れ、そして再会の物語です。

 物語は、主人公がとある女性の家に住み込みの女中として働き始めるところから始まる。その女性は、盲目だがしゃんとした人で三味線のお師匠をしている。彼女は、主人公にとっては戦時の混乱の最中に生き別れになった、誰よりも近しい人だった。大正十五年の嫁入りから、昭和二十年三月十日の東京大空襲の日まで、ずっと同じ家で過ごしてきた。その日々の中には様々な想いや葛藤があったけれど、つましい中にもたくさんの楽しみを見つけていく彼女たちは、生き生きとその時代を生きていたのだと感じられる一冊となっている。

 太平洋戦争の時代を挟んで戦前、戦後と続く一連の中で、主人公たちがどのように生きてどのように日々の暮らしを見つめていたのかを知ることができる、良作だと思います。戦時中の悲惨さや悲壮な気配はあまりなく、日々の中でちょっとしたことに楽しみを見出しながらも力強く毎日を生きている女性の姿が浮かび上がるようです。
 時代小説と言うには古くなく、現代の感覚で見るには少し異なる時代感覚という、絶妙なところをバランスよく描かれているという印象でした。それにしても、料理が美味しそうです。家庭料理でもそんな美味しいものを手間暇かけて作っていたのか、と冷静に感心する自分と、単純にとても美味しそうだと感じている自分がいた気がします。どんな時代でも、美味しいものを追求することは幸せを追求することと同じなんだろうなと感じます。
 インターネットで簡単にレシピを知ることができる昨今ですが、やはり『家の味』は万人受けするレシピとは似て非なるものだと思うのです。プロではないけれど、これが『我が家の味』と言える、美味しい料理を持っている家庭は素敵だと思います。

 二人の女性の出会いと別れと再会と、そしてその先の未来を見せてくれる壮大な(でもある意味とてもミニマムな)物語でした。最後の余韻もとても素敵でした。こんな生き方を、私もしてみたいものです。

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2025年05月02日

Posted by ブクログ

直木賞候補に上がっていたときから気になっていた小説。
大正時代から昭和にかけて、婚家の女中頭であった初枝と、嫁いできた千代、それに年下の女中、およしの3人の人生を描く。
千代の結婚と、東京大空襲が二人の運命を翻弄していくが、さらに二人の女ならではの事情が絡んでいく。育った環境も、それまでの人生も全く違う二人が一つ屋根の下で暮らし、山田家の男たちと暮らしていく。千代は夫との関係に悩むが、初枝にも事情があった。
女が耐え忍ぶばかりの話かと思ったらそうではなく、男たちにも事情があり、時代を感じさせる。千代は印象が薄いくらいの目立たない女で、苦労知らず、世間知らずであるのに、初枝はそういうおおらかなところが千代の良さだと言ってくれる。千代は、初枝、そしてお労と共に強かに時代を生き抜く。

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2025年04月09日

Posted by ブクログ

大正時代末期に、ちょっとお金持ちの家庭に嫁いだ千代とその家の女中さんが心を通わせる。そんな家庭でのこの時代の日常が描かれる前半は退屈で、読むのをやめようとしたけれど後半の空襲に遭う辺りからは動きがあり読み進めた。

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2025年08月23日

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裕福な家に嫁いだ千代と、その家の女中頭の初衣。
「家」から、そして「普通」から逸れてもそれぞれの道を行く。親が定めた縁談で、製缶工場を営む山田家に嫁ぐことになった十九歳の千代。実家よりも裕福な山田家には女中が二人おり、若奥様と呼ばれる立場になる・・・。
夫とはいまひとつ上手く関係を築けない千代だったが、元芸者の女中頭、初衣との間には、仲間のような師弟のような絆が芽生える。

