【感想・ネタバレ】双頭の鷲(上)(新潮文庫)のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

100年戦争の英雄と言えばジャンヌダルクぐらいしか思い浮かばないけど、フランス史にこんな痛快な英雄がいたことを全く知らなかった。
ベルトランの無邪気な振る舞いは正に子供のようで、エマニエルやシャルルをはじめそれに振り回されつつも盛り立てる人々が親のようであり、その互いに思い遣る関係に温かい気持ちになる。
現代社会でも無邪気な子供を優しく見守ることのできない未熟な大人がいるように、中にはベルトランの出世に嫉妬する貴族や実弟もいる。そんな人たちには相応の末路が用意されているあたりも痛快だった。
ただベルトランの過去、実の母親に愛されることがなかった過去はあまりに辛く哀しい。
連戦連勝でフランス王家の信頼を得て大元帥の地位まで昇った英雄。嫉妬も愛情のひとつとカウントすればフランス史上最も多くの人々に愛されたと人物だと言える。でも母親の笑顔はベルトランに向けられることはなかった。こんな哀しいことなんてあるだろうか?同じ男の子として生まれたものとしてベルトランの哀しみは痛いほど解る。
男の子は誰よりも母親に喜んで欲しくて、認めて欲しくて頑張るし無茶もする。大元帥の地位まで昇るほどにガムシャラに頑張ったのに母親の笑顔を得ることなく終わったベルトランの不幸はあまりにも残酷だと思う。それほど男の子にとって、いや全ての子供にとって母親の存在は大きいものだと思う。
親の愛情を受けられないってことは最も大きな不幸だと思う。それはベルトランほどの成功を手にしたと思われる大人物であっても。

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2018年11月11日

Posted by ブクログ

舞台は中世フランス。
イングランドとの百年戦争の前半あたりでしょうか?
ブルターニュの貧乏貴族、ベルトラン・デュ・ゲグランの一代記です。

このデュ・ゲグランという人物。
粗野粗暴で教養も常識もはなく、
下品と言うより品というもの自体を知らないような人。
こう書くと本当にかかわりたくないような人だけど、
どこか憎めない人物として描かれています。

実際本人には全く悪気はなく、恐ろしく純粋で無邪気な人なのです。
そしてなぜか子供の頃から滅法喧嘩が強い。

この物語は、そんな彼がその才能をいかんなく発揮し、
登りつめていく様を描いています。

彼を理解してくれる人物に恵まれ支えられ、
無邪気なまま知らず貧乏貴族から
フランスの大将軍まで登りつめてゆく様は痛快です。

その無邪気な言動の裏に見え隠れする頑固なコンプレックスや
報われない渇望する想いがより人物像をしっかりさせ、
ただの痛快な物語だけにしていないところがまたいいです。

本書は上巻だけで600ページ近い大作ですが、
映画や舞台のようにぱっぱと場面が切り替わる構成によって、
中弛みやだらだら感が全くありません。
あきさせず面白く読ませてくれます。

さて、下巻はどうでしょうか?
昇った日はやがて落ちていくのでしょうが、
まだまだやってくれそうで、本当に読むのが楽しみです♪

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2017年02月26日

Posted by ブクログ

再読6度目。
何度読み返しても型破りすぎて、いちいち面白い。
当時のフランスの「未開」っぷりを読むにつけ、日本が洗練されてたということを感じる。
物語としてはものすごく面白い。
あと何度読み返すんだろう。

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2011年11月28日

Posted by ブクログ

ウンコとかチンコとか言ってる高齢童貞が英雄になって童貞喪失して悪のエドワード下痢太子をやっつける話です。

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2010年08月23日

Posted by ブクログ

ちっちゃなピースがでっかい絵になるさまが
シェフ殿の長い長い腕によって芸術的に組み上げられる
男も女も、「男の子心」を猛烈に掻き立てられる一作。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

軍神ゲクラン現る!久々に衝撃をうけた作品。
佐藤氏は天才じゃあ。
戦争シーンは必読。人物描写もイイ!

