嶋津輝のレビュー一覧
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裕福な家に嫁いだ千代と、その家の女中頭の初衣。二人の四半世紀に渡る物語。
冒頭のシーンで女中頭だった初衣が思わぬ姿になり、その雇い主だった千代が逆に住み込み女中として初衣の家で働き始めるところが描かれている。
戦争の混乱による影響だと思われるが、一体何が起きたのか興味を掻き立てられる。
そこから物語は遡り、大正15年の千代の嫁入りから始まる。
千代と初衣の関係は傍から見れば奇妙だが、楽しい。
決して雇用主と女中という上下関係はなく、共に家を切り盛りする同僚のようでもあり、千代が嫁入りするまで家を切り盛りしていた初衣が様々なことを教える先輩のようでもあり、もう一人の若い女中・お芳と共に三人姉妹 -
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大正~戦後を生きた女性の話ということで、読んでいて辛いシーンが多いのでは…と身構えていたもののの、戦争ではなくヒューマンドラマが話の中心だったので想像以上に読みやすかったです。
千代やお初さんを好ましいと思えるか否かで、読みやすさはだいぶ違ってくるとは思うのですが……。
私は千代を通してこの時代ゆえの女性の生きづらさがリアルに感じられて、気付けばすんなりと物語に没入し、千代を見守るような応援するような気持ちで読んでいました。
千代自身飢えることはない境遇で例えこの時代では恵まれていた方なのだとしても、千代の決して良いことばかりでなく理不尽なこともどうにもならないことも沢山ある人生を彼女なりに歩 -
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ネタバレ飛鳥井千砂さんの作品が読める!ということでご本を見つけて即買いしました。
飛鳥井千砂さんのお話もちろんサイコーだった!そしてほかの作家さんのお話も面白かった。
飛鳥井千砂さんの書く主人公の女性がとっても好きで、今回のもうすぐ十八歳も夢中になりながら読んだ。
後半の展開に、主人公の気持ちになってえ!?え!?となった。主人公に起こったことを知っているから、締め方に納得した。ぜひ読んでほしい!
お話が進むにつれてページを捲る手が止まらなくなったのは雪舟えまさんの二人という旅。
最初は設定の読み込みに苦戦したんだけれど、読み込めた後には、どうなるんだろう??どこにお話しが着くのだろう??と興味津々 -
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ネタバレ飛鳥井千砂さんのもうすぐ十八歳【冠】
18歳で子供を持つという事
寺地はるなさんのありふれた特別【冠】
幼馴染のこどもと自らの成人式。予想外。
雪舟えまさんの二人という旅【婚】
宇宙ものはそもそも苦手なので、読み始めは理解できなかったが、途中から、どうなるのかなに変わった。読まず嫌いはいけない。
二人とはシガとナガノの『旅』についてだと思っていたが、シガの発した一言で『二人』が別のものだと気付いた。
「結婚生活も、人生そのものもー向き合うべきものを直視せずに時間だけ過ぎていくんじゃ、本質的には何も始まらないまま終わるってことさえ、あるのかもしれないね」
嶋津輝さんの漂泊の道【葬】
希和子 -
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ネタバレ女性作家8人による、「女ともだち」がテーマのアンソロジー。
うむむむ、女の友情はもろいというけれど、こんなにすごぉ〜く気持ち悪くて、べとっとするものばかりだろうか…
相手と『同じ』を競うような構図が、いくつもの作品に…あー、たしかに、『おそろい』スキだよなぁ…トイレ一緒に行ったりしてるよなぁ…
いやはや。下手なホラーより怖い。
どれも面白かった。
その中で、「ブータンの歌」は、くすっと笑えて、阿川佐和子さんらしい軽やかさだった。
「ラインのふたり」嶋津輝さんは初読。ちょっと山本文緒さんのような奇妙な迫力。
他の作品も読んでみたい。
「獣の夜」森絵都さん、爽やかな作品しか読んだことがな