ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
3pt
問読者(トイヨミ)――それが未名子の仕事だ。沖縄の古びた郷土資料館で資料整理を手伝う傍ら、世界の果ての孤独な業務従事者に向けてオンラインで問題を読み上げる。未名子は、この仕事が好きだった。台風の夜に、迷い込んだ宮古馬(ナークー)。ひとりきりの宇宙ステーション、極地の深海、紛争地のシェルター……孤独な人々の記憶と、この島の記録が、クイズを通してつながってゆく。第163回芥川賞受賞作。(解説・大森望)
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
〈あの建物に詰まっていた資料が正確なものかどうかなんて、未名子だけでなく世の中にいるだれにもわからない。ただ、あの建物にいた未名子は、それぞれ瞬間の事実に誠実だった。真実はその瞬間から過去のものになる。ただそれであっても、ある時点でだけ真実だとされている事柄が、情報として必要になる日が来ないとだれが...続きを読むいい切れるんだろう〉 沖縄にある小さな郷土資料館『沖縄及島嶼資料館』。島の資料館とされてはいるが、その実態は持ち主である民俗学者の順さんの私的資料が保管された建物になっている。その資料館の整理を中学生の頃から手伝う未名子は、オンライン上で世界中の孤独な業務従事者と一対一のクイズを使ったコミュニケーションを取る仕事を行っている。この奇妙な仕事は通称、問読者(トイヨミ)。正式には、『孤独な業務従事者への定期的な通信による精神的ケアと知性の共有』と呼ばれている。 ということで本書は、クイズを使って、世界のあらゆる場所(宇宙だったり、戦場だったり)で孤独に過ごすひとたちと対話をしていく姿が描かれていく中で、未名子自身の人生にも変化が訪れ、巡り続ける思考の末に、記憶と記憶、集積された世界の情報を抱えて、颯爽と駆け抜けていくラストがとても気持ちの良い作品でした。
芥川賞受賞作品ということで、難解なイメージで読み進めた。 前半は物語の世界観が掴めなくて、あまりページが進まなかったけど、読み進めていくうちに段々この作品が好きになっていった。 沖縄独特の風土であったり、郷土史と近代的なネット技術の対比等、何とも言い難い切なさを感じた。 主人公自身が社会とのズレを感...続きを読むじている部分や、世間から乖離、取り残されていると感じる部分は誰にでも感じ得るところではないだろうか。 後半のクイズのにくじゃが〜は、わからなかったな。 とにかく、不思議で一度読みでは理解できないので再読したい。
このお話の映像化を望みたい。 島の出来事や闘争の関係やらモニター越しのやり取りやら。 ラストはヒコーキにのった景色 興行的には厳しそうだけど…
2020年芥川賞(上半期①)受賞作 2015年から順に芥川賞を読んできたけど、一番面白かったかも… 理由はぶっ飛んでいるというか、SF的な壮大さがあるというか、現実から脱線してるからか(*_*) 問読者(トイヨミ)という怪しい仕事に就いた未名子は順(ヨリ)途(ミチ)親子と中学生の頃から関わって生...続きを読むきてきた20代女性が主人公。 メッセージとしては現時点で誰も興味を示さないであろう情報も記録さえしていれば、いつか陽の目を浴びる事があるから収集と管理に意味があると云う事だろうと思う。 問読者の仕事はクイズの出題者なんだが、それ以外にもクライアントとの雑談は許されている。その中で思う事はやはり孤独はツライ… どんな些細な事であれ、人との繋がりは正気を保つためにも必要で、自分の主張を抑えて傾聴できる人は才能だなと改めて思った。
タイトルから沖縄の抱えてきた様々な重荷に関する物語を予想したが、主人公はそこから(それどころか人間世界からと言ってもいい)少し距離を置いた人物で、誰しもが何処かに抱えている孤独を共有し、また、共有せずに、誠実に生きている。そのあり方を私はすごく好ましく思うし、人によっては不気味に思うんだろう。命のつ...続きを読むながりと記録のつながりを重ねて、その上で運び手になることを覚悟した姿に暖かいものを感じた。