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

中世フランスの将軍、ベルトラン・デュ・ゲクランの半生(てか回想的に前半生も綴られるので一生か)と周囲の人物を描いた歴史小説の上巻。フランスの歴史には殆ど知識も興味も無かったのですが、登場人物一人ひとりが多面的に丁寧に描かれており、大変面白かったです。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

日本ではなじみの薄い百年戦争の英雄、デュ・ゲクラン大元帥と、賢王シャルルことシャルル五世。出遭うべくして出遭った二人が頂点に上り詰めるまで。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

フランスの100年戦争の初期に現れ、劣勢だったフランスの窮地をそれこそ連戦連勝で挽回した英雄ベルドナント・デュ•ゲクランの一代記である。上巻では、不遇を囲った幼少期から頭角を現し始めた無敵とまで言われた馬上槍試合で見いだされブロア伯の旗印のもとブルターニュ継承戦争に身を投じ、プルセリアンドの黒犬という傭兵軍団を率いて当時日の出の勢いのイングランドを背景につけたモンフォール伯の軍と長年に渡る戦いに身を投じる。物語では彼の戦上手が余すところなく語られ、当世一の醜男が軍神になる過程が描かれる。また、当時シャルル王子だったシャルル5世と邂逅し、生涯仕えていく運命の主君を認め、この後フランス王家復興の右腕として軍団を率いて転戦していく様が描かれる。
ゲクランはあれだけ戦上手なのに彼の知性については全く語られることはなく粗野で下品で純真な人物として描かれる。日本の戦国武将では全く見出せない人物であるところが興味深い。

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2017年04月26日

Posted by ブクログ

古本で購入。上下巻。

舞台は14世紀、後に「百年戦争」と呼ばれる戦争真っ只中のフランス。
劣勢にある国を救ったブルターニュの貧乏貴族、容貌魁偉の戦の天才にして救国の英雄、ベルトラン・デュ・ゲクランの天衣無縫の一代記。

イギリスとフランスの泥沼の戦争が繰り広げられる世界で、ひとりの喧嘩上手の男が成り上がっていく様は痛快で、単純におもしろい。
日本の歴史小説としては割と(かなり?)ニッチな百年戦争、しかもジャンヌ・ダルクが活躍する末期ではなく初期を扱っているというだけで、歴史好きにはたまらない。
こういう、天から遣わされた(司馬遼太郎風)ような男が閃光のように駆け抜ける歴史物語は、やはりいい。

不満があるとすれば、合戦の様子がけっこうカットされるところだろうか。
ライバルのジャン・ドゥ・グライーといよいよ決戦!というところで場面の転換、その戦いの顛末をざっくりと回想…というのは、ちょっと残念だった。

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2015年08月01日

Posted by ブクログ

英仏100年戦争時代。実在した稀代の英雄の物語。詳細な時代背景描写に引き込まれる~。レンヌの街並みが色鮮やかに思い出される

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2014年04月28日

Posted by ブクログ

同著者の、英仏百年戦争を読んだ直後だということもあってか、少し長いという印象は抱くものの、楽しくあっという間に読めた。
下巻の展開に期待。

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2012年02月17日

Posted by ブクログ

1300年代。英仏100年戦争の前期の話。
イングランド軍に対し劣勢となっていたフランス軍にベルトラン・デュ・ゲクランという貧乏貴族がいた。これが,フランス王子シャルル5世に見出されて軍神とよばれるまでに至る物語。シャルル5世とベルトランは全く反対の性格であった。シャルル5世は理性に頼って熟考する。ベルトランは本能に頼って直感する。物事を決断する時は,シャルルは暗すぎ,ベルトランは明るすぎる。暗さに徹するシャルルはベルトランの直感に勇気を与えられ,明るいままのベルトランはシャルルの熟考に安心する。この2人が運命的に出会ったところからフランス軍は次々と敵に渡った土地を奪還していく。ベルトランは隙だらけの人格が幸いして,不思議と他人に居場所を作ってやる人間だった。
全2巻

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2009年10月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

時は、中世。イングランドとの百年戦争で、劣勢に陥るフランスに登場したベルトラン・デュ・ゲクラン。このブルターニュ産の貧乏貴族、口を開けば乱暴粗野なことばかり。だが幼き日より、喧嘩が滅法強いベルトラン、見事な用兵で敵を撃破する。神は、武骨なその男に軍事の大才を与えたもうた!鉄人チャンドスは戦慄し、好敵手グライーは闘志を燃やす―。歴史小説の新たなる傑作。

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2012年06月06日

Posted by ブクログ

男性の登場人物はとても魅力的。

いつも「男も惚れる!!」てキャッチコピーを付けがちな人を主人公にするよね。佐藤賢一って。

でもその分いっつも女性がひどい。感情移入まったくできないし・・・つーか扱い悪くない??

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2011年08月13日

Posted by ブクログ

最初はデュ・ゲクランの下品ぶりに引き気味でしたが、
後半、王太子シャルル(後のシャルル5世)と出会ってから面白くなってきました。

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

余計な描写説明がなく、一気に読めました。単に痛快な英雄ものというだけではなく、登場人物の背景や屈折した部分が描かれていて、とても安心して読み進めることができる物語だと思います。

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2009年10月04日

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