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副業先の同僚から小動物の世話を頼まれたモトコ。その後、彼から届くメールは謎解きのようだったが、しだいにパンダと人類をめぐる歴史がひもとかれていく。テロルと戦争の時代に命を預かること=ケアの本質に迫りながら、見えない悪意による暴力に抗うための、小さく、ささやかな営為を企てる問題作。
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Posted by ブクログ
地デジ以降が始まった頃、リンリンがまだ生きていた頃……。なんとなく懐かしい空気。ペットを飼う気持ちが分からなくても、動物と寄り添えるのは悪くないなって。パンダは未だに生で見たことない。私はパンダが好きなんだろうか。
『生と死の対比』 不思議な小説だった。登場人物は主に二人。留守中に生き物の世話を頼まれた主人公と、その家主の村崎さん。この二人の延々としたメールのやりとりで基本的に物語は進んでいく。 本書の特徴は主人公にしろ村崎さんにしろ、人物像の描写が極端に少ない。そのため、頭の中でどんな人物なのかイメージが...続きを読むしにくい。年齢は、趣味は、家族構成は、ということをあえて詳しく描いていないと思われる。 だが、二人のメールの中にはハッとする記述がたくさん散りばめられていた。特にラットやパンダのエピソードは、命の危うさが強調され、生かすことは難しいが命を閉ざすことは簡単であることを思い知らされる。そして、それは人間にも当てはまる…。 ストーリー性には乏しいため、何を読まされているんだろうと思うかもしれないが、そこがこの本の魅力でもあると思う。生き物の世話を通じた生と死の対比に、気付きを得られる唯一無二の作品である。
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