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Posted by ブクログ
ついにフランス大元帥にまで上り詰めたベルトラン・デュ・ゲクラン。神の子、軍神と崇められて権力と戦勝続きの戦歴の絶頂にありながらも、仲間と馬鹿をやっては楽しんでいた日々や初々しいティファーヌとのやり取りは遠のいていき、ゲクランの人生に影が落ち始める…という下巻。影は次第に深く濃くなっていき、年老いた彼の心には幼い日の悲しき思い出や確執が表出する。
下巻は上巻のようなイケイケな勢いはないが、人間ドラマ的な面が中心となり重厚感が増していて読み応えがあった。特にゲクランの従兄弟で修道士でもあるエマヌエルの道ならぬ恋、犯した罪、ゲクランとの決別、そして再び力を貸すまでの葛藤、エピローグでの姿などは人間の業と人生の深みを感じさせる迫力ある書きぶりで面白かった。本当に傑作だと思う。上下巻1200ページほどの大作ではあるが、それでも駆け足に感じる部分も多くもっともっと長く読みたかったという気になってしまう。でもこれくらいが丁度いいということなのだろうなあ。
人生は始まっては終わっていき、歴史はいつまでも続く。ゲクランもシャルル5世も退場しても百年戦争はまだまだ終わらない。人間の生の面白さ、歴史の面白さを感じられる小説だった。フランス語の資料を多数読み解いてこれを書き上げた著者に敬意と心からの感謝を捧げたい。