佐藤賢一のレビュー一覧

  • テンプル騎士団

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    ネタバレ

    歴史への興味に加えて、ゲームのヒーローとして登場する「聖騎士」のような存在として騎士修道会に関心があった。ましてや著者は『傭兵ピエール』をはじめとする西洋歴史小説の名手である佐藤賢一とあっては読まないわけにはいかない。
    本書はテンプル騎士団がフランス王の手により逮捕され、教皇により解散させられた事件から始まる。建物の壮麗さから逮捕事件へと至り、歴史の謎を解くミステリー仕立ての物語は読者をテンプル騎士団への興味を掻き立てられる。
    テンプル騎士団は十字軍国家における聖地巡礼者の道を警備する目的でわずか12人で発足した。その後、イスラム教徒との戦いを期待された彼らは、土地の寄付を受けて勢力を拡大し、

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    2025年12月04日
  • 王妃の離婚

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    第121回直木賞(1999年上半期)受賞作。

    舞台は1498年フランス。
    時の王が起こした離婚訴訟。
    さながら魔女裁判の様相を呈す舞台に立ち向かう、
    かつてパリ大学で伝説を残し、
    今は零落した弁護士となったフランソワ。

    ワンピースでアラバスタ王・コブラは言った。
    「裸の王などいるものか」
    権威は服の上から着るものだ、と。
    現代において、
    本当の意味で裸になる場面はあるだろうか。
    かなり前の作品だけれど、
    今、このタイミングで読むことができてよかった。

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    2025年11月15日
  • ハンニバル戦争

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    佐藤賢一先生の著書を読むのは2作目ですが、前回の「双頭の鷲」もそうなのですが、登場人物が生き生きと描かれており、とても感情移入がしやすく読みやすかったです。
    ハンニバル将軍の名前は良く聞きますが、そのハンニバルをライバル視して努力を重ね、最終的にこの戦の天才に勝利したローマ人が居たことを、本書で初めて知りました。
    ローマの歴史の物語ですから、馴染みはありませんでしたが、とても面白く読めました。
    日本の人物の物語も、いつか書いて頂きたいと思いました。

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    2025年10月31日
  • 双頭の鷲(下)(新潮文庫)

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    ※上下巻通しての感想です
    幼児性のある軍事の天才、ベルトラン・デュ・ゲクランがあまりにも魅力的。全体としては「悲劇」なのだろうが、読後に悲壮な感覚は残らなかった。
    解説にもあるとおり、アレクサンドル・デュマのダルタニャン物語を彷彿とさせる傑作。

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    2025年10月19日
  • 双頭の鷲(上)(新潮文庫)

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    ※上下巻通しての感想です
    幼児性のある軍事の天才、ベルトラン・デュ・ゲクランがあまりにも魅力的。全体としては「悲劇」なのだろうが、読後に悲壮な感覚は残らなかった。
    解説にもあるとおり、アレクサンドル・デュマのダルタニャン物語を彷彿とさせる傑作。

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    2025年10月19日
  • 革命のライオン 小説フランス革命 1

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    フランス革命を物語形式で知りたい人におすすめ

    うわ、歴史小説かぁ。難しいだろうな、という先入観をぶち壊してくれる。
    世界史の知識は必要かも、三部会とかネッケル、ロベスピエール、ミラボーが誰かとかを分かってると入り込みやすくなります。
    情景描写もほどよくて、物語も短く展開され続けりから読みやすい。

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    2025年10月14日
  • テンプル騎士団

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    国際金融資本がアメリカ軍を持っていたもの、という比喩表現で締めくくられた本書は、歴史を趣味として愛好する者にとってはこの上なく楽しい本だった。十字軍によりキリスト教徒が獲得したイスラエルへの巡礼者を盗賊から守るために組織されたテンプル騎士団は、やがて為替(両替)機能や(物理的な)送金機能を有するようになり、一大地主として国家へ相対する強力な存在として台頭していった。1307年10月13日にフィリップ4世が取った強行的な逮捕、処刑は、いかに彼らが国家権力から見て恐ろしく強大な力を持っていたがが伺える。異端審問への反対、宗教国家への反対、超国家的な思想という点でフリーメイソンと共通性があり、その起

