嶋津輝のレビュー一覧

  • カフェーの帰り道

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    遠い昔の上野界隈の様子や父親が自宅の居間でタバコを吸っている日常など物語のリアルな時代は知り得ませんが、東京の下町で昭和のうちにおとなになってしまった世代には、なんとも懐かしい雰囲気を思い出させてくれる本でした。久々にいい本に出会いました。

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    2026年05月29日
  • カフェーの帰り道

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    路地裏で営業するじじむさいカフェー「西行」は、巷で話題のカフェーと一線を画す健全な憩い場。
    人のいいマスターと、個性的な女給たちが切り盛りする快活さが売りだ。
    人生に劣等感や焦燥感を抱きながらも、女給たちは我道を地道に切り拓いていく。
    戦争という壁が立ちはだかり、行く手を阻まれても、それぞれの手段で壁を押し倒し、粉砕し、跨いでいく。

    前作「襷がけの二人」での生臭さは抜け、小骨が喉に刺さることはない。著者らしい機転と粋な計らいは、見事な命中率でもって随所私を射抜く。カフェーの帰り道、煙が目にしみたのでした。

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    2026年05月29日
  • カフェーの帰り道

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    大正から昭和を生きる女性たちの物語。

    表紙や装丁の美しさに惹かれて購入しました。

    今よりも女性の地位が低く、生きづらさのある時代。それでも、おしゃれを工夫したり、異性を意識したり、自分らしい生き方を楽しもうとしている姿が伝わってきました。

    物語全体のゆったりとした空気が、読んでいてとても心地良かったです。

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    2026年05月26日
  • 襷がけの二人

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    『カフェーの帰り道』で直木賞を受賞した嶋津さんの作品を初めて手に取りました。本作は『カフェー…』と同じ、大正から昭和の時代を生き抜いた女性たちの生きざまを描いた小説でした。

    物語の主人公である“千代"とお初さん。戦前と戦後でこの二人の主従関係が逆転するという出色のストーリー展開に、まずはびっくりさせられました。それなのに、二人の仲は時が経るにしたがって「不思議な絆」で結ばれていきます。

    まず、関東大震災や太平洋戦争といった出来事が、彼女たちの人生に色濃く影を落とすのですが、世間の荒波や風聞に押しつぶされそうになりつつも、しっかりと地に足を付けて日々の暮らしを立てていきます。

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    2026年05月26日
  • 襷がけの二人

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    ​正直なところ、はじめはあまり惹かれなくて、一度は読むのをやめていた。
    でも、その後から段々と面白くなり、気が付くと彼女たちの日常に夢中になっていた。

    挫けそうになっても必ず助けてくれる人がいる。
    大変な時代でも女性たちがお互いに助け合って、明るく楽しく頑張って生きている。
    特に、誰かを思って作る丁寧な料理のシーンは、彼女たちの温かさがじんわりと伝わってきた。

    そして、『カフェーの帰り道』ではあまり描かれていなかった戦争中の悲惨な体験や、抗えない現実も今作は描かれている。
    それでも重くなりすぎず、さらっと描かれている。

    嶋津さんの作品は、いかに悲惨だったかをストレートに伝えるものではなく

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    2026年05月20日
  • 襷がけの二人

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    表紙の穏やかそうな女性二人の波瀾万丈の人生と絆が描かれた作品でした。

    登場人物に色々なタイプの女性がいましたが、なかでも芯の強い初衣にひかれました。知られたくない過去を持ちつつも、置かれた立場でおおらかに前向きに生きる姿がよかったです。

    大正から昭和にかけての物語の中で、主人公の千代が守られる側から守る側へと成長し、心から信頼できる人とも出会え、今までの経験を糧に生きていこうとする姿を見守るような読書時間でした。

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    2026年05月19日
  • 襷がけの二人

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    ネタバレ

    なんと、まともな男性(個人的な感想)は1人?2人しか出てこなかった…ように思える
    親都合での結婚、女中の仕事や妾の存在など、この時代ならではの女性の苦労も多いほか、戦争描写がある為、実際に胸が詰まり読んでいて苦しくなる場面もかなり多かった。
    その反面、幸せな場面を描くのも上手で、読んでいる自分もまるでその空間に混ぜて貰っているような気持ちになる。
    容姿も良く、仕事ができ、人からも愛されるお初さんでも、人には言えない過去を抱えていて、そしてその過去に対して後ろ指を刺されているんじゃないかと何十年経っても心配しているところに人間味を感じた。
    主人公の千代は幾度と大変な思いをして、何度か環境が変わっ

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    2026年05月19日
  • 駐車場のねこ

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    表題作「駐車場のねこ」を含む全7編の短編集。
    単行本時「スナック墓場」から改題。

    商店街を中心にした人間模様が描かれる。

    少しスカッとしたり、
    ちょっとほっこりしたり。

    一体何が起こっていたんだろう、という作品も。

    分からない作品は、作家さんが書きたいものがより際立つ気がして興味深い。

    それにしてもあまりにヒキのない題でびっくりする。
    直木賞を獲っていなければまず手にとらなかった。
    獲ってくれたから、読むことができた。
    直木賞ありがとう。

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    2026年05月14日
  • 駐車場のねこ

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    【感想】普通のようでいて、どこか奇妙な感じの人びとが棲息してる短編集。湿っぽくなく、したたかに、やすらかに暮らしている。
    【内容】(01)作業ラインで知り合った女たちのほのかな交流。(02)シミ抜き好きクリーニング屋主人と乾いた感じの妻と洗濯をしない不思議な女性カシさん。(03)女中願望のある里香と指に欠損があるが屈託ない多美子の姉妹の仕事と生活。(04)布団屋の民子・治郎夫婦と地域猫とフグ屋の女将。(05)女性にぞんざいに扱われると気分が高揚する益郎はぶっきらぼうな母娘の米屋で弁当を買う。(06)ときどき何かを探そうとする発作が起きる荒雄さんと、商店街のみんなと、いろんな店でアルバイトしてい

