嶋津輝のレビュー一覧
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ネタバレ第174回直木三十五賞受賞作。
大正末から始まって、戦後すぐまでの東京下町のカフェーの変遷とそれに関わる市井の人々の生活がリアルに感じさせます。
特に2回出征した理容師の世代が祖父の職や世代と重なり、祖父は召集令状を受けてからすぐ修正になったため出征せずに済んだと聞いていたので、自分の生まれる目前の時代を感じました。
前に読んだ著者の「襷がけの二人」も祖母と重なるところがあったので、著者には親近感がわきました。
戦前のカフェーは今で言うところのスナックやバーやパブのような感じですね。
カフェーから戦中統制により喫茶となり、戦後は純喫茶となるのも、時代を生き抜く大変さを感じました。
本当の店名 -
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大正から昭和にかけての時代を生きた女性2人の物語。
父の友人が経営する製缶会社の跡取り息子に嫁いだ千代は、無口な夫とは心も体も通じず、女中頭の初衣や歳若い女中のお芳ちゃんと家事をする毎日だった。
千代と夫の関係がどうにもならなくなったり、初衣が元芸者で義父と関係があったことなどやさまざまなことがあるなかで、戦禍のなか逃げているうちにはぐれた千代と初衣。
ひとりで健気に生きようとする千代が、やっと親しくなれた男性にも裏切られ、次に出向いたのは住み込みで盲人の三味線のお師匠さん宅だった。
空襲に巻き込まれて喉を潰した千代と目が見えなくなった初衣との再会は、2人の立場が逆転したとはいえ、そ -
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千代は容姿が平板で後味を残さない。
それがいいのか、悪いのか。
昭和24年、千代が訪れたのは
盲人で三味線の師匠をしている女性・初衣の家。
師匠の身の周りの世話をする仕事を得た千代。
そこから2人がどのように生きてきたのか
世の中の動きと共に明かされていく。
大正15年、千代が嫁いだ先に女中頭の初衣がいた。
時代と共に日常生活から戦局が深刻化していく様子が伝わってくる。
初衣と千代、その時代を生きた全ての女性たちの力強さが
読むものの胸にしっかり響いてくる。
木内昇さんが好きで読み続けているけれど
似ているようでまた違った面白さがある。
初読み作家さんだったが、この先も追っていきたい。 -
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大正14年
19歳で工場を経営する山田家へ嫁いだ千代
その婚家で女中頭だった初衣
二人は20歳差ながら、気の合う仲間
千代の夫である茂一郎はあまり喋らない人で夫婦関係はうまくゆかない
よその女性との間に子供を作り家にはほぼ帰らない
この時代の女性達は、一人で暮らしていける様な仕事もないから、どんな夫であろうと離縁されると生きてゆけず我慢するしか無いのですね
女性が一人前の仕事をしていた、数少ない人たちは
朝ドラのヒロインになる位珍しい事だったのでしょう
戦争の後初めて、一人で必死で生きる千代
戦禍の中生き別れになってしまった千代と初衣
そして再会出来た後、前向きに今を生きる二人の姿が、 -
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7つの短編集
ちょっと変わった人達が出てくるけど、根っからの悪人ではない
普通の人の日常の中に紛れる優しさ
そして、ちょっとした謎
しかもその説明は成されない
そんな何気ないやり取りが満載
・ラインのふたり
工場の短期バイトで知り合った女性二人の交流
若い社員から目の敵にされている事を察し、口撃を試みるが
その社員から返ってきた対応とは
バイト目線では、社員さんの仕事はそう見えるのでしょうね
実際は、他のタスクのついでだったりするのだけどね
それにしても、「命の母」って職場の救急箱に入ってるものか?
頓服薬ではないんだけど?
・カシさん
個人経営のクリーニングを営む夫婦と、下着ま