首里の馬(新潮文庫)

首里の馬(新潮文庫)

小説・文芸
605円 (税込)

3pt

問読者(トイヨミ)――それが未名子の仕事だ。沖縄の古びた郷土資料館で資料整理を手伝う傍ら、世界の果ての孤独な業務従事者に向けてオンラインで問題を読み上げる。未名子は、この仕事が好きだった。台風の夜に、迷い込んだ宮古馬(ナークー)。ひとりきりの宇宙ステーション、極地の深海、紛争地のシェルター……孤独な人々の記憶と、この島の記録が、クイズを通してつながってゆく。第163回芥川賞受賞作。(解説・大森望)

詳しい情報を見る

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    首里の馬(新潮文庫)
  • タイトルID
    :
    1266172
  • 電子版発売日
    :
    2022年12月23日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

首里の馬(新潮文庫) のユーザーレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    沖縄に関する雑多な情報を蓄積する資料館で整理作業をする未名子は、世界の果ての孤独従事者に対してオンラインで問題を読み上げる、問読者(トイヨミ)として働く。孤独であると自称する彼女は同じく孤独である人との通話によって、互いの一部を共有し合う———

    ヒトが抱く、未知に対する恐怖と、その未知を少しでも既知へと変えて行きたいという欲はこれほどまでに上手く混じり得ないのかと悲しい気持ちになった。
    人間が、自分とは別の場所で貯め込まれる知識に対して警戒するのが本能なのか? それはすなわち、知識とは武器であり、個人の力をより強固にするものだと認めている。そういった行動をとっている人はもしかすると、世界の平和を願うすべての人類の代表として、すべての人は自らの力を高めてはならない、武器を磨いてはならないという考えを皆に共有させたいがための行動なのかもしれない。それが人類の総意だと言わんばかりに、そう口にするヒトはなんとも傲慢。
    ただし、これまでの日本での大きな事件の中に未知のものが引き起こしたとも言えるものが存在するのもまた事実。地下で起こった大規模テロだってそう。自分たちが暮らす世界の片隅、そう簡単に認識できない様な場所にあった組織によって日本は脅かされた。彼らの行動を認めてはならないのは周知の事実。だが、それらと自分達が知らないからといって、知識を蓄えようとする人を非難することを一纏めにしてしまうのはお門違い。

    クイズが人に与えてくれる影響に関する描写には感動した。
    これまでの人生で、別にする必要のなかった経験、得る必要の無かった知識が、クイズという場においては存在を肯定される。それは自問自答ではなし得ない。自分からの問いかけだと、自分でその経験や知識の存在価値を見出したいという意思が明らかに見え、それは真の意味で自らの過去を認められたとは言い難い。
    だからこそ、本書における問読者が孤独従事者に与える影響というものは大きく、その逆も然りである。それぞれの場所で孤独立場に立つ者同士が、ぽつんと佇む暮らしを少しづつ分け合い、互いが前を向く為の手助けとなっているのが美しい。もちろんヒコーキとの関係もね。

    これまでに読んできた芥川賞受賞作の中でも群を抜いて好みの作品。興味のある分野の知識を蓄えようとするすべてのヒトが、邪魔をされない様な世の中になってほしいし、少なくとも自分はそうなりたい。犯罪は犯さないでほしいけど。

    0
    2026年03月09日

    Posted by ブクログ

    〈あの建物に詰まっていた資料が正確なものかどうかなんて、未名子だけでなく世の中にいるだれにもわからない。ただ、あの建物にいた未名子は、それぞれ瞬間の事実に誠実だった。真実はその瞬間から過去のものになる。ただそれであっても、ある時点でだけ真実だとされている事柄が、情報として必要になる日が来ないとだれがいい切れるんだろう〉

     沖縄にある小さな郷土資料館『沖縄及島嶼資料館』。島の資料館とされてはいるが、その実態は持ち主である民俗学者の順さんの私的資料が保管された建物になっている。その資料館の整理を中学生の頃から手伝う未名子は、オンライン上で世界中の孤独な業務従事者と一対一のクイズを使ったコミュニケーションを取る仕事を行っている。この奇妙な仕事は通称、問読者(トイヨミ)。正式には、『孤独な業務従事者への定期的な通信による精神的ケアと知性の共有』と呼ばれている。

     ということで本書は、クイズを使って、世界のあらゆる場所(宇宙だったり、戦場だったり)で孤独に過ごすひとたちと対話をしていく姿が描かれていく中で、未名子自身の人生にも変化が訪れ、巡り続ける思考の末に、記憶と記憶、集積された世界の情報を抱えて、颯爽と駆け抜けていくラストがとても気持ちの良い作品でした。