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    2025年09月28日
  • よくわかる一神教 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教から世界史をみる

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    世界三大宗教といえば、
    キリスト教、イスラム教、仏教。

    キリスト教とイスラム教で実に
    世界の人口の半数を超える。

    共通点は唯一神を崇める一神教であること。

    宗教の数では圧倒的に少数派の一神教が
    なぜ世界の大半を覆うまでになったのか。

    著者の佐藤賢一さんは直木賞作家で、
    複雑な宗教史をかなりわかりやすくほどいてくれている。

    文庫版にはウクライナ情勢も加筆。

    宗教と戦争は切り離せないテーマではあるのだけれど、
    読めば読むほど宗教よりなによりイギリスが原因に見えてくる。

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    2025年09月20日
  • 王妃の離婚

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    私の好きな三宅香帆さんのオススメ本の一冊。
    初めは読みにくく、小難しい設定と言葉で面白みを感じなかったが、途中から猛烈な面白みが!心の底から湧き上がるワクワク感、爽快感、ハラハラ感があり、極上の読者体験になった。決して読みやすくはないが、エンターテイメント性が高い作品だ。
    悩んだが、総合的に考えて⭐︎5!

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    2025年08月21日
  • ハンニバル戦争

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    第二次ポエニ戦争をスキピオ視点で描いた「ハンニバル戦争」。
    終始、スキピオ視点で物語は進みます。ハンニバルを人物として描写されるのはザマの戦い直前。
    その会談の中で、生の感情に触れたスキピオが感じた人間としてのハンニバル。それまでは戦術の天才として、軍神とまで思っていた彼が一人の人間であると知る瞬間。この変化を描くために、ハンニバルを描かずにいたのかな、と思いました。

    ローマに勝利し続けるハンニバル。イタリアでの敗戦の描写。ハンニバルを学ぶことで勝利を収めてゆくスキピオ。
    ザマへ至るまでの全ての描写が、ハンニバルの圧倒的な強さをローマやスキピオだけでなく、読者にも刻み込ませるものであって、と

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    2025年01月19日
  • 革命の終焉 小説フランス革命18

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    全巻通しての感想を最終巻に書くことにします。
    最初は少し軽い印象で始まった。
    これが本当に徐々に積み重なって重みを増してゆく。
    事実をもとにしてうまく描かれていると思う。
    短い章立てで書いてある事で多くの人、多くの場面を描くことが出来ている。
    ミラボー、ダントン、サン・ジュストそして主人公と言っていいロベスピエール。
    他にも色んな人達が出てきては退場していったり。

    政治とか合意とか民意とか蜂起、暴力、法の支配、人民の生活、貴族の生活、血の通った話、高尚な話、理想、現実と様々な事を考えさせられます。

    読んでよかった。
    読み応えもありました。

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    2024年09月24日
  • 英仏百年戦争

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    情報のポイントが絞られていて、概略として掴みやすかった。

    また、「英仏百年戦争」という現代的認識の誤解をかなり指摘していて、歴史を学ぶ醍醐味を味わえた。
    巻末に、「国民国家という軛」からの解放が近いのでは、という著者の考えにもとても共感した。というのも、ギリシャ史をまとめた本を読んだ時、「ギリシャ」という現代の地理的区分にこだわって叙述することの難しさや実態とのギャップを感じずにいられなかったからだ。これは、日本を含めどの地域でもそうだと思う。

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    2024年07月27日
  • ナポレオン 2 野望篇

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    相変わらず、圧巻の知識&情報量

    エジプト遠征の時に学術団を連れて行って、美術の研究をしたり、数学を使ってピラミッドの高さを想定したり、学問的な側面も多く持っていたのも、人として面白い

    フーシェも良い味出してる

    宇野重規さんの解説も詳しく読み込まれており、とても良い

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    2024年07月20日
  • カペー朝 フランス王朝史1

