⚫︎受け取ったメッセージ
すべてはつながっている
本当の孤独はない
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
問読者(トイヨミ)――それが未名子の仕事だ。沖縄の古びた郷土資料館で資料整理を手伝う傍ら、世界の果ての孤独な業務従事者に向けてオンラインで問題を読み上げる。未名子は、この仕事が好きだった。台風の夜に
...続きを読む、迷い込んだ宮古馬(ナークー)。ひとりきりの宇宙ステーション、極地の深海、紛争地のシェルター……孤独な人々の記憶と、この島の記録が、クイズを通してつながってゆく。第163回芥川賞受賞作。
⚫︎感想
孤独と聞けば、寂しさをすぐに連想してしまう。しかし、この作品は、ほんとうの孤独はないということ、記録や記憶が孤独感から救ってくれること、たとえ浅くても、自分につながりのあるあらゆる人、物が愛おしく思えること、そしてそれは自分の受け止め方次第であることを教えてくれる。
この物語は、孤独感を抱き締めて生きている人がたくさん出てくる。そんな彼らは、遠く離れ、それぞれ一人でいるけれど、クイズで未名子と繋がっているし、また、未名子を介して未名子の中で、ひとつにつながったりしている。繋がりは果てしなく続いて、時も場所も飛び越え、全てが繋がっているように感じられる。それが沖縄の歴史資料(しかもこれが未名子が素人なのがよい)、クイズ(知の蓄積)、宮古馬という3つのキーワードで物語られる。読み進めるワクワク感もあり、本当によく練られた素敵な作品。高山さんの他の作品もぜひ読みたいとおもった。