    0
    2025年03月22日

    Posted by ブクログ

    芥川賞受賞作品ということで、難解なイメージで読み進めた。 前半は物語の世界観が掴めなくて、あまりページが進まなかったけど、読み進めていくうちに段々この作品が好きになっていった。 沖縄独特の風土であったり、郷土史と近代的なネット技術の対比等、何とも言い難い切なさを感じた。 主人公自身が社会とのズレを感じている部分や、世間から乖離、取り残されていると感じる部分は誰にでも感じ得るところではないだろうか。 後半のクイズのにくじゃが〜は、わからなかったな。 とにかく、不思議で一度読みでは理解できないので再読したい。

    0
    2024年09月16日

    Posted by ブクログ

    『うどん キツネつきの』、『オブジェクタム/如何様』の順に読み、数年あけて本書を手に取った。最後の方に、もうすぐ復活するらしい「アメリカ横断ウルトラクイズ」についての言及がある。クイズというのは、答える側のこれまで蓄積してきた経験や知識と、質問者の問いが噛み合うか否かの偶然性による遊びだ。民俗学というのは、そうした個々人が身体の内に持っている(た)知を集積して世の中をより良くしようとする学問だろう。どちらも、相手の話を聞き取る姿勢が大事であり、その姿勢とは、ベテランアナウンサーの姿勢ではないのだ。孤独に生きている人の方が、世界と繋がれる。

    0
    2026年07月26日

    Posted by ブクログ

    沖縄を舞台に不思議な仕事をする女性を通じて語られる沖縄の歴史や世界の事柄。読みやすい文体で、読んでいて次に何が起こるのか予測できず、意外性に満ちた読書体験を得られました。

    0
    2026年07月01日

    Posted by ブクログ

    3つの対比で意味をなす。まさに、そのパターンを散りばめて、沖縄を語った傑作。資料館、クイズ、宮古馬。宇宙、海底、戦場のシェルター。そして最後のクイズはにくじゃが、まよい、からし。最後のクイズは意味がわらなかったが、what3wordsから解けた。わからない方は検索を。
    この小説のテーマは、孤独→自由と存在の痕跡(記録・記憶)なんではないかと解釈した。
    孤独な順さんや未名子。順さんは記録の伝達者になり、未名子はヒコーキ(宮古馬)の背に乗り、風を感じて、目にしたヒッピーたちを綺麗だとかんじた。それこそ、孤独だと感じた自分がヒコーキとともに自由を体感した瞬間だと思った。
    また、存在の痕跡の記録は3人の解答者に託された。しかし、戦前の姿の復興を意図することないくらいな平和を熱望していることが、究極のメッセージだと感じた。

    0
    2026年05月01日

    Posted by ブクログ

    沖縄に行く飛行機の中で読む。
    主人公の顧客の閉塞感(物理)といい、話の不思議ちゃんっぷりに村上春樹みを感じるものの、静かな凄みを味わえる良いお話でした。

    0
    2026年03月15日

    Posted by ブクログ

    2020年芥川賞(上半期①)受賞作
    2015年から順に芥川賞を読んできたけど、一番面白かったかも…

    理由はぶっ飛んでいるというか、SF的な壮大さがあるというか、現実から脱線してるからか(*_*)

    問読者(トイヨミ)という怪しい仕事に就いた未名子は順(ヨリ)途(ミチ)親子と中学生の頃から関わって生きてきた20代女性が主人公。

    メッセージとしては現時点で誰も興味を示さないであろう情報も記録さえしていれば、いつか陽の目を浴びる事があるから収集と管理に意味があると云う事だろうと思う。

    問読者の仕事はクイズの出題者なんだが、それ以外にもクライアントとの雑談は許されている。その中で思う事はやはり孤独はツライ…
    どんな些細な事であれ、人との繋がりは正気を保つためにも必要で、自分の主張を抑えて傾聴できる人は才能だなと改めて思った。

    0
    2025年11月25日

    Posted by ブクログ

    タイトルから沖縄の抱えてきた様々な重荷に関する物語を予想したが、主人公はそこから(それどころか人間世界からと言ってもいい)少し距離を置いた人物で、誰しもが何処かに抱えている孤独を共有し、また、共有せずに、誠実に生きている。そのあり方を私はすごく好ましく思うし、人によっては不気味に思うんだろう。命のつながりと記録のつながりを重ねて、その上で運び手になることを覚悟した姿に暖かいものを感じた。

    0
    2025年06月20日

    Posted by ブクログ

    不思議な感じ。
    人のつながりはぶつ切り。
    でも、皮一枚で繋がっている感じ。

    読み始めて、既視感のある、このもやっとした中にナイフが仕込まれているような文章の感覚⋯⋯を辿って、思い至る。芥川賞っぽい感じだ。すごく惹かれて読むけれど、霧の中に迷い込んだような。
    芥川賞受賞作です。

    0
    2025年02月23日

首里の馬(新潮文庫) の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    首里の馬(新潮文庫)
  • タイトルID
    :
    1266172
  • 電子版発売日
    :
    2022年12月23日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

この本をチェックした人は、こんな本もチェックしています

新潮文庫 の最新刊

無料で読める 小説

小説 ランキング

高山羽根子 のこれもおすすめ

同じジャンルの本を探す