嶋津輝のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
大正十五年、千代は19歳で親同士の決めたわりと裕福な家に嫁に行き、会ったこともない人と夫婦になるのですが、その家には料理の腕が抜群で、てきぱきと働く初衣という女中がいました。
大震災に戦争という激動の時代を生き抜いた女性たちの絆を描いた物語です。
随分あとになって、千代はお初さんの年齢や経歴を知るのですが、二人は人に言えないとんでもない秘密を打ち明け合ったり、お初さんのとてもひらけた考え方のおかげで千代は前向きに生きる姿勢を保てることができるのです。
お初さんは特徴のない平凡な顔立ちの千代に、素直でのんびりした裏のないところが好きだから、女としての幸せを願っていると告げます。
出会いもあり、別れもあり、酷く辛い場面も数多く出てくるのですが、台所で勇ましく立ち働く女性たちを描く場面がひときわ明るく光を放っていました。
この二人の様子を見ていると、辛いことが吹っ飛んでしまうようです。
解説の青木奈緒さんが、幸田文さんのお孫さんであることを知って、あぁ読んでよかったなと思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ短編集はサクッと読めて良い!
copy
騙された、僕って言うもんだから
ト・モ・ダ・チ
え、分かる。怖いけど早苗の気持ちが分かる。
親友が欲しくて、孤立してる子に近づく気持ち。
この子だったら親友になってくれるんじゃないか的な下心。
ただ、あることないこと言いふらすのはだめです。
卵の殻
よかったのでは??お母さんはちょっとずれていたけど、遼子はずれてないように思えたし。
水底の星
タイプの違う負けず嫌いたち。怖い。
こっちを向いて。
刺さりまくりで痛い。仕事を辞めると仕事でつながっていた人脈がなくなるのが怖くて仕事辞められない。思えば、これまでの友達は、一緒に担ぐ御神輿があった。同じお神輿がないと、女ともだちって作りにくいのかも。
ブータンの歌
たぶん本筋とは違うけど、介護問題は根深い
ラインのふたり
結局、ふたりは何か共通の敵を作ってなんでもいいから文句言いたかっただけなんじゃないかと思った。ジャミラの方が一流だった。
獣の夜
同い年だ。なんか憧れた。好きな話だった。 -
Posted by ブクログ
【感想】普通のようでいて、どこか奇妙な感じの人びとが棲息してる短編集。湿っぽくなく、したたかに、やすらかに暮らしている。
【内容】(01)作業ラインで知り合った女たちのほのかな交流。(02)シミ抜き好きクリーニング屋主人と乾いた感じの妻と洗濯をしない不思議な女性カシさん。(03)女中願望のある里香と指に欠損があるが屈託ない多美子の姉妹の仕事と生活。(04)布団屋の民子・治郎夫婦と地域猫とフグ屋の女将。(05)女性にぞんざいに扱われると気分が高揚する益郎はぶっきらぼうな母娘の米屋で弁当を買う。(06)ときどき何かを探そうとする発作が起きる荒雄さんと、商店街のみんなと、いろんな店でアルバイトしている演技好きなユキ。(07)妙に賑わってるスナックは常連客がよく死ぬ店でもあった。
■メモ
「ちゃんと手ぇ動かしてね!」(p.15)
「あたしは一流の人間が好き」(p.25)
柔らかい声がした。高くも低くもなく、ただ柔らかくて、まるく響く声だった。(p.47)
女客はどこかわくわくしているような目つきをし、笑いを堪えているような口許をしていた。(p.48)
あなたの汗って、なんとなく、汚くなさそうな感じがするわ(p.66)
「だって、あなたって、乾いた雑巾みたいだもの」(p.66)
里香にはもともと女中願望がある。(p.81)
「あるもので何とかする」(p.93)
「うん、たしかにやることが一番大事だけど、なんで、を考えるのも時々は必要じゃないかなあ」(p.110)
「そう、里香ちゃんは、凄いところがある」(p.130)
夫はなぜか猫をべつの動物に例えたがる。(p.137)
民子はこの女店主の笑う以外の表情を見たことがない。(p.140)
益郎は、女性にぞんざいに扱われると気分が高揚する。(p.168)
店主たちは一致団結し、荒雄さんを手から手へ運んでいくのだ。(p.189)
貧しくも健気な人間ごっこは徐々にエスカレートしていった。(p.194)
ユキはあたかも商店街全体とフリー契約でも結んでいるような形で、人手が足りないと声がかかるや、どの店にでも手伝いに出ている。(p.202)
なんのきっかけもなく、ある日突然、ああ、いま自分はこの店の一部である、と理解したのだ。(p.223)