不思議な感じ。 人のつながりはぶつ切り。 でも、皮一枚で繋がっている感じ。 読み始めて、既視感のあるこのもやっとした中にナイフが仕込まれているような文章の感覚⋯⋯を辿って、思い至る。芥川賞っぽい感じだ。すごく惹かれて読むけれど、霧の中に迷い込んだような。 芥川賞受賞作です。
「いい科学者は、いい問いができる人のこと」ー 昔こんな言葉を聞いたことがある。よい研究者になりたいと思うなら、ぼんやりと思い浮かんだ疑問を本質の近くまで鋭くしていき、水辺に石を投げ入れるがごとく、人や考えを動かしながら、本質を映し出せる人、というのが今のところの解釈だ。そんな問いを出せる人世の中に何...続きを読む人いるかもわからないし、それがどれだけ人に共感されるか孤独なのかわからないけれど。 本作品は、その問いを答えるべく、あるいは答えるつもりもなく、導かれた言葉や事象を裏打ちした数多の人の歩みを集めた資料館ではじまり、終わる。 禅問答より古くから、それは神との対話や自然との交信といったような形で、問い答えるというスタイルは連綿と続いてきた。私たちは問うことで、あるいは答える、答えようとすることで自分自身が明らかになっていく。知らなかった自分が映し出されたり、相手の中に己を見出すことさえある。本作品の根底はこうした、見えなかったものが映し出されることだったりすることなのかもしれない。 問いに答える人たちもまたユニークだ。主人公にとってはもしかしたら御伽話のような世界、現実味のない世界の住人だが、彼らは実際多くを知っている。そんな彼らでも、全てを解決できたわけではなかったが。 主人公の未名子は、少なくとも、広く多くの人と関わるというより、限られた人と、あるいは事物と心を距離感よく交わす落ち着いた人だ。そんな彼女に訪れたクイズの問読み、宮古馬、そして資料館の存在。全ては今の彼女を構成する、大切な要素だ。ルーチンに生きる彼女が、動き出すのは、はじまりである資料館ゆえに、あるいはユニークな解答者たちとの交流がゆえに、あるいは宮古馬との出会いゆえに。 彼女の根底にあって、彼女が問われ答えようとしたものはなんだったのか。彼女自身の問いすら私はまだ答えを知らない。 資料館というものについては、今地方では少なからず資料館の管理は行き届かなくなっている。管理者も足りず、伝えたかったはずの地域のことさえ、伝える世代がいなくて、時間の経過と資料の劣化が進むばかりである。それでも「その時点であったということを保存すること」、それにどれだけ価値があるんだろう。お金を払う、ということでそれは推しはかれるものだろうか。 昔のことを知っている人も減ってしまった。GPSもカレンダーもない時代、どうやって人が種を蒔く季節に検討をつけ、夜の海から帰るために星を読んだのか、いま収集している人たちでさえ苦労していると聞く。だって教えてくれる人達のアーカイブもぽろぽろと失われてしまうのだ。 でも、それよりもまざまざと断絶を感じる場所がある。本作の舞台、沖縄だ。グスクの跡を訪ねても、資料館で戦前の写真を見ても、あるいは画家の絵だって、すべては失われたものだった。未名子の住む浦添市は、琉球王朝が栄える前、本島が三つに分かれ争っていた時代、津々浦々を見渡せる地として城が築かれた。王の墓があり、墓守がいた。けれど、沖縄戦で、グスクのある前田高地は、米軍と日本軍の激戦地となった。今では、公園になり、グスクも修復がすすむ。そして、海外の観光客は歴史を学びにやってくる一方でその横では親子で虫取りをしたり家族の時間を生きる人がいることの、不思議な世界の交わり。 何かにつけて、戦争でなくなったものが多すぎる地だ。県民の何割も戦争で失ったとも聞いたが、もしその人たちが今日まで生きていたらもっと琉球として雰囲気が残ったのだろうか。 