嶋津輝のレビュー一覧
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2026年、直木賞受賞作品。
戦前など昔の話はあまり読まないけれど、この作品は読みやすくて面白かった。5つの短編で構成され、5人それぞれの視点から見る戦中戦後の様子。人と出会うことで自分も字を学ぼうと思ったり、自分に合う化粧や髪型を探したり、嘘をつくことで前向きに過ごそうとしたりする姿に、人と出会うと一歩前進できる。何かを学び、得ることがあると感じた。私は人と接するのが苦手だが、人と接するときはそう思うと少し気持ちが明るくなりそう。
また、戦中戦後を私は経験したことがないけれど、計り知れないほど苦しいと改めて感じる。彼女たちの前向きな姿には、その苦しみとの勝負に打ち勝ち、自分の人生を自分の選択 -
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ネタバレまだ洋装が珍しかった昭和初期にタイムスリップしたような、時間のゆっくりした流れが楽しめる。昭和40年代生まれの著者が、こんな文章を書けるところが、ちょっと驚き。上野の片隅にある、あまり流行らないカフェー西行ではたらく女給たちの人生の一コマ。読んだ後に、ほっこりする。こんな静かな路地がまだあるんだろうか。立ち寄ってみたくなる。
成金の父を持ち、豪邸に住むお嬢様の園子。華族ではないかもしれないが、おっとりしていて品がいい。豪邸から外に出られて、幸せになってよかった。
蝿帳(はいちょう)、フードカバー
肯んじた(がえんじた)
与る(あずかる) =評判に与る。お褒めに与る、とは違う?
梔子色(くち -
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ネタバレHKさんのおすすめ。
千代は、三味線のお師匠さんである初衣の家で働く女中。
初衣は東京大空襲で目が見えなくなっていたため黙っていたが、
千代は東京大空襲の夜まで初衣と一緒に暮らしていた。
千代が主人で初衣が女中として。
いや、千代の義父の妾として。
「カフェーの帰り道」と同じ作者だったが、
それよりももうちょっとしっとりした感じだった。
製罐工場の社長の妻として不自由のない暮らしをしていた千代が、
夫とは心の通わぬまま別居になり、
義父も亡くなり、もう一人の女中と三人で暮らしている様子は幸せそうだった。
さらに、大空襲をきっかけに、
独身寮の住み込み女中として自立できて、
そこで悲しい恋も -
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大正から昭和にかけての時代を生きた女性2人の物語。
父の友人が経営する製缶会社の跡取り息子に嫁いだ千代は、無口な夫とは心も体も通じず、女中頭の初衣や歳若い女中のお芳ちゃんと家事をする毎日だった。
千代と夫の関係がどうにもならなくなったり、初衣が元芸者で義父と関係があったことなどやさまざまなことがあるなかで、戦禍のなか逃げているうちにはぐれた千代と初衣。
ひとりで健気に生きようとする千代が、やっと親しくなれた男性にも裏切られ、次に出向いたのは住み込みで盲人の三味線のお師匠さん宅だった。
空襲に巻き込まれて喉を潰した千代と目が見えなくなった初衣との再会は、2人の立場が逆転したとはいえ、そ -
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千代は容姿が平板で後味を残さない。
それがいいのか、悪いのか。
昭和24年、千代が訪れたのは
盲人で三味線の師匠をしている女性・初衣の家。
師匠の身の周りの世話をする仕事を得た千代。
そこから2人がどのように生きてきたのか
世の中の動きと共に明かされていく。
大正15年、千代が嫁いだ先に女中頭の初衣がいた。
時代と共に日常生活から戦局が深刻化していく様子が伝わってくる。
初衣と千代、その時代を生きた全ての女性たちの力強さが
読むものの胸にしっかり響いてくる。
木内昇さんが好きで読み続けているけれど
似ているようでまた違った面白さがある。
初読み作家さんだったが、この先も追っていきたい。 -
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大正14年
19歳で工場を経営する山田家へ嫁いだ千代
その婚家で女中頭だった初衣
二人は20歳差ながら、気の合う仲間
千代の夫である茂一郎はあまり喋らない人で夫婦関係はうまくゆかない
よその女性との間に子供を作り家にはほぼ帰らない
この時代の女性達は、一人で暮らしていける様な仕事もないから、どんな夫であろうと離縁されると生きてゆけず我慢するしか無いのですね
女性が一人前の仕事をしていた、数少ない人たちは
朝ドラのヒロインになる位珍しい事だったのでしょう
戦争の後初めて、一人で必死で生きる千代
戦禍の中生き別れになってしまった千代と初衣
そして再会出来た後、前向きに今を生きる二人の姿が、