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    2026年05月12日
  • 私たちの特別な一日 冠婚葬祭アンソロジー

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    いろんな作家さんのいろんな作風の物語を読めるのでアンソロジーは好きです。お得感がある(笑)。
    好きなのはやっぱり寺地はるなさん。最高にハッピーな成人式の話でした^^

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    2026年05月05日
  • 私たちの特別な一日 冠婚葬祭アンソロジー

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    ネタバレ

    好みなのは「祀りのいきもの」。祖母は何を飼っていたんだろう。南洋の妖精?そもそも南洋の妖精は生き物なのか。不思議が心地よく残るお話だった。
    文章が全体的にひんやりと静かなイメージで好み。

    印象に残ったのは「二人という旅」。冠婚葬祭というテーマにSFチックな作風という斬新な角度?からの物語だなと思った。アンソロジーにスパイスが効いて私は好き。
    あと、結婚について、契約の女神と対話するシーンがとても好き。結婚の誓いは後に夫婦が別れたとしても破られたことにはならない。なぜなら、結婚という契約はお互いを永遠に愛したという、それほどまでに強い願いが、人の短い人生に一生に一瞬でも存在したことの証明だから

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    2026年05月04日
  • 襷がけの二人

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    結果女3人の生活に。あの時代にタンシチュー作る初枝さんカッコいい。トラオが空襲に合わなかったのは良かったというのがわかる。

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    2026年05月03日
  • 襷がけの二人

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    オーディブルにて。
    「カフェーの帰り道」が面白かったので続けて読んだ。序章で、あれ?この2人の関係は逆転していた?と気になる書き方に引き込まれた。
    戦争描写も少しありつつ、暗く重たい作風ではない。この時代の女性の生き方が知れて面白かった。好き。

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    2026年04月26日
  • 襷がけの二人

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    これも2人の女性の何気ない日々を描いた作品。不倫や戦争を挟んだ過酷な時代設定で眉を顰めてしまう出来事もあるのに、軽やかでほのぼのした読後感。老ネコのトラオもいい味出してる。「世の中には曖昧にしたままでいいものもある。なにもかもはっきりさせなくたって、どうせ人間なんて大抵のことはわからないまま死んじまう。それでいいじゃないですか。生まれてきたんだから、ただ生きて、いずれ死んで、それでいいんじゃないですか」グダグダ考えない。「ちみちみとついばむ」初めて聞いた表現。なんかかわいい。

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    2026年04月24日
  • 私たちの特別な一日 冠婚葬祭アンソロジー

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    ネタバレ

    「おたがいを永遠に愛したいという、それほどまでに強い願いが、人の短い一生に一瞬でも存在したことの証明という意味らしい。結婚という契約は」
    「奇跡だもんね、そんなの」(165頁)

     SFということもあり、賛否両論あるようですがやっぱり雪舟えま大好きだ……となりました。
     まず、「二人という旅」という題名がいい。旅だよね。異性ではない、ましてや人間同士でもない(⁉︎)シガとナガノが、喜びや悲しみ、苦しみを共有しながら、同じ方向を目指して生きていく……、二人が隣同士で座るところは特に象徴的なシーンで、ドキドキしながら読みました

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    2026年04月22日
  • 襷がけの二人

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    大正〜昭和にかけて。
    戦時下という過酷な時代だが、
    主人公・ 千代とお初さんの強い絆、
    お互いにかけがえのない二人のやりとりは、明るく和やかで本当に素敵な関係だと思いました。

    千代さんの半生、映画を1本観たような充実感がありました。

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    2026年04月17日
  • 襷がけの二人

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    ネタバレ

    HKさんのおすすめ。

    千代は、三味線のお師匠さんである初衣の家で働く女中。
    初衣は東京大空襲で目が見えなくなっていたため黙っていたが、
    千代は東京大空襲の夜まで初衣と一緒に暮らしていた。
    千代が主人で初衣が女中として。
    いや、千代の義父の妾として。

    「カフェーの帰り道」と同じ作者だったが、
    それよりももうちょっとしっとりした感じだった。
    製罐工場の社長の妻として不自由のない暮らしをしていた千代が、
    夫とは心の通わぬまま別居になり、
    義父も亡くなり、もう一人の女中と三人で暮らしている様子は幸せそうだった。
    さらに、大空襲をきっかけに、
    独身寮の住み込み女中として自立できて、
    そこで悲しい恋も

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    2026年04月12日
  • 駐車場のねこ

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    不思議な作家さんである。
    ここにいる人たちは、どこにでもいるような普通の人たちなのだが、それでも小説になるほどの個性は持ち合わせている。事件らしい事件は起きないが、心がざわついたり、想定外の事態に狼狽えたりする。しかし、大きなオチもない。
    人生で、誰かに起こりそうで起こらない、または起こらなそうでも実際起きていそうな、そんな人生の綾を描いた短編集。

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    2026年04月11日
  • 私たちの特別な一日 冠婚葬祭アンソロジー

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    とつとつと、心に迫るものがある。このお話たちに、出会えてよかった。少しあの日に帰ったような感覚に陥った。

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    2026年03月15日
  • 駐車場のねこ

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    読者に想像させる終わり方の話が多く、余韻まで楽しめる短編集。
    森絵都さんの解説を読んでたしかに。。!の連続でした。面白かったです!

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    2026年03月14日