記録する、とはある意味とても傲慢で残酷だ。本来残るはずのなかった言葉、景色が、残るから。けれど、それはレコンキスタで再発見されたかつて築かれた知識のように、私たちに想起させるものになる。たとえそれが感傷だったり、エゴによるものだったとしても、いつかは風化したり侵食して消えるのだとしても。 余談だが、かつ知識もなく憶測である私見を述べる。琉球王朝が、あるいは琉球が国として成り立った点では、やはり文字があったのは大きかったのかもしれない。アイヌ民族は口承で伝えてきた、明治以前からの圧政、明治以後からの差別の中でどれだけの口承が世から伝える術もなく消えたのか。沖縄も完璧ではないにしろ、それなりに残っていたはずで、でもなくなってしまった。京都と何が違ったんだろう、応仁の乱以降燃えていない都市と、小さな島の歴史は比べられるようなものだったのか、燃やされて然るべきものだったのか。諸行無常、盛者必衰の言葉で終わりたくはない。閑話休題。 資料館は、その性質から過去を絶え間なく保存する、いつ利用されるかもわからないアーカイブ達がいる。誰も知らなくていい、日々の物事かもしれないし恐ろしい知識かもしれない。それでも、知っている誰かがいるということ、あるいは私たちが知らずにないがしろにしたものを記録してくれていることが、人にとっては孤独を解する一つの営みなのかもしれない。 那覇空港近く、沖縄空手会館にあった言葉にこのようなことが書いてあったと思う。(正確ではないが) 「この技術は役に立たないことが良いことなのだ」と。 私たちの現代での尺度をあらためて考えたい。
主人公である未名子が自分の住む場所のとある資料館を通して、不思議な職業「間読者(といよみ)」を通して、宮古馬を通して、意味が一見ないと思われるような行為(記録)が世界と繋がっていくための一部なのかもしれないという感じで読みました。 心があたたまる場面も所々あるし、ストーリー的にも面白いし、いい小説だ...続きを読むなと思った。 途中で出会う宮古馬に対し『この茶色の大きな生き物は、そのときいる場所がどんなふうでも、一匹だけで受け止めているような、ずうっとそういう態度だった』という描写は未名子自身の生き方そのもののような気がした。 加えて冒頭の方で中学生のころから資料集めについて『ずっと先に生きる新しい人たちの足もとのほんのひと欠片になることもあるのだと思えたら、自分は案外人間というものがすきかもしれないと考えることができた』ということからも孤独ではあるが、どこかでこの世界と繋がっていたいという気持ちも垣間見える。かな・・?
不思議な読み口。 首里のローカルな物語かと思いきや、途中から予想外の展開に静かにすすすと横滑りしていくような感覚。
p.134のポーラの語る言葉の最後に勇気づけられた。私たち人間は、それぞれ違うからわかりあえなくて問題はない。私の今いる場所も名前が与えられてて、未名子や解答者たちがいる同じ地球上にあって繋がってるんだよなあって思った。記録することの大切さも、私がしてる仕事内容とリンクしてるように感じて感慨深くなっ...続きを読むた。
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
首里の馬(新潮文庫)
新刊情報をお知らせします。
高山羽根子
フォロー機能について
「新潮文庫」の最新刊一覧へ
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
ほんとうの旅-Genesis SOGEN Japanese SF anthology 2021-
居た場所
うどん キツネつきの
おかえり台湾 食べて、見て、知って、感じる 一歩ふみ込む二度目の旅案内
オブジェクタム/如何様
カム・ギャザー・ラウンド・ピープル
暗闇にレンズ
Genesis 一万年の午後
「高山羽根子」のこれもおすすめ一覧へ
みんなの公開リストをもっと見る
一覧 >>
▲首里の馬(新潮文庫) ページトップヘ