千代と初衣の不思議な縁が独特のハーモニーで紡がれた、血縁や男女の婚姻関係で作られないシスターフッドの物語だった。千代は実母との折り合いも悪く、夫との関係もうまくいっていない。つまり家族との縁が薄い。玉の輿のような嫁ぎ先とはいえ夫と心身共に交われずに苦しんでいる千代は、初衣に悩みを打ち明けた。初衣は千代の性器を見せてもらい確かめることにした。そこまでと一瞬たじろいだが、嫌らしさを感じさせずにあっけらかんとした気持ちに切り替わったのは、動揺する千代に、初が芸者時代に覚えた“花電車”の秘技の話だった。想像したら可笑しくてたまらない。千代と初衣の年齢差は母娘といってもおかしくないぐらいの20年の開きがあるのだから、娘を案じる母心だったのだろうとも思え妙に得心。
やがて戦火によって離れ離れになった二人だったが、不思議な縁で、ふたたび巡りあうことになる。
嶋津輝さんが料理を作る描写に力を入れたと語っていた通り、3人が手分けして料るお菜は手が込んでいて美味しそうだ。
途中、千代のパーソナリティが今一つ私には伝わって来ずにイライラ。そののんびりした性格があったからこそ、義父のお妾さんであった初衣を受け入れることができたのだろう。夫に女性が居て子供まででき婚家を去ろうと決心する千代に、初衣は『食べていく術がないならば早まらずに妻の立場に居座りなさい』とアドバイスする。さすがと膝を打った私。ついに、千代は30代で寮母の職に就き自立し人並みの恋をした。

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2025年06月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大正~戦後までの女の友情物語。

裕福な家に嫁いだ嫁と女中が仲良くなり、その精神的結びつきは家族以上となる。太平洋戦争がはじまり、お互いの所在が分からなくなるのだが、戦後何年か経ち、逆の立場で邂逅することになる。

おいしそうなごはんがたくさん出てくるなあ、ほんわかした空気の物語なのかなあ、と思って読んでいたら、ちょっとあなたたちお風呂で何を見せ合っているのとびっくり展開だった。

旦那ひどいなーと思ったら、倍返しくらいの仕打ちを作者からくらっていた。
(旦那の死後、妻が寮の男との営みで「旦那よりうまい」的な感想をほのめかすシーンなど、、)

独特の展開を見せつつ、戦争に関しては割と淡々と物語が進んでいく。なんだかんだで最後に残った二人が幸せになれそうでよかった。

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2025年05月31日

Posted by ブクログ

裕福な家に嫁いだ千代とその家の女中頭の初衣。
この2人の激動の人生の物語。時代は大正から第二次世界大戦終戦後まで。これはまた朝ドラみたいな感じかな?と読んでみました。

千代はいい家に嫁いだものの幸せとは言えない。
初衣は仕事ができて優しい女中。でも世間からはあまりいい目では見られていない。2人ともこの時代だと認められない存在みたいな感じなのかな?こんなにいい人たちなのに、なぜ?と思い悲しくなる。
でもこの2人はそんなことには負けずに懸命に生き抜いた。戦時中は女だけで暮らしていると、大変だろうし怖い思いをいっぱいした思う。よく頑張った。すごいな。周りの人にも理解者がいて良かった。

千代と初衣の関係が羨ましい。奥様と女中頭の主従関係というのははじめからなくて、なんて言えばいいのか。歳の離れた姉妹?先輩後輩?一番しっくりくるのは親友、生涯の友なのかなぁ。それも少し違う気がするし、ソウルメイトの方が合っているのかな?とにかくこの2人の関係が好き。
途中で私は一体何を聞かされてるのだろうか?という箇所があった。千代がかなり深刻に悩んでたので初衣が相談にのっているのだけど、全てをさらけ出していた。私はすごいなと思ってしまった。信頼し合ってるから出来るのだろうな。

千代と初衣、ずっと仲良く穏やかに暮らせるといいな。
朝ドラみたいだけど、少し違うかな。

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2025年03月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2023下半期 第170回直木賞候補作品

時代は大正末期から戦中戦後。
裕福な家に嫁いだ千代と
その家の女中頭、お初の物語。

千代は実母への複雑な想いを抱え
夫と心も体も深まらないことを寂しく感じている。
しかしお初ともう一人の女中さんと3人での
仲良く丁寧な暮らしに小さな楽しみも見つけていた。
文章も大変読みやすく、スルスル読めていたが
途中で左のピラピラの話で
ビックリ仰天。
あわわ、そんなことって、、とページを捲る手が更に止まらず、、、、
私ったらなんて下世話なんでしょう。
しかしこのエピソードいるのかな。
ただ相性が悪かったて話じゃダメだったのかな。

空襲で離れ離れになってしまう千代とお初。
のんびりお初さんに守られながら
平和に暮らしていた千代は戦後初めて
自分で職を見つけ、一人生きていく。
そして初めて恋をする。
何の問題もなく
お相手と愛し合えた千代さん。
本当に良かった。
結局ピラピラではなく、愛情の問題だったのだね。

そしてお初さんとの再会。
戦中戦後の苦労を超えて
仲睦まじく暮らしていく。
幸せな料理がたくさん出てきてほんわか幸せな終わり方でした。

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2026年01月26日

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