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Posted by ブクログ
100年戦争の英雄と言えばジャンヌダルクぐらいしか思い浮かばないけど、フランス史にこんな痛快な英雄がいたことを全く知らなかった。
ベルトランの無邪気な振る舞いは正に子供のようで、エマニエルやシャルルをはじめそれに振り回されつつも盛り立てる人々が親のようであり、その互いに思い遣る関係に温かい気持ちになる。
現代社会でも無邪気な子供を優しく見守ることのできない未熟な大人がいるように、中にはベルトランの出世に嫉妬する貴族や実弟もいる。そんな人たちには相応の末路が用意されているあたりも痛快だった。
ただベルトランの過去、実の母親に愛されることがなかった過去はあまりに辛く哀しい。
連戦連勝でフランス王家の信頼を得て大元帥の地位まで昇った英雄。嫉妬も愛情のひとつとカウントすればフランス史上最も多くの人々に愛されたと人物だと言える。でも母親の笑顔はベルトランに向けられることはなかった。こんな哀しいことなんてあるだろうか?同じ男の子として生まれたものとしてベルトランの哀しみは痛いほど解る。
男の子は誰よりも母親に喜んで欲しくて、認めて欲しくて頑張るし無茶もする。大元帥の地位まで昇るほどにガムシャラに頑張ったのに母親の笑顔を得ることなく終わったベルトランの不幸はあまりにも残酷だと思う。それほど男の子にとって、いや全ての子供にとって母親の存在は大きいものだと思う。
親の愛情を受けられないってことは最も大きな不幸だと思う。それはベルトランほどの成功を手にしたと思われる大人物であっても。
Posted by ブクログ
舞台は中世フランス。
イングランドとの百年戦争の前半あたりでしょうか?
ブルターニュの貧乏貴族、ベルトラン・デュ・ゲグランの一代記です。
このデュ・ゲグランという人物。
粗野粗暴で教養も常識もはなく、
下品と言うより品というもの自体を知らないような人。
こう書くと本当にかかわりたくないような人だけど、
どこか憎めない人物として描かれています。
実際本人には全く悪気はなく、恐ろしく純粋で無邪気な人なのです。
そしてなぜか子供の頃から滅法喧嘩が強い。
この物語は、そんな彼がその才能をいかんなく発揮し、
登りつめていく様を描いています。
彼を理解してくれる人物に恵まれ支えられ、
無邪気なまま知らず貧乏貴族から
フランスの大将軍まで登りつめてゆく様は痛快です。
その無邪気な言動の裏に見え隠れする頑固なコンプレックスや
報われない渇望する想いがより人物像をしっかりさせ、
ただの痛快な物語だけにしていないところがまたいいです。
本書は上巻だけで600ページ近い大作ですが、
映画や舞台のようにぱっぱと場面が切り替わる構成によって、
中弛みやだらだら感が全くありません。
あきさせず面白く読ませてくれます。
さて、下巻はどうでしょうか?
昇った日はやがて落ちていくのでしょうが、
まだまだやってくれそうで、本当に読むのが楽しみです♪
Posted by ブクログ
フランスの100年戦争の初期に現れ、劣勢だったフランスの窮地をそれこそ連戦連勝で挽回した英雄ベルドナント・デュ•ゲクランの一代記である。上巻では、不遇を囲った幼少期から頭角を現し始めた無敵とまで言われた馬上槍試合で見いだされブロア伯の旗印のもとブルターニュ継承戦争に身を投じ、プルセリアンドの黒犬という傭兵軍団を率いて当時日の出の勢いのイングランドを背景につけたモンフォール伯の軍と長年に渡る戦いに身を投じる。物語では彼の戦上手が余すところなく語られ、当世一の醜男が軍神になる過程が描かれる。また、当時シャルル王子だったシャルル5世と邂逅し、生涯仕えていく運命の主君を認め、この後フランス王家復興の右腕として軍団を率いて転戦していく様が描かれる。
ゲクランはあれだけ戦上手なのに彼の知性については全く語られることはなく粗野で下品で純真な人物として描かれる。日本の戦国武将では全く見出せない人物であるところが興味深い。
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