嶋津輝のレビュー一覧
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第174回直木賞受賞作
今年の1月に買ったらしい。半年も積んでいては。
東京の上野にある、カフェー西行。
そこは銀座などと違い、派手でもなく、人の良い主人がいる。失礼ながらあまり流行らぬ店。しかし、香り高いコーヒーが飲める。明治生まれの女給たちが、そこでどう生きたか。戦後すぐまでの、カフェー西行に集った女たちの、さややかで愛しい日々――。
かかっているブックカバーが、本編の雰囲気にぴったりだ。連作短編集の形を取っていて、カフェー西行で働いた女給たちひとりひとりの物語が語られる。
気負っていない。
それが第一印象だった。
カフェに通う夫の浮気を案じる妻か゚、まず登場する。
妻は華やか -
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『そこには夢二が描いた女の顔があった』
ー稲子のカフェー
『彼女を男爵家の十九歳の令嬢と信じている者は誰一人としていないが、無茶を言い張るおかしな中年女として園子を見れば、それはそれで興味深いのだある』 ー嘘つき美登里
『望まぬ箱に収まり、似合わないエプロンを着けているのは今だけなのだと、周囲に虚勢を張っていたのだ』 ー出戻りセイ
『生まれて初めて息子から貰った手紙を、タイ子は百遍は読んだ』 ータイ子の昔
『幾子の家は、いまだ喪中なのであった』
ー幾子のお土産
読みながらわくわくしてどんどん読み進めていきました
そして“嘘つき美登里“の妹小路園子自称19歳の登場に、心を持っていか -
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『カフェーの帰り道』で直木賞を受賞した嶋津さんの作品を初めて手に取りました。本作は『カフェー…』と同じ、大正から昭和の時代を生き抜いた女性たちの生きざまを描いた小説でした。
物語の主人公である“千代"とお初さん。戦前と戦後でこの二人の主従関係が逆転するという出色のストーリー展開に、まずはびっくりさせられました。それなのに、二人の仲は時が経るにしたがって「不思議な絆」で結ばれていきます。
まず、関東大震災や太平洋戦争といった出来事が、彼女たちの人生に色濃く影を落とすのですが、世間の荒波や風聞に押しつぶされそうになりつつも、しっかりと地に足を付けて日々の暮らしを立てていきます。
特 -
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正直なところ、はじめはあまり惹かれなくて、一度は読むのをやめていた。
でも、その後から段々と面白くなり、気が付くと彼女たちの日常に夢中になっていた。
挫けそうになっても必ず助けてくれる人がいる。
大変な時代でも女性たちがお互いに助け合って、明るく楽しく頑張って生きている。
特に、誰かを思って作る丁寧な料理のシーンは、彼女たちの温かさがじんわりと伝わってきた。
そして、『カフェーの帰り道』ではあまり描かれていなかった戦争中の悲惨な体験や、抗えない現実も今作は描かれている。
それでも重くなりすぎず、さらっと描かれている。
嶋津さんの作品は、いかに悲惨だったかをストレートに伝えるものではなく -
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ネタバレなんと、まともな男性(個人的な感想)は1人?2人しか出てこなかった…ように思える
親都合での結婚、女中の仕事や妾の存在など、この時代ならではの女性の苦労も多いほか、戦争描写がある為、実際に胸が詰まり読んでいて苦しくなる場面もかなり多かった。
その反面、幸せな場面を描くのも上手で、読んでいる自分もまるでその空間に混ぜて貰っているような気持ちになる。
容姿も良く、仕事ができ、人からも愛されるお初さんでも、人には言えない過去を抱えていて、そしてその過去に対して後ろ指を刺されているんじゃないかと何十年経っても心配しているところに人間味を感じた。
主人公の千代は幾度と大変な思いをして、何度か環境が変わっ -
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【感想】普通のようでいて、どこか奇妙な感じの人びとが棲息してる短編集。湿っぽくなく、したたかに、やすらかに暮らしている。
【内容】(01)作業ラインで知り合った女たちのほのかな交流。(02)シミ抜き好きクリーニング屋主人と乾いた感じの妻と洗濯をしない不思議な女性カシさん。(03)女中願望のある里香と指に欠損があるが屈託ない多美子の姉妹の仕事と生活。(04)布団屋の民子・治郎夫婦と地域猫とフグ屋の女将。(05)女性にぞんざいに扱われると気分が高揚する益郎はぶっきらぼうな母娘の米屋で弁当を買う。(06)ときどき何かを探そうとする発作が起きる荒雄さんと、商店街のみんなと、いろんな店でアルバイトしてい -
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ネタバレ好みなのは「祀りのいきもの」。祖母は何を飼っていたんだろう。南洋の妖精?そもそも南洋の妖精は生き物なのか。不思議が心地よく残るお話だった。
文章が全体的にひんやりと静かなイメージで好み。
印象に残ったのは「二人という旅」。冠婚葬祭というテーマにSFチックな作風という斬新な角度?からの物語だなと思った。アンソロジーにスパイスが効いて私は好き。
あと、結婚について、契約の女神と対話するシーンがとても好き。結婚の誓いは後に夫婦が別れたとしても破られたことにはならない。なぜなら、結婚という契約はお互いを永遠に愛したという、それほどまでに強い願いが、人の短い人生に一生に一瞬でも存在したことの証明だから