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    【カペー朝】
    《Capétiens》10世紀から14世紀初めにかけての、西フランク王国の王朝。987年、パリ伯ユーグ=カペーが、カロリング朝を継いで創始した。首都はパリ。歴代の王は教会と結んでしだいに王権を強め、国土を拡張した。1328年、後継者が絶えたため、バロア朝に交代した。

    佐藤賢一
    1968年山形県鶴岡市生まれ。東北大学大学院文学研究科西洋史学専攻博士課程単位取得満期退学、以降作家活動に専念。1999年『王妃の離婚』(集英社)で第121回直木賞を受賞。作品はほかに『傭兵ピエール』『オクシタニア』『小説フランス革命』(以上、集英社)、『二人のガスコン』(講談社)、『双頭の鷲』

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    2024年05月16日
  • テンプル騎士団

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    テンプル騎士団を中心に12世紀〜14世紀の欧州・オリエントの歴史を再確認できる。教皇の最盛期から、教皇のバビロン捕囚まで、これから絶対王政を迎える歴史の転換期。十字軍ぐらいのイメージしかなかったが、教皇直属で様々な特権を持ちグローバルネットワークを活かして金融や経済も刷新させた革新的な超国家集団だったとは、印象が大きくかわった。封建制度が根強い時代に組織的な軍事力も備わっており、その後の欧州の歴史に大きな影響を与えた。十字軍自体はイスラム世界から古代ギリシア由来の発達した科学を西方に伝え、中国の航海術が大航海時代のきっかけにも繋がった象徴的な出来事だった。イスラム勢力はセルジューク・トルコ、フ

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    2024年04月15日
  • 王の綽名

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    久々に世界史の勉強をやり直したいと思った本。綽名のついている西洋の王様のそれぞれの一代記を元に、その時代の説明が施されているが、中世の混乱がよく伝わってくる。
    私は、日本史では応仁の乱の前から戦国時代の手前まで、14世紀から15世紀くらいの混乱期、日本が今の日本のイメージになっていく時代が一番好きだが、西洋ではこの混乱が、その何倍もの時間に、何倍もの広さで行われていったということがよく分かる。もっと本格的に勉強していきたい。

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    2024年03月10日
  • ナポレオン 3 転落篇

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    ネタバレ

    フランス在任中はフォンテーヌブローに住んでいた。世界遺産の宮殿があり、ブルジョワの街。もともとはフランソワ1世の居城であるが、歴史的にはナポレオンの居城として、数多くのエピソードを持っている。有名なのは、ジョゼフィーヌと隣り合わせの部屋の間のドアを塗りこめて通れなくして離婚の布石を打ったり、ローマ教皇を幽閉的に住まわせたり。一番有名なのは、皇帝を退位してエルバ島に流されるときに、この宮殿から階段を下りて去っていったというエピソードが有名。訪問者を連れて何度も訪問した思い出があり、展示物も含め、ナポレオンはとても親近感のある人物。なので、個人的な関係もあるが、この大河小説、期待通りの素晴らしい出

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    2024年01月15日
  • 世界史のミカタ

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    この本読んでると、何かにたどり着いた気がした。すごいなぁ、これ。世界史好きな人は読まないと損するレベルだぞ…。スゴイ…。(;´Д`A

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    2024年01月13日
  • シャルル・ドゥ・ゴール 自覚ある独裁

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    シャルル・ドゥ・ゴールという人物が生き生きと描写され、楽しんで読むことができました。
    フランス史、またフランスの視点から世界史の流れを追うことができます。
    現在のフランスに直接繋がる系譜なので、彼の国を理解する一助となる本だと思います。

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    2023年12月23日
  • チャンバラ

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    剣豪、宮本武蔵の生き様が凄まじい。渡り歩く先々で死闘を繰り広げ、刀のみならず槍や手裏剣、十手を操り、気で倒す。描写が剣術指南書の様。最後の相手は小太郎となるか…

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    2023年09月10日